民泊の始め方まとめ|民泊を始める時に役立つ8つのポイント

民泊 始め方

「民泊」と聞くと、宿泊客が個人宅に泊まること、などと漠然とイメージされると思いますが、正確にはどんな事業をいうのでしょうか?この記事では、まずはその点からご説明します。

その上で、民泊のタイプや民泊を始めるにあたっての必要な知識、注意点などについても併せてご説明します。

この記事が皆さまのお役に立つことができれば幸いです。

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1、民泊とは?~民泊には3タイプあり

民泊とは?~民泊には3タイプあり

民泊には以下の3つのタイプがあります。

(1)文化交流タイプ

外国の方との異文化交流を目的とした民泊です。
家主が宿泊客と一緒に宿泊施設に泊まるため家主居住型とも呼ばれています。

(2)遊休不動産活用タイプ

放置している住宅、マンション(遊休不動産)を活用する民泊です。
家主居住型に対し家主不在型とも呼ばれています。

(3)投資目的タイプ

民泊によって利益を上げることを企図した、投資目的の民泊です。

2、民泊で必要となる法律知識

民泊で必要となる法律知識

民泊を始めるにあたって避けては通れないのが法律です。
民泊を始めるにあたっては、まずは以下の2つの法律を勉強する必要があります。

(1)旅館業法

旅館利用者が安心・安全に旅館を利用できるよう、旅館業の適正な運営のための規制に関する規定を設けた法律です。

旅館業法では、旅館業を「ホテル営業」、「旅館営業」、「簡易宿所営業」、「下宿営業」の4つに区分しています。
このうち民泊は「簡易宿所営業」に当たり得ます。

旅館業法2条3号では、「簡易宿泊営業」とは、

宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿営業(施設を設け、一月以上の期間を単位とする宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業)以外のものをいう

と定義されています。

(2)民泊新法

民泊新法とは正式には住宅宿泊事業法といいます。

日本での民泊サービスの普及、多様化する民泊ニーズ、利用客同士、あるいは近隣住民とのトラブル、違法民泊への対応などを目的として制定され、2018年6月15日から施行されています。

民泊新法2条3項では、「住宅宿泊事業」とは、

旅館業法第3条の2第1項に規定する営業者以外の者が宿泊料を受けて「住宅」に人を宿泊させる事業であって、人を宿泊させる日数として国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより算定して一年間で180日を超えないものという

と定義されています。これが民泊新法に基づく民泊です。

3、文化交流タイプ(家主居住型)の民泊の注意点

文化交流タイプ(家主居住型)の民泊の注意点

では、項目3から5では、民泊を始めるにあたり、タイプ別の注意点をご説明いたします。

まずは、文化交流タイプ型です。

(1)適用される法律は民泊新法

適用される法律は民泊新法です。
民泊を始めるには、都道府県知事への「届出」が必要です。

(2)年間営業日数の上限は基本180日

年間の営業日数の上限は「180日」です。

ただし、「特区民泊」による特定認定を受けた場合は日数の制限なく営業できます。
「特区民泊」とは、国家戦略特別区域法に基づいた旅館業法の特例措置です。
後ほどご説明する旅館業法の「許可」よりは事業を始めるためのハードルは低いと言われています。

しかし、事業をできる区域は「国家戦略特別区域」で、かつ、条例が整備された区域、と限定されています。
ちなみに、2019年3月時点では、

  • 東京都大田区
  • 大阪府の34市町村
  • 新潟市
  • 千葉市
  • 福岡県北九州市

が、特区民泊により事業を営める区域です。

(3)対象施設は「住宅」に限定

「住宅」とは、台所、浴室、便所、洗面設備が設けられている

ア、人の生活の本拠として使用されている家屋
イ、従前の入居者の賃貸借の期間の満了後新たな入居者の募集が行われている家屋
ウ、随時所有者、賃借人、転借人の居住の用に供されている家屋

