書類送検されても起訴されないために弁護士が教える10の重要な知識

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ニュースなどで「書類送検」という言葉をよく聞きますが、その正確な意味を把握している人は意外に少ないのではないでしょうか。

また、書類送検されるとどうなるのか、書類送検後にどのような手続きが行われるのかなどについても正確には知られていないようです。

そこでここでは書類送検についての基礎知識と、もし自分が書類送検されてしまったらどうすべきかについて、元検事の弁護士が複数名所属し(20179月現在)、刑事弁護に精通しているベリーベスト法律事務所の弁護士が説明します。

この記事が、書類送検されてしまったときに、起訴されないための適切な対処法を理解するためのお役に立てば幸いです。

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1、書類送検とは

警察官が犯罪の捜査をしたときは、原則として事件を書類や証拠などとともに検察官に送致(報告)しなければなりません。

これを「検察官送致」もしくは「送検」といいます。

この送検を行う際に、警察官が罪を犯したと疑われる被疑者を逮捕して捜査を行った場合には、警察官は逮捕から一定時間以内に被疑者を捜査関係書類とともに検察官に送致する必要がありますが、被疑者を逮捕せずに捜査を行った場合には、被疑者の身柄を確保していないため被疑者の身柄を検察官に送致する必要はなく、捜査関係書類のみを検察官に送致することで足ります。

この捜査関係書類のみを検察官に送致する場合のことを「書類送検」といいます。

このことから、ニュースなどで「書類送検した」と表現している場合には、被疑者が逮捕されていないことが分かります

2、書類送検と身柄送検の違い

(1)書類送検では身柄事件のような送検までの制限時間がない

上に述べたとおり、送検には2種類のものがあります。

両者の違いは逮捕による身柄拘束を経ているかどうかにあります。

被疑者を逮捕して身柄を確保した上で捜査を行った場合(身柄事件)の送検を身柄送検と呼ぶのに対し、被疑者を逮捕せずに捜査を行った場合(在宅事件)の送検を書類送検と呼ぶわけです。

身柄送検が行われる場合には、警察官には法律上制限時間が課されています。

具体的には、警察官は被疑者を逮捕してから48時間以内に身柄送検を行わなければなりません。

被疑者の身柄を拘束して捜査を行う場合に、いつまでも身柄拘束を続けることができたのでは被疑者の人権侵害になるとともに、長期間の拘束を背景とした自白の強要などの弊害が生ずるおそれがありますので、身柄送検は一定時間以内に行わなければならないこととされているのです。

もちろん、48時間という短い時間で必要な捜査を終えることはできませんから、身柄送検後も捜査は引き続き行われることになります。

これに対して、被疑者を逮捕せずに捜査を行う場合には被疑者の身体的自由を拘束しているわけではありませんので、法律上送検までの制限時間は設けられておらず、警察官は必要な捜査を終えた段階で書類送検を行えばよいことになります。

事件が報道されてからずいぶん日数が経ってから書類送検が行われたとの続報を聞くことがあるのはこのためです。

このように、身柄事件の場合には警察官や検察官などの捜査機関は制限時間に追われながら捜査を行うことになるのに対して、在宅事件の場合には制限時間を気にせずに捜査をすることができます。

(2)在宅事件になる場合と身柄事件になる場合

では、どのような場合に身柄事件となり、どのような場合に在宅事件となるのでしょうか?

