弁護士が教える!身内が覚醒剤事件で逮捕された場合の対処方法

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薬物犯罪といえば、芸能人による覚醒剤の使用のニュースがよく話題になります。ここ数年の間では、清原和博氏やASKA氏などが覚醒剤を使用して逮捕されたことが話題となりました。

覚醒剤というと縁遠い世界の話にも思えますが、交際相手から勧められて違法薬物と知らずに使用してしまったり、友人から運搬を頼まれた荷物に違法薬物が入っていたりして意識せずに薬物犯罪に巻き込まれてしまったような報道もされています。

今回は、薬物犯罪の類型と薬物犯罪に巻き込まれたときの対処法について説明していきます。

1、犯罪の類型

(1)覚醒剤

「覚醒剤」に関する犯罪を規制する法律は、覚醒剤取締法という法律です。

覚醒剤に関する犯罪と言っても様々あります。ニュースなどで話題になるのは、覚醒剤を所持する犯罪、覚醒剤を使用する犯罪です。清原和博氏の場合も、覚醒剤を所持し、使用していたという犯罪で捜査がされています。

これらの罪を犯した場合には、10年以下の懲役となります。もし覚醒剤を所持する目的が営利目的である場合には、1年以上20年以下の懲役(情状によっては500万円以下の罰金も併せて科せられます。)になります。

なお、覚醒剤犯罪の中でも最も重い態様の犯罪は、営利の目的をもって、覚醒剤を輸出や輸入する場合です。この場合には、無期もしくは3年以上の懲役(情状によっては1000万円以下の罰金も併せて科せられます。)になります。殺人の刑罰が死刑又は無期もしくは5年以上の懲役であることを考えると、とても重い犯罪と言えるでしょう。

(2)麻薬・向精神薬

①麻薬

一般的に、ヘロインやコカインといわれる薬物は、「麻薬」として規制されます。これらのジアセチルモルヒネを含む麻薬は、麻薬及び向精神薬取締法により規制されます。

麻薬をみだりに譲渡・所持することは、10年以下の懲役が科せられます。麻薬を営利の目的を持って輸出入、譲渡、所持等を行うことは、1年以上20年以下の懲役が科せられます。

②向精神薬

麻薬及び向精神薬取締法は、ジアセチルモルヒネの他に、「向精神薬」の譲渡を規制しています。

「向精神薬」は、みだりに譲り渡し又は譲り渡す目的で所持した場合に、3年以下の懲役が科せられます。もし、譲り渡しが営利の目的である場合には、5年以下の懲役(100万円以下の罰金が併せて科せられることもあります。)が科せられます。

「向精神薬」が規制されていることを知らない方もいらっしゃると思います。例えば、睡眠薬も「向精神薬」に含まれるものもあります。自分が服用している睡眠薬をあまり意識せずに譲り渡したがために、罪に問われることもあります。

警察官がハルシオンという向精神薬を売るために郵送して逮捕された事件がありましたが、犯罪となるのは、この事件のように営利目的の譲渡である場合に限られません。例えば、日頃から不眠治療のために服用している向精神薬を、同じく不眠に悩んでいる友人に譲った場合も罪に問われる可能性があります。

覚醒剤のような薬物は、譲るだけでも犯罪であるとの認識があると思いますが、向精神薬は、日頃服用しているものですから譲ることが違法であることの認識を欠いている場合もありますので注意が必要です。

(3)大麻、危険ドラッグ

①大麻

大麻は、大麻取締役法で規制されます。大麻をみだりに、栽培し、輸出入した人は、7年以下の懲役に科せられます。もし、営利の目的があった場合には、10年以下の懲役(情状により300万円以下の罰金を併せて科せられることもあります。)に科せられます。

また、大麻をみだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した人は、5年以下の懲役が科せられます。もし、営利の目的があった場合は、7年以下の懲役(情状によっては200万円以下の罰金が併せて科せられることもあります。)に科せられます。

②危険ドラッグ

他方、いわゆる「危険ドラッグ」は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で規制されます。

危険ドラッグの使用や製造等は、押尾学氏やNHKのアナウンサーが罪に問われて話題になりましたし、危険ドラッグの使用者が自動車事故などを起こして社会問題になりました。

