特定調停とは?費用を抑えつつ借金を整理するための具体的方法

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「債務整理」、すなわち借金の整理と一口に言っても、色々な方法があります。

同じく借金であっても、金額や債権者の数だけでなく、それぞれの債務者が置かれた環境が異なります

状況に応じた最適な債務整理方法を選択する必要がありますが、そのためには、それぞれの債務整理方法のメリットとデメリットを把握しておかなければなりませんし、また、自分の状況に最適な債務整理方法が分かったところで、実際にどうやって債務整理すればよいのか具体的な方法が分からなければ、実行に移すことはできません

ここでは、様々な債務整理方法に精通したベリーベスト法律事務所の弁護士がそれぞれのメリットとデメリットや条件について説明し、特にその中で、特定調停を選択した場合に費用を抑えつつ借金を整理する具体的方法について分かりやすく説明します。

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1、特定調停とは

特定調停は、簡易裁判所に、債権者との話し合いの仲介にたってもらう制度です。

「調停」とは、裁判所での話し合いです。

特定調停は、債務者本人が弁護士を使わずに、自分で、申立てをして、話し合いをするための制度として作られています。

簡易裁判所の調停委員が、あなたの話を聞き、担当の裁判官と協議しながら、債権者との話し合いを仲介してくれます。

2、特定調停以外に債務整理する4つの方法とその特徴

(1)任意整理とは

任意整理とは、「任意」つまり、当事者の自由意思で、債務の支払について交渉を行うことです。

法律上の制度ではありません

自由な話し合いですから、誰が担当しても良いわけで、債務者本人が交渉できるのはもちろんですが、本人には精神的に荷が重いのが通常です。

債務者本人が選任した代理人でも構いません

ただし、債権者が金融業者の場合は、一般人が代理人になっても、交渉に応じません

その代理人の権限を確認する手間がかかること、無権限だったときに話し合いに応じてしまうと、後で、債務者本人から責任を追求されるリクスがあるからです。

このため、一般には、弁護士を代理人として、債権者と交渉してもらうことになります。

現在、任意整理というと、この弁護士を代理人とする場合を意味していることが多いようです。

任意整理について詳しくは、「債務整理(任意整理)のデメリットは?クレジットカードを作れなくなる?」をご参照ください。

(2)過払い金請求とは

過払い金とは、カードローン、キャッシングなど、貸金業者から借りた債務について、利息制限法の規制を超えた高い利率による利息を払っていた場合に、払い過ぎた金額として返還を求めることができる金銭です。

かつて、貸金業者は、利息制限法の利率(例えば、元本が10万円以上100万円未満の場合は、年18%)を超える利率の利息をとっていました。

当時、貸金業を規制していた出資法においては年約29%を超える高い利息をとった場合に初めて刑事処罰の対象としていましたので、利息制限法の利率を超えていても、出資法の利率に達しない場合は、民事上違法であっても刑事処罰は受けないという「グレーゾーン」でした。

このグレーゾーンに該当する利息を払い続けていた場合、払い過ぎになります

その後、最高裁が、こうした過払い金の返還を求める権利を広く認める態度を取るようになり、過払い金請求を行うことが一般化したのです。

過払い金について詳しくは「過払い金とは?過払い金発生の仕組みから請求の方法まで」をご参照ください。

(3)破産とは

破産は、債務者が、その財産では全債務の支払いができない場合裁判所が選任した財産管理人(破産管財人)が、債務者の財産を処分して金銭にかえ、これを債権者たちに、その債権額に応じて配分し、それでも払い切れなかった債務については、もう支払わなくて良いと、裁判所に免除(免責)してもらう制度です。

財産を差し出せば、残りは免除されるのですから、究極の債務整理方法ですが、そのため債務者が受けるやむを得ない不利益も大きく、最後の手段です。

自己破産について詳しくは「自己破産の免責で借金を0にして人生をやり直すために必要な9の知識」をご参照ください。

(4)個人民事再生とは

個人民事再生は、民事再生の個人向け版です。

民事再生は、主に倒産の危機に瀕した中小企業が、完全に破綻してしまう前に、裁判所の主導で、多数債権者と話し合いを行い、企業を存続させながら債務を返済してゆく計画を立案し、これにしたがった支払いを行いながら経営を続け、残りの債務は免除してもらうというものです。

