オンラインカジノは違法?それとも合法?重要ポイントを解説 

オンラインカジノは違法?それとも合法?重要ポイントを解説 

近年ではオンラインカジノでゲームに興じる人が増えているようです。オンラインであれば、海外旅行に出向かなくても自宅にいながら本格的なカジノゲームを楽しむことが可能だからです。

しかし、日本でカジノを楽しむというと、違法賭博として逮捕されてしまうのではないかという不安を感じる人も多いと思います。たしかに、近年ではオンラインカジノの利用が原因で逮捕・摘発されたケースもあります。

そこで今回は、オンラインカジノを日本で利用することは違法か合法かという点について解説していきたいと思います。
本記事がお役に立てば幸いです。

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1、日本において合法なカジノ

日本において合法なカジノ

いまの日本においては、いわゆるカジノ法案(IR整備法)の条件を満たす統合型リゾート施設(IR施設)に設置されるカジノ(日本版カジノ)を除いては違法となっています。

この日本版カジノの誘致には、横浜市などが力を注いでいるものの、具体的な設置目処はたっていません。ですので、現時点では、日本では法に触れないカジノは存在しないということになります。繁華街などでしばしば見受けられるカジノへのキャッチ行為(客引き行為)は例外なく、違法な裏カジノ・地下カジノなので注意しましょう。

裏カジノ・地下カジノなどでギャンブル行為(賭博行為)に興じた場合には、次の罪に問われる可能性があります。

  • 単純賭博罪:50万円以下の罰金または科料
  • 常習賭博罪:3年以下の懲役

2、オンラインカジノでギャンブルすると罪になってしまうのか?

オンラインカジノでギャンブルすると罪になってしまうのか?

オンラインカジノで金銭を賭けながらポーカーやバカラのようなギャンブルをした場合には、裏カジノ・地下カジノを利用した場合と同様に、犯罪となってしまうのでしょうか?

(1)オンラインカジノが摘発されたケース

まずは、2016年3月にオンラインカジノの運営者とその顧客が逮捕・摘発されたケースについてその経緯などを簡単に紹介します。

①摘発されたオンラインカジノの概要

この2016年のケースは、日本において無店舗型のオンラインカジノが初めて摘発されたケースです。

摘発対象となったオンラインカジノは、イギリスでオンラインカジノのライセンスを取得していたオンラインカジノです。特に、このオンラインカジノは、日本語での利用も可能(日本人ディーラーがいる)だったことから、国内でよく知られたオンラインカジノのひとつでした。このような「日本人に特化したサービス」を備えていたことが、本件摘発の理由のひとつとなったといえるかもしれません。

②利用者の逮捕

本件では、摘発されたオンラインカジノの利用者数名も逮捕されるに至っています。

店舗型のカジノが摘発されるケースでは、摘発時にカジノを利用した顧客がその場で現行犯逮捕されるのが通例です。他方で、オンラインカジノの場合には、無店舗ですから、そのようなかたちで利用者を逮捕することはできません。

しかし、サーバーへのアクセス記録(ログ)などを解析することで、利用者を特定することは十分に可能といえます。ですので、オンラインカジノだからといって逮捕されないというわけではありません。

本件の場合では、

  • オンラインカジノ利用時のチャット履歴
  • オンラインカジノやSNSのID
  • 利用者がブログ・SNSで公開していたプレイ履歴の内容
  • クレジットカードなどの決済記録

などを通じて利用者が特定されたようです。

最近では各種オンラインのサービスを、LINEやTwitterのアカウント及び携帯電話番号とリンクさせる場合も多く、利用者を特定する技術的なハードルはかなり低いといえます。

③利用者が逮捕された後の経緯

逮捕された利用者は全員がオンラインカジノの利用を認めており、そのほとんどは、略式起訴(起訴内容を争わないかわりに簡易迅速な裁判で罰金刑となる手続)によって、単純賭博罪に問われて罰金刑となっています。罰金とはいえ、「刑事罰」なので前科に該当することになってしまいます。

しかし、逮捕されたうちの1人は略式起訴に応じなかったために「不起訴処分」となり、このことが各方面でも取り上げられ大きな話題となりました。不起訴になったということは、罰金を支払わなくて済み、また、この件では前科もついていないということです。

(2)不起訴になるのであれば合法と安易に理解するリスク

上で示したように、「利用者が不起訴処分になった」ことから、最近では「オンラインカジノは合法である」と解説する記事も増えています。

しかしながら、捜査を受けた利用者の大部分は略式起訴され、有罪が確定しているのです。

刑法第185条本文は、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は科料に処する。」と規定しています。

確かに刑法第3条は、「この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する。」と規定し、また賭博罪は「次に掲げる罪」に含まれていないため、賭博が合法な国でこれを行っても賭博罪は適用されません。他方で、日本国内でオンラインカジノをした場合に、「日本国外において」これを行ったと一概にはいえないでしょう。そのため、仮に海外で合法的なライセンスを取得したオンラインカジノであったとしても、これを日本で利用した場合に、賭博罪を適用しないという規定には必ずしもなっていないのです。

3、オンラインカジノについての重要なポイント

オンラインカジノについての重要なポイント

これまでの内容を前提に、オンラインカジノに関するポイントを簡単に整理しておきたいと思います。

(1)サーバーが海外にあれば安全なのか

現在のオンラインカジノは、基本的に運営会社を海外に設置し、その国でのオンラインカジノ運営ライセンスを取得した上で、海外にあるサーバーを利用してオンラインカジノサービスを提供しています。

確かに、インターネットの普及によって、日本国内にいながら海外のサーバーで提供されるさまざまなサービスを利用できるようになりました。このことは、現行刑法が想定した事態とは異なります。このような事態について、刑法第3条が規定する「日本国外において」これを行った場合に含まないと判断する際には、多少なりとも解釈の要素を含むといえます。そのため、罪刑法定主義の見地から、賭博罪の適用には問題があるようにも思えます。加えて、ライセンス取得国において賭博が合法であれば、胴元は処罰されないこととなります。胴元が処罰されないにもかかわらず、利用者が処罰されるのは不均衡であるともいえます。そのため、賭けた金額などにもよると思いますが、少なくとも違法性が低いとして、仮に捜査が及んだとしても不起訴になる可能性が十分にあるといえます。

しかしながら、オンラインカジノが合法であるとの明快な理由はないことから、利用を控えるのが無難であるといえるでしょう。

(2)反社会的勢力の資金源となる可能性

オンラインカジノの一番の問題点は、反社会的組織の資金源となり得る点にあります。野球賭博などに代表されるように、日本における違法賭博のほとんどには、暴力団をはじめとする反社会的組織が関係しているといえますので、オンラインカジノにもこれらの組織が今後より深く関わってくる可能性も否定できません。

実際、反社会的組織の多くは、外観上は通常の企業とは見分けの付かないいわゆる「フロント企業」を保有していますので、海外でのオンラインカジノライセンスを取得してしまう可能性も否定できず、そうなった場合、オンラインカジノの利用が反社会的勢力の資金を増やすことに繋がってしまいます。

まとめ

インターネットの普及にともなって、わたしたちは、ネットワークを介してさまざまなサービスを自宅にいながら享受することができるようになりました。

しかし、海外にて提供されているサービスだからといって、日本国内で利用をした場合に、海外で利用をした場合と全く同じ扱いがなされるものではありません。

万が一、オンラインカジノの利用についてトラブルが生じてしまった場合には、できるだけ早く弁護士に相談することをおすすめします。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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