遺産相続問題の解決にあたって弁護士を利用する場合の弁護士費用の相場は?

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遺産相続について相続人間で問題が生じたときに多くの方が悩まれる事項として、弁護士に依頼して手続きを進めた場合の費用はどれくらいかかるものなのか、ということが挙げられるでしょう。

今回は、遺産相続問題の解決に当たって弁護士を利用した場合の弁護士費用の相場についてご説明したいと思います。

目次

1、相続事件の弁護士費用は一律に決まっている?

2、相続事件を弁護士に依頼した際にかかる費用の種類は?

3、相続事件の弁護士費用の相場は?

4、もし相続トラブルに巻き込まれた場合の弁護士費用のシミュレーション

5、弁護士費用は分割でも支払える?

1、相続事件の弁護士費用は一律に決まっている?

以前は弁護士報酬については、日本弁護士連合会(日弁連)が報酬の基準を定めており(これを通常「旧報酬規定」といいます。)、各弁護士はこれに従うこととされていました。

しかし、平成16年4月に、弁護士報酬が自由化され、旧報酬規定に従う必要がなくなったため、各法律事務所・各弁護士ごとに自由に報酬の基準を定めることができるようになりました。

したがって、相続事件に関する弁護士費用は、各法律事務所・各弁護士が各々独自に定めた報酬によることになりますから、弁護士費用が一律に決まっているわけではありません。

2、相続事件を弁護士に依頼した際にかかる費用の種類は?

相続にあたり弁護士に依頼するうえでは、一般的に次のような費用がかかります。

(1)相談料

相続事件を弁護士に依頼する前の段階で、弁護士との相談にかかる費用です。現在の状況を弁護士に伝え、今後どのように遺産分割協議等の手続きを進めたら有利な結果を得ることができるかを相談するために必要な費用です。

(2)着手金

弁護士が事件に着手するためにかかる費用です。一般的には、弁護士は、依頼者が着手金を支払ってからでないと事件に着手しません。事件処理の結果に不満があったとしても、また、依頼者が途中で弁護士を解任したとしても、原則として支払った着手金は返ってきません。

(3)成功報酬

事件終了時点で弁護士に支払う費用です。相手方から実際に得られた経済的利益に対する報酬がかかることが一般的です。相手方から金員を得られる場合、通常は一旦弁護士の銀行口座に振り込まれますので、そこから成功報酬を差し引いた金額が依頼者の手元に支払われることになります。

(4)日当

弁護士が事務所を離れて事件に対応した場合に支払う費用です。相手方の元に交渉に赴いたり、裁判所に出頭したりした場合などに支払う必要があります。所要時間によっては日当が発生しないこともありますし、所要時間が半日かかるのか丸一日かかるのかによっても金額は違ってきます。日当は、(3)と同様に相手方から支払われた金員から差し引かれることが多いのですが、月ごとに精算して請求されることもあります。

(5)消費税

これら(1)から(4)の弁護士費用には消費税がかかります。

(6)実費

弁護士費用ではありませんが、弁護士が事務所を離れて移動した場合の交通費、依頼者や相手方への郵便物を送付した場合の切手代、裁判所に収める印紙代、依頼者等にお金を振り込む際の振込手数料などの実費は依頼者が負担します。

3、相続事件の弁護士費用の相場は?

(1)弁護士報酬規定(旧報酬規定)によると?

先ほど、日弁連が以前定めていた弁護士報酬規程(旧報酬規定)は廃止され、弁護士費用は自由化されたと説明しました。しかし、報酬算定の便宜や報酬金額の妥当性の確保のため、現在もこの旧報酬規定を使っている弁護士は少なくありません。そこで、まずは旧報酬規定の内容を見ておきましょう。

①法律相談 相談料 30分ごとに5000円から2万5000円の範囲内の額
②訴訟事件 着手金 事件の経済的利益の額が300万円以下の場合:(経済的利益の)8%300万円を超え3000万円以下の場合:5%+9万円3000万円を超え3億円以下の場合:3%+69万円

3億円を超える場合:2%+369万円

※事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる

※着手金の最低額は10万円

報酬金 事件の経済的利益の額が300万円以下の場合:(経済的利益の)16%300万円を超え3000万円以下の場合:10%+18万円3000万円を超え3億円以下の場合:6%+138万円

3億円を超える場合:4%+738万円

※事件の内容により、30%の範囲内で増減額することができる

③調停及び示談交渉事件 着手金報酬金 ②に準じる。ただし、それぞれの額を3分の2に減額することができる。※示談交渉から調停、示談交渉又は調停から訴訟その他の事件を受任するときの着手金は、②の2分の1※着手金の最低額は10万円
④日当 半日(往復2時間を超え4時間まで) 3万円以上5万円以下
1日(往復4時間を超える場合) 5万円以上10万円以下

