不起訴になって前科がつかずに平穏な日々を取り戻すための重要な知識

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犯罪を犯してしまった場合には、逮捕されるか否かにかかわらず、また重い犯罪か軽い犯罪かにかかわらず、原則としてすべての事件が検察官による起訴・不起訴の判断を受けることになります。

ここで起訴処分となると裁判が開かれることになり、無罪判決を得ない限りはそこで受けた判決は前科となることになります。

しかし、日本の司法制度では無罪判決を受けるのは大変稀なことですから、前科がつくことを避けるには起訴処分となること自体を避けるのが現実的です。

そこで、ここでは不起訴処分に関する知識を確認した上で、不起訴処分を得るための方策について、元検事の弁護士が複数名所属し(2017年9月現在)、刑事弁護に精通しているベリーベスト法律事務所の弁護士が説明します。

この記事が、不起訴処分を得て前科がつかずに平穏な日々を取り戻すためのお役に立てば幸いです。

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1、不起訴とは

何らかの罪を犯して警察の捜査の対象となると、事件は検察官に送致され、捜査の結果を踏まえて検察官がその被疑者を起訴するか否かの判断をします。

ここでいう起訴とは、その犯罪事実について有罪無罪や処断する刑などについて審理を受けるために、検察官が裁判所に公判請求することをいいます。

法律上、個々の事件について起訴するか否かを決定する権限は検察官が持っています

捜査の結果、検察官が起訴を見送る判断をする場合には、不起訴処分が行われます。

なお、警察官には起訴不起訴を決定する権限はありません。

取り調べの過程で取調べ担当の警察官が、「素直に認めれば起訴されることはないよ」などと言って被疑者に自白を勧める事例がありますが、警察官には起訴に関する判断はできませんので、これに迎合して事実と異なる供述をすると後に思わぬ不利益を被ることになりますので注意しなければなりません。

2、不起訴の種類

不起訴処分は捜査した事件について起訴をしない旨の検察官の判断です。

この不起訴処分には不起訴の理由によってさまざまな種類がありますが、一般的に見られるのは次の4種類です。

(1)罪とならず

被疑事実が犯罪構成要件に該当しないとき、正当防衛・緊急避難が成立するときなど、そもそも被疑者の行為が犯罪に当たらない場合がこれに当たります。

(2)嫌疑なし

人違いや、犯罪を認定する証拠がないなどの場合がこれに当たります。

(3)嫌疑不十分

被疑事実について犯罪の成立を認定できる証拠が不十分な場合がこれに当たります。

(4)起訴猶予

被疑事実は明白だが、被疑者の性格・年齢・境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の状況(示談の成立など)などによって起訴を必要としない場合がこれに当たります。

日本の刑事訴訟法では、起訴するか否かの判断は検察官の裁量に任されています(起訴便宜主義)。

とくに、(4)の起訴猶予については様々な要素を総合的に判断して起訴するか否かを決めることになり、起訴されるかどうかの確実な予測は簡単ではありません

被疑者としては、示談、被害回復、反省、贖罪寄付などできることはすべて行って、不起訴処分を得るための努力をしておくことが必要です。

3、どうすれば不起訴を獲得できるか

不起訴を獲得するための弁護活動のポイントは、被疑者の主張の内容によって異なります

前述の「罪とならず」による不起訴獲得を狙っている場合は、正当防衛の成立等の罪とならないとする主張の根拠となる証拠を、「嫌疑なし」や「嫌疑不十分」による不起訴獲得を狙っている場合は、真犯人やアリバイの存在等、犯罪の疑いを晴らすための証拠を収集するような弁護活動を行います

もっとも、不起訴理由の9割以上は、起訴猶予です。

被疑者が犯罪事実を認めている場合は、起訴猶予を狙って弁護活動を行なうことになります。

起訴猶予を獲得するための主なポイントは次の2つです。

  1. 被害者との示談
  2. 再犯可能性の否定

以下、それぞれについて説明します。

①被害者との示談

被害者に対して、被害を弁済し、許してもらうことは、起訴猶予を獲得する上で、最も重要なポイントです。

被疑者の身柄が拘束されている事件では、被疑者自身が示談交渉を行うことができません

また、身柄が拘束されていない事件でも、被害者は被疑者自身とは会いたくないと考えるのが通常です。

よって、弁護士等の代理人が代わりに示談交渉を行うことになります。

身内の方は謝罪する役割に留めて、示談交渉はプロである弁護士に任せた方がよいでしょう。

なお、そもそも実説的な被害がほとんどないような場合は、被害が微小であることを証明することが起訴猶予につながることもあります。

また、薬物使用事件等の被害者が存在しない犯罪では、贖罪寄付といって、反省の意を示すために公益団体への寄付を行うことが、起訴猶予の獲得に向けて有利にはたらくことがあります。

