相続の期限について知っておきたい6つのこと

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相続 期限

相続という言葉は耳慣れた言葉だと思います。また、多くの人は一生のうちに何度か相続の当事者となります。しかし、相続放棄や遺産分割などを行ったことのある人は意外と少ないのではないでしょうか。

相続人同士の関係が良好な場合は特に問題はないかもしれませんが、やはり、遺産分割を怠ると後々紛争の種になることも少なくありません。

また、相続するものは、プラスの財産だけではありません。借金などのマイナスの財産も相続の対象となります。相続放棄という制度を知らないばかりに、又は、その手続きを知らないために、多額の借金を引き継いでしまうということもあります。

そういった事態にならないためには、相続手続きについて最低限の知識を持っていることが重要となります。

そこで、今回は、相続手続きの流れや、それぞれの手続きの期限について紹介していこうと思います。

1、相続の手続きの流れ

まずは、相続手続きの流れを概観します。おおよそ次の流れで相続手続きは進んでいきます。もっとも、この順番にとらわれる必要はありません。可能なものから順に、いくつかの手続きを並行して進めて下さい。

(1)死亡届

被相続人が死亡したら7日以内に死亡届を提出して下さい。

死亡届は死亡診断書がなければ提出できません。

死亡届の提出先は、被相続人の本籍地、届出人の現住所地、死亡地の市区町村役場となります。

(2)遺言の確認

①相続が開始されたら、まず、遺言の有無を確認しましょう。

遺言がある場合、家庭裁判所に遺言を提出して検認という手続きをすることが必要です(遺言が公正証書で行われている場合は検認の手続きは不要です)。その後、遺言に従って相続をすることとなります。

②遺言がない場合は、法定相続に従って相続していくこととなります。

法定相続は簡単に整理すると次の通りです。

  • 配偶者と子が相続人→配偶者1/2、子1/2
  • 配偶者と親が相続人→配偶者2/3、親1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹が相続人→配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

配偶者は常に相続人となります。子がいれば親は相続人とならず、子か親がいれば兄弟姉妹は相続人となりません。

(3)年金、保険等の手続き

例えば、国民健康保険の加入者が死亡したとき、葬祭を行って葬儀費用を払った人は葬祭費の支給を受けることができます。支給額は自治体によって異なり、おおよそ1万円~7万円ほどになり、死亡日から2年以内に被保険者の住所がある市区役所・町村役場において手続きを行う必要があります。

国民年金の加入者が死亡した場合、遺族は「遺族基礎年金」「寡婦年金」「死亡一時金」のいずれか1つを受給できる可能性があります。厚生年金に加入していたものが死亡した場合遺族は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」が受給できる可能性があります。

これらの手続きをしないと支給を受けられませんし、手続きの期限があるものもあるので注意が必要です。

(4)相続人の調査

法律上相続人となる者を調査し確定します。

被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認することによって行います。

相続人の調査を怠ると、後から相続人と主張する者が現れ、思わぬ紛争に発展することがあります。

なお、胎児は、相続については、既に生まれたものとみなされるので、法定相続人に含まれます。

(5)相続財産の調査

相続財産となるものを調査し、その価値を算出していきます。

不動産の価値は、厳密には不動産鑑定士による鑑定によりますが、相続人間で固定資産評価や路線価などを基準に算定するという合意を行うこともあります。

(6)相続放棄、限定承認

相続放棄とは、一切相続をしないことをいいます。相続財産が借金ばかりのようなときなどに行います。

限定承認とは、負債を受け継ぐが、相続によって得た財産の範囲でのみ弁済をすることを留保して相続するというものです。プラスの財産と借金のどちらが大きいかわからないようなときなどに行います。限定承認は、相続放棄した者を除く相続人全員で行わなくてはなりません。

(7)準確定申告

被相続人が自営業者であったなど確定申告をしなくてはならない者であった場合、相続の開始があったことを知った日から4か月以内に申告と納税をしなくてはなりません。

これを怠ると、無申告加算税、延滞税等が課せられることとなりますので注意が必要です。

(8)遺産分割

相続人が複数いて遺言がなかった場合(遺言で全ての財産を分配することができなかった場合も含む)、相続人間で遺産分割協議を行います。

相続人間だけの話合いではまとまらない場合は、遺産分割の調停や審判を申し立てることもできます。

(9)相続登記、金融機関に対する手続き等

遺産分割の結果に基づいて不動産の名義変更や、預貯金の払戻し等を行います。これらの手続きには期限はありませんが、金融機関は被相続人が亡くなったことを知ると、すぐに口座の預金を引き出せないように口座凍結してしまいますので、遺産の帰属が決定したら、速やかに行うことをお勧めします。なお、各金融機関によって必要な書類や必要書類の期限(戸籍や印鑑証明書等の提出書類の有効期間が3か月から6カ月以内という制限がある場合が多いです)がありますので、必要種類の取得時期等についても注意が必要です。

(10)相続税の申告

相続財産が基礎控除の金額を超える場合等には申告する必要があります。

基礎控除額は、【3000万円+800万円×法定相続人の数】で算出します。

(11)遺留分減殺請求

自分の相続分を侵害するような遺言等がある場合、遺留分減殺請求をすることができる可能性があります。しかしながら、遺留分減殺請求は相続開始および減殺すべき贈与、または遺贈があったことを知ったときから1年以内に、遺留分を侵害している相手方に請求しなければ、その権利はなくなります。また、贈与等によって遺留分が侵害されていることを知らなくとも、遺留分減殺請求は、相続開始のときから10年経過すると消滅してしまいます。

