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株主総会の招集通知―間違ってはいけない重要5ポイント

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株式会社において、株主総会は最高意思決定機関であり、必ず開催しなければなりません。
そのためには、株主に対して、招集通知を発送する必要がありますが、小規模な閉鎖会社等では、ルーズなやり方がまかり通っていることがあります。

招集通知は、とかく事務的・実務的な問題と考えられがちです。

しかし、対応を誤ると、大きなリスクが生じます。

この記事では、

  • 招集通知の実務ポイント
  • 招集通知について、法律で認められた簡略なやり方
  • 招集通知に不備があったり、そもそも株主総会に不備があった場合に、どのような問題が生じ、どのように対処すべきか

について、わかりやすく解説します。

この記事が、あなたの会社の適切なガバナンスのお役に立つことを祈っております。

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1、定時株主総会の招集通知発送までの流れ

株主総会には、年に1回、決算の承認とそれにともなう剰余金分配、役員の選任等を行う定時株主総会と、その他重大な事項について決議する臨時株主総会があります。

この記事では、定時株主総会に的を絞って、ご説明します。

(1)はじめに 用語の説明(「公開会社と非公開会社」、「取締役会設置会社と非設置会社」)

公開会社か非公開会社か、取締役会設置会社か非設置会社かによって、後述の通り、株主総会の招集手続が異なっています。

そのため、この2つの基本的な用語を、はじめに説明いたします。

①公開会社と非公開会社

株式会社は、通常、株主が自由に株式を譲渡することができますが、中には、株式の譲渡については、すべて会社の承認を得なければならないと定めている会社があります。

前者が「公開会社」、後者が「非公開会社」です。

一部の株式だけに譲渡制限を設けているが、それ以外に、譲渡が自由な株式があるのであれば、公開会社に該当します(会社法2条第5号)。

なお、「上場会社」と「公開会社」は、別の概念です。
上場会社は、金融商品取引所で、広範な投資家が、株式の売買を行うことができる会社ですが、投資家保護のため、厳しい上場基準が設けられています。
すなわち、「公開会社のうちのごく一部が上場会社」とお考えください。

②取締役会設置会社と非設置会社

取締役会は、株主総会で選任された取締役(3名以上)が、その合議によって、一定の事項について決議する権限が与えられている機関です。
会社の意思決定を迅速・的確に行うための制度です。

公開会社では、取締役会設置が義務付けられています(会社法第327条第1項)。

一方で、取締役会を設置していない会社では、株主総会で一切のことを決議できます(会社法第295条第1項)。
小規模で、株主数が少なく、株主総会だけで意思決定しても特に問題がないのであれば、取締役会を置く必要はなく、取締役も1人いれば足りることになります。
もちろん、非公開会社でも、取締役会を設置することはできます。

上記二つの用語について表でまとめました。

 

 

取締役会設置会社

非設置会社

 

意味

取締役3人以上での取締役会を設置し、一定事項の決議権限

株主総会ですべての事項の決議権限

公開会社

譲渡自由な株式がある

(その一部が上場会社)

×

(公開会社は取締役会設置を義務付け)

非公開会社

全株式について譲渡制限

(2)開催日時や場所の決定

①開催日時の決定

通常は、決算の期末日を、株主総会で権利行使できる株主を定める「基準日」としています。
基準日を定めると、株主の権利行使は、基準日から3か月以内に行使するものに限られています(会社法124条第2項)。

従って、例えば、3月末決算の会社であれば、株主の権利行使の日、すなわち株主総会は、6月末までに開催する必要があります。

総会までの準備や招集通知の発送等を考慮して、株主総会の開催日時を決定します。

②場所の決定

株主総会の開催場所は、会社の本店所在地には限られません。
ただし、常識的に、株主が出席しやすい場所を選ぶべきです。
株主にとって著しく不便な場所を選んだ場合には、招集手続が不公正として、株主総会の取消事由に該当することになりかねません。 

日時・場所に関して、過去の株主総会の日時・場所より著しく離れた日時・場所であるときには、その理由を招集通知に記載する必要があります(会社法施行規則63条第1号、第2号)。

