債務整理とは?債務整理の種類とそれぞれのメリットとデメリット

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お金と計算機

これをお読みの方の中には借金が重なる多重債務に陥ってしまっていて、状況を何とか打開しようと色々調べた結果、債務整理という手続きのことを知ったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回の記事はまず、そもそも「債務整理とは何か」ということについて説明していきます。

また、債務整理をすることにどのようなデメリットがあるかということもまた、気になるところではないでしょうか。

そこで今回は、

  • 債務整理とは?
  • 債務整理にはどのような種類があるのか
  • それぞれの債務整理の手続きを行った場合、それぞれどのようなデメリットがあるか?
  • そのデメリットを回避する方法

について書いていきます。ご参考になれば幸いです。

1.債務整理とは?

(1)債務整理とは

債務整理とは、その名のとおり、債務(借金)を整理することを言います。債務整理にはいくつかの方法があり、それぞれ手続きも効果も大きく異なります。

詳しくは、下で説明しますので参考にしてください。

(2)債務整理の効果とは?

債務整理をすることによって、債務が完全になくなったり、もしくは債務の一部が免除されたり、毎月の返済額を少なくすることができます。

債務整理というと、どうしても良いイメージはないと思いますが、現在の債務に苦しむ暮らしから解放されるという絶大な効果があるのです。

 (3)債務整理の種類は?

債務整理とは、債務(借金)を整理する手続きの総称ですので、それぞれの方法で全く内容が異なります。大きく分けると以下の方法があります。

 ①任意整理

任意整理は、裁判所は介さず、直接各金融業者と交渉して、将来利息・遅延損害金などを免除してもらい、毎月の弁済額も減額してもらうなどの条件で分割和解を締結する手続のことをいいます。

 ②自己破産

自己破産は、裁判所を介して、全ての債務を免責してもらう手続のことをいいます。結果的に、全ての債務(借金)を返済しなくてよくなります。

 ③個人再生

個人再生は、裁判所を介して、全ての債務について一部を免除してもらい、残りの債務を3年間(5年間まで返済期間を延ばせる場合があります。)かけて分割で弁済する手続のことをいいます。この手続きによって、債務が大幅に減額できます(多くの方は5分の1程度になります。)。

 ④ 特定調停

特定調停は、裁判所で調停委員を介して、各金融業者と交渉して債務の減額や毎月の弁済額の減額、利息の免除などの条件で和解を締結する手続のことをいいます。

2.任意整理のメリットとデメリットは?

では、まず任意整理のメリットとデメリットについて説明します。

(1)任意整理のメリットは?

任意整理は、各金融業者との交渉次第ではあるものの、毎月の弁済額を減額してもらったり、将来利息や遅延損害金を免除してもらう条件等で分割和解を組むことになりますので、これが大きなメリットになります(業者によって条件が異なることもあります。)。

また、整理する業者との取引期間に利息制限法の制限利息以上の利率で取引していた期間があれば、その期間に生じた過払によって残高を減額させることができます。それどころか、制限利息以上の利率で取引をしていた期間が長ければ、債務が全てなくなり、むしろあなたの方から過払金を請求できることもあります。

なお、任意整理は、裁判所を介さず、各金融業者と直接交渉をするだけですので、第三者に知られる心配はありません。

(2)任意整理のデメリットは?

任意整理のデメリットとしては、①信用機関に一定期間事故情報が登録される点、②弁護士等の費用がかかるという点があります。

①信用情報について

信用機関に事故情報が登録される結果、新たに借入れをする際に審査が通らない可能性があり、クレジットカードも作れなくなる可能性があります。

クレジットカードを持てなくなるは不便かもしれませんが、新たな借入れができなくなるという点については、債務整理をする以上、借入れに頼る生活からの脱却を目指す訳ですから、むしろ今後は多重債務を負うことはないという意味でこの点もメリットである考えることもできるかもしれません。

また、そもそも総量規制(簡単にいうと、年収の3分の1以上の借入れはできない規制)がありますので、既に多くの借入れをしている場合、いずれにしろ新たな借入れはできない可能性もありますし、滞納をしている場合には、既に事故情報として登録されている場合もありますので、その場合にはあまり状況は変わりません。

②弁護士等の費用について

任意整理の場合、業者側は債務者本人から交渉しても、なかなか良い条件での和解に応じてくれませんから、弁護士や司法書士に依頼した方がよいのですが、依頼した場合には弁護士費用等がかかります。ただ、多くの場合は費用を払っても、それ以上の効果が出ますし、費用を分割払いにするなど負担にならないように対応してくれる弁護士が多いですから、それほど大きな負担にはならないでしょう。

(3)デメリットを回避する方法

債務整理をしたいけれど、どうしても信用機関への事故情報の登録は避けたいという場合、一つだけ回避する方法があります。これは、先に制限利息での引き直し計算をしてから、任意整理を実行するか判断するという方法です。

