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専属的合意管轄裁判所について知っておくべき4つのこと

専属的合意管轄裁判所について知っておくべき4つのこと

契約書や契約約款には、「本契約に関連して当事者間に生じる一切の紛争は○○裁判所を専属的合意管轄裁判所とするという文言の条項が設けられている場合があります

このような条項は、契約条項の最後の方に記載されることが多いので、「おまけの条項」のようなイメージをもっている人も多いかもしれません。しかし、「どこの裁判所で裁判をするか」ということは、実際の裁判では、とても重要なことといえます。特に、外国企業との契約等では、国が変われば言語も裁判制度も違いますので、自国で裁判を行えるアドバンテージは相当なものといえます。

今回は、このような契約において専属的合意管轄裁判所を定める場合の具体例やそのような契約を交わす際の注意点等について解説していきます。

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1、専属的合意管轄裁判所とは?

専属的合意管轄裁判所とは、契約の当事者が、その契約について生じる紛争の民事裁判を行う場として合意された特定の(ひとつだけ)の裁判所のことをいいます

私人同士の紛争を取り扱う民事裁判では、私的自治の原則(契約自由の原則)が適用される場面も多く、「どこの裁判所で裁判をするか」ということについても、当事者同士で決めることができるのです。

以下では、専属的合意管轄を理解する上で必要となる裁判管轄の基本ルールについて解説していきます。

(1)裁判所の管轄の決まり方の基本

裁判所の管轄とは、特定のある事件を担当する裁判所内での分担のことをいいます。日本には、たくさんの裁判所がありますが、どこの裁判所でも裁判をすることができるというわけではないのです。

管轄に関するルールとしては、第一審の申立て先(訴状の提出先)に関する管轄と、地域に関する管轄(同じ審級内での分担)が特に重要です。

①第一審の申立て先に関する管轄(事物管轄)

日本の裁判所は、最高裁判所を頂点に、高等裁判所、地方裁判所、簡易裁判所、家庭裁判所の5つの種類の裁判所があり、事件の種類や内容ごとに、取り扱える裁判所が決められています。

通常の民事裁判の第一審は、地方裁判所か簡易裁判所で取り扱うことになりますが、それぞれの事件を、いずれの裁判所で取り扱うかというルールのことを事物管轄といい、次のように決められています

  • 訴額(相手方への請求額等)が140万円以下:簡易裁判所に申立て可能
  • 訴額が140万円を超える場合、訴額が算定できない場合:地方裁判所(簡易裁判所は利用不可)

②土地管轄

土地管轄とは、上記の事物管轄のルールで決まった第一審の申立てとなる裁判所(地方裁判所・簡易裁判所)の中から、どこの裁判所が担当するのかというルールです。

この土地管轄は、「相手方の住所地(これを普通裁判籍とよびます)を管轄する裁判所となるのが大原則です

また、事件の種類によっては、事件と特別の結びつきのある地域(特別裁判籍といいます)の裁判所にも、管轄権が認められる場合があります。その代表例は、下記のとおりです。

  • 財産権上の訴え(金銭の支払いや不動産の明渡しを求める訴え)における義務履行地、不動産の所在地
  • 事務所または営業所を有する者に対する事務所または営業所における業務に関する訴えにおける当該事務所又は営業所の所在地
  • 不法行為に関する訴えにおける不法行為があった地

(2)合意管轄とは?

裁判所の管轄は、民事訴訟法に定められている上記のルールで決められるのが原則です。

しかし、管轄裁判所について、当事者間に合意の書面がある場合には、第一審を行う地を自由に選ぶことができ、これを「合意管轄と呼んでいます(民事訴訟法11条)

民事訴訟法11条(管轄の合意)

第十一条 当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。

2 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。

3 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前項の規定を適用する。

(3)専属管轄とは?

