相続の手続きを進めるために知っておきたい4つのこと

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遺言がない場合、なんとなく均等に遺産を分けるのかなという認識を持っている人は沢山いると思いますが、具体的に法定相続分を正しく理解している人は少ないと思います。

法定相続割合を正しく把握することによって、遺産分割協議の中で自分だけが損をするといった事態や相続人間で無用の紛争をするという事態を防ぐことができることもありますので、この機会に法定相続割合についての正確な知識を持って下されば幸いです。

目次

目次

1、法定相続割合とは?

2、法定相続割合はどのくらい?

3、相続の手続きの流れは?

4 遺言で自分は相続分がもらえないことにされていた!そのような場合の遺留分減殺請求とは?

1、法定相続割合とは?

法定相続分とは、相続人が複数いる場合に、相続人間で相続財産をどのような割合で相続するかについて民法が定めている分数的割合をいいます。もっとも、遺言があれば遺言が優先しますので、法定相続割合に従って相続するのは遺言がない場合ということになります。

2、法定相続割合はどのくらい?

(1)法定相続人

まず、法定相続割合がどうであるかの前提として、法定相続人が誰になるのかを確認しましょう。これは民法887条、889条、890条で定められています。

①被相続人(故人)に子がいる場合には、子は特定の例外を除き法定相続人となります。子には養子も含まれます。相続の開始時点で子が亡くなっていた場合、孫(亡くなった子の子)がいれば、孫が法定相続人となります。

②子も孫もいなかった場合には、被相続人の直系尊属(両親、祖父母)が存命であれば、直系尊属が法定相続人となります。この場合、親等の近い直系尊属が優先的に法定相続人となりますので、父母のいずれかが存命であれば、祖父母は法定相続人とはなりません。

③子も孫もなく、存命の直系尊属もいなかった場合、被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となります。相続の開始時点で兄弟姉妹が亡くなっていた場合、その子(甥姪)が法定相続人となります。

④最後に、上記いずれの場合であるかにかかわらず、配偶者が生存しているときは、配偶者は常に相続人となります。

以上を前提に法定相続割合がどうなっていくか見ていきましょう。

(2)法定相続割合

法定相続割合は、民法900条に定められています。

①相続人が子と配偶者である場合、法定相続割合は、配偶者が2分の1、子が2分の1となります。子が複数いる場合、子は2分の1をさらに人数割することになります。

  • 例)

被相続人Ⅹさん

法定相続人 配偶者Yさん、

子Aさん

子Bさん

法定相続割合 Yさん:2分の1

Aさん:4分の1

Bさん:4分の1

※近年、民法が改正され、非嫡出子の相続分を嫡出子の2分の1とする規定が削除されたため、Bさんが非嫡出子であったとしても法定相続割合に変更はありません。

法定相続人の項で、相続開始時点で子がなくなっている場合は孫が法定相続人となると説明しました。これは代襲相続といって、亡くなった子が相続するはずだった分を孫が代わりに相続するという制度です。あくまでも亡くなった子の法定相続分を孫が相続するというものですので、他の子(上の例でいえばBさん)の法定相続分に影響を及ぼすものではありません。

具体例を見てみましょう。

  • 例)

被相続人Ⅹさん

法定相続人 配偶者Yさん

子Bさん

孫Cさん(子Aさんの子)

孫Dさん(子Aさんの子)

孫Eさん(子Aさんの子)

法定相続割合 Yさん:2分の1

Bさん:4分の1

Cさん:12分の1

Dさん:12分の1

Eさん:12分の1

このように、CさんDさんEさんは2分の1をBさんと均等に分けるのではなく、Aさんが相続するはずであった4分の1を3人で均等に分けることになります。

②配偶者と直系尊属が相続人である場合、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1となります。

  • 例)

被相続人Xさん

法定相続人 配偶者Yさん

父Aさん

法定相続割合 Yさん:3分の2

Aさん:3分の1

ちなみに、Ⅹさんが養子だった場合、養親とⅩさんは親子ですし、実親とⅩさんも親子ですので、いずれも法定相続人となります。

  • 例)

被相続人Ⅹさん

法定相続人 配偶者Yさん

実父Aさん

実母Bさん

養父Cさん

法定相続割合 Yさん:3分の2

Aさん:9分の1

Bさん:9分の1

Cさん:9分の1

③配偶者と兄弟姉妹が相続人であった場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹は4分の1となります。

  • 例)