つまり、企業の倒産を回避して、企業を活かす(再生する)ための制度が民事再生です。

個人民事再生は、この民事再生制度を個人に利用しやすくしたもので、やはり裁判所主導で、債務の一部免除を認めてもらい、残りを分割で支払うことで、個人の経済生活を再生する制度です。

個人民事再生について詳しくは「個人再生のデメリットは?手続きや費用についても徹底解説」をご参照ください。

3、特定調停と任意整理の違い

次は任意整理と特定調停の違いを説明していきます。

任意整理は、裁判所を利用しない話し合いです。

通常は、弁護士を代理人として行います。

特定調停は、裁判所を利用した話し合いです。

弁護士ではなく、調停委員が、担当裁判官と協議しながら、債権者との話し合いを行います。

どちらも話し合いですから、当事者の合意が必要です。

債権者が、どうしても同意しない場合は、調停委員が仲介しようと、弁護士が代理人になろうと、どうにもならない点では同じです。

特定調停は、債務者本人が、弁護士をたてずに、自分ひとりで申立てを行えるように作られた制度です。

このため費用も安く抑えられています

一方、任意整理は、弁護士に着手金と報酬金を支払う必要がありますので、どうしても経済的負担は多くなります。

4、他の債務整理の方法と比較した特定調停のメリットとデメリット

(1)特定調停のメリット

①特定調停は費用が安い

特定調停は、なんと言っても、費用が安く済む点が最大のメリットです。

弁護士費用が出せない、節約したいという場合は、特定調停は良い選択肢です。

もちろん、任意整理は、弁護士を依頼せずに本人だけで行っても良いのです。

実際に、中小企業の社長さんなどは、多重債務に陥っても、自分で多数の債権者と渡り合って、話をつけてしまう猛者が多くいらっしゃいます。

しかし、これはレアケースであって、一般の方は、自分の債権者と交渉をするのは、気が重く、自信がないでしょう。

費用を抑えながら、交渉役を第三者にお願いする、それは特定調停しかありえないのです。

②特定調停は強制執行(差し押さえ)を止めることができる

しかも、特定調停には、強制執行停止制度があります。

既に差し押さえなどがされている場合、特定調停で今後の返済条件をじっくり話あう余裕がなくなります。

このような場合は、裁判所の判断で、強制執行を停止してもらうことができるのです。

これは、特定調停の大きなメリットです。

任意整理の場合に、強制執行を止めようとすると、執行停止申立という手続を裁判所に対して行う必要があります。

素人が行うのは難しく、任意整理を担当している弁護士にお願いすることになりますが、これは任意整理とは別の手続きですから、弁護士費用も別になります。

また、この申立てが認められるためには、裁判所に担保となる金銭を預ける必要があります。

ですので、借金で苦しんでいる方が、特定調停によらずして強制執行を止めるのは事実上困難なのです。

ここに特定調停を利用する大きな理由があります。

③特定調停は、官報に掲載されない

特定調停の申立をしても、破産や個人民事再生のように官報に掲載されることはありません。

ただし、金融機関の信用情報に事故として記録される、いわゆるブラックリストにのってしまうことは、全ての債務整理に共通するデメリットであり、特定調停も例外ではありません。

④特定調停は、保証人に迷惑をかけない

破産や個人民事再生は、債務者本人に効力が及ぶだけで、保証人の責任には何ら影響しません

むしろ、本人が免責されたり、債務を減額される分、保証人への責任追及は強くなります。

他方、特定調停は、債権者も同意する話し合いですので、減額が合意されれば、その効力は保証人にも及び保証人の責任も減額されます。

何より、特定調停で合意した返済案どおりに返済を続けてゆけば、債権者が保証人に請求することはありませんから、安心です。

ただ、債務者本人が特定調停を申し立てた場合、保証人が一括請求される可能性がありますから、保証人には事前にお話ししておいた方がよいでしょう。

⑤特定調停は、相手となる債権者を選べる

破産や個人民事再生は、全ての債権者を対象とするもので、相手を選ぶことはできません

しかし、特定調停は、話し合いですから、例えば、特に取立てが厳しい債権者だけを相手として申し立てるとか、どうしても任意整理に応じない債権者だけを相手として申し立てるなどの柔軟な選択が可能です。

自動車がないと交通手段に困るような場合は、自動車のローン会社だけは相手方から外すということも可能です。

⑥特定調停は借金の原因を問わない

破産と異なり、ギャンブルや浪費が原因であっても、特定調停は可能です。

(2)特定調停のデメリット

①特定調停には、強制力がない

特定調停は、話合いですから、債務者側の返済案を押し付ける強制力はありません

それどころか、裁判所を通じて出席を呼びかけても、呼び出しに応じない債権者もいます

呼び出しを受けた債権者は、出頭義務がありますので、出頭しないと5万円の過料(一種の罰金刑)の処分を受けることとなってはいますが、少額のためか、効き目のない場合もあるのです。

