総量規制とは?総量規制対象外の借入方法とは?総量規制の8つの知識

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あなたが、個人でローンやキャッシングを利用しようとするとき、最初に心配することが、果たして借りられるか?という点です。

それを検討するには、「総量規制」という、融資金額を制限する法制度について、知っておく必要があります。

これから、総量規制について、是非、備えておいていただきたい知識を、借金問題に精通したベリーベスト法律事務所の弁護士が説明します。

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1、貸金業法の「総量規制」とは

(1)年収によって、借りられる金額の上限があります。それが総量規制

例えば、あなたが年収240万円で、急にお金が必要となって、消費者金融にキャッシングを申し込んだとしましょう。

融資を申し込んだ金額が、80万円であれば、融資を受けることができます。

しかし、81万円であれば、原則として、融資を受けることはできません。何故でしょうか。

(2)貸金業者が行政処分を受ける、総量規制違反

それは、貸金業者が、個人に対して融資して良い金額は、借主の年収の3分の1を超えない金額とされており(貸金業法第13条の2第1項及び第2項)、これを越える金額を融資したときは、登録の取消や営業停止などの厳しい行政処分を課されるからです(貸金業法第24条の6の4第1項の2)。

これを、俗に「総量規制」と呼んでいますが、法律上の正式名称ではありません。正式には、「過剰貸付等の禁止」と言います。

2、総量規制の年収とは

総量規制は、簡略にいうと、年収の3分の1を超える金額の貸付を禁止することです。

では、そこでいう「年収」とは、具体的に何を指しているのでしょうか。

ここにいう年収の3分の1は、前述の貸金業法の法文では、「当該個人顧客に係る基準額(その年間の給与及びこれに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるものを合算した額)に三分の一を乗じて得た額をいう。」(第13条の2第2項)と表現されています。

つまり、年収には、「その年間の給与」(下記「1.」)と「これに類する定期的な収入の金額として内閣府令で定めるもの」の二種類があります。

内閣府令で定める定期的な収入源は、下記「2.」ないし「5.」の5つです(貸金業法施行規則第10条の22第1項)。

(1)年間の給与

通勤手当、住宅手当、残業手当などの各種手当も含みます。

これらは、名称が手当であっても、法的には、すべて労働の対償だからです。

賞与も含みます(同施行規則第10条の22第3項)。

手取り金額ではなく、支給総額、つまり税金、社会保険などの控除前の金額です。

(2)年間の年金

公的年金だけでなく、私的年金も含みます。

(3)年間の恩給

恩給とは、公務員が退職・死亡したときに支給される年金等のことです。

現在では、共済制度に移行しているので、恩給の受給対象者は、国家公務員の場合は1958年、地方公務員の場合は1962年以前の退職者と遺族です。

(4)年間の定期的に受領する不動産の賃貸収入(事業として行う場合を除く。)

事業としての不動産賃貸収入は、下記(5)の事業所得となります。

(5)年間の事業所得(過去の事業所得の状況に照らして安定的と認められるものに限る。)

事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。

以上の(1)ないし(5)以外の収入は、すべて考慮されません。

よく質問されるものとして、生命保険金、損害保険金、宝くじ、ギャンブル(競馬、競輪など)、株式配当、預貯金利息金、譲渡所得などは、対象外です。

退職金も、定期的な収入ではありませんので、対象外です。

つまり、法の趣旨は、借主の経済生活を保護することにありますので、一時的、突発的、例外的な収入は、たとえ高額な収入であっても、返済能力の資料にはしないのです。

以上の「1.」ないし「5.」以外の収入は、すべて考慮されません。

よく質問されるものとして、生命保険金、損害保険金、宝くじ、ギャンブル(競馬、競輪など)、株式配当、預貯金利息金、譲渡所得などは、対象外です。

退職金も、定期的な収入ではありませんので、対象外です。

つまり、法の趣旨は、借主の経済生活を保護することにありますので、一時的、突発的、例外的な収入は、たとえ高額な収入であっても、返済能力の資料にはしないのです。

3、総量規制(過剰貸付禁止)の「除外」とは

(1)総量規制の適用を受けない融資契約がある

先に、貸金業法第13条の2第1項及び第2項で、「個人過剰貸付」は禁止されていることを見ました。

しかし、同第2項は、「住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約」を除くとして、個人過剰貸付から除外される契約、つまり貸付しても良い融資契約を認めています。

