葬儀費用の相場は?相続財産から支払うことは可能?

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大切な家族が亡くなった場合、悲しみに暮れる間もなく親族への連絡、通夜や葬式、公的な手続などとてもばたばたと過ごすことになります。

特に通夜や葬儀にはお金もかかるので、そのお金を工面しなくてはいけません。

突然のことでお金が用意できなくて、相続する予定の財産を使って葬儀を行うことはできないかと思っていらっしゃる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は葬儀費用を財産から支払うことは問題ありません。

それどころかメリットがあります。

今回は、葬儀費用の相続財産からの支払いについて説明していきます。ご参考になれば幸いです。

1、そもそも葬儀にかかるお金の相場はどのくらい?

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(1)相場

葬儀費用と一言に言いましても、地域などによって葬儀の内容は様々です。まずは、相場をチェック

してみましょう。

地域別の相場

【単位:万円】
お葬式そのものに掛かった費用 飲食 返礼品 合計
全国 119 31 34 184
北海道・東北 118 35 35 188
関東 126 32 35 193
中部 135 41 44 200
近畿 119 24 27 170
中国・四国 107 27 31 165
九州・沖縄 110 24 33 167

上記以外に一般的に掛かる費用としましては、

①心づけ

あくまでも目安であり、お客様とのご関係やご対応の内容等によって変わります。

【単位:円】

運転手(霊柩車・マイクロバス等) 2,000~5,000
火葬場の炉係り、火葬夫 3,000~5,000
休憩室接客係 2,000~5,000
料理配膳係 2,000~3,000
お手伝いとして駆け付けた近所の人等 2,000~3,000
葬儀社担当 5,000~10,000

いわゆるチップを慣例としてお渡しします。

金額はあくまでも目安であり、お世話になった度合いや関係などによって違ってきます。

②ご遺体搬送

病院からの搬送代として、一般的には10キロごとに料金は変わるようです。

あくまでも目安として捉えてください。

【単位:円】

10キロまで 13,000
20キロまで 15,000
30キロまで 19,000
40キロまで 24,000
50キロまで 29,000

③通夜振る舞い

通夜が終わった後のお食事のことを指します。料理一人当たり2千円~3千円が相場です。一般的には、寿司、揚げ物、煮物などの料理にお酒が供されます。地域によって参加者の範囲などの違いがございますので、参加者の範囲や振る舞う内容について、ご遺族のご意向をよく確認しておきましょう。

④御布施

御布施は仏式の葬儀の際に必要となるものです。一般的な相場は、通夜と告別式の2日間、僧侶1人に読経を依頼する場合として、15万円~50万円の範囲となっているようですが、地域やお寺との関係などによっても異なって参りますので、他の方々はどれくらい御布施を包んでいるのか、お坊さんに尋ねてみても良いでしょう。

⑤香典返し

相場は一般的に「半返し」と言われています。香典の半額相当の品物をお返しされる方が多いことから、『半返し』と言われております。たとえば、香典1万円の場合は5千円相当の品物を香典返しとして捉えると良いでしょう。

また、親族からの高額な香典に対しては、「半返し」に拘らなくても良いでしょう。親族という間柄を考慮して、お気持ちとして受け取るのがマナーです。このような場合、半返し以下でも問題無いでしょう。

⑥精進落とし

火葬や初七日法要を終え、精進落としの食事となります。昔、初七日は精進料理を食べた風習から、忌明けの食事という意味があります。火葬終了後、会葬者はいったん自宅や斎場へ戻ります。そこで遺骨と位牌を安置して、還骨法要の読経をしていただきます。参列者は全員焼香をして、葬儀は終了となります。なお、初七日法要は、改めて親族にお越しいただく様々な負担を考慮して、火葬当日に一緒に行うことが一般的になってきているようです。

(2)誰が払う?

原則として、葬儀費用を支払う方は決まっておりません。法律で明言されているわけでもありませんので、

要は誰が支払っても結構です。一般的には、喪主や施主がご負担されることが多いでしょう。ただ、葬儀費

用と一言に言いましても、その内容は、地域や親戚関係者によっても様々だと思いますので、親戚やご遺族で

十分に話し合って費用負担等を決めるのが望ましいでしょう。実際には、配偶者や長男(長女)が喪主を努

め、葬儀費用を一時的に立替払いしているケースが一般的なようです。昔のいわゆる「家督制度」とは違い、

現在は、相続人が法律で定められた割合で平等に財産を分けるという考え方もありますので、長男や配偶者に葬儀費用を

全て負担させるのは不公平となります。

ただし例外として、喪主が葬儀費用を負担しなければならない場合があります。

例えば、人生最期の御見送りということで、喪主の方が盛大に葬儀を執り行いたいと考え、結果、費用が社会通念上の限度を超えるような事態になった場合は、喪主が負担すべきとの考えがあります。また、裁判例(名古屋高裁判決)では、そもそも葬儀費用は喪主負担という事例もあります。質素な葬儀にするのか、それとも盛大な葬儀にするのかは喪主が決めることだから、決定者である喪主が費用を支払うべきだという考えです。後の『争続』防止のためにも喪主は葬儀内容と費用負担等について、親族やご遺族らと十分検討しましょう。

2、葬式費用は相続財産から支払える?

