嫡出子とは?嫡出子・非嫡出子について知っておくべき8のこと

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まだ結婚していないが妊娠した、離婚後間もないが妊娠したなど、結婚していない状況で妊娠するとどのようなことになるのでしょうか?

また、結婚していない母親から生まれた子供は、結婚している母親から生まれた子供に比べて不利になることはあるのでしょうか?

生まれてくる子供の将来にも関わる大事なことですので、ここで確認しておきましょう。家族にまつわる法律問題を数多く解決してきたベリーベスト法律事務所の弁護士が説明します。

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1、嫡出子とは?非嫡出子とは?

結婚している男女間に生まれた子供を「嫡出子」といいます。これに対して、結婚していない男女間に生まれた子供は「非嫡出子」と呼ばれます。

これは親子関係を規定している民法が定めているもので、結婚を基準に子供を2つに区別したものです。

2、嫡出子のメリットと非嫡出子のデメリット

この嫡出子と非嫡出子にはかつては大変な違いがありました。それは、民法は非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とする規定を置いていたからです。

ただ、この民法の規定は憲法に反するとの最高裁判所の判決が平成25年に出されたため、この規定は削除され、現在では嫡出子と非嫡出子の相続分の不平等は解消されています。

したがって、現在では嫡出子と非嫡出子との間のメリット・デメリットはかつてほどは大きくはないともいえます。

しかし、非嫡出子にはまだ次のようなデメリットが残っています。

  • 父親の認知を得ないと父親の相続人になれない。
  • 父親の認知を得ないと父親の戸籍に入れず父親の氏を名乗れない。
  • 父親の認知を得ないと父親に扶養の請求ができない。

いずれも父親が認知をすることを条件にしていますので、大きなデメリットのようにも見えますが、父親が自分の意思で認知してくれない場合には強制的に認知を得る手続があります。

3、嫡出推定とは?

(1)推定される場合

子供の母親が誰かは分娩の事実から明らかですが、父親が誰かは必ずしも明らかではありません。もちろん、DNA鑑定などの父子鑑定によって科学的に明らかにすることはできますが、生まれた子供についていちいち鑑定をするのも大変手間なことです。

そこで民法は、妻が婚姻中に懐胎(妊娠)した子は夫の子であると推定する規定を置いています(民法772条1項)。

さらに、妻が婚姻中に懐胎したということを証明することも難しいため、婚姻成立の日から200日後、もしくは離婚など婚姻の解消の日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定しています(民法772条2項)。

このように、子供の生まれた時期から嫡出子であることが推定される場合があり、これを嫡出推定といいます。

なお、これはあくまで「推定」であって「確定」ではありませんので、そうではないという証拠があればこの推定を覆すことは可能です。

(2)推定されない場合

この民法の規定からすると、婚姻成立の日から200日以内に生まれた子については嫡出推定が及ばないことになります。しかし、戸籍実務では、婚姻届出後に出生した子はすべて嫡出子として出生届を受け付ける扱いがされていますので、結局婚姻中に出生した子はすべて嫡出子として扱われています。

この、婚姻成立の日から200日以内に生まれた子のことを、推定されない嫡出子ということがあります。

(3)推定が及ばない場合

嫡出推定に関する民法の規定は、日数のみで形式的に判断することになっています。しかし、子供が生まれたのが嫡出推定を受ける期間内であっても妻が夫によって妊娠することが不可能な事実があるときにまで推定を認めるのは不都合です。

そのため、次のような事情がある場合には嫡出推定は及ばないものとされています。

  • 夫が行方不明の場合
  • 夫が海外滞在中・在監中だった場合
  • 事実上の離婚状態にあり、夫婦関係が断絶していた場合

ただ、これらの事情がある場合でも出生届を提出すると嫡出子として扱われてしまいますので、後で説明する親子関係不存在確認などの手続を取る必要があるでしょう。

4、再婚禁止期間

女性には、再婚禁止期間(待婚期間)といわれるものがあります。これは、離婚などによる婚姻解消の日から100日を経過しないと次の結婚はできないというものです(民法733条1項)。

ただし、女性が離婚などによる婚姻解消の日時点で妊娠していなかった場合や、女性が離婚などによる婚姻解消の後に出産した場合には適用されません(同条2項)。つまり、離婚などの時点で妊娠していない女性には再婚禁止期間はないことになります。

