残業代が未払いになったら! 残業代請求の全手順

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Japanese woman holding failing test
  • 毎日、ほとんど休まず、朝から晩までどんな忙しく働いても、月の給与は手取りで20万くらいしかもらえない。
  • 夜遅くまで働いても、残業代等は基本給に含まれているので別途支給されない。
  • 残業代等は少し支給されているが、残業時間数と比べると割に合わない。

あなたの会社は、そんな状況にありませんか。

上記に該当するような場合、貴方は、会社に対し、未払いの残業代等を請求できるかもしれません。なぜなら、上記のようなケースでは、会社は労働基準法に従った残業代等を適切に支払っていない可能性が高いからです。

目次

1、未払い残業代等とは

従業員が所定の就業時間を延長して労働を行ったにもかかわらず、延長して行った労働に対して賃金が支払われてない場合には、残業代等の未払いが生じています。

未払い残業代等は、以下のような場合において生じている可能性が高いです。

(1) 所定の就業時間を超えて労働を行っているが、通常支払われる賃金に加えて、別途残業代等が支給されていない場合

(2) 1日8時間を超える労働を行っているが、通常支払われる賃金に加えて、別途残業代等が支給されていない場合

(3) 1週間で40時間を超える労働を行っているが、通常支払われる賃金に加えて、別途残業代等が支給されていない場合

また、未払い残業代等の問題と同様に、深夜労働や休日労働に対する割増賃金が支払われていないケースもあります。

具体的には、以下のような場合には通常の賃金に加えて、別途割増賃金を請求することができます。

(4) 22時~翌5時までの深夜時間帯に労働を行っているが、通常支払われる賃金に加えて、別途深夜労働に対する割増賃金が支給されていない場合

(5) 休日に労働を行っているが、通常支払われる賃金に加えて、別途休日労働に対する割増賃金が支給されていない場合

※以下では、残業代等、深夜労働割増賃金、休日労働割増賃金をまとめて残業代等といいます。

2、未払い残業代等を請求するのは正当な権利

未払い残業代等を会社に請求するのは、労働者の正当な権利です。

毎年、多くの労働者が会社に対して、未払い残業代等の請求を行っています。

厚生労働省の発表によれば、労働基準監督署の監督指導による賃金不払い残業が是正され、会社から残業代等が支払われた労働者は、平成24年度で約10万人に上ります。

そして、支払われた残業代等の総額は100億円以上です。

これは、弁護士等に依頼しないで支払われた未払い残業代等の総額ですので、弁護士による訴訟外の交渉及び裁判によって支払われた未払い残業代等を含めると、平成24年度に、会社から労働者に支払われた未払い残業代等の総額はとてつもなく巨額になります。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/chingin-c.html

また、残業代等の根拠は、労働基準法に定められていることから、残業代等の支払は、法律によって規定されている労働者の権利です。そして、それは同時に、会社の義務でもあります。

仮に、会社と労働者との間で、残業代等を支払わないとの合意を行ったとしても、その合意は法律に反する違法な合意であることから無効となります。

さらに,最近は、度を超えた過重労働を労働者に強制して、労働者を使い捨てにする『ブラック企業』の問題が生じています。

そのようなブラック企業の多くは、何らかの理由を付けて、従業員への残業代等の支払いを不当に免れています。なぜなら、ブラック企業が従業員の過重労働に対して、適切に残業代等の支払を行うと、膨大な人件費を支払うことになり、ブラック企業の経営が成り立たなくなるからです。

その意味では、未払い残業代等請求を行うことは、労働者にとっては、ブラック企業に対する対抗策にもなります。

3、残業代等請求に対する会社の不当な反論

会社は労働者から残業代等を請求されないように様々な理由をつけて、残業代等の支払いを免れようとします。

以下のようなケースは、残業代等請求に対する会社の不当な反論の典型的なケースです。

(1)ケース1 年俸制

「うちは年俸制だから、一年間の給与は決まっている。だから、別途残業代等を支払う必要はない」などと、年俸制を理由に残業代等を支払う必要性はないと会社が主張してくることがあります。

しかし、年俸制であっても残業代等を支払う必要性はあります。残業代等の支払と年俸制は無関係ですので、注意してください。

(2)ケース2 管理職

「管理職には残業代等を支払う義務はない」などと労働者の役職を理由に残業代等の支払い義務が無いとの主張を行う会社があります。

上記のような会社の主張を「管理監督者」と言って、地位の高い役職にある労働者には、例外的に、会社は残業代等の支払義務が免れます。

もっとも、「管理監督者」はあくまで例外であり、労働者のごく一部が該当するに過ぎません。

もし、貴方が会社に「管理監督者」と言われた場合、素直に納得せずに弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。「管理監督者」とは認められないにもかかわらず、会社が「管理監督者」を主張して、残業代等を不当に支払っていないケースが多く存在するからです。

(3)ケース3 固定残業代

「役職手当に残業代等が含まれているから、残業代等の未払いはない」「残業代等は基本給の中に含めれている」などと、給与の一部が既に残業代等であるとの主張を行う会社があります。

