代襲相続とは?相続の際に知っておきたい5つのこと

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法律上、亡くなった人の子には相続権があります。では、その子も既に亡くなっているけれども、亡くなった人には、その子のさらに子である孫が存在するという場合、孫は亡くなった人の財産を相続できるのでしょうか。

今回は、このようなケースで適用される「代襲相続」という制度について詳しくご説明いたします。

目次

1、代襲相続とは?

2、兄弟が相続する場合の代襲相続について

3、養子縁組と代襲相続の関係について

4、代襲相続されない場合とは?

5、代襲相続の場合の相続分事例

1、代襲相続とは?

(1)代襲相続とは?

「代襲相続」とは、本来、相続人となるべき者が、相続開始前に死亡していたり、相続欠格・相続廃除により相続権を失った場合、その子どもたちが相続する制度のことです(民法887条2項)。

(2)代襲相続が発生するのはどのような場合?

被相続人をA、Aの子をB、Bの子(つまりAの孫)をCとします。Aが亡くなり、Aの相続が開始したが、Aが亡くなる前にBが亡くなっていた(あるいは、Bが相続欠格事由(民法891条)に該当するか相続廃除(民法892条以下)されたことにより相続権を失った)という場合に、CがBに代わってAを相続します。これが代襲相続の最も典型的な例であり、Bを「被代襲者」、Cを「代襲者」といいます。

「Aが亡くなる前に、Bが亡くなっている」という死亡の順序が重要であり、「Aが亡くなった後に、Bが亡くなった」という場合には、Cは、Aを相続したBをさらに相続するだけであって、Aを直接相続するわけではありませんので、このようなケースについては代襲相続とはいいません。

なお、被相続人から見て孫が代襲相続する立場にいる場合で、その孫も先に亡くなっており、かつ、曾孫(ひまご)が存在するときは、曾孫が代襲相続します。さらに、その曾孫も先に亡くなっており、かつ、玄孫(やしゃご)が存在する場合は、玄孫が代襲相続します。さすがにここまでくると現実的に生じる可能性は低いですが、法律の定めによれば、被相続人から見て子にあたる方の代襲相続は、どこまででも下の世代が代襲相続することになっています。これを「再代襲相続」といいます(民法887条3項)。

2、兄弟が相続する場合の代襲相続について

被相続人をA、Aの弟をB、Bの息子(つまりAの甥)をCとします。この例で、Aには子や孫ら直系卑属(卑属とは、自分より下の世代の親族のことをいいます。したがって、直系卑属とは、子・孫・曾孫などです。)がおらず、相続開始時に既に直系尊属(尊属とは、自分より上の世代の親族のことをいいます。したがって、直系尊属とは、親・祖父母・曾祖父母などです。)も死亡していた場合には、法定相続人としてBがAを相続することになりますが、Aが亡くなる前にBが亡くなっていたというときは、CがBに代わってAを相続します。つまり、相続人が兄弟姉妹の場合には、甥や姪が代襲相続する場合があり得るということです。

ただし、直系卑属の代襲相続と異なり、相続人が兄弟姉妹の場合、代襲者は甥・姪までであり、その子(いわゆる大甥・大姪)の再代襲は認められていません。

これは、兄弟姉妹が相続人となる場合を規定した民法889条2項が、代襲相続の規定(民法887条2項)は準用しているけれども、再代襲相続の規定(民法887条3項)は準用していないためです。実は従前、兄弟姉妹の場合も再代襲が認められていたのですが、血のつながりの薄い、いわゆる「笑う相続人」を出すべきでないとして昭和55年に改正され、昭和56年1月1日以降に発生した相続については、兄弟姉妹の再代襲が認められないことになりました。

したがって、例えば上記の例で、Aが亡くなる前にBもCも亡くなっていた場合に、Cの息子D(Aにとっての大甥)がいたとしても、DがAを相続することはありません。

3、養子縁組と代襲相続の関係について

被相続人をA、Aの養子をB、Bの子をCとします。この例で、Aが亡くなる前にBが亡くなっていた場合、Cは代襲相続することができるのでしょうか?

被相続人の養子の子が代襲相続できるか否かは、養子の子の出生時期によって結論が異なります。すなわち、養子の子が養子縁組前に生まれた場合は代襲相続できず、養子縁組後に生まれた場合は代襲相続できるとされているのです。

これは、代襲者は被相続人の直系卑属でなければならないところ(民法887条2項ただし書)、養子縁組前に出生していた養子の子は、被相続人の直系卑属ではない(民法727条は養子と養親およびその血族との間に血族関係が生じることを認めているが、養親と養子の血族との間に血族関係が生じることは認めてない。)からです(大判昭和7年5月11日民集11巻1062頁)。

上記の例では、CがAB間の養子縁組前に生まれた場合(いわゆる「連れ子」であった場合)には代襲相続できませんが、AB間の養子縁組後に生まれた場合には代襲相続できるということになります。

4、代襲相続されない場合とは?