②特定調停は、全部自分で行う必要がある

弁護士を立てないで本人だけで利用できるということは、反面、債権者との交渉以外は、全部、自分で行う必要があるということです。

申立ての段階で必要書類を揃えること、債務の内容がわかる資料を集めること、申立書の記入、作成も自分で行うことになります。

また、特定調停は、おおよそ一ヶ月から一ヶ月半に一度の期日が合計3回程度設けられ、期間にして4か月程かかりますが、これに毎回、ご本人が出席しなくてはなりません。

③特定調停では、過払金返還を求めることができない

利息制限法違反の高率の利息を支払っていた事実があれば、調停委員が、利息制限法所定の利率にしたがって、引き直し計算を行ってくれます

その結果、債務が減額されるなら、その金額を前提に債権者と返済条件の交渉を行ってくれます

しかし、引き直し計算をした結果、債務が減縮されるどころか、逆に、債権者に対して過払金返還債権があることが判明した場合、特定調停の制度の中で、過払金の返還を求めることはできません

もちろん、任意の話合いですから、支払いの請求をすることは自由で、債権者が任意に支払いに応じるなら格別ですが、そうでなければ、特定調停では解決ができません。

この場合は、別途、過払金請求訴訟を提起する必要があり、多くは、弁護士に依頼することになりますから、結局、費用がかかります

④特定調停で成立した合意に違反すると直ちに強制執行される危険

特定調停で合意が成立すると、その内容を記載した調停調書が作成されます。

これは、確定判決と同じ法的効力があります。

調停調書に記載された返済条件を守れなかった場合、債権者は、この調停調書を根拠として、ただちに強制執行手続ができます

つまり、預金、給与、自動車など、あなたの財産を差し押さえることができるのです。

これに対し、任意整理の場合、弁護士と債権者が交わす合意書は、あくまでも私的な文書ですので、これに違反したからといって、ただちに強制執行を申し立てることができるわけではありません。

合意書をひとつの証拠として、正式裁判を起こし、判決をもらわないと強制執行はできないのです。

調停調書は、この正式裁判を省くことができる強力な効力があるのです。

この点は、債務者にとっては、かなり不利な面と言えます。

5、債務整理の方法として特定調停を選ぶべき場合

次のような場合には、債務整理の方法として、特定調停を選ぶべき場合と言えます。

  1. 簡易裁判所への申立手続、毎回の出頭、調停委員への説明などを、自分で行う覚悟、自信のある場合
  2. とにかく費用(弁護士費用)を安く抑えたい場合
  3. すでに差押えを受けていて、これを止めたい場合
  4. 債務整理を行っていることを万が一にも他人に知られたくない場合
  5. 保証人に迷惑をかけたくない場合
  6. 複数の債権者のうち、一部の債権者だけを相手に債務整理したい場合
  7. 借金の原因が、浪費やギャンブルのため破産しても免責されないリスクがある場合
  8. ほとんど返済していないか、これまでの返済期間が短い、利率が低いなどから、過払い金が発生していないと見込まれる場合

a.は特定調停を選ぶときの最低条件で、この覚悟がないなら、特定調停は選択すべきではありません。

b.及びc.は、実際上、特定調停でしか実現できないため、この点を重視する場合は、特定調停を選ぶと良いでしょう。

また、d.からh.を重視する場合は、特定調停のほか、任意整理を選ぶ余地もあります

6、特定調停の具体的手続き

では、その特定調停で、成果を出すために、どのようにすれば良いのかを具体的に見てゆきましょう。

(1)特定調停を申立する段階

①特定調停申立は、裁判所にとことん頼ろう

弁護士を使わない特定調停は、まず申立て手続きを自分でする必要があります。

難しいのではないかと不安になる第一関門です。

しかし、何も難しくありません。

日本語がわかれば大丈夫です

申立書は、各地の裁判所に用意した書式がありますし、その記入例も各裁判所のサイトに掲載されているので、その記入例を見て書き込めば大丈夫です(参考:東京簡易裁判所の書式と記入例