遺留分減殺請求について詳しくは「遺留分の計算方法は?遺留分減殺請求をするために知っておきたいこと」をご参照ください。

(12)相続回復請求権

相続回復請求権とは、相続権の侵害に対し、財産請求にとどまらず、相続人たる地位の 回復を要求する権利です。例えば、相続人ではない人(表見相続人や不真正相続人ということもあります。)が相続人であると詐称して遺産を支配・占有している場合、本当の相続人がその者から遺産の占有を廃除し、相続権を回復する場合などに用います。相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅します。また相続開始の時から20年を経過したときも、相続回復請求を請求できなくなる可能性があります。

2、相続の開始のタイミングは?→死亡と同時

相続は、人が死亡することによって開始します。四十九日の法要や相続人の意思確認を待たずに相続は開始されるということです。

相続の放棄や限定承認といった重要な手続きが、相続を知ってから3か月以内に行わなければならないとされています。相続の開始時期を勘違いしていると、このような重要な手続きの期限を間違え、重大な不利益を被ってしまうおそれもあるので注意が必要です。

3、相続放棄をすべき期限は?→3か月以内

(1)まず、相続放棄とはどんなものでしょうか。

相続放棄をすると、始めから相続人とならなかったものとみなされます。すなわち、被相続人の財産を一切受け継がなくなります。例えば、お父さんが多額の借金を残して亡くなった場合でも、相続放棄をすることで自分は借金を返さなくてよいこととなります。もちろん、お父さんが借金と共に土地などを残していた場合、相続放棄をすると、その土地も相続できなくなってしまいますので注意が必要です。

このように、相続放棄は非常に重要な手続きですが、相続放棄は自分に対して相続が開始されたことを知った日から3か月以内にしなければならないとされています。

言い換えると、①被相続人が死亡したこと、②自分が被相続人の相続人であることの2つを知った日から3か月以内に相続放棄をする必要があることとなります。

ですから、お父さんと離れて暮らしており、お父さんがなくなったことを4か月後に知っても相続放棄は可能です。これは①を知らなかった場合です。

②を知らない場合は少し稀なケースです。例えば、自分のお兄さんが亡くなったとします。お兄さんにお子さんがいたり、ご両親が健在だったりすると、自分はお兄さんの相続人にはなりません。ですが、他の相続人がすべて相続放棄すると、自分が相続人となります。この場合に相続放棄がされたことを知らないと自分が相続人であることを知ることはできません。これが②を知らなかった場合です。

(2)相続放棄の期限は伸ばすことができる

この3か月という期間は、家庭裁判所に請求することによって伸長することができます。

また、法律の規定をみると、3か月以内に少なくとも期間の伸長の請求をしないと相続放棄は一切できなくなりそうですが、実際には、3か月経過してからの相続放棄が認められることも少なくありません。被相続人が亡くなってしばらくしてから債権者から突如借金の支払い請求があった場合など、債務の存在を知ってから3か月以内であれば、相続放棄は認められる可能性があります。

4、限定承認の手続きをすべき期限は?→3か月以内

まず、限定承認とはどんなものでしょうか。

限定承認をすると、被相続人が多額の借金を負っていた場合でも相続によって得た財産の限度でのみ返済すればよいこととなります。

限定承認をすべき期限は、相続放棄の場合と同様です。

5、相続登記をすべき期限は?→特になし。でも、速やかに。

(1)相続登記はいつまでにしなければならない?

相続登記はいつまでにしないといけないという決まりはありません。

とはいえ、放っておくと問題が生じる場合がありますので、できる限り速やかに行っておく方がよいといえます。

(2)相続登記をしないでおくとどのような問題が発生する?

例えば、お父さんが土地だけを残して亡くなり、お兄さんと自分が相続人になったとします。お兄さんと話し合い、土地をすべて自分が相続することとしたとします(遺産分割協議)。ここで、土地の名義を自分にする前に、お兄さんがなくなったとします。この場合、土地の名義を自分に移すには、お兄さんの相続人である奥さんやお子さんの協力が必要となり、その人たちとの関係が良好でないと、手続きが円滑に進まない可能性があります。お兄さんの相続人は、お兄さんの権利や義務を引き継ぎますので、土地の所有権をお兄さんの相続人に主張することはできますが、遺産分割協議の存在そのものを争われ相続権を主張されたりすることがあります。

また、遺産分割後にお兄さんが借金を負い、それを返せなかった場合、債権者がお兄さんの法定相続分に従った土地の持分を差し押さえてきたりします。債権者はお兄さんの権利や義務を引き継ぎませんので、名義変更の登記をしていない限り、遺産分割の結果土地は全て自分のものとなったと主張すること自体ができなくなってしまいます。

6、相続税の申告と納税をすべき期限は?→10か月以内

相続財産が基礎控除の金額を超える場合や、相続税の特例等を利用しようとする場合に申告が必要になります。

申告の期間は、相続のあったことを知った日から10か月以内となっています。相続のあったことを知った日は、相続放棄の場合と同様です。

まとめ

このように、相続が開始されますと、短期間のうちにやっておかなければならないことがたくさんあります。被相続人が亡くなられた直後は、悲しみも深く、葬儀等で忙しくもあり、相続のための手続きを進める気持ちにはなかなかなれないということも多いと思います。ですが、相続の手続きを怠ると、将来、大きな不利益となって返ってくるということもありますので、手続きは必ずやっておくべきです。

期間は意外な程早く訪れます。被相続人が亡くなられてから、手続きを一から調べたり、弁護士等に相談したりというのは時間的にも精神的にも大変ですので、事前に、必要な手続きと期限を知っておくことが有用となります。

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