婚外子の胎児認知で養育費や相続が受けられるようにしておく方法

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認知は子供が胎児のうちから行うことができます。でも、なぜ、わざわざ胎児の段階で認知する必要があるのか、またそのメリットやデメリットは、さらに、胎児認知届の書き方や提出先など、父親に胎児認知してもらうべきかどうか悩んでいる女性が知っておきたい胎児認知のポイントをベリーベスト法律事務所の弁護士が説明します。

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1、胎児認知とは

(1)認知とは

認知とは、婚姻関係にない男女間に生まれた子供を、親が自分の子であると認めることを言います。母親は分娩(出産)の事実により、生まれた子の母親であることが明らかになりますから、一般的に認知というのは、父親が、子供を自分の子であると認めることを言います。

自分の子であると認めるといっても、単に口頭で認めただけでは、法律上何の効果も発生しません。認知届を作成して提出することで、正式に「認知」したことになり、法律上、その父親と子供の間に親子関係が生じるのです。

(2)胎児認知とは

認知は、子供がまだ母親のお腹の中にいる時点、つまり胎児の段階でも可能です。胎児認知とは、胎児が自分の子であることを認めて認知届を提出することを言います。

認知は、子供が生まれてからするのが一般的なのですが、胎児認知は、もともと、父親が病気などでいつ亡くなってしまうかわからないような場合に、胎児のうちに認知しておいて、親子関係をあらかじめはっきりさせておくという目的のために設けられた制度なのです。

ただ、近年、胎児認知が最も利用されているのは、外国人の女性と日本人の男性の間に子が生まれる場合です。我が国の国籍法では、「出生の時に父又は母が日本国民であるとき」は、その子も出生と同時に日本国籍を取得することになっています(国籍法第2条)。

しかし、外国人の女性と日本人の男性の間に子が生まれる場合に、その男女が婚姻関係にない場合、生まれてきた子の父親が法律上誰か確定していないため、生まれた子が出生と同時に日本国籍を取得することができません、しかし、胎児の段階であらかじめ認知をしておくことで、父親が日本人であることがはっきりしますから、「出生の時に父が日本人である」ことになり、出生と同時に、その子は日本国籍を取得することができるようになるのです。

2、胎児認知はいつから可能か

胎児認知をするのに、いつからできるかということに関する規定はありません。

ですから、母親が妊娠していることが判明した段階で、胎児認知をすることが可能です。一般的には、母子手帳の交付を受けることができる段階(病院によっても異なりますが、胎嚢と胎児の心拍が確認できるおおよそ8週以降が多い)から、認知届を提出することができるのが普通です。

3、胎児認知の手続きと必要書類

(1)胎児認知届の書き方

胎児認知届は、通常の認知届の用紙を使用して行います。ただ、記載内容は通常の認知届とは異なる部分があるので注意が必要です。まず、まだ子の名前が決まっていないので、氏名欄には「胎児」とだけ記載し、性別や生年月日なども空欄のままにしておきます。

また、通常の認知の場合は、母親の承諾は必要ないのですが、胎児認知の場合は、母親の承諾が必要になるため、認知届に母親の署名・捺印が必要となります。

(2)胎児認知届を提出する際の必要書類

胎児認知届を提出する際は、前記のとおり、母親の署名・捺印のある胎児認知届と父親の戸籍謄本、父親の印鑑を用意して、母親の本籍地の市町村役場に提出します(通常の認知は父親の本籍地や住所地の市町村役場でも可能ですが、胎児認知は母親の本籍地のみです)。

(3)胎児認知の戸籍への記載

通常の認知は、父親の戸籍に認知をしたことが記載されますが、胎児認知の段階では、父親の戸籍には何も記載されません。胎児認知の場合は、まず母親の戸籍の附票に記載がなされます。そして子が出生して子の戸籍が作成された時点で、父親の戸籍にも認知の事実が記載されることになります。

仮に、その胎児が流産や死産によって生まれてこなかった場合は、母親の戸籍の附票上、胎児認知の記載が削除されますが、父親の戸籍は、もともと何も記載されないのですから、何の影響もないということになります。

(4)出生届の記載方法

胎児認知した子が出生したとき、出生届には、胎児認知した父親の氏名を記載することができます(胎児認知をしていない場合は、父親と母親が婚姻していない限り、出生届の父親欄は空欄にしないと受理されません)。なお、胎児認知済の子の出生届を提出する際は、備考欄に胎児認知済であることを記載しておいたほうが市役所等における手続きがスムーズに進むでしょう。

4、胎児認知のメリット

胎児認知をすることのメリットは、胎児の段階で父親との親子関係を確定させることができる点にあります。ですから、胎児認知をしておくことで、仮に、その胎児が出生する前に父親が亡くなってしまっても、胎児は父親の財産を相続することができます。

また、胎児が出生する前に父親と母親が別れてしまっても、胎児は出生後に、父親に養育費等を請求することができることになります。さらに、事実上のメリットとして、出生届に父親の名前が書ける、ということもあります。

婚姻関係にない男女間に生まれた子供の出生届には、胎児認知をしていない限り、父親の名前を書くことができません。そして、子供が生まれた直後は、その子は母親の戸籍に記載され、父親欄が空欄になります。もちろん、その後に認知をすれば父親欄に父親の名前は記載されますが、「出生時に、きちんと父親の名前を書いて出生届を提出できる」という気持ちの部分でのメリットも馬鹿にはできません。