(3)取締役会(非設置会社では取締役)による株主総会の招集決定 

株主総会の日時、場所のほか、次の事項を決定します。(会社法第298条)

取締役会設置会社では取締役会で決定し、非設置会社では取締役が決定します。

  • 議題
    株主総会の目的事項としての「報告事項」及び「決議事項」等を決定します。
  • 総会に出席しない株主に、書面による議決権行使を認めるときはその旨
  • 総会に出席しない株主に、電磁的方法による議決権行使を認めるときはその旨
  • その他法務省令で定める事項

(前述(2)記載の総会日時・場所が過去と著しく異なっている場合のその理由等が該当します)。

招集通知の詳しい記載内容や注意点については、後述します。

(4)招集通知の発送 

発送の時期は、次のように定められています。

なお、ここで「2週間」、「1週間」というのは、招集通知発送日と株主総会開催日を含まずに、計算します。
すなわち、中2週間(14日間)あるいは1週間(7日間)空ける必要がある、ということになります。

要件

発送時期

公開会社

株主総会の日の2週間前

非公開会社

書面や電磁的方法による議決権行使を認める場合

上記を認めない場合

株主総会の日の1週間前

取締役会非設置会社

定款の定めにより、株主総会の日の1週間前よりも短縮可能。

2、株主総会の招集通知のキホン

(1)記載内容

特に注意すべきは、「議題」の記載です。

①原則的な記載方法 

株主が、招集通知を見て、総会で何が決議されるかが分かる程度の記載であることが必要です。

例えば、「剰余金処分の件」、「役員賞与支給の件」等です。

「剰余金配当が1株につき●●円」などの中身まで記載する必要はありません。

②議案の要領の記載を要する事項

一部の重要な事項については、「議題」のほか「議案の要領」の記載が必要です。
すなわち、議題の中身(何をするのか、どんな変更があるのか)の具体的な記載が必要です。

例えば、次のような事項です(会社法施行規則63条第7号)。

  • 役員等の選任
  • 役員等の報酬等
  • 株式についての特殊な取扱い(全部取得条項付種類株式の取得、株式の併合、募集株式を引き受ける者の募集)
  • 定款の変更
  • 会社の組織変更等(事業譲渡、合併、会社分割、株式交換、株式移転)

(2)提供書類・添付書類

株主総会の招集通知には、以下の資料を添付する必要があります。

①取締役会設置会社での定時株主総会の招集の際(会社法437条)

「計算書類」
「事業報告(監査報告・会計監査報告を含む)」

 ②株主総会で書面投票ができる場合(会社法301条第1項)

株主総会参考書類及び議決権行使書面

(3)発送方法(未着の場合の対応)

①原則的な発送方法

株主総会の招集通知等、会社が株主に対して行う通知は、原則として、株主名簿上の住所に宛てて発すれば足ります(会社法126条第1項)。

実際に、株主の元に届かなかったとしても、会社は免責されます。
株主名簿上の住所に招集通知を発送して、受取拒否や不在等により返送されたとしても、招集手続において特に法的な問題にはなりません。

②そもそも招集通知を送る必要がない株主

株主総会は、株主としての議決権を行使する場ですから、議決権のない株主には、招集通知を送る必要はありません。次のような株主です。

  • 議決権がない株式(完全無議決株式)を有する株主
  • 一部の事項を除き、議決権のない株式(議決権制限株式)を有する株主
  • その他、株式の状態等により議決権を有しない株式(自己株式、単元未満株式、相互保有株式等)を有する株主
  • 所在不明株主

3、株主総会招集通知を発送しなくて良い場合とは?(招集手続が省略できる場合)

株主総会の招集通知を発送しなくても良い場合があります。

(1)株主全員の同意があった場合

この場合には、法定の招集通知や計算書類・事業報告の提供を行わずに、総会を開催することができます(会社法300条)。

ただし、招集手続で書面投票や電子投票による議決行使を定めた場合には、招集手続は省略できません(同条ただし書)。
書面や電磁的方法による議決権行使の機会を株主から奪ってしまうからです。
通常通りの招集通知、参考書類、議決権行使書面等の送付が必要となります。

