任意整理は、借入先との直接交渉です。交渉は苦手だ、という方は弁護士に相談される方も多いことでしょう。
そこで今回は、
- 任意整理に強い弁護士の選び方
について解説していきます。
任意整理に関してはこちらの記事をご覧ください。
目次
1、任意整理を弁護士に依頼するメリット
任意整理を弁護士に依頼するにあたり、具体的にどのようなメリットがあるのかをおさらいしておきましょう。
(1)取立てがすぐに止まる
弁護士に任意整理を依頼すると、貸金業者からの取り立てがすぐに止まります。
なぜなら、貸金業者は、弁護士や司法書士から債務整理の介入の通知(受任通知)を受け取った後は、債務者に直接取立て行為を行ってはならないと貸金業法で定められているからです(同法第21条1項第9号)。
したがって、早ければ依頼した翌日、遅くとも数日以内には貸金業者からの連絡が一切なくなります。
(2)話し合いを代行してくれる
任意整理を弁護士に依頼した後は、弁護士が代理人として貸金業者との話し合いを代行してくれます。
あなた自身は、弁護士との打ち合わせを除いて何もする必要がないので、時間や労力を割かずに済みますし、精神的にも楽になります。
また、弁護士が専門的な見地から交渉することによって、話し合いもスムーズに進みます。
(3)借金の減額や長期の分割返済が可能になる
ご自身で任意整理の交渉をすると、貸金業者は借金の減額や長期の分割返済にはなかなか応じてくれないものです。
しかし、弁護士が専門的な知識とノウハウを駆使して交渉することによって、これらが可能になります。
一般的には3~5年間の分割払いとなりますが、それでも返済が厳しいという場合でも、5年を超える長期の分割払いを認めてもらうことによって、返済月額を支払い可能な範囲内におさめてもらえるようなケースもあります。
2、任意整理に不慣れな弁護士に依頼したらどうなるか
この記事の冒頭でも少しお話ししましたが、どんな弁護士に依頼しても同じようなメリットが得られるとは限りません。任意整理が得意な弁護士もいれば、不得意な弁護士もいるからです。
得意な弁護士に依頼した場合と不得意な弁護士に依頼した場合とでは、以下のような違いが出る可能性があるので、弁護士選びは重要です。
(1)返済額に違いが出る
任意整理は裁判所を介さず、交渉によって返済額を決める手続きです。
したがって、交渉力次第で返済額に違いが出てきます。
この点、弁護士でも交渉力の程度には差があります。
裁判手続きには強くても交渉力は弱いという弁護士もいます。
また、ひと口に「交渉」といっても、分野によって交渉ポイントは異なります。
例えば、交通事故や刑事事件などの示談や、離婚、不倫問題、相続争いなど、様々な分野で交渉する場面がありますが、それぞれに特有の交渉ポイントというものがあります。
任意整理の場合は、利息引き直し計算によって本来の返済額を割り出すことを基本として、「ここまでなら支払える」「これ以上は支払えない」ということを貸金業者に理解してもらうことがポイントとなります。
任意整理に強い弁護士は、依頼者の話をじっくり聞いて、有利な結果につながる事情を貸金業者にしっかりと伝えて交渉する術に長けています。
なお、貸金業者の中には弁護士の名前を見て対応を変える業者もいます。
貸金業者も、日々弁護士などを相手に任意整理の交渉をしています。
任意整理に強い弁護士が相手だと、どうせ債務者に有利な返済案で押し切られてしまうと考えるため、最初からあっさりと弁護士の提案に応じるのに対して、その他の弁護士に対しては、貸金業者としての主張を押し通そうとすることもあるのです。
(2)過払い金を取り戻せるかどうかで違いが出る
任意整理の手続きでは、まず貸金業者から取引履歴を取り寄せ、全取引について利息引き直し計算をします。
この時点で、過払い金が発生していることが判明することも少なくありません。
特に、取引の途中で期間空いている場合などでは、過払い金の計算方法で争いになることがありますが、そのようなケースでは有利な計算方法で過払い金を認めさせることができるかどうかで返済額に大きな差が出ることもあります。
(3)手続きにかかる期間に違いが出る
任意整理に限りませんが、良い弁護士には、依頼を受ければ迅速に対応してスピーディーに問題を解決するという特徴があります。
任意整理の経験が豊富な弁護士の場合、手慣れているので手続きを進めるのが早く、貸金業者との交渉もスムーズにできるので、解決までの時間が早くなります。
ただし、早ければよいというものではないという点にもご注意ください。
本当に優秀な弁護士は、依頼者の事情に応じて手続きを進めるものです。
例えば、求職中のため返済開始までに時間が必要な依頼者の場合には、あえて期間を置くこともあります。
任意整理に慣れていない弁護士の場合は、債権者から催促されて早期に手続きを進めてしまうのが一般的です。
