時効の援用手続きと費用について詳しく解説! 成立の3つの鍵

時効の援用についての知識はお持ちでしょうか?「消滅時効」と呼ばれ、債権が一定期間経過することで消滅する法律原則です。

しかし、期間が経過しただけでは債権が自動的に消滅するわけではありません。

この記事では、時効の援用について詳細に解説します。

借金の時効全般に関しては以下の関連記事をご覧ください。

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1、時効の援用とは、時効の利益を受けようとする意思表示

時効の援用とは、債権者(お金を請求する権利のある人。貸金業者など。)に対し、時効を迎えたので、借金の返済はしないという意思表示です。
債権者へこの意思表示をしない限り、時間がいくら過ぎても、借金は無くなりません
借金を帳消しにしたいなら、時効を「援用」しなければなりません。

2、時効の援用を成立させる3つの条件

時効を援用するには、3つの条件があります。
みていきましょう。

(1)債権の消滅時効の期間が経過している

時効の援用を成立させる1つ目の条件は、債権の消滅時効の期間が経過していることです。

債権の消滅時効は、「権利を行使することができる時から10年間」または「権利を行使することができることを知った時から5年間」のいずれか早い方です。
金融業者からの借金であれば、最後の支払期日から5年経過していることが必要です。

(2)債権者が自分に対して、裁判を起こしていない

時効の援用を成立させる2つ目の条件は、債権者があなたに対して、裁判を起こしていないことです。
裁判を起こされると、経過した時効期間はリセットされます。
時効がリセットされてしまうと、また新たに消滅時効にかかるまで、時効の援用はできません。

なお、住所変更などしていると、知らない間に債権者から裁判を起こされている場合もありますので、注意が必要です。

(3)借金のあることを認めていない

時効の援用を成立させる3つ目の条件は、借金があることを認めていないことです。
借金のあることを認めてしまうと、債務の承認になり、経過した時効期間はリセットされます。

【債務の承認になるケース】

  • 借金を少額でも返済する
  • 借金のあることを認める文書を書く
  • 電話など口頭で、「分割にしてほしい」、「支払います」などの借金を認める発言をする

    3、時効を調べるには、信用情報機関へ開示請求する

    金融業者からの借金が時効を迎えるには、最後の支払期日から5年経過していることが必要です。
    とはいえ、この「最後の支払期日」がいつであったか、正確に覚えている人はほとんどいないのではないでしょうか。

    金融機関からの借金について、時効を迎えているか知るには、信用情報機関(信用情報を管理している機関。代表的な機関はCIC・JICC・KSC)へ信用情報(カードローン・クレジットカードなどの現金以外の借り入れや返済の記録)の開示請求をしてください。
    信用情報を見れば、あなたと債権者との最後の取引がいつなのか、判明します。

    信用情報の確認方法は以下の関連記事で詳しく解説しています。ご確認ください。

    4、時効の援用をする流れ

    以下が、金融機関からの借金について、時効の援用をする流れです。

    • 借金が時効を迎えているか、信用情報を開示し、確認する
    • 時効を迎えていたら、『時効援用通知書』を作成する
    • 債権者に内容証明郵便(いつ・誰が誰に・どんな内容の文書を送ったか証明してくれる制度)で、時効援用通知書を送付する
    • 債権者から、時効援用通知書を受け取った連絡が来ることもある
    • 連絡があった場合には、債務の承認をしないように対応する
    • 連絡がなかったのなら、債権者は、時効の援用を認めたことになる
    • 時効の援用は成立する

    なお、手続は早いと2〜3週間。遅いと1ヶ月ほどかかります。

    時効援用通知書の書き方は、以下の関連記事で詳しく解説しております。ご確認ください。

    5、時効の援用の関する豆知識

    時効の援用をする際に、知るべきことをまとめました。

    (1)時効援用通知書は、内容証明郵便で送る

    債権者に時効援用通知書を送る時には、内容証明郵便を使ってください。
    内容証明郵便を使えば、確実に証拠を残せるからです。

    というのも、時効の援用の方法は、口頭でも問題ありません。
    ですが、後で、“言った・言わない”で揉めるのを避けるためには、内容証明郵便を使うのがベストです。

    (2)時効の援用をすると、延滞した記録は消える

    時効の援用をすれば、信用情報に記載されていた延滞の記録が消えます。
    時効の援用をしたことにより、借金を完済したものと扱われるからです。

    ただし、延滞の記録が消えるタイミングは、信用情報機関によって違います。

    (3)時効援用通知を送る際には、時効の期限を確認する

    時効の援用を失敗させないためにも、債権者と最後の取引はいつなのか、時効の期限はいつなのかを、しっかり確認しましょう。
    時効援用通知書を送るにあたっては、確実に時効期間が経過していることが必要です。

    もし、時効完成前にこの通知書を送れば、債務があることを認めた、つまり債務承認(「2」(3)参照)となり、時効期間がリセットされてしまうこともありますので、注意しましょう。

    6、時効の援用の費用

    時効の援用を自分で行う・弁護士に依頼した時の費用はいくらか、まとめました。

    (1)自分で行う場合は、約2千円

    時効の援用を自分で行った場合にかかる費用は、約2千円で済みます。

    費用の内訳は以下です。

    • 基本料金:82円
    • 一般書留の加算料金:430円
    • 内容証明の加算料金:430円
    • 配達証明料:310円
    • 速達料金:280円(任意)

    (2)弁護士費用の相場は、約4〜10万円

    時効の援用を弁護士に依頼した時の相場は、約4〜10万円です。
    弁護士に依頼をすると、費用はかかってしまいますが、時効の援用を失敗するリスクはありません

    まとめ

    借金はあるけれど、最後の支払期日から5年と1日過ぎているなら、時効の援用を使いましょう。
    債権者に対して、時効の援用を使わないと、借金はいつまで経っても消えないからです。

    時効の援用を成立させる条件は3つです。

    • 最後の支払期日の翌日から5年が経過している
    • 債権者が自分に対して、裁判を起こしていない
    • 借金のあることを認めてはいけない

    この条件を満たしているか、時効の援用を使う時には、確認してください。

    時効の援用は失敗するケースもゼロではないので、確実に行いたいなら弁護士に依頼することをオススメします。

    借金が返せない場合に起こすべき行動については、以下の関連記事をご参照ください。

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