この旧報酬規定は、上述のとおり、今も多くの弁護士が使っていますので、これを一つの目安と考えて差支えないでしょう。

なお、「経済的利益」について、旧報酬規定には、「遺産分割請求事件は、対象となる相続分の時価相当額。ただし、分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分については、その相続分の時価相当額の3分の1の額」と記載されています。

(2)近時の相場はどれくらいか

近年は、インターネットのホームページ上で事務所の報酬を公開している法律事務所がたくさんあります。それらを見ていると、およそ次のような数字が相場だといえそうです。

①相談料

1時間1万円というところが一般的ですが、初回相談は1時間まで無料というところも多く見受けられます。

②着手金

旧報酬規定どおり、見込まれる経済的利益の金額によって設定する事務所も多いですが、例えば、交渉なら20万円、調停なら30万円というように、どのような解決を目指すかによって、固定の費用を設定する事務所も増えてきています。

遺産分割について弁護士に依頼する場合は、多かれ少なかれ相続する割合についての争いがありますが、実際に調停を申立ててみないと相手方がどのような主張をするのか、金額的にいくらになるのか分かりませんし、特別受益や寄与分が主張された場合には、具体的相続分が確定しないと経済的利益が明確になりません。

このように、着手の段階では経済的利益に対する見通しを立てづらいため、着手金の額を明朗にする必要性があるということが、着手金に関し、固定の費用を設定する事務所が増えている背景の一つとして挙げられると考えられます。

③成功報酬

旧報酬規定のように、得られた経済的利益の価額に応じて、成功報酬が設定されている場合が多いです。

④日当

多くの事務所は、かかる時間に応じて半日日当と一日日当の2つの種類段階に分けていることが多いようです。半日(移動時間が2~4時間程度)の場合3万円程度、1日(移動時間が4時間程度以上)の場合5万円程度に設定していることが多いようです。

4、もし相続トラブルに巻き込まれた場合の弁護士費用のシミュレーション

ここで、弁護士費用のうち着手金や報酬金がいくらになるのか、具体的なモデルケースを挙げて説明します。

【事例】

被相続人は、不動産、有価証券、預金など総額1億2000万円の遺産を残した。遺言書はなく、相続人は3名の子である。遺産の範囲には争いがなかったが、特別受益や寄与分について争いがあり、遺産分割協議がまとまらなかったので、子のうち1名の依頼を受けて遺産分割の調停申立をした。その結果、同人は5000万円相当の遺産を取得し、同人の納得する分割となった。

【弁護士費用の相場】

旧報酬規定に基づくと、着手金・報酬金の相場は以下のとおりとなります。

①着手金

5000万円(見込まれる経済的利益)×0.03+69万円=219万円(税抜)

②報酬金

5000万円(得られた経済的利益)×0.06+138万円=438万円(税抜)

ただし、各法律事務所・各弁護士によっては、上記のような場合、着手金の金額が大きくなってしまうため、例えば、着手金の一部を報酬金の一部に回したり、着手金は固定の額としつつ、報酬金の割合が上記と異なった割合とする弁護士費用体系がとられる場合も多くなっております。

前述のように、旧報酬規定が廃止された現在、相続事件に関する弁護士費用は、各法律事務所・各弁護士が各々独自に定めた報酬によることになりますから、法律相談時にしっかりと弁護士費用についても、説明を聞くことが必要です。

5、弁護士費用は分割でも支払える?

弁護士に依頼したいけれども、一括で費用を工面するのは難しいとお考えの方もいらっしゃるのではないかと思いますが、弁護士費用は分割で支払うことができるのでしょうか。

分割払いを受け付けるか否かは事務所ごとに違いますし、事件の難易によっても変わってきますので、依頼しようと考えている事務所に問い合わせてみましょう。支払方法や分割回数に関して柔軟に対応してくれる事務所も増えているようです。

まとめ

今回は、相続に関する弁護士費用をご説明させていただきました。一般的に相続案件は複雑であり、解決まで比較的長期にわたることが多いので、基本的には法律事務所の相続案件に関する専門性や担当弁護士との相性を重視してお選びいただくのが良いのではないかと考えますが、弁護士費用についても法律事務所によってかなり違いが出てくるところですので、そのような事情も踏まえて慎重にご検討いただくと、なおよろしいのではないかと思います。

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