再婚禁止期間は、生まれた子の父親を確定するのに必要な期間として置かれている制度ですが、平成28年に上記の内容に民法が改正されていますので注意して下さい(それまでは再婚禁止期間は6か月とされていました)。

なお、

  • 離婚などの日より後に妊娠していること
  • 離婚などの日以後の一定の時期に妊娠していないこと
  • 離婚などの日以降に出産したこと

のいずれかについて医師が診断を行って作成した書面(「民法第733条第2項に該当する旨の証明書」と呼ばれています。)を婚姻届と一緒に提出すれば、再婚禁止期間中でも婚姻届は受理してもらうことができます。

5、父子関係を否定する方法

(1)嫡出否認

父親とされた夫が、3(1)に述べた嫡出推定を受ける子が実際には嫡出子ではない(つまり自分の子ではない)と争う場合には、嫡出否認の調停・審判・訴えの手続を取る必要があります。

この手続には子の出生を知った時から1年以内に行わなければならないという期間制限がある点に注意が必要です。

(2)親子関係不存在確認

推定される嫡出子の場合には前項のとおり嫡出否認の手続によって父子関係を否認することになりますが、推定されない嫡出子(3(2)の場合)や推定の及ばない子(3(3)の場合)について父子関係を否認しようとするときには、嫡出否認ではなく、親子関係不存在確認の調停・審判・訴えの手続による必要があります。

この場合には、嫡出否認と異なり、期間制限はありません。

(3)父を定める訴え

離婚などによる婚姻解消後300日以内に生まれた子については前の夫の嫡出推定が及びます。他方、結婚から200日以降に生まれた子については後の夫の嫡出推定が及びます。すると、前婚解消後300日以内で後婚成立後200日後に生まれた子については、二重に嫡出推定が行われてしまいます。このようなときにいずれが父親かを定めるのが、父を定める調停・審判・訴えです。

6、父子関係を肯定する方法

(1)認知とは?

先ほど述べたとおり、結婚していない男女間の子を非嫡出子といいますが、父親と子が親子関係にあるかは、母親と違って当然には明らかではありませんので、父親と子との間の非嫡出関係は、父親の認知によって初めて発生します。

つまり、認知とは、父親が子を自分の実子と認める意思表示のことということになります。

実の子であっても、この認知を受けないと法律上は子として扱われません。

(2)認知の効果

認知が行われると次のような効果が生じます。

①相互扶養関係

認知により父子関係が生じますので、父子相互間に扶養の義務が生じます(民法877条1項)。

②相続権

認知により、子は父親の相続人となります(民法887条1項)。

なお、先ほど述べたとおり、かつては非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが、現在では嫡出子と同じ相続分を持つこととされています。

③親権

認知後も子の親権者は原則として母親のままですが、父母の協議によって父親を親権者とすることもできます。

④戸籍への記載

認知後も子の氏や戸籍には変化はなく、母親の氏を称し、母親の戸籍に属します。ただし、家庭裁判所の許可を受ければ子は父親の氏を称することもでき、その場合には父親の戸籍に入ることになります。

⑤面会交流

認知により父子関係が生じますから、父親が希望する場合には子との定期的な面会が認められるのが原則です。

(3)認知の方法と認知できる期間

認知の方法には大きく分けて2つのものがあります。

①任意認知

父親が自らの意思で認知するのが任意認知です。

この場合、認知届を提出するのみで認知の効力が生じます。

ただし、次の場合には胎児を認知する場合には母の承諾が、成人した子を認知する場合には子の承諾が、死亡した子を認知する場合にはその直系尊属の承諾がそれぞれ必要です。

②裁判認知(強制認知)

父親が任意に認知しない場合には、家庭裁判所の調停・審判・訴えの手続により認知を求めることになります。これを強制認知といいます。

③遺言認知

認知は遺言ですることもできます。任意認知の一種ということになりますが、この場合には遺言者が死亡したと同時に認知の効力を生ずることになります。

(4)非嫡出子が嫡出子になる方法(準正)

非嫡出子が嫡出子となる場合があり、これを準正(じゅんせい)と呼びます。

準正には2種類のものがありますが、いずれも父母の婚姻によって生ずるものです。

婚姻準正・・・
認知された子の父母が婚姻する場合
認知準正・・・
父母の婚姻後に子が認知された場合

いずれの場合も認知の効果は父母が婚姻したときから生じます。

(5)認知の撤回

いったん認知をしたものの、後に自分の子ではないことが判明したような場合に、認知の撤回はできるのでしょうか?

