弁護士が教える!DVで離婚する際におさえておきたい全知識

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最近、ドメスティックバイオレンス(以下、「DV」といいます。)が社会的な問題となり、これを原因とする離婚という話もよく聞かれます。

今回は、このようなDVの被害で悩んでおり、DVを原因として離婚を検討されている方に向けておさえておきたい知識についてご説明したいと思います。

目次

1、増えているDVの現状

2、DVで離婚する際に注意しておくべきことは?

3、DVを理由に離婚する際の流れ

4、離婚の事前準備は?

5、保護命令の申立方法について

6、別居後の離婚手続きの進め方は?

7、DVを理由に裁判離婚できる?

8、慰謝料、財産分与などDVで離婚する際に請求できるお金は?

9、離婚が成立したら知っておきたい!離婚後に注意すべきこと

10、DVに遭ってしまった場合の相談先は?

1、増えているDVの現状

共同通信の平成27年7月24日の記事によると、昨年1月から6月の間に警視庁によせられたDVの相談件数は前年の同時期に比べて25%も増加し、2441件にものぼり、2000年に統計を取り始めて以来最多になったとのことです。また、摘発件数も約2倍の469件で暴行・傷害容疑が約89%を占めています。

DVが犯罪であるという認識が広まっていることにより相談や摘発が増えていることがこれらの統計の増加の原因になっているとも考えられますが、いずれにしても、これだけの数のDVの相談、摘発があるという事実は、知っておいて損はないでしょう。

2、DVで離婚する際に注意しておくべきことは?

まずは何より身の安全を確保することが重要です。DVの被害者が離婚を切り出すと、DV加害者は逆上して暴力をふるうというケースがよく見られます。したがって、DVを理由に離婚を切り出す際は別居してからにすべきであり、また別居の準備について相手に悟られないよう細心の注意を払って準備を進める必要があるといえます。

そして、後にも説明しますが、調停や裁判ではDVの被害を受けていたという証拠が必要です。DVで怪我をした際に診断書をとっておく、写真に撮っておく、DVの状況をメモに記録しておく、会話を録音する等、DVの証拠を残すことも重要です。

3、DVを理由に離婚する際の流れ

大まかにいえば、DV以外を理由に離婚する場合と同様です。別居をしたうえで、相手方に対して離婚の協議を申し込み、離婚の話し合いを進めていくというのが通常です。もっとも、DVの場合、相手方と任意の話し合いということは困難でしょうから、弁護士に依頼し、代理人を立てたうえで調停を起こすということが通常でしょう。

また、DVの場合は、別居に際して、相手方に新しい住まいを知られたくないでしょう。4や5で触れるように、シェルターに入ったり、DV防止法に基づく保護命令の発令の申立をしたりといった方策を検討する必要もあります。

それでは、離婚までの具体的な流れについて細かくみていきましょう。

4、離婚の事前準備は?

大きく2つの事柄に分けることができます。①身を守るための別居の手続と②DVの証拠の収集です。

(1)別居について

先ほども説明したように、DVがある場合にもっとも重要なのは自分の身の安全を確保することです。離婚の話を切り出すと逆上し、暴力がエスカレートしたり、精神的に追い詰めたりとDVが悪化することが多く見られます。したがって、離婚を決意され、離婚の話し合いをしようとする場合には別居をするべきでしょう。

その際に注するべきことは、新しい住まいを相手方に知られないようにすることです。DVの加害者は新しい住まいに押し掛けて暴行を加えたり、さらには配偶者を連れ戻そうとしたりする場合があるためです。そのため、別居後の住まいとしてご実家を選ぶというのはあまりお勧めできません。

とにかく別居を急ぎたいということであれば、各地の配偶者暴力相談支援センター等の相談機関で相談し、一時的な避難施設であるシェルターに入った上で、別居先を探すのがよいでしょう。

(2)証拠収集について

いざ離婚の調停や訴訟に至った場合には、DVについての証拠を提出する必要があります。

DVをはたらく配偶者の多くは、外面はよい場合が多く、調停等であなたが「DVに遭っている」と主張するだけではなかなか信じてもらえません。あなたの主張を具体的に根拠づける証拠が必要になるのです。したがって、離婚を決意されたら、別居までになるべく客観的な証拠を残すようにしましょう。

具体的な証拠としては次のようなものが考えられます。

  • DVによる怪我についての写真や診断書
  • DVの様子を記録した日記
  • DVをはたらかれた際の録音
  • 警察や相談機関での相談の記録

(3)その他

また離婚全般において必要となる準備もあります。詳細は「離婚したいと思ったら! 離婚の準備のための6つのステップ」の記事でご確認ください。

5、保護命令の申立方法について

別居が完了しても必ずしも安心できません。相手方が新しい住所を知っている場合や職場を知られている場合、付きまとったり、押し掛けてきた上でDVをはたらいたりするケースも少なくないからです。

このような場合は、DV防止法に基づく保護命令の発令の申立を検討しましょう。この保護命令とは、配偶者からの身体への暴力を防ぐため、裁判所が、暴力を振るったあるいは生命又は身体に対する脅迫をした配偶者(相手方)に対し、被害者である配偶者(申立人)に近寄らないよう命じる決定です。

保護命令には、①接近禁止命令、②電話等禁止命令、③子への接近禁止命令、④親族等への接近禁止命令、⑤退去命令の5つがあります。相手方の行動によってどれにするかを検討しましょう。

保護命令の申立には原則として事前に警察等での相談が必要となります。この記録と申立書を裁判所に提出することで申立を行います。

発令までの大まかな流れはこちらの裁判所の資料のとおりです。

6、別居後の離婚手続きの進め方は?