危険ドラッグは、それが指定薬物として指定されているものであれば、危険ドラッグを製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用した場合に、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に科せられます。

2、手続きの流れ、弁護の方針

(1)手続きの流れ

薬物犯罪についても弁護士が行う弁護方針は基本的に同一です。被疑者と接見し、釈放に向けた活動や不起訴を獲得するための活動を行います。

大まかな刑事手続きの流れや、どのように弁護士を選び、弁護士が何をやってくれるかは、「刑事事件とは?手続きの流れと民事事件との違いについて」「身内が逮捕されて弁護士への依頼を考えた際に知っておきたいこと」の記事をご参照下さい。

①逮捕

薬物犯罪では、薬物の所持・使用が疑われるような状況から現行犯逮捕される場合や、十分な捜査を経て家宅捜査などによって薬物が発見されて現行犯逮捕される場合などが多いです。

警察官に逮捕されると、逮捕から48時間以内に検察官に送致されます。検察官に送致されるまでの間、警察官によって取り調べ等の捜査が行われます。

②勾留

逮捕されてから48時間以内に被疑者の身柄が検察官に送られます(このことを、「送検」と言います。)。そしてその後、検察官は被疑者を勾留するかどうかを判断した上で、裁判所に対して勾留請求をします。

裁判官は、検察官の請求を受けてその請求が妥当か否かを判断して勾留決定または却下決定をします。もし勾留決定がなされると、勾留請求の日から10日間勾留されることになります。

薬物犯罪の多くは、罰金刑のみ科すことができないように定められているため、勾留されることが多いです。

③勾留延長

10日間の勾留により十分な捜査ができなかった場合には、最長でさらに10日間勾留期間が延長されることがあります。

④起訴

検察官は、勾留期間の終盤に、被疑者を裁判にかける必要があると判断した場合、起訴をします。

検察官が起訴した場合には、引き続き身体拘束されます。身体拘束を解くためには、保釈という手続きをとる必要があります。

なお、起訴されると被疑者は被告人になります。

⑤裁判

検察官が被疑者を起訴すると裁判になります。裁判は、起訴から1ヶ月ほどで開かれ、罪を認めている場合には、一日で終わり、次の裁判の日に判決が言い渡されます。

(2)弁護の方針

弁護の方針は、被疑者・被告人が犯罪の事実を否認している場合か犯罪の事実を認めている場合かによって、以下のように大きく異なってきます。

①否認事件

  • 争点となるポイント

薬物の所持や使用といった犯罪は、所持していた物や血液・尿などを化学的に分析することにより高い精度で特定することが可能ですので、所持していた薬物や使用した薬物が違法薬物ではないという争い方はあまりしません。

薬物の否認事件で多い類型は、薬物が違法なものだとは知らなかっただとか、薬物の所持は営利の目的ではなかったなどのように、被疑者・被告人の内心を争うような類型です。例えば、使用した薬物が覚醒剤であったとしても、その薬物を覚醒剤ではない合法な薬物であると認識していたのであれば、無罪となります。また、使用した薬物が覚醒剤であったとしても、その薬物を覚醒剤ではない他の違法な薬物と認識していた場合、他の薬物を使用した罪が覚醒剤よりも軽い罪であれば、その軽い罪の限度で処罰されることになります。

では、被疑者・被告人が「覚醒剤であるなんて知らなかったんですよ~」と弁解すれば、「ああ、そうですかそれなら仕方ありませんね」となり、無罪となるかというとそんな単純な話ではありません。

被疑者・被告人の薬物に対する認識は、被疑者・被告人の供述だけではなく、第三者の供述や様々な客観的な事実に基づいて推測されます。

実際に、使用した薬物が覚醒剤であるとは知らなかったと主張して無罪とされた裁判例も見受けられます。例えば、使用していた薬物が覚醒剤であったが、被告人は合法ドラッグであったと認識していたと主張し、その主張が認められ、無罪となった裁判例(徳島地方裁判所 平成25年(わ)第259号)があります。