身柄事件と在宅事件の違いは逮捕の有無にありますので、これは「どのような場合に逮捕され、どのような場合に逮捕されないのか?」ということと同じことになります。

法律上、逮捕をするには、逮捕の理由と逮捕の必要性があることが要件とされています。

このうち逮捕の理由とは、その被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由のことで、これは犯罪に抵触した疑いが高いすべてのケースで認められることになります。

問題は2つ目の逮捕の必要性です。

これは被疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重・態様などに照らして、被疑者に逃亡や罪証を隠滅するおそれがある場合をいいます。

つまり、被疑者に逃亡のおそれも証拠隠滅のおそれもない場合には逮捕の必要性はないことになりますし、犯罪や犯行態様が軽ければ軽いほど逮捕の必要性は低くなることにもなります。

被疑者が犯行を認めている場合には、それだけ逃亡や証拠隠滅のおそれも低いといえるでしょう。

また、犯したのが軽い罪である場合にも同様に逃亡や証拠隠滅のおそれが低いといえるでしょう。

逆に、被疑者が犯行を否認している場合、重い法定刑が定められている罪を犯した場合、前科がある場合などには逮捕の必要性は高まるということができます。

最終的にはケースごとの判断ということにはなりますが、一般的には、重い法定刑が定められている罪の場合、被害者が多数に及んだり被害者が死亡するなどの重大な結果が生じた場合、被疑者が否認している場合などには逮捕されて身柄事件になる可能性が高いといえます。

3、書類送検は誰がどこに行うのか

「送検」という字面のとおり、送検とは検察官に事件を送る(送致する)ことをいいます。

書類送検も、その事件について捜査を行った警察官が検察官に事件に関する書類を送致します。

つまり、書類送検は、警察官が検察官に対して行うことになります。

では、なぜ警察官は検察官に事件を送致することとされているのでしょうか?

この点を理解するには、警察と検察の役割の違いを理解する必要があります。

警察は犯罪が発生した際に捜査を行う役割を担っています。

これに対して、検察は発生した犯罪の被疑者を起訴するか否か(裁判にするか否か)を決定する役割を担っています。

起訴するために捜査が足りないと思えば、検察官は警察を指揮して補充捜査を行わせることができますし、場合によっては検察官自ら捜査を行うこともあります。

このように、検察官は事件をいかに処分するかについての最終的な判断権を持っているため、警察官は原則としてすべての事件について検察官に報告をする義務を負っているわけです。

4、書類送検されるまでの流れ

これまでの説明で書類送検の大まかな内容は理解いただけたのではないかと思いますが、ここではどのような流れをたどって書類送検が行われるかを具体的な事例を設定して説明したいと思います。

(設例)

Aさんは前方不注意で赤信号で停車していた前車に追突してしまい、Bさんにむち打ちの傷害を負わせる事故を起こしてしまいました。

AさんはBさんに自分の落ち度を認めて謝罪するとともにすぐに警察に連絡し、ほどなく現場に警察官が到着して事情を聞かれ、そのまま現場検証を行いました。

単純な追突事故で、Bさんの怪我もさほど重いものとは思われなかったため当日Aさんは逮捕はされませんでした。

しばらくしてからAさんは警察から連絡を受け、指定された日に警察署に行って事故に関する事情を聞かれ、Aさんの供述調書が作成されました。

すでに別の日にBさんも警察の事情聴取を受けていたらしく、Aさんは担当の警察官から、「とりあえず必要な捜査は終わったので事故を検察官に送る。いずれ検察庁から連絡があるだろう。」と言われました。

この設例でAさんが起こした追突事故は過失運転致傷罪や道路交通法違反などの犯罪に当たるものですが、さほど重大な犯罪とは言えず、被害者の怪我も重くはなく、Aさん自身も落ち度を認めていたため逮捕はされていません。

Aさんの起こした事故が死亡事故だったり飲酒運転によるものであったりした場合には逮捕された可能性が高く、その場合には事件は身柄事件に移行することとなります。

逮捕されなかったAさんは、以前のままの生活をしながら警察から連絡がある都度捜査に応ずることになります。

具体的には、警察官の取調べと供述調書の作成、実況見分への立会いなどが行われるでしょう。

そして、警察がこの件について必要な捜査を終えると、事件は書類送検され、検察官の手に渡ることになります。

なお、警察官は検察官に対して処分に関する意見(処分意見)を付して書類送検を行います。

この意見には4種類のものがあります。

  1. 厳重処分(起訴を求めるもの)
  2. 相当処分(検察官の判断に委ねるもの)
  3. 寛大処分(厳しい処分を求めないもの。起訴猶予を求めるもの)
  4. しかるべき処分(起訴を求めないもの。嫌疑不十分などの場合)

検察官は警察の処分意見を尊重するのが通常ですが、処分意見に検察官に対する拘束力はなく、検察官が処分意見と異なる処分を選択する可能性がないわけではありませんので注意して下さい。

5、書類送検されない(微罪処分の)ためにすべきこと

書類送検されないためにはどのようなことをすべきなのでしょうか?

