交通事故の逸失利益の計算で知っておきたい5つのこと

交通事故の逸失利益は、交通事故がなければ将来得られるはずだった収入のことです。

交通事故で亡くなってしまったあるいは後遺症が残ってしまった場合に被害者の方は加害者(加害者の加入する保険会社(以下「保険会社」といいます。)を含む)に対し「逸失利益」を請求することができます。

逸失利益という言葉を聞いたことがあっても、あまりイメージができない方も多いかと思います。

逸失利益については、交通事故被害者の方が保険会社と交渉(示談)する際、よく問題となる(又は良く分からないので問題であること自体に気がつかずに示談してしまう)もののひとつです。

そこで、以下では、逸失利益がどのようなものかということについて、ご説明します。

交通事故における示談については以下の関連記事もご覧ください。

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1、そもそも逸失利益って何?

逸失利益とは、交通事故が原因で死亡又は後遺障害が残った場合、死亡又は後遺障害のために、減った収入のことをいいます。

逸失利益には

  • 後遺障害逸失利益
  • 死亡逸失利益

があります。

後遺症逸失利益とは、交通事故が原因で後遺障害が残った場合に、後遺症が残ったために、将来得られるはずの収入が得られなくなった場合の減収部分をいいます。

一方死亡逸失利益とは、交通事後が原因で死亡した場合に、死亡したために将来得られるはずであった収入が得られなくなった減収部分をいいます。

それでは、休業損害と逸失利益って一緒なの?と思われる方もいるかもしれませんが、休業損害と逸失利益は同じではありません。

休業損害は、交通事故によって受傷した場合に、症状固定又は死亡までの間に休業を余儀なくされて得られるはずの収入が得られなくなった場合の減収部分をいい、逸失利益は症状固定後又は死亡後の減収部分を指します。

2、交通事故で後遺障害が残った場合の逸失利益の計算方法

(1)計算式

交通事故で後遺障害が残った場合、逸失利益は以下の計算式で算出されます。

逸失利益=基礎収入×労働能力喪失率×喪失期間に対応するライプニッツ係数(またはホフマン係数)

(2)基礎収入とは

基礎収入は、原則として、交通事故前の現実収入を基準とします。例外的に賃金センサスとよばれるものに基づいて逸失利益が算出されることもあります。賃金センサスとは、毎年厚生労働省のもとに行われる「賃金構造基本統計調査」のことで、性別、年齢、学歴毎の平均賃金を示したものです。

以下では、代表的な例を示しつつ、基準となる基礎収入がどのようになるかをご説明します。

①給与取得者

給与所得者の場合、原則として、交通事故前年度の給与年額(賞与込み)を基準とします。しかしながら、現実の収入が賃金センサス記載の収入以下の場合、賃金センサス記載の収入が得られる蓋然性を証明することができれば、賃金センサスを基礎収入とすることができます。

②事業所得者

事業所得者(自営業者)は、交通事故前年度の申告所得を参考にします。もっとも、申告額と実収入額が異なる場合には、実収入額の所得があったことを証明することができれば実収入額を基礎収入とすることができます。

③家事従事者(主婦、主夫)の場合

家事従事者は、現金収入をもらって労働をしているわけではありません。しかし、家事従事者の場合であったとしても、家事労働を金銭的に評価することができます。主婦であれば賃金センサス上の女性労働者の平均賃金、主夫であっても賃金センサス上の女性労働者の平均賃金が基礎収入とされることが多いです。

また、いわゆる兼業主婦(主夫)の場合は、仕事と家事労働の両方をしていますが、兼業部分の実収入を家事労働部分の女性平均賃金額に加算することはせず、実収入と女性平均賃金のいずれか大きい額が基礎収入として採用されることが多いです。

④学生・生徒・幼児等の場合

学生や幼児の場合、賃金センサスの男女別全年齢平均の賃金額を基礎収入とすることが一般的です。なお、女児年少者の逸失利益については、女性労働者の全年齢平均賃金ではなく、男女を含む全労働者の全年齢平均賃金を基礎収入として算出されることが多いかと思います。

(3)労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺障害が残ったことが原因で、労働能力の一部又は全部が喪失したことを数値で評価したものです。具体的には、自賠責保険の後遺障害別等級表に記載されている労働能力喪失表を参考にします。

たとえば、交通事故に遭っていわゆるむち打ち症の傷害を負い、残存した醜状について後遺障害等級14級9号と認定された場合の労働能力喪失率は5パーセントとされることが多いかと思います。

(4)喪失期間に対応するライプニッツ係数(またはホフマン係数)