この場合、「もう少し待ってほしいのに…」という依頼者の希望に応えられないことになります。
(4)弁護士費用に違いが出る
任意整理を弁護士に依頼するには、費用がかかります。
どれくらいの費用がかかるかは法律事務所ごとに異なりますが、実績のある事務所ほど良心的で利用しやすい料金体系を定めているものです。
任意整理の場合は、相談料、着手金、解決報酬、減額報酬といった費用項目があり、それぞれの金額は各事務所が独自に定めています。
相談料については無料としている事務所も多くありますが、その他の費用項目については安い事務所から高い事務所まで様々です。
費用が安ければ良いというものでもありませんが、高すぎる法律事務所に依頼するとコストに見合わないこともあるのでご注意ください。
3、弁護士選びに失敗した任意整理の事例
それでは、実際に任意整理での弁護士選びに失敗して、思うような結果が得られなかった事例をいくつかご紹介します。
ベリーベスト法律事務所には、過去に他の事務所で任意整理をしたというご相談者も多くいらっしゃいます。
そんな方からお聞きした失敗談をいくつかご紹介します。
(1)借金をあまり減額できなかったケース
以前に他の法律事務所に依頼して任意整理をしたものの、借金をあまり減額できずに結局支払えなくなり、再度の任意整理のご相談に見えた方のケースです。
この方は5社から総額300万円の借金を抱えていたところ、1回目の任意整理で280万円に減額されたものの、返済月額は6万円近くに上っていました。
当事務所が2回目の任意整理のご依頼を受けて調査したところ、280万円の中には遅延損害金が含まれていたことがわかりました。
そこで、当事務所の弁護士は、遅延損害金のカットを各貸金業者に求めました。
交渉は簡単ではありませんでしたが、「どうしても遅延損害金を請求されるなら裁判をしていただくしかない」「自己破産も視野に入れている」といった事情も伝えながら、粘り強く交渉しました。
その結果、遅延損害金の大部分を免除してもらうことができました。
借金総額は約200万円にまで減り、返済月額も約3万円にまで減らすことができました。
※遅延損害金は、基本的には貸金業者から請求されれば支払う必要があります。交渉次第で免除される可能性もありますが、必ずしも免除してもらえるとは限らないことにご注意ください。
(2)依頼後に貸金業者から裁判を起こされたケース
次の方のケースでは、他の法律事務所に任意整理を依頼したところ、なかなか手続きを進めてもらえなかったそうです。
「いつごろ進みますか」と事務所に問い合わせても、「いま調査中なのでしばらくお待ちください」と言われるばかりだったといいます。
そうしているうちに、貸金業者から裁判を起こされ、債務が確定してしまいました。
この方はその法律事務所への依頼を解約し、どうすればいいのかと当事務所にご相談くださいました。
貸金業者が裁判を起こして判決などを獲得した場合、財産を差し押さえるなどして強制的に債権を回収することが可能になります。
したがって、ケースによっては任意整理での解決はもはや難しく、自己破産または個人再生に切り替えなければならい場合もあります。
ただ、この方の場合は主婦であり、差押えを受けるような財産は特にないとのことでしたので、当事務所は再度の任意整理を試みることにしました。
弁護士から貸金業者に事情を伝えて交渉したところ、貸金業者も「自己破産されるよりは」と理解を示してくれて、任意整理で解決することができました。
(3)弁護士費用が高額で依頼できなかったケース
最後の方の事例は、他の事務所に任意整理の相談をしたものの、提示された弁護士費用を用意できなかったので依頼できず、改めて当事務所にお見えになったというケースです。
5社の任意整理で、先に相談された事務所では報酬金まで含めた総額で約60万円の見積もりを出されて、「とても支払えない」とのことでした。
この金額は、異常というわけではありませんが、やはり相場に比べて高額といえるでしょう。
当事務所でも無料相談の際に見積もりをお示ししたところ、「これなら用意できる」とのことで、ご依頼いただきました。
弁護士は、依頼を受ける前に必ず費用について具体的に説明することとされていますが、中には説明が曖昧な法律事務所もあるようなので、ご注意ください。
この方のケースでは、具体的に説明を受けた上で「高すぎる」と判断されたのでまだよかったのですが、説明がないままに減額報酬や追加費用などを請求されてトラブルになっているケースもあります。
4、任意整理を依頼する弁護士の選び方
では、任意整理に強い弁護士はどのようにして選べばよいのでしょうか。
弁護士を選ぶ際には、次のポイントに注意することです。
(1)任意整理の解決経験が豊富
まず、任意整理の解決経験が豊富にあることが必須の条件となります。