専属管轄とは、「専属」という言葉が示すように、特定の裁判所のみに管轄が与えられる場合のことをいいます

民事訴訟法では、特許権、実用新案権、回路配置利用権、プログラムの著作物についての著作者の権利に関する訴え(特許権等に関する訴え)について、は、東日本は東京地方裁判所、西日本は大阪地方裁判所の専属管轄となっています(民事訴訟法6条)。

その意味で、専属的な合意管轄というのは、合意によって他の裁判所での裁判を排斥するという意味合いになります(理屈の上では、専属的ではない合意管轄の合意も可能です)。

なお、契約による専属的合意管轄は、あくまでも当事者間の合意に過ぎず、後に解説する裁判所の決定による移送がなされた場合には、合意された裁判所とは別の裁判所で、裁判が行われることになる点に注意が必要です

2、専属的合意管轄裁判所が定められる具体例

企業と消費者との契約や、企業間の契約においては、専属的合意管轄裁判所を定める条項が盛り込まれていることが少なくありません。このような契約類型においては、契約において、専属的合意管轄を定めることで、トラブル(訴訟)が生じた場合の負担コストを軽減させることができます。

契約において、専属的合意管轄裁判所についての条項が定められる場合には、主として、次のようなパターンがあります。

(1)遠方の相手と契約を結ぶ場合

上でも解説したように、民事訴訟の管轄は、原則として、被告となる相手方の住所地となります。したがって、遠方の相手と契約を結ぶ場合には、合意管轄によって、自己に有利な管轄裁判所を指定するメリットが大きいといえます

その典型例は、外国に居住する相手と契約する場合です。国が違えば裁判制度も大きく異なるため、自国(日本)の裁判所を専属的合意管轄裁判所として定めることは、裁判所に出向く時間・費用の負担を軽減できるというだけでなく、自国の言語で裁判できるという点で、大きな意味があります。

(2)大多数の相手と契約する場合

全国の顧客と大量に取引するような場合にも、契約の中で、専属的合意管轄裁判所を定めておくメリットが大きいといえます。その契約をめぐる紛争を、すべて相手方の住所地で対応することは、非常に大きな負担となってしまうからです。

(3)専門部署での対応が必要な契約をする場合

トラブルが生じた場合に、適切に対応できる部署・人員が限られるような契約を交わす場合には、その部署・人員が対応しやすい裁判所を専属的合意管轄裁判所として定めておくことも非常に有効といえます。

3、専属的合意管轄裁判所について、合意できない場合の対処方法

専属的合意管轄裁判所を定める契約条項は、その後の紛争処理の有利・不利にも大きな影響を与えることになります。特に、遠方や他国にいる相手方との訴訟になれば、片方に有利な裁判所は、他方にとって不利な裁判所となることも多く、契約交渉においても、専属的合意管轄裁判所の条項について、相手方の合意がなかなか得られないことも珍しくはありません

そのような場合の対処方法としては、次のような方法が考えられます。

(1)どちらにも偏らない裁判所を専属合意管轄裁判所とする

相手方と管轄裁判所で合意できないという場合には、どちらにも有利とはいえない裁判所(たとええば、第三国の裁判所)を合意管轄の裁判所として定めることも考えられます。

ただし、この場合には、管轄裁判所と合意された裁判所の方から、自国とは全く無関係な訴訟の実施を拒否される場合もあることに、注意しておく必要があります。

(2)被告地主義を採用する

専属的合意管轄について、話し合いがまとまらない場合は、「相手だけに有利な裁判所に定められたくない」という理由によることが多いといえます。そこで、そのような場合には、「訴訟をするときには、『相手の所在地(被告地)』を管轄する裁判所とする」という内容の合意管轄を定めることも有効な方法です。

お互いに相手の所在地で裁判をするのであれば、どちらかだけが有利になることはありませんし、被告地での裁判は、原告地での裁判に比べてコスト高になることから、訴訟の抑制(紛争それ自体の予防)にもつながることもあります。

(3)「専属管轄」にこだわらない

「専属管轄」について、契約当事者双方の利害が真っ向から対立するような場合には、そもそも専属的合意管轄の定め自体が難しい場合も多いといえます。その場合には、専属ではない合意管轄を定めるということも、妥協案のひとつといえます。専属管轄ではないとしても、管轄の合意があれば、その地で裁判を行える可能性は保つことができ、一定のメリットを確保することも可能となるからです。

しかし、この場合には、専属的な管轄ではないことから、合意(契約)によって相手方の提訴活動を拘束できない(法律上の管轄権がある他の裁判所に提訴される可能性を否定できない)点に注意しておく必要があります。

