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コンプライアンスの意味がわかる!弁護士がやさしく教えるコンプラの基本

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コンプライアンスの意味がわかる!弁護士がやさしく教えるコンプラの基本

テレビ番組を作る上で、「コンプライアンス上、そういう企画はできないって上層部から言われる」。
こんな風に、最近は、お笑いタレント等からも、度々口にされ、身近になっている「コンプライアンス」。
きっと、なんとなく「下品だったり、悪いことはできない」ということなのかなというイメージがあるかと思います。

コンプライアンスの意味は、簡単にいうと「法律を守る」ということです。

「法律を守るのは当たり前のことなのに、なぜそんなに強調されるのか」と不思議に感じる人もいるかもしれません。
実は、企業におけるコンプライアンスとは、法律を守るという意味より、少し広い概念であることを覚えておきましょう。
本来的なコンプライアンスは、「企業が社会の一員として負うべき責任」の総称的なものと理解しておくべきといえます。

この記事では、

  • コンプライアンスの意味
  • コンプライランスが重視されるようになった背景
  • コンプライアンスに違反すると、どうなるか?
  • コンプライアンスは、どのように推進されていくのか

ということについて、具体例を通して、解説していきます。

コンプライアンスは、会社の経営陣だけの問題ではありません。
誰か一人のコンプライアンス意識の欠如が、会社全体に大きな影響を与えることも珍しくないからです。

この記事が、コンプライアンスをひとりひとりの問題として捉えるきっかけになれば幸いです。

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目次

1、コンプライアンスとは―コンプライアンスの意味

コンプライアンスとは―コンプライアンスの意味

(1)コンプライアンスは、社会の要請・信頼に応えること

コンプライアンスは、「法令(等)遵守」と説明されることが一般的なようです。
しかし、コンプライアンスにおいて、「法令の遵守」は、内容の一部を捉えたものに過ぎません。

実務的な目から申し上げれば、コンプライアンスとは、「社会の要請・信頼に応えること」というのが、一番すっきりします。「法令さえ守れば良い」という発想では、不十分なのです。

つまり、社会の信頼を踏みにじり、裏切るという「不祥事」の対極にあるのが、コンプライアンスであると考えればわかりやすいでしょう。

(2)社会の要請・信頼を裏切ったときに起こることの実例

「コンプライアンス」を具体的にイメージしてもらうために、2つの具体例をご紹介します。

①スバル、日産自動車、神戸製鋼所、三菱マテリアル等の品質検査不正

2017年から2018年にかけて、これらの会社において、商品完成までの各工程における「品質検査」に、手抜きが相次ぎました。

これら品質検査不正事件では、

「納期に追われて、検査に手抜きがあった。」
「製品の安全性は、十分余裕をもって確保しているので問題ない。」

等という言い訳が共通しています。

これら品質検査不正の背景としては、現場が、「納期厳守」と「指定の品質の確保(そのための厳格な検査)」という2つの要請で板挟みになってしまったことが挙げられます。
その結果、目先の利益(納期の厳守)を優先し、十分な検査を実施せずに、「要求品質通りに作っています。」と嘘をついたのです。

消費者は、「約束した品質は当然に守られている」という信頼を前提に、商品を購入します。
その信頼が裏切られたのです。それどころか、「ものづくり日本」というブランドが傷付けられたことで、日本の社会全体の怒りを買ってしまいました。

②「新潮45」

2018年、新潮社の雑誌であった「新潮45」で、「『LGBT』支援の度が過ぎる」という記事が掲載されました。

ひんしゅくを買ったにも関わらず、その次の号で、「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」という特集で反論。
逆に、火に油を注ぐ状態となって、休刊(事実上の廃刊とも)に追い込まれました。

新潮45だけでなく、記事の内容がヘイト系(差別的)であるとして、休刊や不定期刊行となる雑誌もあります。

日本には、言論の自由があります。他人の言論に問題があると思うなら、それに対抗して議論を交わせばよい、というのが基本的な考え方です。個人への名誉毀損等でもないかぎり、自由な言論が、法令に違反するわけではありません。