②再犯可能性の否定

再犯の可能性を否定する証拠を提出することも起訴猶予の獲得に向けて有利にはたらきます。

再犯の可能性を否定するためには、主に次の2つの方法があります。

  • 反省の意を示す証拠の提出
  • 再発防止に向けた方策をとることの約束

反省の意を示す証拠とは、反省文等です。

とってつけたような反省文で効果はありません。

反省文を書く前に、罪を犯したことを心から悔やみ、それを文章にすることが必要です。

そうでなければ、検察官に改悛の状は伝わりません。

また、再発防止に向けた方策とは、被疑者に対して強い影響力を持つ人による監督や、専門の矯正施設への入所などがあります。

不起訴の獲得には、刑事事件に強い弁護士に弁護を依頼することが有用です。

詳しくは「刑事事件に強い弁護士と出会うために知っておくべき3つのこと」をご参照ください。

4、不起訴になるまでの流れ

捜査が始まってから不起訴処分となるまでには手続きはどのような流れで進んで行くのでしょうか?

(1)捜査の開始

警察が犯罪を認知すると捜査が始まります。

被疑者が特定されると、その被疑者を逮捕して身柄を確保した上で捜査するか否かを警察が判断します。

(2)被疑者の身柄を確保する場合(身柄事件)

重大な犯罪であったり、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがあったりするなど逮捕の必要がある場合には、警察官は裁判所の令状を得た上で被疑者を逮捕(通常逮捕)します。

ケースによっては、現行犯逮捕、緊急逮捕が行われることもあります。

逮捕後48時間以内に警察官は書類や証拠物とともに被疑者の身柄を検察官に送致しなければなりません。

送致を受けた検察官が被疑者の身柄を拘束する必要があると判断した場合には、送致から24時間かつ逮捕から72時間以内に裁判所に勾留請求をしなければなりません。

裁判所が検察官の勾留請求を認める場合には、10日、やむを得ない事由があるときはさらに10日(つまり最大20日)の間、被疑者を勾留して捜査を行います。

(3)被疑者の身柄を確保しない場合(在宅事件)

軽微な犯罪であったり、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合などには、逮捕をせずに在宅のままで捜査を進めることもあります。

在宅事件の場合には身柄事件とは違って制限時間・日数はありませんので、被疑者は警察からの呼出しなどに応じて取調べなどを受け、必要な捜査が終わった段階で警察官は事件を検察官に送致します(書類送検)。

送致を受けた検察官は必要に応じて警察に補充捜査を指示し、被疑者を呼び出して取調べを行うなどして自らも捜査を行います。

(4)検察官による事件処理

身柄事件にしろ、在宅事件にしろ、最終的には検察官が起訴をするか否かの決定を行います。

検察官は、収集した証拠、犯行状況、被疑者の事情、被害者の意見などを総合的に考慮して起訴するか否かの判断を行います。

被疑事件を起訴することとした場合には、検察官は裁判所に公判請求を行い(具体的には裁判所に起訴状を提出します。)、手続きは裁判所での審理に進んで行きます。

(5)不起訴処分

検察官が、2、に挙げたような理由で不起訴処分をする場合には、告訴人・告発人がいる場合には不起訴処分を通知し、被疑者から求められた場合には被疑者に不起訴処分を告知します。

不起訴処分が行われた場合には、検察官から被疑者に通知が行われるものではありません。

身柄事件の場合には不起訴処分が行われることによって釈放されるため被疑者は不起訴処分があったことを知ることができますが、在宅事件の場合には、被疑者の知らないうちに不起訴処分が行われ、問い合わせをしなければ被疑者は不起訴処分がされたことを知ることができません

交通事故などで在宅事件となり、検察官の取調べを受けたもののその後何も連絡がないというようなときには、検察庁に処分があったかについて問い合わせをしてみましょう

5、不起訴と無罪は違うのか

不起訴処分になると被疑事実に関して刑事処分は行われません。

その意味では無罪となった場合と結果は変わらないわけですが、不起訴と無罪は同じものと理解してよいのでしょうか、それとも異なる点があるのでしょうか?