(2)個人過剰貸付契約から除かれる契約

これを受けて、貸金業法施行規則第10条の21第1項は、下記の除外契約を規定しています。

①不動産(借地権含む)の建設、購入、改良に必要な資金の融資(1項1号)

これは、借入金が、借主の資産となったり、資産価値を増加させたりしますから、返済能力から見た借主保護の観点からは除外してよいからです。

②不動産(借地権含む)の建設、購入、改良に必要な資金の借り入れのつなぎ融資(1項2号)

これも、①と同様です。

③自動車ローンのうち、その自動車が所有権留保又は譲渡担保によって、ローンの担保となっている融資(1項3号)

これは、自動車が担保となって、借主の返済能力を裏打ちしていますから、除外されています。

④借主又はその親族で借主と生計をひとつにする者の高額療養費・医療費の融資(1項4号イ乃至ヘ)

これは返済能力からする借主保護よりも、借主と家族の健康維持という緊急事態における資金の必要性を優先させたものです。

⑤有価証券担保貸付(1項5号イ及びロ)

これも、有価証券を担保として、借主の返済能力を裏打ちしていますから除外されています。

⑥不動産担保貸付(1項6号)

これも、不動産を担保として、借主の返済能力を裏打ちしていますから除外されています。

ただし、借主及び物上保証人の住居、住居用地、生計維持のために必要な物件(借地権含む)は、除外されます。

また、借主の返済能力を超えていないと認められる不動産貸付である必要があります。

⑦借主が売却を予定している不動産(借地権を含む。)を所有しており、その売却代金で返済することを予定し、かつ、返済可能な貸付。(1項7号)

これも、返済能力に問題がないものとして除外されています。

ただし、不動産の売却によって、借主の生活維持が困難となる場合は除きます。

⑧融通手形を除く手形割引(1項5号、第1条の2の3第2号)

手形割引は、法的には消費貸借に類似しますが、手形所持者である借主が有している手形の原因債権(例えば、手形取得の原因となった売掛債権)が返済能力の裏打ちとなりますので、除外されています。

融通手形は、原因債権がありませんので、その割引は除外されません。

⑨金融商品取引業者が顧客から預かっている有価証券を担保として行う貸付(1項5号、第1条の2の3第3号及び第4号)

これは、金融商品の決済や解約手続のために、業者に預けている証券を担保扱いとして資金を融資した形とするものであり、一応、返済能力の裏打ちがあるとされて除外されます。

⑩貸金業者を債権者とする金銭の貸借の媒介に係る契約(1項5号、第1条の2の3第5号)

金銭の貸借の「媒介」とは、金銭貸借契約の締結の勧誘、同契約の勧誘を目的とした商品説明、同契約の締結に向けた条件交渉など、融資を受けたい者と融資を行いたい者との間に立って金銭貸借契約の成立に尽力する行為一切を言います。

媒介に過ぎませんので、媒介行為それ自体には、規制は及びません。

(3)個人過剰貸付契約から「除外」される契約の意味

①総量規制にかかわらず融資が可能

貸金業法第13条の2は、「個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約」のうち、「住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約」「住宅資金貸付契約等」として、これを「個人顧客を相手方とする貸付けに係る契約」から除外すると規定していました。

つまり最初から、「個人過剰貸付契約」か否かの判断対象とならないことを意味します。

したがって、住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約であれば、年収の3分の1を超える場合でも、融資可能となります。