しかし、いかに言論の自由といえども、世に広く刊行される書籍・雑誌等には、最低限の品位や良識が求められます。
この社会の要請を裏切るような対応をした結果、休刊、廃刊等の結果を招いてしまったのです。

2、コンプライアンスが企業で重視される理由〜具体例から

コンプライアンスが企業で重視される理由〜具体例から

コンプライアンスが重視される理由は、次の2点にまとめることができます。

  • 社会の信頼を失うことは、その企業の存立に関わる
  • 会社の不祥事は、取締役等、個人の責任問題にも発展する

よく言われることですが、信用を築くのには、10年かかります。
信用を失うのは、1日で足ります。

以下、これに関する代表的な例をみていきましょう。

(1)大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件

日本で、コンプライアンス問題の先駆けになったのは、1995年の大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件でしょう(大和銀行は、2003年にあさひ銀行と合併し、現在は、「りそな銀行」となっています)。

①事実関係

現地で、ディーラーを担当していた行員が、運用の失敗で多額の損失を出し、それを銀行に知られる前に取り戻そうと、損失の隠蔽と無理な取引を重ねたことで、最終的に損失額を11億ドル(当時の対円ドル為替レートで約1100億円)まで膨れ上がらせてしまったことが、この事件の発端です。

最終的に、この行員は、銀行上層部に、巨額の損失を出したことを報告しますが、その後の大和銀行上層部と(大和銀行から報告を受けた)当時の大蔵省の対応のまずさが原因で、大和銀行は、米国連邦政府から、「隠蔽工作」をしたと認定されてしまいます。

そのため、多くの罪に問われることになり、当時としては最高額の3億4000万ドル(当時の為替レートで約350億円)の罰金を払い、米国からの完全撤退に至りました。そして、当時の頭取らは責任を取って、辞任しています。

②取締役らも身の破滅に至る

この事件は、それだけには留まりませんでした。

当時の取締役らに対し、日本の株主から、「銀行に損害を与えた」として、株主代表訴訟が提起され、第一審大阪地方裁判所では、総額829億円の損害賠償を命ずる判決か出ました(その後、旧経営陣49人が、総額およそ2億5000万円を銀行に支払うことで和解)。

③「内部統制システム構築」は取締役の責任

この事件の第一審大阪地裁判決では、「取締役には、『内部統制システム』を構築する責任がある。」ことが明確に示されました。

要するに、取締役は、リスク管理の体制を構築して、自分の担当業務のみならず、互いの業務を相互に監視する責任がある、従業員の違法や違法行為を防止するための法令遵守体制を確立する義務がある、とされたのです。

(2)不正会計(オリンパス、東芝)

①オリンパス事件

 オリンパス株式会社が、バブル崩壊時に生じた巨額の損失を「飛ばし」という手法で、10年以上隠し続けた末に、負債を粉飾決算で処理した事件です。

2011年に、イギリス出身の社長が、外部の指摘に基づいて、問題に気が付き、経営陣に質したところ、逆に取締役会で、急遽解任されました。

その後の第三者調査委員会で問題が明らかにされ、会長らの辞任に至り、オリンパスは、株価下落等で上場廃止の瀬戸際に追い込まれました。

監査を担当していた監査法人に対しても、金融庁からの厳しい指導があり、信用の失墜に至ります。

②東芝事件

東芝で、長年にわたり、ほぼ全事業にわたって、不正な会計処理が行われていた問題です。

原子力事業の損失を糊塗するためであったといわれています。
東芝内部から、証券取引等監視委員会への通報があったとされます。
これに基づき、同委員会から報告命令が出されて、問題が発覚しました。

東芝は、主力事業を売却し、解体的な出直しに至りました。

(3)食品関係(ダスキン、雪印、不二家)

