家庭内別居を検討する前に知っておくべき11のこと

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2016年12月の厚生労働省の発表によると、2016年に婚姻した夫婦の数は、62万1000件、2016年に離婚した夫婦の数は21万1140件だそうです。

単純に離婚した夫婦の数を婚姻した夫婦の数で割ると約3分の1となります。

もちろん、2016年に離婚した夫婦が全て2016年に婚姻した夫婦ではないので、「3組に1組が離婚している」とは言い切れないのですが、ここ数年婚姻率(人口に対して婚姻した人の割合)が下がってきていることを考えると、この21万1140件という数字は決して少ないとはいえず、かなりの割合の夫婦が離婚を経験していることになります。

加えて、離婚に至らなくとも、離婚の危機を感じたことがある夫婦にまで範囲を広げると、相当数の夫婦が該当するのではないでしょうか。

そのような中で、近年、様々な理由で「家庭内別居」を選択する夫婦が増えてきているようです。

有名人でも、ブラッドピットとアンジェリーナジョリーや、ヒロミさん、松本伊代さん夫婦も家庭内別居を経験されているようです。

ここでは、離婚とも別居とも違う家庭内別居について、そのメリットやデメリット、子供への影響等を踏まえてご説明したいと思います。

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1、家庭内別居とは

家庭内別居とは、一般的には、夫婦としての関係は破たんしているのに、何らかの理由で離婚せず、また別居をすることもなく同居を続けている夫婦のことを言います。

家庭内別居についての法律上の定義はありません。

ただ、法律上、裁判所が離婚を認める理由の一つに、「婚姻関係を継続し難い重大な事由がある場合」があり、その一場面として、「婚姻関係が破たんしていて回復の見込みがないとき」があります。

この「婚姻関係が破たんしている」という状況は、通常、長期間別居をしている状態が多いのですが、同居していても、家事の分担がなく(互いに相手の分の家事はしない)、生活費の分担もなく(互いに相手の生活費は出さない)、また、性交渉も長期間ないような場合は、「婚姻関係が破たんしている」と判断されることもあるようです。

法律上、「婚姻関係が破たんしている」と判断されるような家庭内別居から、夫婦としては冷めきっているけれども生活費を多少渡していたり、家事を分担したりする等、ゆるやかな形態の家庭内別居まで、家庭内別居には、様々なパターンがあるといえます。

2、仮面夫婦との違い

夫婦としての関係は破たんしているのに、夫婦を続けるというと、「仮面夫婦」と同じではないか、と考える人もいると思います。

確かに、「夫婦としての関係は破たんしているけれど、何らかの理由で離婚しない」という点は、家庭内別居と仮面夫婦の共通点といえるでしょう。

しかし、仮面夫婦は、人前では仲の良い夫婦を演じているのに対し、家庭内別居は、人にもよりますが、人前でも特に仲良く見せる必要がなかったり、そもそも夫婦揃って人前に出ることがない人もたくさんいます。

そのような意味では、仮面夫婦はいくつかある家庭内別居のうちの一つの形といえるでしょう。

詳しくは、「自分たちが仮面夫婦かもしれないと思ったら知っておくべき14のこと」をご参照ください。

3、家庭内別居のメリットとデメリット

(1)家庭内別居のメリット

家庭内別居を選択する一番のメリットは、経済的な面にあるでしょう。

家賃や光熱費などの分担をどうするかについて話し合う必要はありますが、別居を選択すれば、それぞれに家賃や光熱費がかかるので、別居を続けるより費用がかからないというメリットがあります。

また、対外的に世間体を守れるという点もメリットでしょう。
「仮面夫婦」と呼ばれる人たちは、この点を重視して、外では仲の良い夫婦を演じているといえます。

さらに、夫婦に子供がいる場合は、父親と母親が同居している方が悪影響が少ないという点のメリットもあります。

もちろん、毎日子供の前で夫婦喧嘩をしているようではかえって悪影響かもしれませんが、そうでなければ、同居している方が子供にとっては良いのではないでしょうか。

また、親の方も別居してしまうと子供となかなか会えなくなってしまいますから、これも同居を続けるメリットの一つといえます。

また、家庭内別居のメリットのもう一つの大きな側面として、一度割り切って家庭内別居という形をとり、生活のルールを決めることで、これまで夫婦だからこそ生じていたいさかいや喧嘩が少なくなるということもあります。