各法律事務所のホームページなどに実績が掲載されていることもありますし、わからなければ直接問い合わせたり、無料相談の際に直接尋ねてみるのもよいでしょう。
任意整理の取り扱い経験の少ない事務所は避けた方が無難といえます。
(2)柔軟に解決方法を提示してくれる
良い弁護士は、ご相談者のおかれている状況に応じて、柔軟に対応してくれるものです。
例えば、家族に秘密にしてほしい場合や、どうしても月々の返済額を〇円以下にしてほしい場合、着手金を分割払いにしてほしい場合など、いろいろな希望があるものです。
借金問題を解決するためにはすべての希望が通るとは限りませんが、ご相談者の話をじっくり聞いて、可能な限り希望に沿おうとする姿勢が弁護士にあるかどうかを確認しましょう。
また、本当に任意整理に強い弁護士は、自己破産や個人再生、過払い金返還請求など、他の債務整理手続きにも通じているものです。
場合によっては、任意整理以外の解決方法を選択した方がご相談者の望みに叶うというケースも少なくありません。
幅広い視点でご相談者のことを考えてくれる弁護士を選ぶようにしましょう。
(3)説明が分かりやすく話しやすい
弁護士を選ぶ際、「話しやすい」かどうかは非常に重要なポイントです。
借金問題を解決してもらうためには、ご自身の状況を正確かつ具体的に弁護士に把握してもらわなければなりません。
話しづらい場合には重要な事情を伝えそびれてしまい、希望と異なる方向に向かってしまう可能性があります。
そもそも、話しづらいようではストレスがたまりますし、一緒に問題を解決してくれるパートナーとして信頼しにくいでしょう。
また、説明が分かりやすいかどうかという点も重視してください。
弁護士にとっては当たり前のことでも、ご相談者にとっては初めて聞く難解な専門知識も多々あります。
任意整理に強い弁護士であれば、一般の方も十分に理解できるように説明してくれるはずですが、慣れていない弁護士だとその余裕がないこともあります。
説明が理解できなければ正しい解決方法を選択することはできませんので、わからないことがあれば弁護士に質問しましょう。
質問に対して、理解できるような回答が返ってこない場合は、依頼するかどうかをよく考えた方がよいでしょう。
5、弁護士に依頼する場合の任意整理の費用相場
弁護士を選ぶ際には、費用の問題も重要な要素となります。
ここでは、任意整理の弁護士費用の相場をご紹介します。
以下の相場よりも料金が高い法律事務所には、注意した方がいいかもしれません。
(1)法律相談料
法律相談料の相場は、30分あたり5,000円(税別)程度です。
ただし、最近では借金の無料相談を受け付けている法律事務所も多くあります。
また、法テラスに登録している弁護士に相談する場合は、一定の条件を満たせば無料相談制度を利用できます。
(2)着手金
着手金は任意整理を弁護士に依頼する時点で支払う費用で、基本的には結果にかかわらず返金はされません。
通常は一括で支払いますが、分割払いにしてもらえる事務所もあります。
金額は、債権者1社について2万円~5万円程度が相場です。
たとえば3社から借入があれば、6万円~15万円の着手金が必要になります。
借入先の業者数が多いほど、着手金が高額になります。
(3)基本報酬金
基本報酬金とは、任意整理によって解決できたときに発生する費用です。
貸金業者との和解ができた際に支払います。
金額は、相手業者1社について2万円~4万円程度が相場です。
(4)減額報酬金
減額報酬金とは、任意整理で借金を減額できたときに、減額に成功した金額に応じてかかる費用です。
相場は、減額できた金額の5%~10%です。
たとえば、200万円の借金を150万円に減額できた場合、50万円の5%である2万5千円~10%である5万円が減額報酬金となります。
弁護士費用についてさらに詳しくは、以下の記事をご参照下さい。
6、任意整理のご相談はベリーベスト法律事務所の弁護士へ
任意整理の弁護士選びでお困りのときは、ぜひベリーベスト法律事務所へご相談ください。
事務所開設以来、豊富な法律相談の実績を積み重ねてきており、多くの方に選んでいただいています。
当事務所では、任意整理のご相談には専門的な知識とノウハウを持った債務整理専門チームの弁護士が対応いたします。
借金に関するご相談は何度でも無料ですので、お気軽にご利用ください。
まとめ
任意整理は、いくつか種類のある債務整理方法の中で最も手軽な手続きで借金問題を解決できる方法です。
そのため、簡単な手続きだと思われる方も多いのですが、実は弁護士選びによって結果に大きな違いが出ることもありますし、満足度も異なってくるはずです。
依頼しようとお考えの弁護士が任意整理を得意としているかどうかは、なかなかわかりにくいかもしれません。
そんなときは、いくつかの法律事務所で無料相談を利用して比較してみることをおすすめします。