スピード違反の事故に巻き込まれたら必ず知っておきたい7つのこと

周辺の道路で自動車が速度超過で事故を引き起こし、巻き込まれてしまった・・・

このように、もしスピード違反の事故の被害者になってしまったら、どのように対処すればよいのでしょうか。

「スピード違反の交通事故に巻き込まれてしまった。保険会社とのやり取りなどをどのように対応すればいいか知りたい」
あなたは今そうお考えではないでしょうか?

車を運転している方の中には、大事な用事に間に合わない、いつも走り慣れている道だから、とついスピードを上げて走行したことのある方は少なくないと思います。
また、自分は安全に運転していても、周囲に制限速度を超過して走行している車両に出会うこともあります。
車を運転していると、いつ交通事故の被害者に、また加害者になるかわからないのです。

このようなスピード違反の車両との間で交通事故に遭ってしまったり、逆にスピード違反をしてしまったときに交通事故を起こしてしまったら、

  • 過失割合や損害賠償額に影響はあるのか、
  • 行政処分や刑事罰を受ける可能性があるのか、

など、スピード違反によって交通事故が起きた場合に知っておくべきポイントについて、ベリーベスト法律事務所の交通事故専門チームの弁護士が解説していきます。

また、こちらの関連記事では交通事故での被害者が損をしないための知識について解説しています。突然の交通事故に遭遇されお困りの方は、こちらもあわせてご参考いただければと思います。

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1、スピード違反による交通事故の過失割合

交通事故における双方の過失割合は、直進車同士の衝突か交差点における出会いがしらの衝突か、双方の道路の幅はどうか等の状況毎にパターン分けされ、それぞれのパターン毎に、これまでの裁判例を参考にした基本的な過失割合が定められています。

しかし、当事者の一方が制限速度を超過して走行していた場合(いわゆるスピード違反の場合)で、それが交通事故の原因の一つとなっている場合は、この基本的な過失割合が修正されます。

一方の当事者にスピード違反がある場合、基本的な過失割合に10~20%程度過失が加算されるのが一般的で、スピード違反の程度が大きいほど、より過失が加算される傾向にあります。

このパターンごとの基本的な過失割合は、「>民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準【全訂5版】別冊判例タイムズ38号」に細かく記載されています。

2、スピード違反が交通事故の示談の金額(慰謝料)に与える影響

1、で述べたように、一方当事者にスピード違反があり、それが交通事故の原因の一つとなっている場合は、過失割合が修正(加算)されます。過失割合が修正(加算)されると、相手方に生じた損害に対する支払い義務が増加します。

例えば、交通事故によって生じた損害の総額が1、000万円で、過失割合が50%:50%の場合、自分に支払義務のある損害賠償額は500万円ですが、同じ事例で過失割合が70%:30%に修正されると、自分が70%の過失割合であれば、支払義務のある損害賠償額は700万円になるのです。

また、スピード違反による交通事故の場合、悪質な交通違反であることを理由に、負傷に伴う慰謝料額が通常よりも増加する場合があります。

ただ、過去の裁判例等においては、大幅なスピード違反でない場合は、慰謝料額には影響を与えなかった事例も多くみられます。

3、交通事故の相手方がスピード違反をしていたことを証明するには

(1)交通事故の裁判における立証責任

交通事故の過失割合について、事故の当事者双方の言い分が食い違う場合は、最終的には裁判で解決するしかありません。
そして、裁判において、最も大切なのは、相手方の過失は、それを主張する方が立証(証拠で証明すること)しなければならない、ということです。

つまり、「相手が、制限速度が時速60kmの道路を時速100km程度で走行していた」ということは、それを主張する側が証拠をもって証明しなければならず、証明できなかった場合は、相手方がスピード違反をしていなかったという前提で過失割合が判断されるということです。これを立証責任といいます。

(2)スピード違反の証明方法

①ドライブレコーダーの映像

近年、ドライブレコーダーの普及に伴い、その映像が、交通事故の裁判において大きな影響を与えるようになってきました。

以前は、交通事故が発生した状況を記録した証拠はなく、事故後の状況から推認するしかなかったのですが、ドライブレコーダーに保存されている、まさに事故の発生当時の映像を検証することができるようになりました。
そのため、相手方が制限速度を超過して走行していたことの証明は容易になりました。

ただ、ドライブレコーダーは、自身に不利な状況も記録されてしまっています。
自分に不利な状況が記録されているからといって、ドライブレコーダーを搭載していたのにそれを裁判に提出しないと、逆に提出しないことが何かを隠しているのではないかと推測されてしまったり、裁判所から提出するように求められる可能性があるという点には注意が必要です。

②近隣店舗等の防犯カメラ

交通事故現場付近の店舗等に防犯カメラが設置されている場合は、交通事故当時の状況やその直前の状況等が記録されている場合があります。
これも、ドライブレコーダーの映像と同様、裁判において重要な証拠となります。