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そもそも葬式費用を相続財産から支払える?

葬儀代は、上述のとおり100万円を超え、その額は決して安くはありません。

これほどの額を立て替えることができる相続人であれば揉めることは無いと思いますが、通常は、そうはいかないでしょう。そこで、故人が貯めていた預金から支払えないかと考える方が結構多いのではないでしょうか。

では、相続財産から葬儀費用を出してはいけないかというと、決してそうではありません。

要は相続人全員の同意があれば、相続財産から支払っても問題はありません。

とはいえ、他の相続人に無断で故人の預金を引き出し、葬儀費用に充てた場合は相続財産に戻さなくてはならない可能性も出てきますし、領収書や請求書などをしっかり保管しておかなければ、後々相続人間で「争続」になる恐れもありますので、慎重な対応が求められます。

さらに、相続財産から葬儀代を捻出することによって、遺産を処分したことと判断され、単純承認したとみなされる場合もありますのでより注意が必要です。

単純承認とは、相続人が故人のプラスやマイナスの財産をすべて相続することです。マイナスの財産のほうが多い場合は、相続人が債務を返済していかなければならなくなります。

後で、借金などマイナスの財産の方が多いと気づいても、既に財産の処分をしていれば相続放棄ができなくなってしまいます。

「え! ? 葬式代も認められないの!?」とお考えの方も多いと思いますが、それは葬式の規模にも関係してきます。社会通念上、身分相応な葬式費用を故人の財産から支払うことは単純承認にならないという判例もあります。

また、形見分けとしての財産処分、社会通念上妥当であるとされる程度の仏壇や墓石の購入も単純承認にはならないとされています。

とはいえ、「社会通念上妥当」の範囲は、ケースバイケースとなりますので注意が必要です。

3、相続する予定の財産から葬儀費用を支払うと税金が安くなる?相続財産から控除されるとは?

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(1)葬儀費用を相続財産から控除できるとはどういうことか?

相続税を計算する際、はじめに課税価格を計算する必要がございますが、課税価格を計算する上で、相続財産から控除できる財産がいくつかございます。控除出来るということは、最終的には相続税を抑えることにつながりますので、節税対策として有効です。ただし、葬儀費用すべてが控除可能というわけではございませんので注意が必要です。

(2)相続財産から差し引ける葬儀費用は?

「葬儀費用」と一言に言いましても、その内容は広範囲に渡ります。全ての葬儀費用が相続財産からの控除が可能というわけではありませんので、どのような費用が控除可能なのか見ていきましょう。

①葬式の費用になるもの

  • 本葬費用
  • 仮葬費用
  • 通夜費用
  • 読経料
  • 改名料・お布施
  • 遺体搬送費用
  • 火葬費用
  • 埋葬費用
  • 納骨費用

②葬式の費用にならないもの

  • 生花(喪主負担以外のもの)
  • 香典返し
  • 墓地・仏具代の購入費用
  • 初七日・四十九日法要費用
  • 遺体解剖費

なお、控除できる葬儀費用の上限は決まっていませんが、故人の社会的地位からみて著しく高額な葬儀費用の場合は、相続税からの控除が認められないことがありますので注意が必要です。

4、葬儀費用を相続財産から支払う場合の手順

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(1)まずは相続人全員に連絡

葬儀費用の一部を相続財産から支払うことが出来ることがわかったところで、次は、その手順について見ていきましょう。

相続人が、あなた一人だけであれば問題ありませんが、複数人の相続人が登場することが通常ですので、その場合、後の「争続」防止のためにも事前に他の相続人と相談した上で進めていきましょう。

相続人から了承を得られたら、金融機関と相談になります。

金融機関によって、故人の口座から現金を引き出す手順は異なりますので、事前に金融機関に相談しましょう。

(2)金融機関に確認

葬儀費用については、突然の出費を伴うため、故人の預貯金に頼らざるを得ない人の方が多いと思いますが、故人が死亡した時点で故人の口座が相続対象となるため、金融機関への死亡届け等により当該預金が引き出せなくなってしまいます。