ルールを決めることで、必要以上に相手に要求したり、ストレスを感じたりすることが少なくなるという場合が多いのです。

理想的な夫婦の形ではないかもしれませんが、いったんお互いに冷静になってみる期間の過ごし方としては、別居よりも家庭内別居を選択するという道もあると思います。

(2)家庭内別居のデメリット

家庭内別居の大きなデメリットは、別居と言いながらも一つ屋根の下に住み続けるという点にあります。

相手の顔も見るのが嫌だ、とか、同じ空気を吸うのも嫌だ、といった状況まで関係が悪化してしまっていると、同じ家にいるだけでストレスになってしまいます。

また、お互いに別に好きな人ができてしまった場合等も支障が出てしまう場合もあるでしょうし、何より法律上は婚姻関係が続いているので、再婚できないという点もデメリットといえるでしょう。

4、家庭内別居が与える子供への影響

別居をせずに家庭内別居を選択する理由として、「子供のため」という方も少なくありません。
しかし、子供は親の顔色や不穏な空気には敏感です。

小さいからまだわからないだろう、というのは大人の勝手な甘い考えでしかありません。

父親と母親の会話が少ないとか、一緒にご飯を食べないとか、一緒の部屋にいないといった些細な変化も子供は敏感に感じ取り、不安を感じる等、子供にとってストレスになってしまいます。

ある程度の年齢になれば、大人の事情も理解できるようになる場合もありますが、小さい子供の場合、父親と母親の仲が悪いのは自分のせいではないかなどと考えてしまう子供もいるようです。

そのせいで、自分の感情を押し殺してしまうようになり、感情を表現するのが苦手になってしまったり、他人とコミュニケーションをとることが難しくなってしまったりする等、人格形成に悪い影響を与えてしまう可能性があります。

夫婦の仲が悪化したことについて、子供には全く責任はありません。
また、仮に両親が離婚したとしても、子供にとってはたった一人の大切なお父さんとお母さんです。

親の都合で家庭内別居という選択肢をとるのですから、「子供のため」と言いつつただ一緒の家にいれば問題ないだろう、などという考えは捨てて、これまで以上に、子供の感情の変化を敏感に察してあげられるように、父親と母親の両方が気を配ってあげることが大切です。

5、家庭内別居の始め方、ルール決め

家庭内別居を行う際は、まず、二人の距離の取り方を決める必要があります。
夫婦関係に問題があるからこそ家庭内別居という選択肢をとるのですから、お互いに適度な距離感を保つことが必要です。

家庭内別居をしているからといって、全く話をしないとか挨拶すらしないなどというのはかえってストレスを感じてしまいます。
そうであれば別居した方がましということになります。

少なくとも同じ屋根の下に住んでいるのですから、朝起きたら「おはよう」と声をかけるとか、何かをしてくれたときには「ありがとう」とお礼を言うといった最低限の礼儀は尽くして距離感を保つべきでしょう。

また、適度な距離感という意味では、家事等に関する役割分担を決めておくことも大切です。

以前であれば、「妻(夫)だからやって当然」ということもあったと思いますが、家庭内別居という選択肢をとる以上、過度に相手に期待すべきではないことは言うまでもありません。

さらに、子供がいる場合は、子供との接し方が大切になってきます。
4でも述べたとおり、夫婦関係の悪化は、子供に悪影響こそあれ、良い影響は与えません。

家庭内別居という選択肢をとるのであれば、子供との接し方については、夫婦二人でしっかりと話し合いをして取り決めをしておくべきです。

6、家庭内別居時の生活費の請求方法

婚姻している夫婦は、民法上、「その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定められており(民法760条)、生活費を分担することが求められています。

夫婦関係が悪化して、収入のある方が生活費を渡さなくなることはしばしばあることですが、この場合、夫婦の収入の少ない方から収入の多い方へ婚姻費用分担請求(生活費の請求)ができることになっています。

この婚姻費用分担請求は、同居していて生活費を渡してくれない場合はもちろん、別居している場合でも、また夫婦関係が破たんしている場合であっても、婚姻中である限り認められます(例外的に、別居に至った原因が夫婦の一方のみにあるような場合に、その原因を作った方からの生活費の請求は認められない場合があります)。

このような法律や裁判所の考え方に基づくと、家庭内別居の状態となった夫婦であっても、多くの場合、生活費の請求は認められると考えられます。

生活費の請求は、上記の通り、法律上は「婚姻費用の分担請求」といい、任意に支払ってくれない場合は、家庭裁判所に調停を起こして請求をしたり、裁判から審判という形で支払命令を出してもらったりする方法によって請求することが可能です。

7、家庭内別居のストレスを軽減する方法

家庭内別居を選択するということは、少なくとも夫婦関係はうまくいっていないことが前提です。
ですから、同居を続けていくことで互いにストレスを感じることも少なくないと思います。

ただ、お互いが過度にストレスを感じているようでは、家庭内別居という形を選択した意味がありません。
過度に相手に干渉せず、かといって全く話すらしないのではなく、互いに同居人として最低限の礼儀とマナーを持って生活することが大切です。

夫婦だから相手に期待しすぎてしまっていた部分もあると思いますから、いったんそれを取り払って、過度に相手に期待せずに生活をすることで、ストレスを軽減することができるのではないでしょうか。

8、家庭内別居中に夫が不倫。不倫相手に慰謝料は請求できる?