逸失利益を算定する際、長期間にわたって発生する収入減少を一時金に算定しなおすことになります。本来であれば将来年あるいは月ごとに得るはずの金額を、一括で取得することになるため、中間利息を控除する必要があります。その際に、一般的に用いられるのがライプニッツ係数です。少し難しいので、長い年月をかけてもらうはずの将来の収入の一部を一度にもらうのだから、金額が少し圧縮されると思っていただければ良いかと思います。そして、この圧縮率をライプニッツ係数というのです。

また、労働能力喪失期間とは、原則として、症状固定時から、67歳までの期間となります。しかしながら、後遺症によっては、それよりも短い期間しか労働能力喪失期間がないと判断される可能性もあります。これはあくまでも目安ですが、むち打ち症で後遺障害等級14級9号と認定された場合は5年、同じようにむち打ち症で後遺障害等級12級13号と認定された場合は10年となることが多いです。

なお、18歳未満の未就労者の場合には、就労の始期が18歳となるので、18歳に達するまでの係数を差し引く必要があります。

(5)具体例

以下では、具体的な職業をあげつつ、目安としてどのくらいの逸失利益が貰えるかを示します。

①43歳年収500万円のサラリーマン(給与所得者)が、バイクに乗っていたところに交通事故の被害に遭い、右肩腱板損傷の傷害を負って、右肩の可動域に制限が出て後遺障害等級10級10号が認定された場合

500万(基礎収入)×27%(労働能力喪失率)×13.7986(67歳までの24年に対するライプニッツ係数)=1862万8110円

②主婦(30歳)が交通事故の被害に遭い、頚椎捻挫の傷害を負って、頚部痛等の症状について後遺障害等級14級9号が認定された場合

353万9300円(基礎収入(賃金センサス平成25年女性全年齢))×5%(労働能力喪失率)×4.3295(労働能力喪失期間5年に対するライプニッツ係数)=76万6170円

③10歳の女児が交通事故の被害に遭い、頭部外傷の傷害を負って、高次脳機能障害の症状につて後遺障害等級5級2号が認定された場合

468万9300円(基礎収入(賃金センサス平成25年男女全年齢))×79%(労働能力喪失率)×12.2973(67歳までの57年のライプニッツ係数18.7605-18歳までの8年のライプニッツ係数6.4632)=4555万5926円

3、身内が交通事故で死亡した場合の逸失利益の計算方法

(1)計算式

交通事故で被害者が死亡した場合、逸失利益は以下の計算式で算出されます。

逸失利益=基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数(又はホフマン係数)

(2)基礎収入

基礎収入は、後遺障害が残った場合と基本的には同様です。

(3)生活費控除率

被害者が死亡した場合、存命であれば必要であった生活費の支出を免れることになります。そのため、損益相殺の考え方に基づき、被害者本人の死亡後の生活費を控除します。生活費控除率は、以下の区別により、30~50パーセント控除されますが、あくまで目安になるので、変動する可能性があります。

①一家の支柱 30~40パーセント

ア 被養者1人の場合 40パーセント
イ 被養者2人以上の場合 30パーセント

②女性(女児・主婦を含む) 30~40パーセント

③男性単身者(男児を含む)50パーセント

(4)就労可能年数に対応するライプニッツ係数(又はホフマン係数)

ライプニッツ係数及びホフマン係数については、後遺障害の場合と同様です。

労働能力喪失期間は原則として、交通事故にあったときから、67歳までの期間となります。

また、18歳未満の未就労者の場合には、後遺障害の場合と同様、就労の始期が18歳となるから、18歳に達するまでの係数を差し引く必要があります。

(5)具体例

以下では、具体的な職業をあげつつ、目安としてどのくらいの逸失利益が貰えるかを示します。

①43歳独身の年収500万円のサラリーマン(給与所得者)が、交通事故の被害に遭い、死亡した場合

500万(基礎収入)×(1-0・5(生活費控除))×13.7986(67歳までの24年に対するライプニッツ係数)=3449万6500円

②主婦(30歳)が交通事故の被害に遭い、死亡した場合

353万9300円(基礎収入(賃金センサス平成25年女性全年齢))×(1-0.3(生活費控除))×16.7113(67歳までの37年に対するライプニッツ係数)=4140万2413円

③10歳の女児が交通事故の被害に遭い、死亡した場合

468万9300円(基礎収入(賃金センサス平成25年男女全年齢))×(1-0.3(生活費控除))×12.2973(67歳までの57年のライプニッツ係数18.7605-18歳までの8年のライプニッツ係数6.4632)=4036万6010円

4、交通事故に遭ってしまった場合により多くの逸失利益を獲得するには?

