遺産分割とは?具体的な手続きの流れについて

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親族の方が亡くなられた後、避けては通れないのが遺産処理の問題です。

それまで仲の良かった親族が、遺産処理の問題で対立し、法的手続で解決をせざるを得なくなってしまうことも珍しくありません。

そこで今回は、誰でも巻き込まれる可能性があるこの遺産処理の問題、すなわち「遺産分割」の手続きについてご説明します。

目次

1、遺産分割とは?

2、遺産分割の流れは?

3、遺産分割の方法は?

4、遺産分割協議書の書き方

5、話し合いで解決しない場合に!遺産分割調停とは?

6、不動産を含む遺産分割が完了したら相続登記を!

7、遺産分割を弁護士に依頼するメリットとデメリット

1、遺産分割とは?

遺産分割とは、被相続人が残した遺産を、相続人間で分配することをいいます。

人が亡くなったとき、相続人(配偶者や子)が1人だけであればすべての遺産をその相続人が相続しますが、相続人が2人以上いる場合は、相続人間で遺産を分ける必要があります。これが遺産分割です。

2、遺産分割の流れは?

遺産分割の流れは下記の図の通りです。

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3、遺産分割の方法は?

遺産分割には、以下4種類の方法があります。

(1)現物分割

遺産そのものを現物で分ける方法です。原則的な分割方法であり、たとえば、被相続人の遺産が不動産と預貯金であったとき、ある相続人が不動産を、他の相続人が預貯金を取得する場合がこれに当たります。

現物分割では、各相続人が取得する遺産の価値に差が生じることが多く、その場合は価値の差に相当する現金を交付するなどして調整します(これは次項の代償分割の一例です)。

(2)代償分割

ある相続人が相続分以上の遺産を取得する場合に、その代償として他の相続人に価値の差分の金銭を交付する方法です。

遺産を取得する相続人に、価値の差分の金銭を支払うに足りる資力があることが必要です。

(3)共有分割

遺産を複数の相続人が共有で取得する方法です。

将来共有者の間で管理や処分方法などの意見が整わなくなると、当該遺産を有効利用できなくなってしまうので注意が必要です。

(4)換価分割

遺産を売却して、その代金を分ける方法です。

すべての遺産を現金に代えれば、別途現金で調整することなく、各相続人の相続分に応じた遺産分割を行うことができます。

ただし、遺産の売却に手間がかかるほか、税金や処分費用の支払いが必要になる場合があります。

4、遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書に不備があると、後で紛争の火種になることもありますので、洩れなく慎重に作成する必要があります。

(1)形式、手続き

遺産分割協議書は、相続人全員で作成する必要があることから、相続人全員が署名押印して作成します。後になって遺産分割協議に参加していない相続人がいることが発覚した場合、遺産分割協議は無効になってしまいますので、相続人の調査には万全を期す必要があります。

遺産分割協議書が数ページにわたる場合は、相続人全員の割印を押します。

作成部数については、通常,相続人の人数分を作成し,各自が原本を保管しますので,人数分を用意する必要があります。すべて写し(コピー)ではなく原本とする必要がありますから、必要部数すべてに相続人全員が署名押印する必要があります。

遺産分割協議書の作成に期限(時効)はありませんが、相続税の申告をする場合は、申告期限(相続開始後10か月)までに分割をしないと税制上の恩典が受けられませんので、被相続人が他界してから10か月以内に遺産分割を行うことが望ましいでしょう。

遺産に不動産が含まれるときに、不動産の登記申請などの場面で,遺産分割協議書の原本と相続人全員の印鑑証明書が必要な場合がありますので、相続人の押印は実印とし、遺産分割協議書作成の際に印鑑証明書を取得しておきましょう。

(2)内容

遺産すなわち財産と債務をもれなく記載しましょう。遺産分割協議書の作成後に記載しなかった遺産が発覚すると、再び遺産分割協議を行う必要が生じてしまい、トラブルのもとになりますから注意して下さい。

不動産については、登記事項証明書(登記簿謄本)に記載されているとおりに、必要事項を正確に記載します。土地の場合、所在・地番・地目・地積等を、建物の場合、所在・家屋番号・構造・床面積等を記載することになります。

預金については、通帳を参考に、銀行名・支店名・口座番号・金額等を明確に記載します。

また、代償分割を行う場合には、代償金の金額・支払方法・期限についても記載します。

なお、生命保険金・死亡保険金は原則として遺産分割の対象にならず、保険金の受取人が取得するため、遺産分割協議書に記載はしないことが一般的です。

遺産分割協議の成立後に判明した遺産があれば、その遺産については再度遺産分割協議が必要になりますが、あらかじめ遺産分割協議後に判明した遺産について、誰が取得するかを遺産分割協議で決めておけば、新たに遺産分割協議をする必要はありません。

なお、一度遺産分割協議がまとまり遺産分割協議書の作成や登記が済んだ後でも、遺産分割協議をやり直すことは可能です。

(3)遺言との関係

遺言が残されていても、相続人全員の協議で遺言と異なる遺産分割を行うことは可能です。その場合も、遺産分割協議書を作成することになります。

遺言において、遺産分割方法の指定を行うこともできます。

5、話し合いで解決しない場合に!遺産分割調停とは?