いわゆる、預貯金口座の凍結です。金融機関の窓口では、通常まとまった預金を引き出す場合には、「本人確認」 をします。

ここで、口座名義人が亡くなったことを確認すると、預金は相続の対象となるため、遺族であっても、基本的に窓口で現金の引き出しや解約手続きは出来なくなりますが、相談に応じてくれる金融機関も中にはあります。

この場合、故人に代わって家族など名義人以外の方が引き出すことになるため、法定相続人全員の承諾の意味を含め、戸籍謄本・印鑑証明書・各金融機関専用の書類が必要になる場合があります。

引き出す金額には限度がありますので、各金融機関に事前にお問い合わせするのが良いでしょう。おおよそ100万円~150万円ほどと言われています。

相続人全員の承諾なしに預金を引き出した場合、相続財産を勝手に使い込んだと誤解され、「争続」へと発展するかもしれませんので、十分な注意が必要です。

では、金融機関での故人の口座を引き出す際の手続きを見てみましょう。

①銀行の場合

  • ア:故人の戸籍謄本又は除籍謄本 (法定相続人の範囲を示すもの。除籍謄本の発行は役所での死亡届受理から2週間前後になります。役所へ問い合わせてみましょう)
  • イ:法定相続人全員の戸籍謄本   (3カ月以内)
  • ウ:法定相続人全員の印鑑証明書 (3カ月以内)
  • エ:支払目的がある場合は、見積書や請求書(葬儀代・医療代など)
  • オ:銀行の必要書類(法定相続人の同意書等・直筆の署名・実印の捺印)※銀行へ問い合わせてみましょう。
  • カ:手続き代表者の本人確認書類(運転免許書やパスポート・健康保険証等)
  • キ:手続き代理人は、故人の実印・預金通帳・通帳の届出印・キャッシュカードを持参

その他、代理人の実印・認め印も必要な事がありますので、銀行へ問い合わせてみましょう。

②郵貯局の場合

例外的に次の書類がある場合は、貯金の引き出しを認めるケースがあるようですが、郵便局へ問い合わせてみましょう。

  • ア:故人の戸籍謄本又は除籍謄本 (法定相続人の範囲を示すもの。除籍謄本の発行は役所での死亡届受理から2週間前後になります。詳細は役所へ問い合わせてみましょう)
  • イ:法定相続人の同意書(用紙は郵便局へ問い合わせてみましょう。)に、相続人全員による直筆の署名・捺印(出来れば実印)、印鑑証明書
  • ウ:支払目的がある場合は、見積書や請求書(葬儀代・医療代)
  • エ:手続き代理人は印鑑(認め印でも可)、本人確認書類(運転免許書・パスポート・健康保険証)等)、通帳(通帳の届出印、キャッシュカードを持参)

一般的には上記のとおりとなりますが、各金融機関により必要書類が多少異なりますので、詳細は金融機関の窓口へ問い合わせてみましょう。なお、遺言書が存在して、遺言執行者の指定があれば、遺言執行者と遺

贈者の実印と印鑑証明書だけで可能な事もあります。

5、相続放棄する場合でも葬儀費用を亡くなった方の預金から支払うことは可能?

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例えば、父親が金融機関から多額の借金を残したまま亡くなった場合、借金まで相続することになるので相続放棄をしようと考えることがあると思います。

とはいえ、父親の葬儀については、しっかりとした葬儀を執り行いたいという想いから、葬儀費用の一部を亡き父の預金から充てられないかと考えることもあるでしょう。

ここで問題になるのが、相続放棄をすると、亡き父の預金から葬儀費用を充てることが出来なくなるのか?という点だと思います。

この点、判例によると、社会通念上身分相応の葬儀であれば、葬儀費用を預貯金などの相続財産から充てても相続放棄することができます。また、平均的な金額の仏壇や墓石の購入も、相続放棄した場合でも、相続財産から充てることが可能です。

とはいえ、ケースバイケースだと思いますので、確実に問題無いとは言えませんが、質素で身分相応な葬式費用に支出する場合、相続放棄しても、相続財産から賄うことは可能と考えられます。

もしもの場合に備え、裁判所・債権者からの説明が求められたときにきちんと答えられるよう、相続財産から葬儀費用に充当したことを示すための明細書・領収書などは確実に保管しておくと良いでしょう。

社会通念上の限度を超えた華美な葬式費用については、亡き父の相続財産からの充当が認められない可能性が高いので気をつけましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。人の死に実際に直面しますと、感傷に浸っている余裕などなく、様々な手続きが容赦なく降りかかってきます。また、無事に葬儀を執り行ったと思ったら、遺産を巡って「争続」問題が勃発します。

人の死は誰にでも訪れるものですので、事前対策できるものから講じていくことで、少しでも「争続」が減るのではないでしょうか。

皆様の相続・節税対策のご参考になれば幸いです。

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