さらに、前述のように、母親が外国人で、父親と母親が婚姻していない場合でも、出生と同時に日本国籍を取得できるというメリットがあります。

5、胎児認知のデメリット

胎児認知をする場合のデメリットとしては、仮に、出生後に血液型等の理由から、胎児認知をした父親の子でないことが判明した場合が考えられます。

一度行った認知は取り消すことができないとされており(民法785条)、胎児認知をした父親と生まれた子との間の親子関係を否定するには、「認知無効の訴え」という裁判によらなければならないうえ、裁判ではDNA鑑定等が必要になることから、時間や費用等の負担が生じてしまうからです。

6、父親が胎児認知をしてくれない場合の対処方法

胎児の段階で、父親にあたる男性に認知を求めたのに胎児認知してくれない、といった場合に、強制的に認知をする方法があるのでしょうか。

通常の認知の場合、子は父親に対して、認知の訴えを起こすことができます。これは、家庭裁判所の判決によって、父親が同意しなくても強制的に認知を認める制度です。

ただ、この場合、日本の家庭裁判所は、「家庭内の問題や身分関係に関する問題は、当事者間の話し合いによって解決できない場合に限り裁判所が判断する」という考え方を採用していますので、まず認知の調停を申し立てる必要があり、それでも解決せず、調停が不成立となった場合に限り、認知の訴えを起こすことができるとされています。なお、子が未成年の場合、調停や裁判は、母親が法定代理人としてこれを行います。

これに対し、子が胎児の場合は、法律に規定はありませんが、一般的に、認知の訴えを起こすことはできないと考えられています。ですから、父親が胎児認知をしてくれない場合に、胎児認知をして欲しいときは、母親が認知の調停を起こすことはできますが、認知の訴えは起こすことができません。認知の訴えはあくまで、子が出生した後しかできないのです。

詳しくは「強制認知とは?元彼が認知してくれない場合に知っておくべきこと」をご参照ください。

7、胎児認知は取り消すことができるか

我が国の民法では、いったん父親が認知をした場合は、これを取り消すことができないとされています(民法785条)。

しかし、この規定は、「父」が行った認知が取り消せないという規定ですから、「父」でない場合、つまり胎児との間に生物学上の血縁関係がない場合にまで、認知を取り消すことができないわけではありません。

ただ、いったん認知をした以上、「認知無効の訴え」という裁判を起こして、裁判で血縁関係のないことを証明して認められない限りは、認知を取り消すことができません。

なお、民法の規定で、詐欺や強迫による意思表示は取り消すことができるとされていますが(民法96条)、胎児認知の場合も、詐欺や強迫によって望んでいない胎児認知の意思表示をした場合は、取り消すことが可能です。ただ、この場合も、認知無効の訴えを起こす必要があります。

8、胎児認知はできちゃった婚の時にも必要か

いわゆる、「できちゃった」婚、つまり、入籍よりも妊娠が先に判明した場合、かならず胎児認知をしなければならないのでしょうか。

この場合、出生届に父親の名前を書きたいとか、出生の時点で子供の戸籍の父親欄を空白にしたくない、などといった点を気にされているのであれば、出生届を提出するまでの間に婚姻届を提出していればよく、あえて胎児認知をする必要はありません。出生の段階で父親と母親が婚姻関係にあれば、認知は必要ないからです。

9、不倫関係の場合に胎児認知できるか

胎児認知は、父親がすでに婚姻関係にあり、その妻以外の女性との間にできた子についても行うことができます。これに対し、母親がすでに婚姻関係にあり、その夫以外の男性との間にできた子については、父親が胎児認知をすることはできません

母親が別の男性と婚姻関係にある場合は、子は、その戸籍上の夫が父親であるとの推定(これを嫡出推定といいます)を受け、出生と同時に、父親欄には、その母親の夫の氏名が記載されるからです。

このような場合は、その母親の夫が嫡出否認の訴えを起こすか、子が親子関係不存在確認訴訟を起こす必要があります(なお、ちょっと難しい問題ですが、子が親子関係不存在確認訴訟を起こすには、「推定されない嫡出子」であることが必要です)。

10、胎児認知と国籍(外国人と日本人との間の子の場合)

前記のとおり、現在、胎児認知をする方の多くは、婚姻関係にない外国人の女性と日本人の男性との間の子に、出生と同時に日本国籍を取得させるために行われることが多くなっています。この場合、日本人同士の間の子を胎児認知する場合と異なり、母親の出生証明書や独身証明書及びそれらの日本語訳文、母親のパスポートが必要になります。

なお、以前は、婚姻関係にない外国人の女性と日本人の男性との間の子については、出生後の認知では、父親と母親が婚姻していない限り原則として日本国籍を取得できなかったのですが、このような取り扱いは、婚姻関係にある男女間の子と婚姻関係にない男女間の子を不当に差別する取り扱いであるとして、平成20年6月4日に最高裁が違憲判決を出したため、平成20年12月の国会で国籍法が改正され、出生後の認知の場合も、一定の要件を満たせば、生まれた子が日本国籍を取得することができるようになりました。

まとめ

近年、事実婚を選択するカップルや、シングルマザーとして子供を育てることを選択する女性等、あえて法律婚を選択しないカップルも増えてきました。ただ、我が国の民法は、法律婚を前提とした規定が多く、特に子供が生まれたときの手続きや法的関係、苗字(氏)の問題等は、法律婚という形をとらないカップルには不便といえるものも少なくありません。

ただ、両親がどのような選択を取ろうとも、生まれてくる子供ができるだけ不利益を被ることがないようにするのも親の役目といえるでしょう。その意味では、できるだけ早い段階で父親が子供を認知しておいたほうがよいといえるのではないでしょうか。

その意味では、胎児認知という制度がもっと注目されてもよいのではないかと思います。

婚外子は相続時に差別される?未婚の母が知っておくべき婚外子のこと」と「嫡出子とは?嫡出子・非嫡出子について知っておくべき8のこと」も参考にしてください。

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