何も処分がないという点では同じとしても、不起訴と無罪は同じものではありません

まず、手続面で見ると、無罪判決を得た場合には裁判所での審理を経ているのに対して、不起訴処分を受けた場合には裁判所での審理は行われていません。

また、2の(1)「罪とならず」、(2)「嫌疑なし」以外の理由での不起訴処分は、無罪判決のような「犯罪を犯していない」ことが表明されるものではありませんので、その点でも無罪と同視できるものではありません。

最も大きな違いは、無罪と異なり起訴猶予となった場合には前歴としての記録が残りますので、後に捜査の対象となった場合にその記録が不利益に働く可能性がある点です。

こうしてみると、無罪判決の方が不起訴処分よりも有利なもののようにも思えますが、我が国の刑事実務においては無罪判決を獲得することは極めて難しく、長くて厳しい裁判手続を経てようやく獲得することができるものであることを考えると、そのような困難を経ずに同様の結果が得られる不起訴処分の方が被疑者にとってはいいものであると考えることもできます。

6、不起訴処分は前科や前歴として残るのか

不起訴処分が行われると刑事処分が行われることはありませんが、前歴として検察庁に処分の記録が残ります

この記録は個人情報の最たるものですので一般に公開されることはもちろんありませんが、万が一後に罪を犯してしまった場合には、その前歴が不利な情状として扱われる可能性もあります。

なお、普通、前科とは以前に裁判で有罪判決を受けたことを意味しますので、不起訴処分を受けてもそれが前科として扱われることはありません。

7、起訴されてしまったらどうすべきか

捜査を経た結果、不幸にも起訴されてしまった場合には、どのように対応するのがよいのでしょうか?

まず、起訴にも種類があります

起訴と聞いて普通想像する法廷での手続きのほかに、略式起訴というものがあります。

略式起訴は、法定刑に罰金刑が定められている罪で被疑者の同意がある場合に限ってできる手続きですが、実際に法廷での公判手続きを開かずに書面による審理のみで裁判所が被告人に罰金刑を言い渡す簡略な手続きです。

結果に不服がある場合には正式裁判の請求をすることもできます。

検察官がこの略式命令請求をする場合には事前に被疑者の同意を取りますので、被疑者は略式手続による起訴が行われることをあらかじめ知ることができます。

略式手続は、被疑者にとっては法廷に立つこともなく罰金を納めれば済む点で便宜な手続きといえます。

次に、正式起訴が行われた場合には、期日が指定されて裁判所の法廷での公判手続が開かれることになります。

この場合には被告人は弁護人を選任する必要があり、私選で弁護人の選任をしない場合には裁判所が国選弁護人を選任して手続が行われることになります。

したがって、正式起訴をされてしまった場合、起訴時点でまだ弁護人を付けていなかった場合には、(1)私選弁護人を選任する、(2)国選弁護人を付けてもらう、の2通りの方法で弁護人を付けることになります。

(1)私選弁護人を選任する

私選弁護人のメリットは自分が信頼できる弁護士を選択して選任できることですが、弁護費用を自ら負担しなければならない点がデメリットといえます。

(2)国選弁護人を付けてもらう

国選弁護人のメリットは何と言っても弁護費用の負担がないことですが、選任する弁護士を選択することができず、場合によっては不熱心な弁護士に当たってしまうこともあり得る点がデメリットです。

刑事裁判の被告人になることは、結果によっては人生を左右しかねない重大な出来事であるのが通常でしょうから、できれば弁護人は私選で自分が信頼できる弁護士を選任することが理想です。

さらにいうと、弁護人の弁護活動により起訴を避けることができる可能性が高まりますので、弁護人は起訴前の段階で付けておくのが理想です。

現在では、起訴前の段階で国選弁護人を付けてもらうこともできますので(ただし一定の軽微な罪名の場合は除く)、捜査段階から弁護士を利用しやすくなっています。

8、不起訴の事実や理由を確認・証明する方法

先ほども触れましたが、不起訴処分とした場合に、検察官には被疑者に対して積極的にそれを知らせる法的義務はありません

ただ、被疑者側から検察官に対して請求があったときには、検察官は不起訴処分告知書によって通知を行います(刑事訴訟法259条)。

この不起訴処分告知書による通知を行う際には、不起訴処分の理由(「嫌疑なし」、「嫌疑不十分」など)を記載する義務は定められていませんので、検察官には被疑者に不起訴の理由を告知する法的義務はないとされています。

実際にも、不起訴処分告知書には不起訴処分の理由が記載されていないケースが多数あります。

ただ、場合によっては検察官が不起訴の理由を記載することもありますので、理由を知りたい場合、不起訴の事実や理由を証明したい場合には、検察官に請求して不起訴処分告知書をもらいましょう。

まとめ

犯罪を犯してしまったときには、被疑者は最終的に不起訴処分を目指して努力していくことになります。

不起訴処分を得るポイントは、捜査段階の早期から被害者との示談等の折衝を進めること、早期に弁護人を選任して適切なサポートを受けることなどの点にあります。

万が一被疑者の立場に立ったときには参考にして下さい。

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