申立書などの書類は、試験の答案ではありません。

100点満点でないと受け付けてくれないというわけではありません

裁判所は、国民に対して司法というサービスを提供するサービス業ともいえます

申立書などは、わかる範囲で書いておけば良いのです。

いい加減でも良いと言っているのではありません。

書き方や、書くべきことの調べ方がわからないからと言って、あきらめる必要はないと言っているのです

わからないことは、裁判所の窓口で聞けば、親切に教えてくれます

窓口に行けない場合は、電話で聞けば良いのです。

遠慮することはありません

基本的に、裁判所側が知りたいのは、あなたが誰で、相手方(債権者)が誰で、いくらの借金なのか、これだけです。

最低限、これがわからなければ、裁判所としては、何もできません

逆に、最初にこれらさえ申立書等に記載してあれば、あとは裁判所に出頭したときに、調停委員に口頭で説明すれば良いのです。

あるいは、期日前に、裁判所書記官から、こういう資料を出してもらえないかと電話が来る場合もあります

その場合は、書記官の話をよく聞いて、わからなければわからないと正直に相談すればよいのです。

申立書は、できれば簡易裁判所に持参して、受付してもらうことをおすすめします。

こうすることで、その場で足りないところを教えてもらい、その場で加筆や訂正するなどして、早く受付してもらうことができます

ただ、裁判所に書類を持参して、受付であれこれ相談すること自体、勇気がないという人も多いかと思います

その場合は、裁判所に記入した申立書を郵送で送ってしまいましょう

申立ては、郵送でもできるのです。

もちろん、必要な収入印紙と切手(これも裁判所に電話すれば教えてくれます)は同封して下さい。

ただ、郵送でも、不備がある場合は、そのまま受け付けてはもらえません。

これは当たり前ですが、裁判所は、必ず、どこが不備でどうすれば申立てを受け付けてくれるのか、連絡してくれます

その指示に従えば良いだけです

簡単なことです。

②特定調停は、債権者の住所地の簡易裁判所に申し立てる

ところで、どこの簡易裁判所に申立てをするのかですが、どこでも良いわけではありません。

債権者の営業所等の住所地を管轄する裁判所です。

債権者が複数いる場合は、どの債権者の住所地の裁判所でもかまいません

あなたが、選ぶことができます。

これもわからなければ、裁判所に電話して聞きましょう

③特定調停の事件番号を債権者に伝えれば、取り立ては止まる

さて、申立てが受理されると、「事件番号」をもらうことができます。

これは、あなたの案件につけられた番号です。

例えば、「○○簡易裁判所平成29年(ノ)1234号」という形式です。

「(ノ)」というのは、事件の種類を表すカタカナ記号です。

窓口で申立てをした場合は、その場で、この事件番号が書かれた紙を受け取ることができますが、郵送で申立てをした場合は、あとから電話で事件番号を教えてもらう必要があります。

以後、あなたと裁判所が電話や郵便でやりとりをする際には、すべてこの事件番号で誰の案件かを特定しますので、大切な番号と理解して下さい

この事件番号がわかったら、これを早急に、債権者に伝えて下さい

電話でも、手紙でも、FAXでも方法はなんでもいいです。

これで、債権者(貸金業者のみ)からの取り立て電話は止まります。

(2)特定調停期日の段階

①特定調停の期日指定

申立てをしてからしばらくすると、書記官から電話があり、あなたが裁判所に出頭する期日を決めることになります。

期日の指定といいますが、裁判所が勝手に日程を決めるのではありません

あなたの都合も聞いてくれます

ただし、あなただけではなく、裁判所の都合、調停委員2名の都合もありますので、あなたの都合ばかり押し付けると、スケジュールが合わずに、期日が相当先になってしまう場合があります。