  • 弁護方針

起訴前

このような否認事件では、弁護士は、起訴前において、被疑者と接見し、自己に不利な供述をしないようにアドバイスしたり留置所外の家族等の言葉を伝えたりします。これにより、被疑者が本当は違法薬物ではないと認識していたのに、違法薬物であると認識していたと供述してしまわないように活動します。

警察・検察の収集している証拠を起訴前に把握することは難しいですが、違法薬物であるとの認識を欠いていたとする証拠が存在するならば、身柄を拘束された被疑者に代わって証拠を収集することも可能です。

起訴前において、被疑者の供述が得られず、十分な証拠を収集することができなければ、不起訴を獲得することも可能です。

起訴後

被告人に違法薬物の認識があったことは、検察官に立証責任があります。そのため、弁護人は、裁判において、検察官の立証が足りていない旨を主張する活動を行っていきます。

②認め事件

薬物犯罪は、怪我を負わされたというような典型的な被害者がいません。怪我を負わせた相手がいるならば、その相手と示談することにより、過去に犯した罪に対する報いという側面は低下して、不起訴を獲得できたり、有利な量刑を導いたりすることができます。

しかし、薬物犯罪は、示談すべき相手がいません。また、薬物犯罪は、犯罪の性質上、犯行の動機や態様、結果による刑の違いがあまり大きくなく、実際上、同種前科の存在がほぼ量刑を決定付ける働きをしていると言われています。

つまり、薬物犯罪は、同種の薬物犯罪の前科の有無が量刑を決定付けてしましますので、弁護人の活動による量刑への影響は限定的な犯罪です。

しかしながら、薬物犯罪の裁判は、問題となった犯罪に関する裁判の結果のみではなく、その人の人生をどのように再生していくかということも大変に重要になります。薬物犯罪は、非常に再犯率の高い犯罪です。覚醒剤取締法違反で検挙された人のうち、過去に覚醒剤取締法違反で検挙されたことがある人は、63.5%です。窃盗で検挙された人のうち、過去に窃盗で検挙されたことのある人が20.1%であることと比較すると非常に高い再犯率と言えます(平成27年版犯罪白書)。

そのため、量刑への影響は限定的であるとしても、再犯しにくい環境を整えることが弁護人の活動として大変重要になります。

再犯しにくい環境を整えるために、弁護人としては、例えば、書籍等の差し入れ(勾留中に、依存症に対する理解を深め、同種の犯行を繰り返さないためにどのような行動が必要なのかを具体的に考えてもらう契機になります。)や、情状証人の活用(身近な人が裁判に証人として証言することを目の当たりにして、後悔や更生の意欲を深めることが期待できます。)、さらにはダルクなどの依存症更生施設の紹介(依存者が宿泊したり通ったりしながら治療を受ける施設)などを行うことが考えられます。

薬物犯罪の弁護にあたっては、このような再犯の可能性を少しでも減少させ、被告人の社会復帰を積極的に支援してくれるかということも非常に重要な選択要素となります。

3、薬物犯罪で逮捕されたら弁護士に依頼するべき?依頼するメリットとデメリット

薬物犯罪で逮捕された場合、弁護士に依頼するメリット・デメリットは基本的には他の犯罪の場合と同様です。

この点については、「身内が逮捕されて弁護士への依頼を考えた際に知っておきたいこと」で説明していますので、こちらをご覧下さい。

ただ、薬物犯罪は、示談すべき相手がいませんので、示談が成立することはありません。

他方で、薬物犯罪は、再犯のおそれの高い犯罪であり、本件裁判において再犯を防ぐ環境をいかに整備できるかということが、その裁判の刑の重さを決めるうえではもちろんのこと、その方の人生においてもとても大切です。

そのような弁護活動をしてくれる弁護士に依頼することは、人生を再設計するうえで必要不可欠なものであると言えます。

覚醒剤事件に関するまとめ

今回は覚醒剤事件などの薬物犯罪について紹介していきましたがいかがでしたでしょうか。薬物犯罪に巻き込まれた場合のご参考になれば幸いです。

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