消費者金融や信販会社の場合、過去には利息制限法の制限利息以上の利率で利息を取っていた期間がありますので、該当期間に取引のあった方であれば、過払金が発生している可能性があります。そのため、現在は残高が残っている業者でも、過去に遡って制限利息で引き直し計算をした場合、残高がなくなり、むしろあなたの方から過払金を請求できる場合があります。このような状態になれば、基本的に該当業者については、事故情報は登録されず、一時的に登録されたとしても訂正されます。

ですから、借入先の中に取引の長い消費者金融や信販会社がある場合、任意整理の手続きを始める前に、まずこれらの業者から取引履歴を取り寄せて、適法な利息での引き直し計算をやってみるといいでしょう(最近は、引き直し計算だけをやってくれる弁護士や司法書士もいますし、インターネット上にも専用のソフトがダウンロードできるページもあります。)

計算の結果、残高がなくなって過払金が発生する業者については、過払金の請求をしましょう。結果的に、これらの業者の残高はなくなります。

全ての業者で残高がなくなってしまえば、信用機関に事故情報が登録されることなく債務をなくすことができます。また、下記の例②と③のように、一部の業者で債務が残ってしまっても、他の業者から過払金を多く回収できれば、それを返済原資に充てることもできますから、任意整理をしなくても済むかもしれません。

 ①任意整理が不要になった例1

総債務額200万円

→(引き直し計算後)全社残高なし、合計過払金160万円

・消費者金融A社 残高50万円

→(引き直し計算後)残高なし、過払金100万円

・消費者金融B社 残高100万円

→(引き直し計算後)残高なし、過払金30万円

・信販会社C社 残高50万円

→(引き直し計算後)残高なし、過払金30万円

 ②任意整理が不要になった例2

総債務額200万円

→(引き直し計算後)合計残高50万円、合計過払金130万円

・消費者金融A社 残高50万円

→(引き直し計算後)残高なし、過払金100万円

・消費者金融B社 残高100万円

→(引き直し計算後)残高なし、過払金30万円

・C銀行 残高50万円

→(法定内利息のため引き直し計算せず)残高50万円

※A社とB社から回収した過払金を用いてC銀行を返済。それでも80万円の過払金が手元に残った。

 ③任意整理が不要になった例3

総債務額200万円

→(引き直し計算後)合計残高150万円、合計過払金50万円

・消費者金融A社 残高50万円

→(引き直し計算後)残高なし、過払金40万円

・消費者金融B社 残高100万円

→(引き直し計算後)残高なし、過払金10万円

・信販会社C社 残高50万円

→(引き直し計算後も変化なし)残高50万円

・D銀行 残高50万円

→(法定内利息のため引き直し計算せず)残高50万円

※A社とB社から回収した過払金を用いてC社を返済。D銀行だけとなったため、そのまま返済することも可能となり、任意整理せずに銀行の返済を継続。

上記の②や③の例の場合、いきなり任意整理を始めてしまうと信用機関に事故情報が登録されてしまいますが、先に引き直し計算をすることで回避することができます。なお、①の場合は、結果的に債務が残りませんので、仮に一度事故情報が登録されても訂正されることとなります。

3、自己破産のメリットとデメリット

次に、自己破産のメリットとデメリットについて説明します。

(1)自己破産のメリットは?

自己破産のメリットは、全ての債務がなくなることです。今抱えている債務について、一切返済する必要がなくなります。債務ゼロの状態になりますから、返済に追われることもなくなり、まさに劇的な解決方法と言えるでしょう。

(2)自己破産のデメリットは?

自己破産のデメリットは、①資産が清算されてしまうこと、②一部で職業制限や資格制限があること、③破産したことが周囲に知られる可能性があることなどが挙げられます。また、任意整理と同じく、信用機関に事故情報が登録されます。

 ①資産の清算

自己破産手続きを行うと債務はなくなりますが、基本的にご自身名義の資産も精算されることになります。

そのため、不動産や車、有価証券、貸付金、預金、現金などがあれば、これを失うことになります。ただし、20万円以下の資産については残すことができ(東京地方裁判所の運用)、現金については99万円まで残すことができます。ですから、時価評価額の低い車などは、破産後も手元に残すことができます(ただ、ローンが残っている車については、契約上ローン会社に所有権が留保されている場合、ローン会社が引き揚げてしまいます。)。家具や家電など、生活必需品についても基本的に残すことができます。

また、保険の返戻金見込額(破産申立時に解約した場合に発生する返戻金の見込額)についても資産として見なされます。そのため、返戻金見込額が20万円以上の保険については、基本的に解約することになります。ただ、自由財産の拡張をすることで残せる可能性もあります。

さらに、退職金見込額(破産申立時に退職した場合に発生する退職金見込額)についても、資産として退職金見込額の8分の1が清算の対象となります。退職する必要はありませんが、退職金見込額の8分の1が20万円を上回る場合、その金額を納める必要があります。