被相続人Ⅹさん

法定相続人 配偶者Yさん

兄Aさん

姉Bさん

法定相続割合 Yさん:4分の3

Aさん:8分の1

Bさん:8分の1

法定相続人の項で、民法の改正のため、子が相続人である場合、嫡出子と非嫡出子で法定相続割合は同じであると説明しました。しかし、兄弟姉妹が相続人となる場合、被相続人と両親共に同じである兄弟姉妹と、片親だけが同じである兄弟姉妹とでは法定相続分が異なるとする(片親だけが同じ兄弟姉妹は、両親とも同じである兄弟姉妹の2分の1)規定は残っていますので、注意が必要です。

  • 例)

被相続人Ⅹさん

法定相続人 配偶者Yさん

兄Aさん(Ⅹさんと両親共同じ)

姉Bさん(Ⅹさんと両親共同じ)

妹Cさん(Ⅹさんと母のみ同じ)

法定相続割合 Yさん:4分の3

Aさん:10分の1

Bさん:10分の1

Cさん:20分の1

兄弟姉妹のうち誰かが養子である場合にはどうでしょうか。

養子は実子と同様に扱われます。したがって、誰の養子になっているか(父のみの養子となっているのか、父母と養子となっているか)によって法定相続割合は異なってきます。

被相続人の両親と養子縁組をしている者は、両親が同じ兄弟姉妹となりますし、父のみと養子縁組をしている場合には片親のみが同じ兄弟姉妹となります。

以上の具体例は全て配偶者が相続人となっている場合ですが、配偶者が相続人とならない場合には、相続人同士で均等割したものが法定相続分となります(複数の兄弟姉妹が法定相続人である場合で、そのうち一部の者が片親のみを被相続人と同じくする場合には、両親共同じくする兄弟姉妹と片親のみを同じくする兄弟姉妹の割合が2対1となるように按分します。)。

3、相続の手続きの流れは?

以下では、法定相続分で相続することを前提とした場合の相続手続を概観します。順番はおおよそのものですので、可能なものから順に、また、いくつかの手続きを並行して進めていきましょう。

(1)死亡届

被相続人が死亡したら7日以内に死亡届を提出して下さい。

死亡届は死亡診断書がなければ提出できません。

死亡届の提出先は、被相続人の本籍地、届出人の現住所地、死亡地の市区町村役場となります。

(2)遺言の確認

相続が開始されたら、まず、遺言の有無を確認しましょう。

遺言がない場合には法定相続に従って相続していくこととなります。

(3)年金、保険等の手続き

例えば、国民健康保険の加入者が死亡したとき、葬祭を行って葬儀費用を払った人は葬祭費の支給を受けることができます。支給額は自治体によって異なり、おおよそ1万円~7万円ほどになり、死亡日から2年以内に被保険者の住所がある市区役所・町村役場において手続きを行う必要があります。

国民年金の加入者が死亡した場合、遺族は「遺族基礎年金」「寡婦年金」「死亡一時金」のいずれか1つが受給できる可能性があります。厚生年金に加入していた方が死亡した場合、遺族は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」が受給できる可能性があります。

これらの手続きをしないと支給を受けられませんし、手続きの期限があるものもあるので注意が必要です。

(4)相続人の調査

法律上相続人となる者を調査し確定します。

被相続人の出生から死亡までの戸籍を確認して相続人らの現在の戸籍まですべて遡って調査することによって行います。

相続人の調査を怠ると、後から相続人と主張する者が現れ、思わぬ紛争に発展することがありますので、注意が必要です。

なお、胎児は、相続については、既に生まれたものとみなされるので、法定相続人に含まれます。

(5)相続財産の調査

相続財産となるものを調査し、その価値を算出していきます。

不動産の価値は、厳密には不動産鑑定士による鑑定によりますが、相続人間で固定資産評価や路線価、不動産会社の査定などを基準に算定するという合意を行うこともあります。

(6)相続放棄 限定承認

相続放棄とは、一切相続をしないことをいいます。相続財産が借金ばかりのようなときなどに行います。

限定承認とは、負債を受け継ぐが、相続によって得た財産の範囲でのみ弁済をすることを留保して相続するというものです。プラスの財産と借金のどちらが大きいかわからないようなときなどに行います。限定承認は、相続放棄した者を除く相続人全員で行わなくてはなりません。

(7)準確定申告

被相続人が自営業者であったなど確定申告をしなくてはならない者であった場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなくてはなりません。