ただ、一般的に、店舗等の防犯カメラの映像は、数日~数週間程度しか保存されていない場合が多いことや、直接防犯カメラの映像を見せて欲しいと告げても、難色を示される場合が多いという難点があり、裁判に提出するのが困難な場合も少なくありません。

③警察が作成した実況見分調書、供述調書

ドライブレコーダーや防犯カメラの映像等によって、交通事故当時の状況が残っていない場合は、交通事故の発生直後に警察が行った実況見分の結果を記載した実況見分調書が参考になります。

実況見分調書には、事故直後の車両の位置や、破損状況等が記載されています。
また、実況見分調書やそれとともに作成された供述調書には、事故直後の双方の供述(言い分)が記載されています。裁判になって事故当時と違う主張をし始める者もいますし、事故から時間が経つと記憶も曖昧になってくることから、事故直後の供述内容を確認することは大切です。

④車両の損傷状況

事故による車両の損傷状況は、双方の車両のスピードに最も影響を受けます。
高速度で走行していた車両による事故のほうが損傷の程度も大きいからです。
ですから、車両の損傷の程度は、相手方が制限速度を超過していたことの有力な証拠となります。

ただ、損傷の程度から事故当時の速度を推認するのは、専門的な知識が必要であり、鑑定人による鑑定が必要な場合もあります。

4、スピード違反による交通事故について相談するには

交通事故において相手方がスピード違反を犯していたことは、過失割合を認定する際に、自分に有利にはたらきます。

ただ、相手がそれを認めていない場合に、裁判等でこれを証明するのは、ドライブレコーダーの映像等があれば別ですが、そうでない場合は容易ではありません。

そして、証拠で証明できない場合、裁判では、相手方がスピード違反をしていたことが認められません。そのようなことのないよう、事故から時間が経過していないうちに、しっかりと証拠を収集する必要があります。

ただ、その証拠の収集は一般の方には困難な場合が多いことから、専門家である弁護士に相談をし、弁護士に証拠を収集してもらったり、捜査機関に働きかけてもらったりする等の対応が必要です。

なお、弁護士に依頼をした際の費用が心配な方もおられると思いますが、加入している任意保険に弁護士費用に関する特約があり、保険によって弁護士費用が賄われる場合もありますから、確認しておいた方がよいでしょう。

5、スピード違反で交通事故を起こした場合の違反点数や罰金について

(1)スピード違反自体の違反点数

スピード違反で交通事故を起こした場合、まずスピード違反について違反点数が与えられます。
スピード違反の場合の違反点数は、一般道と高速道路によって異なり、また、超過した速度によっても異なります。

具体的な違反点数は下記の表のとおりです。

違反点数が6点になると、交通違反の前歴がない場合でも一発免停になるので注意が必要です。

<一般道の場合>

超過速度

点数

       ~20km未満

1

20km以上~25km未満

2

25km以上~30km未満

3

30km以上~50km未満

6

50km以上~

12 

<高速道路の場合>

超過速度

点数

~20km未満

1

20km以上~25km未満

2

25km以上~40km未満

3

40km以上~50km未満

6

50km以上~

12

(2)人身事故の場合の加算

人身事故の場合、スピード違反自体の違反点数に加えて、被害者の負傷の程度や双方の程度によって、下記の表のとおりの違反点数が加算されます。

また、スピード違反による人身事故は、スピード違反であると同時に安全運転義務違反(違反点数2点)にもなり、違反点数の高い方の点数のみ適用されるため、スピード違反の違反点数が2点未満の場合は安全運転義務違反の2点に、スピード違反の違反点数が2点以上の場合はスピード違反の違反点数に、下記の表のとおりの違反点数が加算されることになります。

被害者の負傷程度

過失(不注意)の程度

違反点数

死亡事故

運転者の一方的な過失

20

相手方にも過失があった場合

13

傷害の程度

全治3か月以上

運転者の一方的な過失

13

  又は

身体に後遺障害が残ったとき

相手方にも過失があった場合

9

全治30日以上3ヶ月未満

運転者の一方的な過失

9

相手方にも過失があった場合

6

全治15日以上30日未満

運転者の一方的な過失

6

相手方にも過失があった場合

4

全治15日未満

運転者の一方的な過失

3

  又は

建造物損壊事故

相手方にも過失があった場合

2

(3)物損事故の場合の加算

物損事故の場合は、事故による違反点数の加算はありません。
ですから、スピード違反で交通事故を起こした場合でも、人身事故にならず物損事故にとどまった場合は、スピード違反による違反点数のみが与えられることになります。