それでは、あなたにとって不利益ですから、忙しくてもある程度の妥協は必要です。

②特定調停の第1回期日

一ヶ月後くらいの期日が第一回として決められます。

第一回は、たいてい出頭するのは、あなただけです。

初回は、調停委員があなたの話をじっくり聞く日です。

準備の時間は、一ヶ月もあります。

上手に話す必要はありませんが、時間を無駄にしないように、話すべきポイントを整理して臨んで下さい

もっとも、調停委員があなたに聞きたいポイントは、たったひとつだけです。

毎月、いくら返済できるか

これだけです。

どうして借金を背負ったのか、その経緯を長々と説明しようとする人がいます。

ほとんどの場合、無意味です。

債務の有無や金額を争っているわけではないからです。

ここで問題にするのは、何時、幾らを返済するかだけです。

ですから、現在の収入や必要な支出、将来の収入の見込み、予想される支出の内容といった、返済できる金額に直接、間接にかかわる生活状況を説明することはとても大切です。

しかし、過去の話は、たいていの場合、無関係です。

③問題のある調停委員への対処法

ところで、調停委員は、あなたの敵でしょうか、味方でしょうか。

もちろん、最終的には味方になってもらわないといけない存在ですが、実は、最初の関門は、調停委員なのです。

調停委員が、あなたの実情を十分に理解してくれなければ、到底、債権者を説得しようと努力してくれません

人間ですから、当たり前です。

つまり、第一関門は、調停委員というわけです。

特定調停は、債務者の経済的更生のための制度ですから、調停委員は、債務者側に立ち、債権者側に、なんとか条件を飲んでもらおうと努力してくれます

大都市圏では、弁護士などの専門知識ある人材を調停委員とできますが、地方によっては、そのような人材を揃えることが困難で、その土地の名士のような方が、名誉職として調停委員となっている例もあります。

もし、調停員が債権者の言い分ばかりを聞き、こちらの事情を汲み取ってくれない場合は、どうすればよいでしょうか。

調停委員は、ひとつの案件に二名ずつで担当しますから、万一、一人が債権者側に立ったとしても、もう一人がカバーしてくれる例が多いのですが、稀に、二人とも債権者側に立ってしまったり、もう一人が遠慮してしまい何も言ってくれない場合があります。

せっかく特定調停を申立てたのに、言い分を聞いてくれず、不利な条件を押し付けられてしまってはたまりません

このような場合は、調停委員ではなく、担当裁判官に直接、状況を伝えましょう

簡易裁判所は、案件毎に、担当の裁判官をつけていますから、担当裁判官は、調停の内容を把握しています

裁判官は、調停委員を指導する役割ですから、調停委員を別の人に交代させることは無理でも、適切な方向に誘導してくれることは十分期待できます。

④特定調停において、過払金請求権が判明した場合

特定調停において、調停委員が利息制限法の引き直し計算をした結果、過払金債権があることが判明した場合、これを請求するには、別途の訴訟が必要であることを説明しました。

複数の債権者を相手方とする特定調停で、一部の相手方にだけ過払金債権があることがわかったら、その債権者に対する特定調停だけを取り下げて、残りの債権者との特定調停だけを続ければよいのです。

もしも、その過払金を回収できれば、残った債権者に対する債務は全額返済できるというような場合は、調停委員から、その旨を債権者に説明してもらったうえで、一度、全部の調停を取り下げてしまうことをおすすめします。

実際に、過払金が回収できた際に、改めて、特定調停の申立てをすれば良いのです。

ただし、間違っても、まだ回収できていない過払金が入ることを前提として、それを他の債権者への返済に充てると約束するような特定調停の合意をしてはいけません。

万が一、過払金を回収できなかった時に、強制執行を受ける危険があります。

⑤特定調停を過払金請求や破産申立の準備として考えることもできる

ところで、特定調停において、裁判所に、利息制限法の引き直し計算をしてもらえるということは、過払金があるかないか、わからない場合に、裁判所を使って、それを確認してもらう手段とすることが可能ということになります。

また、自分の債務内容がはっきりしない場合に、特定調停を申立てることで、債権者側から裁判所に、債務内容に関する資料が渡されることから、債務内容をきちんと把握する手段として利用することもできます

特定調停は、本来は、分割返済の話し合いをまとめるための制度ではありますが、そのプロセスにおいて、債務内容や過払金の存在が明らかになったら、その段階で、特定調停を続けるか、別の手段を選ぶかを選択する余地が生じてきます

そのような作業は、任意整理では、費用を支払って弁護士に担当してもらう作業ですが、特定調停を利用することで、その代わりにすることもできるのです。

(3)調停成立の段階

①自己破産を検討していることを債権者に伝えることで歩み寄りが得られることがある

特定調停では、どうしても債権者が同意しない場合、自己破産を検討していることを伝えることで歩み寄りを得られることがあります。

例えばですが、債権者に対して、もうここに破産申立書が出来上がっており、裁判所に提出するばかりの状態になっている、返済案を飲まなければ、残念だが、直ちに破産申立をする、そうなると、もう一銭も回収はできませんよという交渉の仕方です。