確かに、あらかじめ固定額の手当を残業代等として支給する制度は認められています。

しかし、このような固定額の残業代等の支払いをを誤って運用している会社は数多くあります。

就業規則に固定残業代等に関する記載がない場合や固定残業代等に何時間分の残業代等が含まれているのかが不明であるような場合には、固定残業代等の支払いが残業に対する対価であると認められない可能性があり、貴方は残業代等を請求できる可能性があります。

そして、多くの会社で固定残業代等を残業代の未払いの不当な言い訳として悪用している実情があります。

もし、貴方の会社が固定残業代等制度は採用している場合には、その制度が適法に運用されているかどうかを一度弁護士等の専門家に確認してもらうことをおすすめします。

4、未払残業代等の証拠・計算方法

(1)残業代等の請求に必要な証拠

残業代等を請求するには、労働者において自らの労働時間を立証する必要があります。

未払い残業代等請求を行う際に一番利用されている資料はタイムカードやICカードなどの出勤退社打刻データです。タイムカードなどで管理されている出勤時の打刻時間と退勤時の打刻時間は、原則として労働時間の始業時間及び終業時間であると考えられています。

また、日報などの「業務報告書」も残業時間を推認する資料としてよく使われます。

パソコンを日常的に利用する職場においては、パソコンのログアウト・ログイン時間のデータも労働時間を証明します。

また、運送業などのトラック運転手においては、タコグラフや運行記録などが労働時間を直接立証する資料となります。

さらに、日記などの労働者本人が作成したメモなども、「タイムカード」などの客観的証拠が存在せず、労働時間を立証する唯一の証拠であるような場合には証拠として力を有します。

以上のように、様々な物が労働時間を立証する証拠になります。

(2)未払残業代等の計算方法

残業代等は、労働者の「1時間当たりの賃金」に「残業時間数」と「割増率」を乗じて算出します。

労働者の「1時間当たりの賃金」の算定は、以下の通りです。

・日給制の場合⇒日給を1日の法定労働時間数である8時間で割って算出します。

・月給制の場合⇒基本給与を「月平均所定労働時間数」で割って、「1時間当たりの賃金」を算定します。なお、「月平均所定労働時間数」は下記の算定式で算出します。

(365日(うるう年の場合は366日)-1年間の休日数)×1日の所定労働時間数÷12=「月平均所定労働時間数」

また、労働者が会社に請求できる残業代等には労働時間の性質に応じて以下の種類があります。

①所定時間外労働

1日の所定労働時間が7時間30分などの8時間以下の場合には、所定労働時間を超過し,法定労働時間である8時間までの労働が所定時間外労働となります。所定時間を超えて労働を行った場合には,労働者は会社に対し、所定時間外労働として残業代等を請求することができます。

②法定時間外労働

労働基準法に定められた法定労働時間は1日8時間、1週間40時間であるため、1日の労働時間が8時間を、1週間の労働時間が40時間を超える場合には基本時給を割増した残業代等を請求することができます。なお、法で定められた最低割増率は1.25倍です。

③深夜労働

労働基準法に22時から翌5時までの時間帯は、深夜早朝勤務として通常の賃金に加えて別途割増手当を支給する義務が会社に課されています。そのため、深夜労働時間帯に労働を行った場合には、労働者は会社に対し深夜労働時間の割増手当を請求することができます。

④法定休日労働

労働基準法により、会社は労働者に対し週に1回は休日を取得させることが義務付けられています。この週に1回付与しなければならない休日を法定休日といいます。そして、会社の事情により、法定休日に労働者が就労を行った場合には、労働者は会社に対し法定休日労働に対する割増賃金を請求することができます。

以上の点を踏まえて下記の条件で働く労働者の残業代等の簡単に計算をしてみます。

基本給: 30万円

定時の勤務時間: 9:00~18:00(昼休憩1時間)

休日 : 週休二日

1ヶ月の残業等の時間数:月の残業時間40時間(1日2時間、つまり、毎日20時まで勤務)

まず、月の平均所定労働時間を算出するために、年間の休日数を計算します。1年間は52週なので、上記の労働条件によれば、少なくとも年間で104日の休日があります(52週×2(土、日))。そこで、365日-104日=261日が労働契約で定められた出勤日数です。

また、定時の勤務時間が9時から18時、うち1時間が休憩時間なので、1日の所定労働時間数は8時間です。

そうすると、年間所定の総労働時間数は、2088時間(年間の出勤日数である261日×8時間)です。

ここから月の平均所定労働時間を算出すると、月平均の所定労働時間数は174時間

(2088時間÷12)となり、基本給を月の平均所定労働時間数で割ると1時間あたりの賃金は1724円(基本給30万÷174時間)となります。

そして、月当たり40時間(1日あたり2時間)は残業を行っているとすると、残業時間はすべて1日8時間以上の労働である法定時間外労働にあたることから、上記労働条件における1ヶ月当たりの残業代等は、最終的に以下の式で算定できます。

[計算式]

