後遺障害8級はどのような症状で認められるのでしょうか。
交通事故が原因で怪我をした場合、治療しても後遺障害が残ることもあります。
後遺障害等級8級に該当するケースは、たとえば失明や手指の3本以上を失うなど、その後の生活に明らかな支障をきたすものであり、適正な後遺障害等級の認定と損害賠償金を受けたいものです。
今回は後遺障害等級8級にフォーカスして、
- 後遺障害等級認定の基礎知識
- 後遺障害等級8級に認定されるための要件
- 後遺障害等級の認定を被害者有利に進めるポイント
を解説します。
交通事故の被害に遭われ、治療費や慰謝料についてお悩みの方のご参考になれば幸いです。
交通事故の後遺障害については以下の関連記事もご覧ください。
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目次
1、後遺障害8級の詳細を知る前に|後遺障害が残るとはどのような状態か?
(1)後遺障害とは?
交通事故が原因で負った怪我が完治せず、痛みや機能障害などの後遺症が残る場合があります。
後遺症によって労働能力の低下などの悪影響が医学的に認められれば、後遺障害に関する損害賠償金を事故の相手方に請求することができます。
この医学的に認定された後遺症のことを後遺障害と言います。
(2)後遺障害等級認定とは?
後遺障害等級認定を簡単に言うと、交通事故が原因の「怪我の重さ」です。
損害保険料率算出機構が公表している1級から14級までの等級で、数字が小さいほど重い怪我と認定されます。
損害賠償金の金額は等級によって変わるため、重い後遺障害(高い等級)と認められれば、慰謝料や損失利益の金額は高くなります。
後遺障害等級認定は、一定期間治療をしてもこれ以上改善しないという「症状固定」になった後に、損害保険料率算出機構に後遺障害等級認定申請をして行います。
2、後遺障害等級8級の認定を受けることができる後遺障害の症状とは?
後遺障害等級8級に認定される症状について具体的に解説します。
(1)後遺障害別等級表・別表第2
後遺障害等級8級に該当する障害は、自動車損害賠償保障法施行令の別表第2(下記の表)に定められた後遺障害等級表に部位ごとに定められています。
1号 | 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの |
2号 | 脊柱に運動障害を残すもの |
3号 | 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの |
4号 | 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの |
5号 | 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの |
6号 | 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
7号 | 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの |
8号 | 1上肢に偽関節を残すもの |
9号 | 1下肢に偽関節を残すもの |
10号 | 1足の足指の全部を失ったもの |
(2)各号の症状の説明
①1号 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
交通事故が原因で片目が失明するか、片目の視力が0.02以下になってしまったケースです。
この場合の視力とは、眼鏡やコンタクトレンズなどで矯正した矯正視力が基準となります。
②2号 脊柱に運動障害を残すもの
交通事故が原因で背骨を損傷し、運動障害が認められるケースです。
③3号 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
交通事故に遭って片手の親指を含む2本の指を失うか、親指以外の3本の指を失ったケースです。
④4号 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
「手指の用を廃した」とは、手指の末節骨の長さの1/2以上を失うか、中手指節関節もしくは近位指節間関節(母指にあっては指節間関節)に著しい運動障害を残すものとされています。
⑤5号 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
交通事故によって大腿骨や脛骨を骨折した場合、治療しても骨折した方の脚の長さが骨折していない脚より短くなってしまうケースがあります。
この「下肢短縮」が5センチメートル以上であれば、後遺障害等級8級5号に認定されます。
⑥6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
肩、肘、手首の関節のうち1つが完全に動かなくなったか、これに近い状態にあるものが該当します。
⑦7号 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
股関節、膝、足首の関節のうち1つが完全に動かなくなったか、これに近い状態にあるものが該当します。