これは、弁護士でなくとも使える手法です。

特定調停によって、債務の内容が、はっきりした段階では、破産申立書を作成するのは容易です。

裁判所のサイトから申立書などの書式をダウンロードして、債権者の一覧などを埋めるだけです。

実際に申立をするとなると、それなりの知識が必要になってきますが、申立の準備の段階までであれば難しくありません

試してみる価値はあると思います。

作成した申立書を、調停委員を通じて、債権者側に示してもらえばよいだけですから。

②特定調停では3年で返済できなくてもあきらめない

特定調停では、債務の返済計画は、3年で全額が返済できる分割案を採用するのが通常で、これを越える期間の分割は認めてくれないと言われています。

たしかに運用上、3年で返済できるかどうかが目安とされているのは事実です。

しかし、これは別段、法律に規定されているものではありません。

実際上、36回払いを超える長期の分割は、債権者が難色を示すことから、目安とされているだけです。

ですので、3年よりも長期になるからといって、決して諦めないで下さい。

たとえ、ある債権者について、3年をこえる長期となる案であっても、他の、より金額が少ない債権者への支払いが終了するまでは、返済の予算をそちらに多く回し、他の債務の弁済が次々と済んでゆくたびに、長期となる債権者への毎月の支払額を増額してゆくというような、納得できる合理的な案であれば、同意を得られる可能性は高くなります

③特定調停の合意は慎重に

特定調停の調書は、強制執行に直結するものですから、調停案に少しでも不満、不安があるなら、絶対に同意してはいけません

それは、今よりも、事態を悪化させてしまう危険があります。

④調停にかわる決定

債権者の合意が得られない場合でも、裁判所は、妥当と思われる調停案を、「調停に代わる決定」として定めることができます。

これを、17条決定といいます。

しかし、これは後に当事者から異議が出ると、結局、決定自体が効力を失います

ただ、あなたに有利な内容の決定がなされる場合は、何らかの事情で債権者から異議が出てこない場合もありますから(債権者が、出頭はしないけれども、17条決定が出されれば、これに従うと意見表明する場合も多い)、17条決定を出してもらうことをおすすめします。

逆に、17条決定の内容に不満がある場合は、決定が出ても異議を出すことを強く主張し、決定が出ないようにして下さい

それでも決定されてしまったときは、直ちに異議を出して下さい。

異議を出せる期限は二週間です。

⑤特定調停が不成立に終わった場合

希望する内容で合意が成立しなかった場合は、要するに話し合いは無理であるというひとつの結論がでたことを意味します。

そうであれば、個人民事再生や破産を考える段階にたどり着いたことになります。

それは、ひとつ階段を進んだのだとポジティブにとらえるべきです。

どうせ、債務は整理しなくてはならないのです。

目をそむけてはいられません。

そうであれば、早く、次の対策を準備するべきなのです。

しかも、債務内容は明らかになっていますから、この段階で、弁護士に依頼したとしても、その後の手続が早期にスムーズに進めることができるでしょう。

(4)特定調停成立後の段階

調停が成立したら、調停調書に記載された返済条件にしたがって、返済してゆくことになります。

前述のとおり、これに違反すると、直ちに強制執行される危険性があります。

しかし、実際には、予想に反して、返済計画どおりに支払えない事態もありえます。

その時は、もう駄目だとあきらめないで下さい。

もう一度、特定調停を申し立てることが可能です。

特定調停を申し立てる回数に制限はありません。

もちろん、調停が成立してから、間がないにもかかわらず、再度の申立がなされた場合、裁判所は受付をしてくれますが、債権者が話し合いに応じないでしょう。

しかし、最初の特定調停以後、誠実に返済計画を実行してきた人が、やむを得ない経済的事情の変化で支払いが続かなくなったという場合は、十分、話し合いの余地がありますから、是非、再度の特定調停利用を考えて下さい。

まとめ

債務整理をする場合、もっともおすすめは、やはり、費用を支払ってでも、弁護士に依頼することです。

いずれにせよ、破産しない限り、一定の債務は返済しなくてはならないのです。

そうであれば、借金の問題は、弁護士に任せてしまって、あなたは本来の仕事に集中するべきです。

そうすれば、弁護士に支払うコスト以上の成果を得ることができるはずです。

しかし、どうしても弁護士費用を節約せざるを得ないとき、弁護士に依頼できないからと、債務整理をあきらめないで下さい

これまで説明したとおり、特定調停制度を利用すれば、ご本人だけで、債務を整理できる場合あるのです。

チャレンジしてみて、うまくいかなかったら、弁護士に依頼するという選択も可能ですから。

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