1時間の賃金1724円×残業時間数40時間×割増率1.25=8万6200円

5、残業代等はいつまで請求できるのか

(1) 残業代等の時効

以上の記事を読んで、もし、貴方が会社に対し残業代等を請求することを決意されたなら、できるだけ急いだ方がいいです。

なぜなら、残業代等の請求には期限があるからです。

残業代等の給与の請求権は、2年間で時効となります。2年間が経過し、時効が完成した後に残業代等を会社に請求したとしても、会社が残業代等を支払うことはないでしょう。

(2) 残業代等の時効の確認方法

残業代等がいつ時効となるかは以下のように確認します。

例えば、労働者の給与の支払時期が、20日締めの当月月末払いであるような場合を想定します。この場合、労働者が毎月月末に会社から支給される給与は、先月の21日から当月の20日までの間に労働者が会社に提供した労働の対価です。

もし、平成25年12月分の給与支給時に残業代等が支払われていないような場合には、平成25年11月21日から平成25年12月20日までに行った残業に対する賃金の時効は平成27年12月末日の経過により、時効が完成し、以後の会社に請求することが困難となります。

つまり、2年前の残業代等は、毎月1ヶ月分ずつ時効が完成しているのです。

6、未払い残業代等を請求する際の相談先・依頼先は?

この未払い残業代等に関する記事を読まれた貴方が、未払い残業代等の請求を専門家に相談・依頼したいのなら、弁護士に相談することをお勧めします。理由は次の通りです。

弁護士以外の相談先として、まず最初に思い浮かぶのは労働基準監督署ではないでしょうか。

しかし、労働基準監督署は積極的に動いてくれないことが多いです。それは、労働基準監督署の役割は労働基準法違反の有無を調査し、是正することにあり、労働者に代わって未払残業代等の全額を回収することが本来の役割ではないからです。

特に、貴方に強力な証拠が無い場合には、話すらろくに聞いてもらえない可能性があります。

弁護士外の法律の専門家としては、司法書士や社会保険労務士に相談するという方法もあります。しかし、社会保険労務士は残業代等を算定できても、貴方に代わって会社と交渉して残業代等を回収する権限はありませんし、司法書士においても総額で140万円以上の残業代等については、裁判所で代理人として活動する権限がありません。

通常、未払い残業代等の金額が大きくなればなるほど、会社はあの手のこの手で支払を免れようと反論してきます。

会社が徹底的に争ってきた場合には、裁判所で決着をつけるしかありません。

残業代等の金額にかかわらず、裁判所で代理人として尽力できるのは弁護士だけです。

特に、貴方がこれまで酷い長時間労働を強いられていて、残業代等の未払い賃金も相当巨額になると想定される場合は、まずは弁護士に相談した方がよいでしょう。

7、弁護士に依頼した場合の残業代等請求の流れ

最後に、弁護士に残業代等請求を依頼した場合の手続きの流れを簡単に示します

(1)相談・依頼

まず、弁護士に相談する際は、タイムカードなどの労働時間を証明する証拠があれば、必ず持参し、確認してもらいましょう。

また、タイムカード以外にも、給与明細や労働契約書、就業規則などの貴方と会社の労働契約の内容を客観的に証明することができる資料も相談時には持参して、弁護士に確認してもらうようにしましょう。

給与明細や労働契約書の記載などから、残業代等請求の可否がある程度判断できることもあります。

(2)交渉の開始・内容証明郵便の発送

相談が終わり、無事に弁護士に依頼することができた場合、依頼を受けた弁護士は、まずは内容証明郵便で相手方となる会社に残業代等の請求を行います。

通常、弁護士は残業代等の算定よりも先に内容証明郵便の発送を行います。これは、残業代等の時効を中断させるためです。

残業代等は2年の経過で時効となると説明しましたが、時効が完成する前に、労働者から会社に支払を請求することで時効の進行は一時的に中断します。

そのため、弁護士は、残業代等の時効完成を阻止し、時効が中断した時点を明確にするために、内容証明郵便で残業代等の請求を行うのです。

なお、請求により時効が中断する期間は6カ月間のみです。

(3)残業代等の算定と証拠の開示要求

内容証明郵便で残業代等の請求を行った後、弁護士は本格的に残業代等の算定を行います。この時、貴方の手持ち資料がほとんどなく正確に残業代等を算定できないような場合には、相手方である会社にタイムカードや就業規則などの資料を提出するように求めます。

(4)和解もしくは訴訟提起

残業代等の算定が終了すると、弁護士は会社を代理して残業代等を支払ってもらえるように交渉を行います。

相手方である会社との交渉がまとまれば、弁護士が貴方を代理して和解契約書を締結し、回収した残業代等から弁護士報酬を引いた残額を貴方に返金して、事件は終了となります。

弁護士と会社との交渉が難航した場合は、訴訟ないし労働審判で残業代等の回収を行うことになります。

なお、内容証明郵便による時効中断の効果は6カ月しか生じないので、交渉で和解するか、訴訟などの法的措置に移行するかの判断は、6カ月以内に行うケースが多いです。

まとめ

貴方も、会社に対し、未払いの残業代等を請求できるかもしれません。未払い残業代等があるのではないかと考えられている場合には、一人で悩まず、まずは弁護士に相談ください。

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