(1)遺産分割調停とは何か

遺産分割調停とは、相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合に、裁判所が仲介して協議を行う手続きです。

相続人が他の相続人を相手方として裁判所に申し立てます。

(2)申立ての方法

申立ては、遺産分割調停の申立書に必要事項を記入し、必要書類を付して、管轄の裁判所に提出する方法で行います。

申立書については、裁判所がウェブサイトで書式を公表していますので、利用しましょう。必要書類としては、遺産に応じた書類のほか、相続人の戸籍謄本が求められます。必要な戸籍謄本の範囲は場合によって異なり、取得に労力もかかりますので、弁護士など専門家に依頼することも一案です。

申立書の作成方法については「【Wordデータの雛形付き!】遺産分割調停の申立書を作成するための全手順」で詳しく紹介していますのでご参照下さい。

(3)調停の流れ

申立てが受理されると、裁判所は、第1回の調停期日開催日を決定し、各当事者(相続人)に通知して、出頭を求めます。

調停の期日では、対立する相続人が交互に調停室に入り、調停委員を介して対立する相続人に自分の考えを伝え、調停委員の仲介のもと、遺産分割方法を決めていきます。手続説明時や調停成立時を除いて、原則として対立する相続人同士が顔を合わせることはありません。

話し合う内容とその順序は、概要以下のとおりです。

  • 誰が相続人になるかの確認
  • 各相続人が有する抽象的な相続分(遺産の2割、など)の確認
  • 遺産の種類の確認と、各遺産の金銭的評価
  • 特別受益と寄与分の考慮
  • 具体的な相続分(300万円分、など)の確定
  • 遺産分割方法の確定

調停がまとまれば調停調書が作成され終了します。

調停でまとまらない場合は、裁判所が職権で遺産分割方法を決定する手続きである審判に移行します。

6、不動産を含む遺産分割が完了したら相続登記を!

遺産に不動産が含まれる場合、遺産分割が完了したら不動産について相続登記をしましょう。遺産分割で決定された法定相続分とは異なる内容の不動産の名義変更は、登記をしなければ事情を知らない第三者に主張できませんから、遺産分割が完了次第直ちに登記を行いましょう。

登記の申請は、登記申請書のほか、各種戸籍謄本、住民票、固定資産税評価証明書、遺産分割協議による場合は遺産分割協議書や印鑑証明書など様々な書類が必要です。

登記の手続きは複雑なので、司法書士等の専門家に事前に相談しておきましょう。

7、遺産分割を弁護士に依頼するメリットとデメリット

(1)メリット

「5―(3)調停の流れ」で列挙したとおり、遺産分割の手続きには複雑な法律上・事実上の問題が絡み合っています。遺産の数や金額が少なくても、遺産の評価方法は一様ではありませんし、生前の贈与や貢献によって具体的な相続分が変わることもありますので、問題点を整理するためにもまずは弁護士に相談すべきです。

また、相続人間に争いがある場合、当事者である相続人は感情的に対立し全うな話し合いさえ困難になりがちですので、その場合も代理人として弁護士を立てることは有益です。

遺産分割調停や審判では、代理人として弁護士を立てると、原則としてご自身は出頭する必要がありませんので、これも弁護士に依頼する大きなメリットです。

(2)デメリット

弁護士に依頼するデメリットとして挙げられるとすれば、それは弁護士費用です。

ただ、まずは無料又は安価で相談を受け付ける弁護士も増えていますので、実際に依頼するかどうかは弁護士に相談した後決めることとして、まずは相談にいきましょう。

相続に関する弁護士費用については「遺産相続問題の解決にあたって弁護士を利用する場合の弁護士費用の相場は?」で詳しく紹介していますので、ご参照下さい。

まとめ

以上、遺産分割にまつわる手続き等についてご説明させていただきました。

遺産分割は、誰しもが巻き込まれる可能性があり、一度巻き込まれると複雑な問題が絡み合って長期間にわたって未解決になることも珍しくありません。

非常に専門性の高い分野ですので、遺産分割問題に巻き込まれたら弁護士などの専門家に相談するのが第一歩です。

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