そもそも警察官が犯罪について捜査を行った場合には、事件が成立するか否かにかかわらずすべて検察官に事件を送致することとされています(全件送致主義)。

ただ、この全件送致には例外があり、一定の態様の事件は警察限りで事件を終結させることができ、検察官には月ごとにまとめて報告すれば足りることとされています(微罪処分)。

この微罪処分となれば、書類送検を免れることができ、処罰を受けることなく事件は終わります。

微罪処分となるのは次のようなケースです。

  1. 被害額僅少・犯情軽微で、被害の回復が行われ、被害者が処罰を希望せず、偶発的犯行で再犯のおそれのない窃盗・詐欺・横領・盗品等に関する罪
  2. きわめて僅少な財物を目的として犯情も軽微であり、共犯者すべてについて再犯のおそれもない賭博
  3. その他検事正がとくに指示した特定犯罪

3.については検事正が指示するとされているため各地方検察庁によって異なることになりますが、凶器を使用しない偶発的な暴行で犯情軽微、被害者が処罰を求めておらず、前科前歴がない場合などが挙げられます。

微罪処分の対象となることが多いのは万引きや軽い暴行などですが、いずれの場合も被害者が処罰を希望しない、被害が回復されているなどの要件が必要になりますので、微罪処分を勝ち取るためには被害者との示談が必須といえます。

6、「しかるべき処分」の意見を付けてもらうためにすべきこと

微罪処分を受けるには先ほど述べた一定の要件を満たす必要がありますので、もともとこの要件に当たらないケースでは微罪処分を受けることはできません。

ただ、書類送検が避けられないとしても、警察の処分意見で「しかるべき処分」(または「寛大処分」)を得ることができれば起訴を避けられる可能性が高くなります。

では、この「しかるべき処分」(または「寛大処分」)の意見を付してもらうにはどのようなことをすべきなのでしょうか?

警察官がこれらの意見を付すケースは、警察官が起訴猶予とするのが相当だと考えた場合(寛大処分)か、嫌疑不十分(しかるべき処分)と考えた場合です。

起訴猶予が相当だと考えてもらうには、被害者との示談、被疑者自身の真摯な反省態度などの要素が必要でしょう。

要は、今回起訴しなくても再犯の見込みはないし、被害者も処罰を望んでいないという状況を作り出すことです。

他方、嫌疑不十分と考えてもらうには、犯罪の証明ができないか、犯罪の証明が困難である必要があります。

嫌疑不十分の意見を勝ち取るためには、やはり法律の専門家の協力が必要です。

いわれない嫌疑を掛けられてしまった場合には、捜査段階から弁護士に依頼して、捜査側の疑いを晴らす積極的な弁護活動をしてもらう必要があるでしょう。

7、書類送検後の流れ

書類送検が行われると、事件は警察官の手から検察官の手に渡ります

検察官は必要に応じて自らまたは警察に指示して補充捜査を行います。

そして得られた証拠や事件の内容を総合的に考慮した上で、被疑者に対する処分を決定します。

検察官による処分は、起訴処分と不起訴処分の2つに分かれ、不起訴処分の代表的な例が起訴猶予と嫌疑不十分です。

検察官が起訴処分を選択した場合には検察官は裁判所に公判請求を行い、事件は裁判所での審理に移ります。

不起訴処分となった場合には被疑者に対する処分は行われません。

なお、不起訴処分のうち、嫌疑不十分とは証拠不足などのために犯罪の証明ができないか困難な場合をいい、起訴猶予とは犯罪の嫌疑はあるものの情状などにより起訴の必要がない場合をいいます。