①ダスキン肉まん事件

2000年10月から12月にかけて、ダスキン傘下のミスタードーナツで販売していた「肉まん」に、国内で無認可の添加物が使われていた事件です。

ダスキンは、取引業者に口止め料を払う等の隠蔽工作まで行い、2002年5月まで、この事実を伏せていたものです。

株主代表訴訟において、2007年1月、大阪高等裁判所は、取締役らに、合計53億円もの損害賠償責任を認める判決を下しました。

その前年に下された判決では、隠蔽に直接加担した役員のみならず、それ以外の役員も、積極的な損害回避の方策の検討を怠った、として責任を認めています。

②雪印乳業(集団食中毒事件)

2000年に、同社の工場内の温度管理の事故で、黄色ブドウ球菌が繁殖したことに起因します。

1万7000人を超える食中毒患者を出し、同社社長の辞任、乳業部門の分割等に至ります。
事件の記者会見において、社長が、「私は寝ていないんだ。」と放言して、記者からの質問を制限しようとして、ますます世の怒りを買いました。
危機管理の失敗事例として、よく取り上げられます。

③不二家

2006年に、賞味期限切れ牛乳を使用して、シュークリームを製造したことが発覚しました。

同年11月に、管理職向けに、「マスコミに知られたら、雪印乳業雪印集団食中毒事件)の二の舞になる」という報告書を配布し、事態を隠蔽したまま、クリスマス商戦を乗り切り、その後、内部告発で、事態が発覚します。山崎製パンから衛生管理の業務支援を受け、現在は、同社の傘下になっています。

(4)情報漏洩(ベネッセ事件)

通信教育の最大手企業であるベネッセコーポレーション個人情報流出事件です。
流出した顧客情報は、最大で3504万件に及ぶとされます。
同社グループ会社の孫請会社で働いていたエンジニアが、業務用パソコンから、私用のスマートフォンに顧客情報をダウンロードして、名簿業者に販売していたものです。
さらに、この情報は、別の教育業者等にも転売されていたことも判明します。

同社の顧客情報は、お子様たちの情報であり、社会の厳しい批判を浴びることになります。
同社進研ゼミ会員の大幅減少、赤字決算等の甚大な影響を及ぼします。
教育業者にとって、顧客情報は命ともいうべきものです。
ずさんな情報管理が、大きな信用失墜をもたらしました。

(5)過労死・過労自殺(電通)

大手広告代理店電通では、1991年に、入社2年目の若手社員が、過労自殺しました。
民事訴訟において、会社の労働者に対する安全配慮義務違反が問われ、最終的には、約1億7000万円の賠償金を支払うこととなりました。

ところがその後、2015年にも、入社1年目の女性社員が、過労自殺する事件が起こりました。
東京労働局は、法人としての電通と自殺した女性社員の当時の上司を、労働基準法違反の疑いで東京地方検察庁に書類送検し、法人としての同社に、罰金50万円の判決が下ります。

この事件が、働き方改革の中で、「罰則付き時間外労働の上限規制」が導入される大きな契機となっています。

以上のように、コンプライアンス違反の事件は、次々と起こっています。他の事例に関しては、次のサイトも参照してください。

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3、コンプライアンス違反すると、どうなるの?ーコンプライアンス違反のリスク

コンプライアンス違反すると、どうなるの?ーコンプライアンス違反のリスク

以上、実例で、違反リスクはご理解いただいたと思いますが、ここでもう一度、コンプライアンス違反のリスクを、簡単に整理しておきます。

企業にも取締役にも、もちろん実行行為者にも、大きなリスクが生じます。

(1)企業のリスク

コンプライアンスの欠如が原因で、会社の信用が失墜し、最悪、倒産や解体的な出直しにいたることが珍しくないのは、上のケースで示されるとおりです。
また、刑事上の責任や民事上の損害賠償責任が生じることも同様です。