のいずれかに該当するものをいいます。

(4)マンションの場合は管理規約をチェック

その住宅がマンションの場合はマンションの管理規約をチェックしましょう。

マンション管理規約で民泊が禁止されている場合は民泊を営むことはできません。

国土交通省は、マンションの標準管理規約を公表しています。
マンションによってはその例にならって規約を改正しているところがあります。

改正されていない場合は、マンションの管理組合から禁止する意思がない旨の同意を取り、それを書類で証明する必要があります(下記6(2)⑪参照)。

(5)消防法令適合通知書が必要

厚生労働省・国土交通省発出の「住宅宿泊事業法ガイドライン」によると、都道府県知事への届出時に、消防法令適合通知書も同時に提出することが求められています。

4、遊休不動産活用タイプ(家主不在型)の民泊の注意点

遊休不動産活用タイプ(家主不在型)の民泊の注意点

次に、遊休不動産活動タイプでの注意点です。

(1)適用法律は民泊新法

文化交流タイプと同様、民泊新法が適用されます。

したがって、都道府県知事への「届出」が必要なこと、年間の営業日数の上限が「180日」であること、「住宅」の要件を満たす必要があること、規約によってはマンションでの民泊を禁止されることがあること、消防法令適合通知書の提出が必要であること、は文化交流タイプ型と同様です。

ただ、以下の2点が大きく異なります。

(2)管理は「住宅宿泊管理業者」に

届出住宅に宿泊客を宿泊させている間、不在となるときは、民泊業務を「住宅宿泊管理業者」に委託しなければなりません。

(3)自動火災報知設備等の設置が義務付けられる(一戸建て住宅で民泊を行う場合)

一戸建て住宅で民泊を行う場合、消防法上「宿泊施設」とされ、自動火災報知設備、誘導灯、スプリンクラー設備(階数、延床面積による)等を設置しなければなりません。

なお、文化交流タイプ(家主居住型)の場合、床面積の合計が50㎡以下の場合は「一般住宅」とされ、寝室等に住宅用火災警報器を設置するのみで足ります。

5、投資目的タイプの民泊の注意点

投資目的タイプの民泊の注意点

最後に、投資目的タイプの注意点です。

(1)適用される法律はスタイルにより異なる

  •  年間180日超で営業する場合は旅館業法

「本格的に投資民泊を始めたい」という場合は、年間営業日数の制限を受けない旅館業法による「許可」を受けるか、あるいは、特区民泊による特定認定を受けなければなりません。

  •  年間180日以下で営業する場合は民泊新法

「投資民泊を気軽に試してみたい」という場合は、民泊新法による「届出」を行いましょう。

ただ、営業日数が限定されるため利益を上げられない場合もあります。
そうした場合、余った日数については「マンスリーマンション」や「イベントスペース」として貸し出すという選択肢もあります。

(2)3つのやり方がある

投資目的タイプの民泊では次の3つのやり方があります。

① 住宅のオーナーになり、自分で運用する

運用で得た利益は全てご自分のもとに入ってきます。

他方、住宅取得には多額の費用がかかります。また、住宅を維持、管理していく必要があり、それには多額の費用がかかります。常に稼働率に気を配るなど運用にあたっては専門知識を身に着ける必要があります。

② 住宅のオーナーになって賃貸し、借り手に運用してもらう

毎月の賃料収入を期待できます。また、人気エリアであれば、通常よりも高めの賃料でも借り手がつく可能性があります。

他方、①と同様、住宅取得に多額の費用がかかります。

①よりかは維持、管理面での負担は減るかもしれませんが、運用は借り手に委ねられます。
借り手の運用次第で収益は変動し、住宅の維持、管理面でも違いが出てくるでしょう。

③民泊運用可能な物件を借りて運用する

①、②と異なり、住宅を取得する必要はありませから初期投資額は少なくて済みます。

しかし、毎月、賃料を負担しなければなりません。この賃料負担が思いのほか、収益を圧迫します。
また、住宅の維持、管理していく必要があり、それには多額の費用がかかります。

(3)賃貸の場合は転貸可能か確認を

③の場合、物件を転貸して運用するというやり方もあります。 
その場合は、予めオーナーに転貸可能かどうか確認しておく必要があります。

6、民泊新法に基づく届出の注意点の注意点

民泊新法に基づく届出の注意点の注意点

ここでは、民泊新法に基づいて届出をする際の注意点をご紹介します。

(1)届出書の作成、提出先、提出方法

まず、民泊を始めようとする方は、住宅が所在する都道府県知事、保健所設置市あるいは特別区の長に「届出書」を提出しなければなりません。

届出書の作成方法は①実際に用意された書式に記入する方法と、②パソコンから「民泊運営登録システム」に登録・ログインして必要事項を入力する方法の2つがあります。 
届出書の提出先は、各都道府県庁や各自治体の保健所です。