8、書類送検されたらどうしたらよいか

先ほど述べたように、書類送検が行われると事件は警察から検察に移り、裁判にするか否かを判断する段階に移行します。

もともと書類送検の対象となる在宅事件は軽微な犯罪であることが通常ですが、在宅事件でも起訴処分となることは珍しいことではありません。

平成27年における起訴率は33.4%となっており、送検されたうちの3分の1の事件が起訴処分となっていることからしても、決して油断することはできません。

では、書類送検された場合にはどうすればよいのでしょうか?

また、不起訴処分を得るためには何をすればよいのでしょうか?

犯罪事実を争っているケースは別として、不起訴処分を得るために最も重要なのは被害者の処罰感情がないことと、被害者の被害が回復されていることです。

したがって、不起訴処分のためには被害者との示談を成立させることが必須です。

ただ、加害者と被害者が直接話し合って示談をすることは難しいこともありますので、その場合には弁護士に依頼して示談を含む弁護活動を行ってもらうのがいいでしょう。

9、書類送検は前科や前歴になるか

インターネットの検索候補などを見ると、書類送検が前科や前歴となるのかという疑問を持つ人が多いようですので、これについても説明しておきます。

まず、書類送検されると最終的な処分結果にかかわらず前歴として記録は残ることになりますが、前科となるかどうかは処分結果によります。

そもそも前科とは、以前に刑事裁判を受けて有罪判決を受けたことがあることをいうのが一般です。

執行猶予付きの判決も有罪判決の一種ですから前科の対象となります。

これに対して前歴とは、以前に捜査の対象となったことがあるかということを指して使われる場合と、以前に逮捕されたことがあるが不起訴となったことを指して使われる場合があります。

もともと刑法や刑事訴訟法上、前歴という用語はありませんので、意味が確定していないのはやむを得ません。

ただ、刑事実務上問題となる前歴は、検察庁に記録として残るために後の犯罪に関する処分をする際に消極的な評価の対象となるものと考えると、在宅事件で起訴猶予となった場合なども検察庁には記録として残りますので、逮捕されたか否かは問わないものと考えておくのが無難でしょう。

このように考えると、書類送検された後には不起訴処分を含めて何らかの処分が決まったことが記録に残りますので、書類送検されると何らかの前歴が残ることになります。

ただ、前歴に関する記録が検察庁に残っていても、後に罪を犯して処罰を受ける場合以外には何ら不利益となるものでもありませんので、さほど気にする必要もないでしょう。

これに対して、書類送検後に起訴されて有罪判決を受けた場合には前科の対象となります(ただし、前科という用語も刑法や刑事訴訟法上は使われていません)。

10、書類送検に関する相談先

もし書類送検されてしまった場合には、まずは弁護士に相談することを考えましょう。

先ほども触れたとおり、逮捕されず在宅事件扱いになっているからといって油断することはできません。

処分の見通しなどについて専門家である弁護士に相談し、具体的にどのような対策を取るべきかについても指示を仰ぎましょう。

なお、ケースによっては弁護士に弁護を依頼すべきこともあります。

その場合には早めに依頼することが、十分に弁護活動ができる時間を確保できるという点で重要なことです。

まとめ

書類送検は、比較的軽い罪について警察が被疑者を逮捕せずに捜査を行った後に行われるものであること、書類送検されないようにするための方策、書類送検されてしまった場合にとるべき方策などについて説明してきましたが、お分かりいただけましたでしょうか。

逮捕されずに済んだという意味では書類送検の対象となったことは幸いなことですが、書類送検後には処分に関する検察官の判断が行われることになりますので、安心してばかりはいられません。

書類送検が行われた場合には、弁護士への相談、被害者との折衝など十分に対策を取っておきましょう。

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