②職業制限・資格制限

自己破産をした場合、以下の職業・資格で制限があります。破産手続きの開始決定から自己破産手続きが終わるまでの間ではありますが、これらの仕事をされている方については、大きなデメリットといえます。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 弁理士
  • 土地家屋調査士
  • 不動産鑑定士
  • 公認会計士
  • 税理士
  • 社会保険労務士
  • 行政書士
  • 中小企業診断士
  • 宅地建物取引主任者
  • 旅行業務取扱管理者
  • 警備員
  • 証券会社の外務員
  • 生命保険募集人
  • 損害保険代理店
  • 質屋
  • 測量業者
  • 風俗営業者
  • 一般廃棄物処理業者
  • 産業廃棄物処理業者
  • 調教師及び騎手
  • 特定非営利活動法人(NPO)の役員

(これが全てではありません。)

③周囲に知られる可能性

自己破産をすると、官報に氏名が掲載されます。官報を見る機会のある人は少ないと思いますが、公の発行物ですから、誰でも見ることができます。そのため、周囲の人に破産したことを知られてしまう可能性もゼロではありません。

また、勤務先や友人、親族から借入れがある場合、それらの借入れも金融業者と同様に債権者として扱う必要があります。そのため、破産手続きの中で、裁判所から破産手続きを行ったことを知らせる通知が届くことになり、自己破産することを知られてしまいます。なお、これを避けるために、これらの借入れだけを返済しようと考えるかもしれませんが、一部の債権者のみへ返済することは偏頗弁済と呼ばれ、禁止されています。

4、個人再生のメリットとデメリット

続いて、個人再生のメリットとデメリットについて説明します。

(1)個人再生のメリット

個人再生は、住宅ローン以外の債務を圧縮することができる点が最大のメリットとなります。債務の圧縮については、以下のとおりとなります。そして、自己破産と違い、住宅を残すことができる点も大きなメリットになります(ただし、住宅ローンが保証会社に代位弁済されていないこと、もしくは代位弁済から6カ月以内であることなどの条件があります。)。

また、自己破産と違い、職業制限や資格制限がありません。そのため、これらの理由で自己破産ができない人も行うことができます。

さらに、自己破産手続きでは、免責不許可事由(債務をなくすことができない事情)であるギャンブルや浪費などによる債務についても問題視されることはありません。

債務の圧縮

  • 債務額100万円未満の場合…債務全額
  • 債務が100万円以上500万円以下の場合…100万円
  • 債務が500万を超え1500万以下の場合…5分の1
  • 債務が1500万を超え3000万以下の場合…300万円
  • 債務が3000万を超え5000万以下の場合…10分の1

※債務額に住宅ローンは含みません。住宅ローンはそのまま支払う必要があります。

※保有資産がある場合には、上記とその清算価値の総額と比べて多い方が弁済額となります。

 (2)個人再生のデメリット

個人再生のデメリットは、任意整理や自己破産と同様、信用機関に事故情報が登録されるという点があります。

また、自己破産と同様に官報にも掲載されます。

逆に言えば、デメリットはこのくらいですから、住宅を残しつつ債務を圧縮できるメリットの大きい手続きと言えるでしょう。

5、特定調停のメリットとデメリット

最後に特定調停のメリットとデメリットについて説明します。

(1)特定調停のメリット

特定調停は、任意整理と同様に、交渉次第ではあるものの、毎月の弁済額を減額してもらったり、将来利息や遅延損害金を免除してもらう条件等で分割和解を組むことになりますので、これが大きなメリットになります。

また、裁判所で調停委員を間に入れて債権者と交渉しますので、弁護士や司法書士に依頼しなくても、自分自身で行うことができます。そのため、専門家へ依頼する費用がかからないという点もメリットといえます。

(2)特定調停のデメリット

特定調停を行うと、調停調書が作成されますが、これは裁判の判決と同様の効力があります。そのため、特定調停で決めた毎月の返済を怠ると、債権者はすぐに強制執行をすることができ、給料差押えなどをされてしまうおそれがあります。

また、特定調停は、債権者毎に行う必要がありますので、場合によっては裁判所に何度も通う必要があります。平日の日中に出頭することが難しい方にとっては、この点もデメリットといえます。

なお、他の手続きと同様に、特定調停の場合も信用機関に事故情報が登録されます。

 まとめ

これまで、各手続きのメリット・デメリットについて説明してきましたが、どの手続きも、デメリット以上にメリットが大きいですし、債務者にとっては、何よりも借金に追われる苦しい日々から解放されること、負担が軽減されることが一番大事なことです。ただ、自己破産では住宅を失ったり、職業制限を受ける方もいらっしゃいますので、その場合には個人再生などを検討する必要がありますから、今回の記事が、ご自身の状況に一番合った手続きを選択する一助になれば幸いです。

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