(2)添付書類の準備(個人の場合)

届出書には以下の書類を添付する必要があります。

① 成年後見人及び被保佐人に該当しない旨の後見等登記事項証明書(取得先:法務局)

② 成年被後見人及び被保佐人とみなされる者並びに破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書(取得先:法務局)

③ 欠格事由に該当しないことを誓約する書面(取得先:国土交通省、厚生労働省ホームページ)

④ 住宅の登記事項証明書(取得先:法務局) 

⑤ 住宅が「入居者の募集が行われている家屋」に該当する場合は、入居者募集の広告その他これを証する書類 書類の例として、募集広告紙面の写し、賃貸不動産情報サイトの掲載情報の写し、募集の写真などがあります。

⑥ 「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」に該当する場合は、それを証する書類

家屋の例として、別荘、空き家などがあります。

書類の例として、家屋周辺で買い物した際の領収書、家屋と自宅との間の交通機関を利用した際の領収書などがあります。

⑦ 住宅の図面(取得先:住宅販売会社など)

住宅を購入した際に、販売会社から入手した図面などです。

⑧ 賃借人の場合、賃貸人が承諾したことを証する書類(取得先:賃貸人)

定められた様式はありません。

⑨ 転借人の場合、賃貸人、転貸人が承諾したことを証する書類(取得先:賃貸人、転貸人)

⑩ 区分所有建物(マンション)の場合、規約の写し

⑪ 規約に住宅宿泊事業を営むことについて定めがない場合は、禁止する意思がないことを証する書類(取得先:国土交通省、厚生労働省ホームページ)

⑫ 委託する場合は、管理業者から委託された書面の写し(取得先:管理業者)

7、民泊を始める際の相談先

民泊を始める際の相談先

民泊を始めるにあたっては、様々なことに注意しなければなりません。そこで、民泊を始める際の相談先をご紹介します。

(1)国や各都道府県自治体の専門相談口

国では「民泊制度コールセンター」を設け、毎日(土日、祝日を含む)、9時から22時までの間、民泊新法や届出に関する質問などに対応しています。

各都道県自治体にも相談窓口が設けられており、各自治体独自のルールに関する質問などに対応しています。
相談は無料ですが、実際の手続きはご自身で行わなければなりません。

また、実際の運用のノウハウなどを教えてくれるわけではありません。

民泊制度コールセンター電話番号:0570-041-389

自治体相談窓口一覧:http://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/municipality.html

(2)民泊コンサルタント、民泊運営代行会社

民間では、住宅取得から運用についての助言・アドバイスをしてくれる会社、あるいはそれらを一気に引き受けてくれる会社があります。
これらの会社は民泊のプロですから、民泊を成功させるための必要な助言、アドバイスを受けることができます。

また、ご自身で面倒や手続きや運用をしない面では楽です。
その反面、助言・アドバイスを受けたからといって必ず成功するとは限りませんし、一定の費用がかかります。

資金面に余裕のある方向け、といえそうです。

8、民泊を始めるにあたって困った、トラブルが発生したという場合は弁護士へ相談を

民泊を始めるにあたって困った、トラブルが発生したという場合は弁護士へ相談を

民泊を始めるにあたっては、旅館営業法、民泊新法などの法律に記載された事項に基づいて手続きを進めていかなければなりません。

民泊を始めるにあたっては宿泊客や近隣住民との間でどんなトラブルが発生しやすいのか、それに対してどんな予防法を取っておく必要があるのか学習し、対策を立てておく必要があります。

また、賃貸住宅で民泊を運営する場合は貸主とのトラブル、所有のマンションで民泊を運営する場合はマンションの管理組合とのトラブルにも適切に対処する必要があります。

それらの対策、対処にはやはり、法的知識、経験が必要不可欠です。お困りの際は弁護士にご相談ください。

まとめ

以上、民泊の意義、民泊を始めるにあたっての注意点などについてご説明してまいりました。

これから民泊を始められる方は、ここでご説明した内容を参考に、ご自身の目的に合われたよりよい民泊を運営されていかれることを願っております。

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