(4)訴訟以外の紛争解決手続(いわゆるADR)の利用を検討する

契約上の紛争が生じた場合には、裁判手続だけでなく、そのほかの紛争解決手続ADR:裁判外紛争解決続を利用する(紛争が生じた場合には、指定のADR手続を利用する旨の条項にする)ことも、選択肢のひとつといえます

特に、多国籍取引等の場面では、世界各地にある商事仲裁を用いることも珍しくありませんし、この場合には、第三国で手続を行うことのハードルもかなり低くなるといえます。

また、高度・専門的な内容の契約を交わす場合には、それぞれの専門分野に特化したADR手続を利用することで、訴訟よりもスムーズに紛争解決がはかれる場合もないわけではありません。

4、他の裁判所で裁判が行われる可能性

契約によって、専属的合意管轄裁判所が定められている場合であっても、それ以外の裁判所で裁判が行われる可能性を完全に排除することはできません。専属的合意管轄の条項にしたがって訴訟を提起した場合であっても、裁判所の判断によっては、他の裁判所への移送が行われることもあるからです。

(1)移送とは?

移送とは、訴えの提起を受けた裁判所が、その事件を別の裁判所に担当させることをいいます

民事訴訟においては、次の場合に、当事者からの申立て、もしくは裁判所の職権によって移送が行われます。

  • 管轄違いで裁判が提起された場合
  • 当事者からの申立てと相手方の同意がある場合(必要的移送)
  • 著しい遅滞の回避、当事者間の衡平を図る必要があるとき

まず、当事者間で定めた専属的合意管轄があったとしても、それが法律上の専属管轄に反している場合には、(職権による)移送の対象となってしまいます。上でも解説したように、知的財産権に関する訴訟では、合意で管轄を定める余地がほとんどないので、注意する必要があります。

次の必要的移送は、主として原告が訴訟を提起した後に、被告による移送の申立てに、原告が同意したというケースが念頭におかれます。この場合には、訴訟提起後に、当事者間で管轄合意が成立したために、裁判所はそれに拘束されるというわけです。

最後の、著しい遅滞の回避、当事者間の衡平を図るための措置として移送は、専属的合意管轄と移送の関係では、特に重要な問題なので、節を改めて解説します。

(2)契約約款で定めた専属的合意裁判所と移送の可能性

専属的合意管轄の契約条項は、当事者間の協議と同意によって設けられるのが原則といえます。しかし、一般消費者と事業者との契約の場合にように、契約約款の中に、専属的合意管轄裁判所の条項が盛り込まれているケースでは、裁判所の管轄について、十分な協議がなされているとは必ずしもいえません。

このような場合には、訴訟の状況によっては、契約によって専属的合意管轄裁判所が定められている場合でも、訴訟の著しい遅延を回避するため、もしくは、当事者間の衡平(フェアネス)を図るために、他の裁判所への移送が認められることがあります。

契約約款によって専属的合意管轄裁判所が定められている場合には、地方にいる消費者である被告の応訴負担(経済的負担・時間的な負担等)が、企業が所在する大都市での裁判を強いられることにより著しく重くなってしまうことを是正するために、被告所在地への移送が認められるケースも珍しくありません。

特に、原告(企業)側が、被告所在地(近隣)に支店・営業所等を構えている場合等には、裁判所としては、移送の判断がしやすいともいえるので、契約によって専属的合意管轄裁判所が定められていても、必ずしも、その裁判所で裁判が終結するわけではないということに注意しておく必要があります。

まとめ

契約によって専属的合意管轄裁判所を定めておくことは、万が一の場合のコストやリスクを軽減し、訴訟を優位に進める点で、大きなメリットがあります。

しかしながら、訴訟での優位性は、契約の相手方にとっても重要な場合が多く、一方だけの思惑通りに条項を定められない場合も少なくありません。特に、外国企業等との契約では、専属的合意管轄裁判所の設定が契約上の大きな争点となることもありますし、契約約款で定めた専属的合意管轄裁判所は、移送となるリスクがあることも忘れるべきではありません。

以上のように、専属的合意管轄裁判所を定める契約条項には、難しいポイントがたくさん含まれていますので、契約書の作成・チェック等の際には、弁護士への相談や顧問弁護士の活用等が有効です。

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