6、スピード違反で交通事故を起こした場合の刑事罰について

(1)人身事故の場合

①過失運転致死傷罪

交通事故を起こして相手に怪我を負わせてしまった場合、過失運転致死傷罪が成立します。過失運転致死傷罪の法定刑は、7年以下の懲役(もしくは禁錮)又は100万円以下の罰金です。

この場合、まず、警察で取り調べを受けた後、検察に送られ(送検)、検察官が起訴するかどうかを判断します。
起訴されるかどうかは、本人の交通違反の前歴・前科の有無や、その事故における被害者の負傷の程度、被害弁償(示談)ができているかどうか等の事情が考慮されます。
起訴された場合は、裁判所で刑事裁判が行われ、上記の法定刑の範囲内での刑事罰が決定します(ただし、執行猶予が付く場合もあります)。

②道路交通法違反

スピード違反を犯した場合は、事故になっていない場合であっても、道路交通法違反となり、やはり刑事罰を受ける可能性があります。

ただ、スピード違反の場合、超過速度が、一般道で時速30km未満、高速道路で40km未満の場合は、交通反則通告制度(反則金制度)の対象となり、反則金を納めることで刑事罰を免れることができます。

しかし、前記以上の速度違反については、過失運転致死傷罪と同様、警察や検察の取り調べを経て、検察官が起訴をするかどうかを判断します。
スピード違反の法定刑は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金です。

なお、スピード違反の場合で、検察官が、罰金刑が相当であると判断した場合、違反者本人の同意があれば、正式起訴ではなく略式起訴ですませる場合もあります。
略式起訴の場合、起訴と同時に裁判所から略式命令が出され、その場で罰金を納めれば手続きが終了するので、正式裁判を受ける必要はなくなります。

スピード違反を犯して交通事故を起こし、相手方に怪我をさせてしまった場合は、前記の過失運転致死傷罪と道路交通法違反(速度超過)の両方の罪が成立します。
自動車運転過失致死傷罪と道路交通法違反(速度超過)の両方の罪が成立して起訴された場合、懲役10年6か月以下又は罰金110万円以下の範囲で刑事罰が与えられます(執行猶予がつくこともあります)。

③危険運転致死傷罪

スピード違反で交通事故を起こして相手方に怪我をさせてしまった場合に、そのスピード違反の程度が、「進行を制御することが困難な高速度」である場合、危険運転致死傷罪が成立する可能性があります。

危険運転致死傷罪の法定刑は15年以下の懲役と定められており、非常の重い犯罪の一つとされています。
「進行を制御することが困難な高速度」かどうかは、単にスピードだけでなく、走行していた道路の状況等によって個別に判断されますが、一般的に、直進道路では法定速度を時速50km以上超過した場合、カーブ等では時速40km以上超過した場合に適用が検討されることが多いようです。

(2)物損事故の場合

物損事故の場合、特に刑事罰はありません。
ただ、民事上、相手の車両の修理代等については、過失割合に応じた損害賠償義務が生じます。
この損害賠償義務については、自賠責保険は使えませんので、加入している任意保険を利用するか、自身で負担しなければならないことに注意が必要です。

7、スピード違反による交通事故で逮捕されてしまった場合の相談先

スピード違反による交通事故で相手方を負傷させてしまった場合、過失運転致死傷罪や道路交通法違反、場合によっては、危険運転致死傷罪が成立します。そして、場合によっては、逮捕されてしまうこともあります。

交通関係の裁判においては、起訴されるかどうかの判断や量刑の判断において、交通違反の前歴や前科、交通違反の程度、被害者の負傷の程度に加えて、被害者への被害弁償が行われているかどうか、示談が成立しているかどうかという点が考慮されます。

ただ、逮捕された状態では、被害者と直接示談交渉を行うことはできませんし、保険会社に依頼してもそんなに急いでくれるとは限りません。
ですから、弁護士に依頼をして示談交渉をすすめてもらうことが大切です。

また、示談交渉だけでなく、なるべく起訴されないように、起訴されてしまったとしても執行猶予がつくように刑事弁護をしてもらうことも重要ですから、逮捕されてしまった場合は早急に、仮に逮捕されていない場合でも、警察や検察の取り調べを受けることになったらできるだけ早めに弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

交通事故は、我々がいつ加害者になるかわかりませんし、被害者になってしまう可能性も十分ありえます。
そして、その交通事故の原因にスピード違反がある場合、過失割合や慰謝料の額に影響があることから、被害者であれば、相手方のスピード違反をきちんと証明することが大切ですし、そのために、事故から間もないうちに証拠を集めておく必要があります。

また、加害者になってしまった場合は、刑事処分との関係からも、早期に被害者との示談交渉をすすめる必要があります。

交通事故に遭っただけでも災難なのに、上記のような事故後の対応まで自分で全てしなければならないのは非常に大変な負担になります。
ですから、万が一、スピード違反による交通事故の当事者になってしまった場合には、早期に弁護士に相談されるのがよいでしょう。

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