さらには、行政上も、様々な処分がなされます。
「不正会計にかかる金融庁等の処分」は代表的なものですが、電通の過労死問題では、2015年の事件後、「公共入札の停止処分」を受ける等、様々な影響が出ました。

(2)取締役のリスク

上記の事例でわかるように、「社長の首は簡単に飛んでしまう。」と思っていただいた方が良いでしょう。
信用失墜をもたらした以上、トップの責任は免れません。

そもそも、取締役には、会社の内部統制システムを構築する責任がありますので、大規模なコンプライアンス違反が起こると、取締役個人も、責任を問われます。
株主代表訴訟による巨額の賠償責任が、その最たるものです。
取締役には、相互監視義務がありますから、実行行為者以外の取締役にも、責任追及が行われることになります。

(3)コンプライアンス違反に関わった実行行為者(従業員等)のリスク

大和銀行事件において、アメリカでのディールを担当していた井口俊英氏は、アメリカで2年間の服役を命じられています。
また、ベネッセ事件の松崎正臣氏には、第一審で懲役3年6か月の実刑判決が言い渡されました。

部下を過労死・過労自殺に追いやった上司についても、刑事上・民事上の責任が追及されることもあります。

4、企業では、どのようにコンプライアンスを推進していくのか

企業では、どのようにコンプライアンスを推進していくのか

では具体的に、企業で、どのようにコンプライアンスを推進していけば良いのでしょうか。

本項では、コンプライアンスの推進方法を、具体的に解説していきます。

(1)企業活動指針に、コンプライアンスを盛り込み、社内外に周知する

企業には、企業理念・活動指針等の基本方針があります。
そこで、コンプライアンスが、企業の最重要課題であることを、明確に示します。

簡単に言えば、「コンプライアンス違反をして金もうけをするようなことは、会社の姿勢として、絶対に許さない。」というトップの姿勢を、社内外に明確に伝えることです。
企業活動指針をカードにして、全役職員に常に携行させる、朝礼等で一緒に唱える、といったことがよく行われます。

また、たとえば前述の品質偽装のメーカーであれば、「安全は、すべてに優先する」といった活動指針を明確に、社内に周知しておくことも重要です。

社外への周知としては、ホームページ上で、「コンプライアンス宣言」を公開することや各種レポートでの掲載が一般に行われています。

【参考】

豆蔵ホールディングスのコンプライアンス宣言

明治安田生命

(2)コンプライアンス・マニュアルの作成

コンプライアンス・マニュアルは、上記の企業活動指針を、役職員の実際の行動に当てはめて、具体的な行動の規範を示すものです。

情報管理を例にとるならば、

  • 会社で取扱う情報を「極秘」・「マル秘」・「社外秘」といったように分類する
  • 情報ランク毎の管理方法を明確にする

といったことが該当します。

なお、コンプライアンス・マニュアル自体は、社内規程上では、相当の上位の規程に該当します。
具体的な取扱いは、さらに細かな規程・細則・事務取扱要領等で定めます。

(3)コンプライアンス委員会等の組織の設置

コンプライアンスを、誰が責任をもって遂行するのか、社内組織を明確にする必要があります。
委員会のトップには、社長を置き、実際の行動は、コンプライアンス担当の常勤役員(専務・常務クラス等)が就き、その下に事務局として、コンプライアンス統括部署を設置する、といった形が通常と思われます。
委員会組織の構成も、その会社のコンプライアンスへの姿勢を、社内外に示すものといえます。

(4)従業員への周知徹底

従業員への周知徹底のためには、コンプライアンス教育体制の構築も重要です。

例えば、

  • 年に1度は、全社的なコンプライアンス研修を行う
  • その他特別のテーマについても、随時研修を行う
  • 職制毎のコンプライアンスプログラムを作成・実施する

といった措置が考えられます。

また、購買部門では、業者との癒着を避けるため、接待の管理を徹底することも重要でしょう。

なお、研修は、必ずしも集合研修である必要はありません。
最近のICT技術の進歩から、eラーニング等でも大きな効果を上げることができます。
大切なことは、継続することです。