②除外契約の残債務は、計算外となる

他方、同じく貸金業法第13条の2は、「個人顧客合算額」つまり、顧客が負担している債務額が、「個人顧客に係る基準額」つまり、年収の3分の1を超える場合は、融資できないと規定したうえで、「個人顧客合算額」つまり、顧客が負担している債務額には、「住宅資金貸付契約その他の内閣府令で定める契約」の貸付残高は含めないとしているのです。

つまり、除外される契約は、借主の債務負担額が年収の3分の1を超えることになろうとも融資できるということの他に、借主の債務負担額を計算する上でも、計算外として良いことになります。

除外とされる契約は、総量規制との関係では、まったく問題外ということです。(ただし、前出のように、除外されるか否かの条件は厳格です。)

4、過剰貸付禁止の「例外」とは

(1)過剰貸付であっても許される「例外」

先に、貸金業法第13条の2第1項及び第2項で、「個人過剰貸付」は禁止されていることを見ました。

しかし、同第2項は、「当該個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約として内閣府令で定めるものを除く。」として、個人過剰貸付であっても、貸付が認められる例外があるとしています。

(2)例外となる具体例(個人顧客の利益の保護に支障を生ずることがない契約)

これを受けて、貸金業法施行規則第10条の23第1項は、下記の例外契約を規定しています。

①顧客に一方的に有利となる借換え(第1項1号及び1の2号)

これは、いわゆる「おまとめローン」、「借り換えローン」です。

おまとめや借り換えによって、借主の返済条件が、従前よりも不利にならないことが例外の条件として細かく規定されています。

②借主及び生計をひとつにする親族の医療費の緊急貸付け(1項2号)

借主やその家族の病気やけがで、緊急に医療費が必要になった場合は、総量規制にかかわらず、貸付けを受けられる場合があります。

③特定緊急貸付(1項2の2号)

これは、社会通念上緊急に必要と認められる費用(貸金業法施行規則第10条の23第5項)であり、その一例として、外国において緊急に必要となった費用(同第4項)が規定されています。

例えば、海外で窃盗被害に会って緊急に現金が必要となった場合や、葬儀費用、自然災害の被害にあった場合の当座の生活費などです。

融資金額は10万円以内、返済期間は3か月以内との制限付きです。

④配偶者と併せた年収の3分の1以下の貸付け(1項3号)

配偶者貸付と称されます。

夫と妻の年収を合計した金額の3分の1を超えない限度で、貸付を受けることができます。

これは主に専業主婦(専業主夫も)の方が融資を受けることを念頭において例外とされました。

他方の配偶者の同意書と戸籍又は住民票の提出が必要となります。

⑤個人事業主の事業資金貸し付け(1項第4号及び5号)

個人事業主については、事業計画、収支計画など厳密な資料に基いて、その返済能力を超えないと判断されることを条件に、現在の個人事業主のみならず、新たに個人事業を開始しようとする場合でも、貸付を可能としてます。

⑥預金取扱金融機関の融資が実行されるまでのつなぎ資金の貸し付け(1項第6号)