では、別居後どのように離婚の手続を進めればいいでしょうか。通常の離婚であれば、相手方と任意の話し合いで離婚するかどうかや離婚の条件を決定する協議離婚と調停の場でこれらを話し合う調停離婚の2つがまず選択肢として考えられます(裁判での離婚手続きは調停を経たうえでないと認められません。)。

ただ、DVの場合、ご自身で相手方と話し合うことになる協議離婚の手続は何よりも身の危険を伴いますし、話し合いによって慰謝料等の金銭的な条件を獲得することが非常に困難である場合が多いことから避けるべきです。裁判所で第三者を挟んだ話し合いを行うことになる調停手続で問題の解決を図るのがよいでしょう。

7、DVを理由に裁判離婚できる?

調停を進めても、調停はあくまで話し合いの手続なので、相手方がどうしても離婚したくないと主張した場合や、条件で折り合いがつかなかった場合には裁判で決着をつけることになります。しかし、裁判で離婚が認められるのは民法で定められた事由(法定離婚事由といいます)を満たす必要があります。

では、DVはこの法定離婚事由にあたるでしょうか。結論としては、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」の一つの典型例として離婚が可能だといえます。

ただ、ここで重要なのは、DVがあったことをあなたが証拠を持って立証していかなければならないということです。DVがあったのだと主張するだけでは、裁判所は離婚を認めてくれません。そのため先ほど説明したようなDVに関する証拠の収集が非常に重要な意味を持つのです。

8、慰謝料、財産分与などDVで離婚する際に請求できるお金は?

離婚に当たっては、慰謝料や財産分与等の名目で金銭を得られる場合があります。

(1)財産分与

財産分与とは、夫婦が婚姻後に共同して築いた財産を離婚にあたって清算することをいいます。これはDVだからといって他の場合と異なることはありませんので、離婚に際して分与を行う必要があります。

(2)慰謝料

慰謝料は、精神的苦痛を被ったといえる場合に請求することができます。DVはまさに加害者である相手方の行為によって精神的苦痛を被った場合といえますから、相手方に対して慰謝料請求をすることができます。

ここで、慰謝料はどれくらいもらえるのか、相場が気になる方がいらっしゃると思いますが、これはDVの程度やそれによって負った怪我や精神的苦痛の程度、婚姻期間の長短等が影響するので一概にどれくらいとは言えません。ただし、離婚に際して裁判で認められる慰謝料は、数十万円から500万円程度の幅の中におさまることがほとんどです。

9、離婚が成立したら知っておきたい!離婚後に注意すべきこと

考えたくはないですが、離婚後も元配偶者がDVをはたらくというケース や離婚前にはDVがなかったのに離婚後に突然付きまといやDVを始めたりするというケースもありますので、そういった行為への対応についても見ておきましょう。

(1)DV防止法

先ほど説明したDV防止法は、離婚前からDVがあった場合、離婚後でも適用可能です。したがって、まずはDV防止法の保護命令の申立てを検討しましょう。もっとも、離婚前からDVがあったことについて、証拠を持って主張しなければならないので、これが難しい場合には次の手段を検討しましょう。

なお、DVによって怪我をした場合の治療費や慰謝料の請求も可能です。

(2)ストーカー規制法など

離婚前からDVがあったことの証拠がなかったり、離婚後にDVを始めたりしたような場合にはストーカー規制法や通常の刑法の適用を検討しましょう。

離婚後につきまとわれる場合にはまずは警察に相談しストーカー規制法に基づく警告を発してもらえないか相談するのがよいでしょう。

また、実際に怪我を負わされれば、傷害罪で告訴することができます。

10、DVに遭ってしまった場合の相談先は?

最後にDVに遭ってしまった場合の相談先について確認しておきましょう。DV防止法の保護命令の申立てにあたっては事前に警察や配偶者暴力相談支援センター等の各相談機関への相談が必要になりますから、DVに遭った場合、必ず相談機関に赴いて相談をするようにしましょう。

最寄りの相談機関については、こちらのページに記載されている番号に電話をすることで教えてもらうことができます。

もちろん、当事務所を含めて法律事務所にご相談頂くことも可能です。

まとめ

繰り返しになりますが、DVに遭ってしまった場合は、各相談機関にすぐに相談したうえで、身の安全を確保するようにすることが第一です。ただ、DVを理由に離婚するにはDVの証拠も必要になりますので、DVに遭ってしまった場合には身の安全を図りながらも、可能な限り証拠を収集するようにしましょう。

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