(5)内部通報制度の設置

内部通報制度とは、問題に気が付いた人が、上司等の中間管理職に妨げられることなく、経営トップ層に直接通報できる仕組みです。
内部通報制度の設置は、企業の義務です。

社内の他、社外の弁護士等、社外通報窓口を設置することが、最近では一般的です。
とりわけ、経営者が関与する大規模不正については、社内通報窓口に通報が来ることは期待できないでしょう。
これも考慮して、通報体制を考えるべきです。

(6)コンプライアンス・オフィサー等の担当職員をおく

各部署や営業拠点等で、コンプライアンスを統括するコンプライアンス・オフィサー等の担当職員を置き、部署内のコンプライアンスの徹底を担当させます。
その部署の次席の人を任命することが、よく行われています。

5、健全な会社に向けて、会社全体で目指すべきこと

健全な会社に向けて、会社全体で目指すべきこと

コンプライアンスを徹底する方法は、上述の通りです。
ただ、それらは、具体的な手法にとどまります。

もっと大切なのは、「コンプライアンスを徹底する会社になるには、どうあるべきか」です。
本項では、その解説をしていきます。

(1)はじめに―不祥事は、普通の人によって起こされる―

最近の様々な不祥事の特徴としては、悪意を持った人間によって起こされているとは限らない、ことが挙げられます。

「納期に追われて、仕方がなかった」
「前任者から継続していて、自分では手が打てなかった」

といった類の事情が、背後にあるようなケースが多いのです。

つまり、よこしまな人間が、「悪事で金もうけしてやろう」というのではなく、ごく普通の常識のある人が、「目先の問題に追われて、行動してしまった」結果として、不祥事が起こるのです。

自らの会社や組織が、社会に果たすべき義務を強く意識していれば、回避できたケースが多いといえるでしょう。

その意味では、コンプライアンスの徹底のためには、不祥事の未然防止・早期発見といった体制作りだけでなく、「プロフェッショナルの誇りにかけて、社会の信頼を裏切ることはしない」という「心の内部からの動機付け」も重要となります。

(2)コンプライアンス体制確立のための施策

未然防止・早期発見等の対策を概観しながら、関連する用語も確認していきましょう。

①「内部統制システム」の構築

内部統制システムとは、「企業が、事業を適切に遂行していくための内部の管理体制」です。
取締役等には、内部統制システムの構築責任があるとされます(上で紹介した大和銀行事件第一審判決)し、大会社等には、取締役会が内部統制システムを整備することを、明示的に義務付けています(会社法第348条第3項第4号、第362条第4項第6号・第5項、第399条の13第1項第1号ロ・ハ、第416条第1項第1号ロ・ホ)。

また、財務報告の適切性を確保するための体制として、特別の定めがあります(金融商品取引法第24条の4の4)。

ありていに言えば、不祥事が起こったときに、取締役が、「自分は知らなかった」という言い訳は許さない、取締役には、不祥事を防ぐための管理体制を構築・運営する責任がある、ということです。
前述の大和銀行事件での大阪地方裁判所の判決文が、この点を明確に示したと言われています。

②コーポレートガバナンスの徹底

コーポレートガバナンスとは、「企業統治」のことです。「どのようにして企業をコントロールするか」、具体的には、「企業内の不正を防ぐ仕組み」、「企業が効率的に業務遂行するための仕組み」です。
「経営陣が、本当に株主のために企業経営を進めているかを監視する仕組み」といってもよいでしょう。

詳細については、次の記事を参照してください。

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(2)損失を軽減するためのリスクマネジメント―危機管理のポイント

不祥事発生時には、その後の対応にもまずさがあることで、二次被害を引き起こすことがよく見られます。
上で紹介した雪印乳業のケースが、その典型例といえます。
問題発生時、すなわち、「危機」発生時には、どのようにリスクを最小限にとどめるか、を考える必要があります。
これを、「危機管理」と言います。