実際に、株主全員の同意で招集集手続が省略できるのは、非公開会社、かつ、書面投票や電子投票も不採用で、比較的株主数の少ない会社に限られます。
1人株主の会社、親族数人だけが株主の会社等、ということになるでしょう。

(2)全員出席総会

招集権者による招集がなくても、株主全員が同意して出席すれば、株主総会は成立します。
全員出席総会と呼ばれます。

なお、(1)の株主総会招集通知の省略については、招集を省略することに、株主全員の同意が必要ですが、株主総会そのものに、全株主の出席が必須というわけではありません。

この点が、(1)招集手続省略と(2)全員出席総会の違いです。

4、株主総会を開かないリスク

中小企業等で、株主総会を開いたことにして、議事録だけ作成している、といった事例が見受けられます。

しかし、株主総会は、会社の最高意思決定機関です。
招集通知について、様々な簡略法がありますが、そもそも株主総会を開かない、というのは株式会社においては論外です。株主総会決議不存在確認の訴えの対象となります。
不存在確認を認容する判決が下ると、最初からその決議がなかったものと扱われます。
例えば、次のような結果が生じます。

①取締役選任決議が不存在となる

その取締役の行った行為が全て覆されてしまいます。会社経営上、甚大な影響をおよぼします。

②役員報酬増額とか、役員賞与を支払う決議が不存在となる

報酬は増額されませんし、賞与の支払いも根拠をなくしてしまいます。
すでに増額分を受け取っていたとか、賞与を受け取っていたとしたら、会社に返還しなければなりません。

5、招集手続に法令違反があった場合のリスク

招集通知漏れ、招集通知期間の不足、招集手続の違反がある場合等が考えられます。

重大な不備があると、招集手続の法令違反として、株主総会決議取消しの訴えの対象になることがあります(招集の手続または決議の方法が法令もしくは定款に違反し、または著しく不公正なとき(会社法831条第1項第1号))。

株主総会の決議は、会社の中だけでなく、取引先、その他社外へも影響が大きいものです。
そのため、違反が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさない場合であれば、裁判所の判断で、取消事由があっても、訴えを棄却(退けること)することができます。裁判所による裁量棄却と呼ばれます(会社法831条第2項)。

招集通知に関連して問題となった事例を、いくつか挙げてみましょう。

(1)招集通知漏れ

招集通知が、そもそも発送されなかったとか、発送漏れがあった場合には、招集手続に瑕疵があったものとして、株主総会決議取消事由に該当します。

株式総数5000株(株主9名)のうち、2100株(株主6名)について招集通知が行われなかった事案について、株主総会決議が不存在であると判断した最高裁判例があります(最判昭和33年10月3日)

(2)招集通知期間の不足の例

招集通知が、すべての株主に対して、法定の招集期間に2日足りない株主総会の12日前になされた事案で、裁量棄却ができない重大な瑕疵として、株主総会決議の取消を認めた最高裁判例があります(最判昭和46年3月18日)。
もっとも、この最高裁判例の事案では、株主総会の招集について、取締役会の有効な決議に基づかないで招集した、という瑕疵もありました。

(3)招集手続の違反

福島県南会津郡を本店所在地とする株式会社が、定款に別段の定めがないにもかかわらず、株主総会を東京都新宿区に招集した手続について、裁量棄却ができない重大な瑕疵として株主総会決議の取消を認めた最高裁判例があります(最判平成5年9月9日)。

6、株主総会に不安がある場合は、弁護士に相談を

以上の通り、株主総会の招集手続は、一歩間違うと重大な影響をもたらします。

別段難しい手続ではないので、「これまでやってきたから」、「特に文句も出なかったから」などと、間違った手続を安直に継続しているケースが見受けられます。

これまでの手続に疑問を感じたならば、大事に至る前に、ともかく弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ 

株式会社は、社会的な存在です。
株主から出資を集め、株主の委託を受けて、事業を遂行しているのです。
その最高決議機関が株主総会であり、議決権を持った株主に対しては、適切な内容の招集通知を適切な手続を経て、送る必要があります。

また、このような適切な手続を誠実に履行することが、株主の信頼を勝ち得て、事業の発展につながるのです。

この記事を、株主総会の適切な招集手続の実施のために参考にしていただき、あなたの会社の事業がさらに発展することを念願しております。

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