この点、最高裁判所の判決は、血縁上の父子関係がないのにした認知は無効であり、認知をした男性が血縁関係がないことを知って認知をした場合にも無効としており、認知の撤回は可能とされています。

7、ケースごとの対処法と注意点

以上に説明したとおり、子供の出生時期によって子供の立場は大きく変わる可能性があります。そこで、出生時期ごとに対処法と注意点をまとめてみましょう。

(1)婚姻成立から婚姻成立後200日の間に出生した場合

この時期に生まれた子は推定されない嫡出子ですが、出生届提出時に嫡出子として受け付けてもらうことができますので、基本的には特別な対処は必要ありません。ただ、後々親子関係不存在確認の対象になることはあり得ます。

(2)婚姻成立前の期間、または婚姻解消後300日以降の期間に出生した場合

この場合には、嫡出推定は及びません。

婚姻解消後の場合には特に何も対処する必要はないでしょう。

婚姻成立前に出生した場合には、婚姻成立までの間に父親が認知していれば婚姻準正が、婚姻成立後に父親が認知すれば認知準正がそれぞれ効力を生ずることになり、その場合子は嫡出子の立場を取得することになります。

(3)婚姻成立後200日経過後から婚姻終了までの間に出生した場合

この場合には嫡出推定が及びます。

父子関係を否認する場合には嫡出否認の手続によることになります。

(4)婚姻成立後200日経過後から婚姻終了までの間に出生したが嫡出推定が及ばない場合

子の期間内に出生しても妻が夫によって妊娠することが不可能な事実がある場合には嫡出推定は及ばないものとされていますが、出生届を提出すると戸籍上は夫の嫡出子として扱われてしまいます。

そのために出生届を提出せず、子供が無戸籍になってしまうことが問題となっています。

この場合に子が夫の嫡出子ではないとするためには、親子関係不存在確認の手続による必要があります。

(5)婚姻終了後から婚姻終了後300日までの間に出生した場合

この場合には、原則として前夫の嫡出子としての推定が及びます。

ただし、妊娠が婚姻終了後であることが証明できる場合には「妻が婚姻中に懐胎した子」(民法772条1項)には当たらず前夫の子として扱う必要はありませんので、出生届とともに、医師が作成した「懐胎時期に関する証明書」を提出すれば、前夫を父としない出生届をすることができます。

(6)婚姻終了から婚姻終了後300日以内に出生したが推定が及ばない場合

この場合は、妊娠が婚姻終了後であることが証明できれば(5)と同様の対処をすることになります。

また、妻が夫によって妊娠することが不可能な事実がある場合には(4)と同様の対処をすることになります。

8、外国人と日本人との間の子の国籍

子の国籍は両親それぞれの本国法によって決まります。したがって、子が外国人の親の国籍を取得できるかはその国の法律によって異なることになりますが、子が日本国籍を取得できるかは日本の国籍法によって決まります。

国籍法2条1号は、出生の時に父または母が日本国民であるときには子は日本国民とするとしています。

そして、母子関係は分娩の事実から発生しますので、母親が日本人である子は出生時に日本国籍を取得します。

問題は父親が日本人の場合です。

(1)嫡出子の場合

出生した子が父親の嫡出子である場合(つまり日本人の父親と外国人の母親が婚姻関係にある場合)には、出生時に子と父親との間に父子関係が発生しますので、子は日本国籍を取得します。

(2)非嫡出子の場合

出生した子が非嫡出子の場合には、父親が認知することによって子と父親との間に父子関係が発生しますから、子は認知時に日本国籍を取得することになります。父親が胎児認知をすれば、出生と同時に子は日本国籍を取得します。

9、まとめ

嫡出推定が及ぶ範囲はわかりにくい部分があるため、ケースに分けて説明しました。ケースに当てはめてみた上で参考にしていただければと思います。

なお、非嫡出子の扱いや再婚禁止期間など、民法の家族法の分野は最近法律の改正が続いていますので、古い情報に惑わされぬよう十分注意して下さい。

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