⑧8号 1上肢に偽関節を残すもの
偽関節とは、骨折が6ヶ月以上経っても治癒せず、修復が停止してしまった骨同士が関節のように動くような状態を指します。
腕に偽関節が残った場合は、後遺障害等級8級8号に認定されます。
⑨9号 1下肢に偽関節を残すもの
脚に偽関節が残った場合は、後遺障害等級8級9号に認定されます。
⑩10号 1足の足指の全部を失ったもの
交通事故が原因で足の指を全て失ったケースが該当します。
3、後遺障害等級8級認定の場合に獲得できる損害賠償額について
(1)損害賠償総額の計算方法について
後遺障害等級8級に認定された場合に受けられる損害賠償の総額は、発生した傷害と後遺障害の損害賠償の合計によって計算されます。
傷害についての損害賠償には、怪我の治療費、入通院費、休業補償、傷害慰謝料などが、後遺障害についての損害賠償には、後遺障害慰謝料および逸失利益が含まれます。
(2)後遺障害等級8級が認定された場合の慰謝料の金額について
後遺障害等級8級が認定された場合、慰謝料は弁護士基準(裁判基準)、任意保険基準、自賠責基準の3種類でそれぞれ金額が異なります。
弁護士が事故の被害者本人に代わって保険会社と交渉する場合には、弁護士基準が採用されます。
慰謝料の基準 | 慰謝料の金額 |
弁護士基準(裁判基準) | 830万円 |
任意保険基準 | 400万円程度 |
自賠責基準 | 324万円 |
(3)後遺障害等級8級が認定された場合の逸失利益について
逸失利益とは、交通事故で後遺障害が残り、労働能力が低下したために受け取れなくなった将来の収入のことです。
補償額は次の3つの数字を掛け合わせて算出します。
①被害者の収入
②後遺障害等級ごとの労働能力喪失割合
③労働能力喪失期間(症状固定から67歳まで)
後遺障害等級8級の②は45%です。
①が高額であるほど、③が長いほど逸失利益は高くなります。
(4)損害計算シミュレーション
後遺障害等級8級に認定された場合の損害賠償総額をシミュレーションしてみましょう。
- 被害者は30歳の会社員男性
- 交通事故に遭い、30日間入院して150日間通院した
- 事故前の収入は年収400万円
治療費 | 100万円(事案による) |
通院交通費 | 2万円(事案による) |
入通院慰謝料 | 141万円(裁判所基準) |
後遺障害慰謝料 | 830万円(裁判所基準) |
後遺障害による逸失利益 | 3008万0340円(400万円×45%×37年間のライプニッツ) |
4、適切な後遺障害等級認定の獲得方法
(1)申請手続きは被害者請求で
後遺障害の等級認定を受ける方法には、事前認定と被害者請求の2種類があります。
事前認定とは、交通事故の加害者の保険会社に後遺障害等級認定の手続きを依頼する方法です。
被害者側は手続きの手間が省けるというメリットがあるものの、保険会社が本当に適切な方法で手続を進めているのかがわからず、最低限の対応しかしてくれません。
被害者請求は被害者自身が自賠責保険に対し、後遺障害等級認定の依頼する方法です。
手続きの手間がかかりますが、被害者に有利な資料を提出できるなどのメリットもあり、より適切な後遺障害の認定を受けることができます。
したがって、申請手続きは被害者請求で行うべきです。
(2)適切な後遺障害等級認定を受けるためのポイント
後遺障害等級の認定を受けるためには、後遺障害の症状に詳しい専門医に診断してもらい、検査結果や診断書を発行してもらうことが重要です。
また、医師に対して自覚症状をはじめとする症状の内容をしっかりと説明しなければなりません。
主張が変遷していたり、程度が軽いと思われたりすると、適切な後遺障害の認定を受けられなくなります。
5、弁護士に依頼した方がいい?依頼する場合のメリットについて
(1)弁護士に依頼するメリット
交通事故の損害賠償請求を弁護士に依頼することで、必要な証拠集めや保険会社との示談交渉など、法律的・医学的見地から被害者の有利になるように手続きを進められます。
弁護士費用はかかりますが、慰謝料については弁護士基準を元に交渉してもらって損害賠償額が増えるため、結果的に手元に残るお金は大きくなります。
(2)費用特約に加入していれば弁護士費用の負担が軽くなる
弁護士費用特約とは、自動車保険のオプション等で加入できるもので、交通事故に遭った際の弁護士費用を1事故にあたり300万円まで保険会社が負担するサービスです。
交通事故の被害者自身やご家族が弁護士費用特約をつけていれば、費用の負担が軽くなります。
(3)弁護士の探し方
後遺障害認定を適切に受けるためにも、交通事故の示談交渉の実績がある弁護士を選びましょう。
交通事故に強い弁護士のホームページには、過去の実績や交通事故被害者向けのアドバイス等が掲載されています。
まとめ
後遺障害等級8級に認定される後遺障害は、普段の生活や仕事に影響を及ぼします。
認定の際に不利にならないように、8級の要件を知り、必要な証拠を集めた上で保険会社と交渉しましょう。
交通事故の示談交渉が実績豊富な弁護士は、心強い味方となります。
後遺障害等級の認定を有利に進めるためにも、弁護士に相談されることをおすすめします。