(1)後遺障害の認定受ける

被害者が死亡している場合はともかく、それ以外の場合に逸失利益を獲得するためには、相手方の加入する自賠責保険に対し後遺障害の請求を行い、後遺障害があることを認定してもらう必要があります。後遺障害の認定を受けるためには、全て相手方保険会社に任せる事前認定という方法と、被害者自身が直接行う被害者請求という手続の2種類があります。

前者の場合には、必要な資料を集めなくてよいというメリットがありますが、必ずしも被害者に有利な証拠を出してくれるわけではありません。

他方、後者の場合には、自ら資料を集める必要はありますが、その分あらゆる資料を提出することができます。しかしながら、後遺障害認定の申請にあたっては、どのような資料を集めればよいかということがわからない方も多いと思います。そこで、後述のとおり、交通事故事件を専門的に取り扱っている弁護士に依頼することにより、後遺障害認定申請手続からサポートしてもらうようにしましょう。

(2)交通事故事件を専門的に取り扱っている弁護士に依頼する

弁護士に依頼する場合には、交通事故を専門的に取り扱っている弁護士に依頼するべきでしょう。弁護士といっても、交通事故をほとんど取り扱っていない弁護士も多く、後遺障害の申請の手続にあたり、全面的にサポートしてくれるかはわかりません。そこで、多数の交通事故事件を専門的に取り扱っている弁護士に依頼して後遺障害の申請の手続からサポートしてもらうようにしましょう。

5、逸失利益の金額の交渉を弁護士に依頼するメリットとデメリット

(1)メリット

①請求額増額の可能性がある

逸失利益の支払基準には、大まかに分けて3つの基準があります。1つ目は保険会社基準、2つ目は自賠責基準、3つ目は裁判所基準になります。

自賠責基準とは、自賠責保険の基準に基づいて算出されるものであり、法律によって認められる最低基準です

保険会社基準とは、保険会社が独自の見解に基づいて算出するものであり、その額としては、自賠責基準よりは高いことが多いですが、裁判所基準に比べれば低額です。というのも、保険会社も一般企業ですので、可能な限り払いたくないというのが実情だからです。

裁判所基準とは、これまでの裁判例を基に、裁判をした場合に認められるであろうという基準であり、上記の2つの基準と比較して高額になります。

弁護士が介入した場合には、基本的に裁判所基準を基礎に保険会社と交渉していく形になります。そのため、保険会社が自らの基準で算出した提案よりも高い金額を獲得できる可能性があります。

②後遺障害認定申請手続から弁護士がサポート

逸失利益とは、死亡あるいは後遺症が残った場合に、それが原因で収入が減少した場合に支払うことになる利益です。前述したとおり、被害者が死亡した場合には、逸失利益を請求することができますが、それ以外の場合に逸失利益を請求するためには、交通事故によって後遺症が残ったことが認定される必要があります。しかしながら、前述のとおり、後遺障害の申請にあたっては、どのような資料を集めればよいかということがわからない方も多いと思います。そこで、交通事故事件を専門的に取り扱っている弁護士に依頼することにより、後遺障害認定申請手続からサポートしてもらうようにしましょう。

③豊富な知識を有した交通事故専門の弁護士が保険会社と交渉

逸失利益を請求したとしても、どの程度の額が貰えるかは、示談交渉次第になります。したがって、逸失利益を含め、保険会社との示談交渉を依頼する場合には、前述のとおり、交通事故を専門的に取り扱っている弁護士に依頼するようにしましょう。

(2)デメリット

①弁護士費用がかかる

弁護士を依頼するときにやはり気になるのが弁護士費用だと思います。

ただ、最近は弁護士費用特約が付いている保険が多く、この特約が付いていれば、交通事故などによる紛争についての弁護士費用を一般的には300万円まで保険会社が支払ってくれます。ですから、まずはご自身の保険に弁護士費用特約が付いているのかを必ず確認しましょう。

②最終的な解決までに時間がかかる可能性がある

弁護士が介入する場合、弁護士は裁判所基準で請求するため、保険会社と交渉する必要があります。そのため、交渉をするのにある程度の時間を要する場合があります。

しかしながら、正当な利益の確保のためには、少ない額で早めに示談するべきではなく、時間はかかっても弁護士の要求する裁判所基準で示談するべきではないでしょうか。

まとめ

以上のとおり、「逸失利益」について説明してきましたが、結局のところ、後遺障害認定の有無と示談交渉次第でどの程度の逸失利益を獲得できるのかが変わってきます。自分に後遺障害が認定されるかよくわからないという方や保険会社とのやり取りが嫌なになった方は、お一人で悩むことなく、交通事故を専門的に取り扱っている弁護士に是非相談してみてください。

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