これを怠ると、無申告加算税、延滞税等が課せられることとなりますので注意が必要です。

(8)遺産分割

法定相続分に従って相続する場合でも、相続人が複数いる場合には、相続人間で遺産分割協議を行う必要があります。

相続人間だけの話合いではまとまらない場合は、遺産分割の調停や審判を申し立てることもできます。

(9)相続登記、金融機関に対する手続き等

遺産分割の結果に基づいて不動産の名義変更や、預貯金の払戻し等を行います。これらの手続きには期限はありませんが、金融機関は被相続人が亡くなったことを知ると、すぐに口座の預金を引き出せないように口座を凍結してしまいますので、遺産の帰属が決定したら、速やかに行うことをお勧めします。

なお、各金融機関によって必要な書類や必要書類の期限(戸籍や印鑑証明書等の提出書類の有効期間が3か月から6か月以内という制限がある場合が多いです)に期限がありますので、必要書類の取得時期等についても注意が必要です。

(10)相続税の申告

相続財産が基礎控除の金額を超える場合等には申告する必要があります。

(11)遺留分減殺請求

自分の遺留分を侵害するような贈与や遺言等があった場合、遺留分減殺請求をすることができる可能性があります。

(12)相続回復請求権

相続回復請求権とは、相続権の侵害に対し、財産請求にとどまらず、相続人たる地位の回復を要求する権利です。例えば、相続人ではない人(表見相続人や不真正相続人ということもあります。)が相続人であると詐称して遺産を支配・占有している場合、本当の相続人がその者から遺産の占有を廃除し、相続権を回復する場合などに用います。

相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から5年間行使しないときは、時効によって消滅します。また相続開始の時から20年を経過したときも、相続回復請求権を行使できなくなる可能性があります。

4 遺言で自分は相続分がもらえないことにされていた!そのような場合の遺留分減殺請求とは?

(1)遺留分

遺留分とは、一定の範囲の相続人に取得が保障されている相続財産に対する一定の割合を言います。誰かに贈与したり、遺言で誰かに残したりと、本来自己の財産は自由に処分できるものですが、遺留分の制度は被相続人の自由な財産処分を制限するものです。これは、相続の場面においては、一定の範囲の相続人(配偶者や子)の生活を保障することも必要であるとの考えに基づいて定められたものです。

(2)遺留分権利者

遺留分権利者は法定相続人(代襲相続人も含む)です。ただし、兄弟姉妹(及びその代襲相続人)は法定相続人となった場合でも遺留分はありません。

(3)遺留分割合

遺留分割合は、直系尊属のみが法定相続人である場合には、相続財産の3分の1、それ以外の場合には、相続財産の2分の1となります。相続人が複数いる場合には、法定相続割合に従って遺留分割合が定まります。少しイメージしにくいので具体例を見てみましょう。

  • 例)

法定相続人 配偶者Yさん(法定相続割合2分の1)

子Aさん(法定相続割合4分の1)

子Bさん(法定相続割合4分の1)

遺留分全体:相続財産の2分の1

遺留分割合 Yさん:相続財産の4分の1

Aさん:相続財産の8分の1

Bさん:相続財産の8分の1

  • 例)

法定相続人 配偶者Yさん(法定相続分3分の2)

父Aさん(法定相続分3分の1)

遺留分全体:相続財産の2分の1

※直系尊属が法定相続人となっていますが、配偶者も相 続人となっていますので、遺留分は2分の1になります。

遺留分割合 Yさん:相続財産の3分の1

Aさん:相続財産の6分の1

  • 例)

法定相続人 父Aさん(法定相続分2分の1)

母Bさん(法定相続分2分の1)

遺留分全体:相続財産の3分の1

※直系尊属のみが法定相続人である場合なので、遺留分が 3分の1になります。

遺留分割合 Aさん:相続財産の6分の1

Bさん:相続財産の6分の1

(4)遺留分減殺請求権の行使方法

具体的な遺留分減殺請求権の行使方法等については、「遺留分とは? 相続に備えて知っておきたい8つのこと」を参考として下さい。

まとめ

以上、相続に関して法律が定めている割合を中心に説明させていただきました。

相続人が多数に及んでいて、代襲相続だったり、養子縁組や親が別の異性との間に子を設けていたりといった事情が絡み合っている場合には、法定相続割合を正確に把握することも困難であったりします。

そのような場合には、後々の紛争を回避するためにも、弁護士に相談することをお勧めします。その際、事前に相続人や相続財産などの情報を収集した上で、疑問点等を整理しておくと、相談内容の充実化が図れますし、結果として相談料を安価に抑えることができたりもしますので、できる限りそのような情報を収集した上で、相談に臨むことをお勧めします。

もちろん、個人で情報を収集することは、限度もありますし、非常に困難であったりすることもあります。そのような場合は、弁護士が依頼者に代わって情報を収集することもできますので、弁護士への依頼することもご検討下さい。

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