結論から言うと、相続人が相続放棄した場合には、代襲相続は生じません。

例えば、被相続人をA、Aの子をB、Bの子をCとし、Aが亡くなり、Bが相続放棄したとしても、Cが代襲相続することはありません。

法律によって、代襲相続は死亡、欠格、廃除のみに適用するとされていますので、誰かが相続放棄をしたとしても、代襲相続は発生しないのです。

したがって、自分が相続放棄をすると自分の子供に相続権がいってしまう、ということはあり得ません。

5、代襲相続の場合の相続分事例

以上を踏まえ、具体的な事例をもとに相続分を検討してみましょう。

(1)実子の代襲相続

【事例】

被相続人Aが1200万円の相続財産を残して死亡した。Aには妻Bがおり、子はC及びDの2名であった。Cには子のE及びFがいるが、CはAが死亡する3年前に死亡している。

【相続分】

BはAの配偶者であり、子とともに相続する場合の配偶者の相続分は2分の1ですので(民法900条1項)、600万円(=1200万円÷2)を相続することになります。

CはAの相続開始時に既に死亡しているので、現実に相続することはありませんが、Cの子であるEとFはCを代襲し、Aの財産を相続することになります。

したがって、B以外の相続人は、Aの子Dと、Cの代襲者E及びFとなります。

Dは、代襲相続が発生したため、被代襲者であるCとの関係で均等に相続することになりますので(民法900条4号)、相続分は2分の1×2分の1で4分の1となり、300万円(=1200万円÷4)を相続することになります。

EとFは、Cが生きていれば本来Cが相続するはずであった4分の1の相続分を均等に相続することになりますので(民法900条4号)、各々の相続分は4分の1×2分の1で8分の1となり、各々150万円(=1200万円÷8)を相続することになります。

(2)兄弟姉妹の代襲相続

【事例】

被相続人Aが1200万円の財産を残して死亡した。Aには妻Bがいるが、子はいない。Aの直系尊属は既に全員死亡しており、Aの兄D、Aの妹Eも既に死亡している。Dには長女Fがいる。Eには長男Gがおり、さらにGにも長男Hがいるが、Gは既に死亡している。

【相続分】

Bは妻の配偶者であり、兄弟姉妹の代襲相続が生じない場合には全ての財産を相続することになりますが、本件では、後述のとおり代襲相続が生じます。そして、兄弟姉妹とともに相続する場合の配偶者の相続分は4分の3ですので(民法900条3号)、Bは900万円(=1200万円÷4×3)を相続することになります。

Aの兄Dについては、相続開始時に死亡しているので、実際に相続することはありませんが、Dの長女F(Aの姪)がDを代襲し、Aの財産を相続することになります。

一方、Aの妹Eの系列については、Aの甥G、Aの大甥Hがいるものの、E及びGはAの相続開始時に死亡しており、HはAにとって大甥にあたるため、法律上再代襲することができませんので、HがAの財産を相続することはできません。

したがって、残りの相続分4分の1は全てAの姪Fが取得することとなり、Fは300万円(=1200万円÷4)を相続することになります。

(3)養子の代襲相続

【事例】

被相続人Aが1200万円の財産を残して死亡した。Aには妻B、実子C並びに養子D及びEがいる。Dには、Aとの養子縁組前に生まれた子Fがいる。EにはAとの養子縁組前に生まれた子Gと、Aとの養子縁組後に生まれた子H及びIがいる。DとEは、Aが死亡する前に死亡している。

【相続分】

Bは妻の配偶者であり、子とともに相続する場合の配偶者の相続分は2分の1ですので(民法900条1号)、Bは600万円(=1200万円÷2)を相続することになります。

養子Dの系列についてですが、Dの子Fは、AD間の養子縁組前に生まれたので、Dを代襲することはできず、FがAを相続することはできません。

次に養子Eの系列ですが、Eの子GはFと同様の理由でAを相続することができません。一方、Eの子H及びIはAD間の養子縁組後に生まれたので、Eを代襲することができます。

したがって、B以外の相続人は、Aの実子Cと、Eの代襲者H及びIということになります。

Cは、代襲相続が発生したため、被代襲者であるEとの関係で均等に相続することになりますので(民法900条4号)、相続分は2分の1×2分の1で4分の1となり、300万円(=1200万円÷4)を相続することになります。

HとIは、Eが生きていれば本来Eが相続するはずであった4分の1の相続分を均等に相続することになりますので(民法900条4号)、各々の相続分は4分の1×2分の1で8分の1となり、各々150万円(=1200万円÷8)を相続することになります。

まとめ

今回は、代襲相続についてご説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。相続人に養子や兄弟姉妹が含まれるケースで、さらに代襲相続の問題が絡んでくると、思いのほか法律関係が複雑になる場合がありますので、弁護士等の専門家に依頼するなどして、相続人が誰であるのかをしっかりと把握しておくのが良いのではないかと考えます。

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