6で述べたように、家庭内別居中であっても、法律上夫婦関係が継続している限り、生活費を請求することができます。

これに対し、相手が不倫(浮気)をした場合の慰謝料請求については、法律上夫婦関係が継続していても認められない場合があります。

それは、「夫婦関係が破たんしている」と判断されるような場合です。
「夫婦関係が破たんしている」と判断される場合は、過去の裁判例などでも慰謝料請求が否定されています。

別居している場合に比べると、同居を継続している家庭内別居の場合は、「破たんしている」とは判断されにくいと思います。

しかし、家計が別々で、家事も分担せず、性交渉も全く無い等同居していても夫婦としての実態がほとんどないような場合は、「破たんしている」と判断される場合もあり、そのような場合は、一方が不倫(浮気)をしても慰謝料請求できないということになります。

9、離婚を前提とした家庭内別居もある

家庭内別居を続けている夫婦の中には、将来離婚することを前提としている夫婦もいます。

離婚することについては同意しているものの、子供が〇〇歳になったら、とか、経済的な目途が立つ(収入の無い方が職を見つける)まで等の理由で、一定の時期まで同居することを選択する夫婦もいるのです。

10、離婚後も同居する家庭内別居もある

逆に、いったん離婚届を提出して正式に離婚が成立したものの、同居を続けるという夫婦もいます。

法律上夫婦関係が継続していると、生活費の支払いの義務が生じたり、他の相手と恋愛関係になったときに場合によっては慰謝料請求を受けてしまったりという縛りがでてきます。

このような縛りを取るために離婚を成立させながらも、経済的な理由から別居をするのが困難であるとか、子供のために別居は良くない等の理由で同居を続けることを選択する夫婦もいるのです。

これも家庭内別居の一つの形といえるでしょう。

11、家庭内別居を解消して夫婦関係を修復する方法

夫婦はもともと他人ですから、育った環境が全然違うのが普通です。

食べてきたものも、聞いてきた音楽も、受けてきた教育も違うのですから、一緒に生活をすれば、様々なすれ違いが生じるのはむしろ当然のことといえます。

そこで、お互いに相手に過度の期待をしてしまうと、期待通りにならないことにストレスを感じてしまい、夫婦喧嘩が起きたり、夫婦として一緒に暮らすことに嫌気がさしたりする中で、離婚という選択肢が現実味を帯びてくるのだと思います。

ただ、いったん家庭内別居という形になってみると、そういった相手に対する過度の期待もなくなることからストレスも軽減されることがあります。

そして、あらためて考えてみると、外で仕事をして家族を養うことや、家事や子育てを分担して行うことについて、パートナーが果たしてきた役割に気づかされることも少なくないと思います。

夫婦間で問題が起きたときに、冷却期間を置く意味で一時的に別居を選択する方もおられます。
もちろん、いったん離れることで問題が解決することもあります。

ただ、別居してしまうとずるずると期間が経過してしまって、修復できなくなってしまったという例も良く耳にします。

問題が起きたときに、いったん家庭内別居という形をとったとしても、その中で、パートナーの存在価値をあらためて再認識し、お互いが相手に対して思いやりを持って接することで、家庭内別居を解消して、夫婦関係を修復させることも十分可能だと思います。

まとめ

夫婦として家庭内別居という選択をとるのは、様々な理由があると思います。
そして、家庭内別居をするメリットがあるのも事実です。

ですから、別居でも離婚でもない「家庭内別居」という第三の選択肢を取る意味は十分あるといえます。
ただ、家庭内別居にはデメリットもあります。

夫婦でお互いに話し合うなどして、そのデメリットを解消できるような努力をすべきですし、どうしてもデメリットが解消できないときには離婚するというのもやむを得ないことでしょう。

いずれにしても、一時的な感情で行動してしまうのは、お互いにとってあまり良い結果を生みません。

夫婦はもともと他人であるということを認識し、相手を変えようとするのではなく、相手を理解し、同時に過度に期待をしないという意識を夫婦双方が持ったうえで、お互いにとって、何が一番良い道なのかを検討することが、一度は一緒になることを決めた大人の最低限のマナーなのではないかと思います。

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