銀行、信金などの金融機関へ融資の申込をし、その融資を受けることが確実である場合、返済期間1か月の条件で、つなぎ融資の貸付が認められています。

(3)総量規制(過剰貸付禁止)の「例外」と「除外」の差異

過剰貸付禁止の例外は、あくまでも例外的に融資が許されるということに留まります。

「除外」は、「個人顧客合算額」つまり、借主の総債務額の計算にあたって計算外として良いという規定がありましたが、「例外」には、このような規定はありません。

したがって、例外の場合、融資を受けることは可能ですが、融資を受ければ、それは次の融資を受ける場合の年収の3分の1の債務額の中に含まれることになります。

5、総量規制を受ける「貸主」

(1)銀行ローンは総量規制の対象外

年収の3分の1を超える金額で、除外にも例外にもあたらない場合は、誰からも融資を受けられないのかと疑問に思われる方もいるかもしれません。

しかし、これまで述べてきたように、総量規制は、貸金業者に適用される貸金業法で定められたものであって、貸金業者以外からの借り入れには適用されません。

したがって、友人、知人などの個人からの借り入れ、銀行、信用金庫、労働金庫などからの借り入れ(銀行ローン、銀行カードローン)は、総量規制は問題になりません。

他方、いわゆる消費者金融、商工ローン、クレジットカード会社は、貸金業者に該当し、総量規制を受けます。

(2)総量規制を受ける貸金業者の調べ方

ある業者が貸金業法の適用を受ける貸金業者であるかどうかは、簡単に調べられます

貸金業者は、財務局又は都道府県に登録が必要です。したがって、必ず、登録番号があります。

「○○財務局(☓☓)第○○○○号」などいう番号で、貸金業者は、この登録番号の表示も義務付けられています。

もしも、登録番号が不明の場合は、金融庁のホームページ「登録貸金業者情報検索」で調べることができます。(尚、登録がない場合は、闇金融業者である危険がありますから、絶対に借りてはいけません。)

(3)ショッピングは総量規制の適用対象外

クレジットカード会社は、貸金業者ですが、クレジットカードを使って、商品や役務(各種サービス)を「ショッピング」として購入する場合は、貸金業法の適用対象ではありません。

これらは、あくまでも代金の分割後払いであって、貸金ではないとされ、他の法律(割賦販売法等)の適用対象です。

したがって、クレジットカードの利用は、キャッシングなら総量規制の対象となり、ショッピングなら対象外です。

6、3分の1であることを要する債務額とは(複数借り入れがある場合)

総量規制において、複数の貸金業者から借入れがある場合は、すべての借入れの合計額が年収の3分の1以内であることが必要です(貸金業法第13条の2第2項、同第13条3項2号)。

7、貸金業者が債務額と収入を知る方法

貸金業者が、あなたの債務額を知る方法は「指定信用情報機関」の情報、いわゆる信用情報のデータです。

貸金業法では、このデータを使用することが義務付けられています。(貸金業法第13条2項)

他方、あなたの年収については、次の2段構えとなっています。

貸金業者から総額50万円を超えて借りる場合又は、他の貸金業者から借りている分も合わせると100万円を超えて借りることになる場合には、借主から「年収を証明する書類」の提出を受ける必要があります。(貸金業法第13条3項)

他方、上記以外の場合は、年収を証明する書類の提出は不要なので、借主の自己申告に基いて年収を判断すれば足ります。

「年収を証明する書類」には、次の各書類が規定されています。(貸金業法第13条3項、貸金業法施行規則第10条の17第1項各号)

  • 源泉徴収票
  • 支払調書
  • 給与の支払明細書
  • 確定申告書
  • 青色申告決算書
  • 収支内訳書
  • 納税通知書
  • 納税証明書
  • 所得証明書
  • 年金証書
  • 年金通知書

まとめ

以上で、貸金業法に基づく総量規制の概要説明を終わります。

貸金業法及びその施行規則は、とても細かい条文が規定されていますので、全部を御紹介はできませんが、基本的な事項は解説しています。

さて、年収の3分の1以上は借りられないという原則、あなたは、どう思いますか?余計なお世話と思うでしょうか?

それとも、この規制があるおかげで、破綻の一歩手前で踏みとどまれると思うでしょうか?

ご説明したとおり、総量規制といっても、除外、例外があり、また全ての借金を対象としているわけではありません。

この規制があっても、返済能力を超える借金をすることなど、本当は、とても簡単なことです。

だったら、不要な規制なのでしょうか?

それは、あなたが、この制度をどのように見るかによって、違ってくるはずです。

何故、「年収の3分の1」なのかを、よくお考えになって下さい。

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