①リスクマネジメントとは

リスクマネジメントとは、リスクを組織的に管理(マネジメント)し、損失等の回避又は低減を図るプロセスです。
すなわち、企業が経営上のリスクとその影響を正確に把握し、事前に対策を講じることで危機発生を回避し、危機発生時の損失を極小化するための経営管理手法です。

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②不祥事発生時の危機管理のポイント

ここでは、上記の様々な失敗事例において、どのように行動すれば損失を最小限に食い止める事ができたか、を考えていきましょう。

ダスキン肉まん事件を例にとって説明します。

食品会社の責務として、消費者の健康を損なうことは許されません。
無認可の添加物を使っていることが判明したときは、直ちにその旨を公表し、販売停止や流通在庫の回収・廃棄等をすべきです。
公表により、購入してしまった人は、消費を控えるでしょう。

食べてしまった人が仮に具合が悪くなったりしたら、原因がはっきりしているので、健康被害を最小限にするための手も打てます。

「消費者を守るためには、自社の一時的な損失をいとわない」という姿勢は、逆に消費者の信頼を勝ち得るのです。

以上から、まず、「消費者の健康を守る」という企業理念を明確にし、その旨が社内に周知され、違反に値することが起きたときの具体的対策を定めておくべきだった、ということができます。

(3)企業の社会的責任を役職員の誇りとして心に刻む

実際の業務の現場では、様々なプレッシャーがあります。
そのプレッシャーに負けて、ごく普通の人が、その場しのぎで判断を誤ってしまいます。

役職員一人一人が「自分の会社は、社会から何を求められているのか」を心に刻んでいれば、問題が発生した時に、自分が取るべき行動は明らかになるはずです。

「納期に追われている。お客様に嘘をついてでも、出荷してしまいたい。」

という心の中のささやきにも、

「プロフェッショナルの誇りとして、お客様に嘘をつくことはできない。約束の品質が確保できないなら、その旨をお客様に告げて、判断してもらおう。」

と対抗することができるようになるでしょう。

実は、メーカーの製品には、総じて安全に余裕が設けられています。

多少の品質の差異があっても、問題にならない場合もあるのです。

そのため、どうしても要求品質が満たせないのであれば、その旨をお客様に説明して、お客様の了解を得られれば、そのまま出荷する、という慣行も確立していました。
お客様の立場で、「多少の品質の差違があっても、大きな問題はない」と判断されれば、納入が認められているのです。

しかし、その判断はお客様がすべきものであり、メーカーが、勝手に判断することは許されません。

「嘘をついてはいけない。約束を破ってはいけない。」

この当たり前のことを忠実に守るのが、プロフェッショナルです。

ものづくり日本のブランドイメージは、このような誇りを持つ忠実な人々によって支えられてきたと言えます。
そして、このような内発的な動機付けがあれば、「納期に追われて」という悪魔のささやきに負けることもないでしょう。

まとめ

会社の中だけでコンプライアンスを考えていても、日々のプレッシャーに追われて、いわば、的外れな正当化やごまかしが横行しかねません。

社外の専門的な立場の人のアドバイスを受けながら、世に通用するコンプライアンス体制を構築していきましょう。

弁護士は、法務やリスクマネジメントの専門的な知識を有しています。
会社法や金融商品取引法が求める内部統制システムやコーポレートガバナンスの趣旨を踏まえ、企業にふさわしいアドバイスをしてくれるでしょう。
また、内部通報の社外窓口としても、弁護士がふさわしいのです。

ぜひ一度、まずは、気軽な相談からでも、はじめてみてはいかがでしょうか。

コンプライアンスを見直すことで、会社の評価が上がることは間違いありません。
守りと考えられるコンプライアンスですが、企業法務に詳しい弁護士に相談すれば、「攻め」のコンプライアンスの実現も可能です。

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