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土地の生前贈与を適切に行うための7つのポイント

土地の生前贈与を適切に行うための7つのポイント

土地を生前贈与する場合、どのような流れで行われるのでしょうか。

将来、来たるべき相続に備えて、相続税対策をしておくことは非常に重要です。
相続税を減らすには、生前贈与を活用することが非常に役立ちますが、土地を生前贈与するときには、どのようなメリットやデメリットがあるものでしょうか?

今回は、

  • 土地を生前贈与するメリット・デメリットや具体的な方法
  • 土地を生前贈与するときのステップ
  • 本当に節税メリットを得られるのかどうかチェックする方法

について、べリーベスト税理士事務所の税理士がご紹介します。
生前贈与について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

不動産の相続税について、べリーベスト税理士事務所の公式YouTubeチャンネルにて動画にまとめております。ぜひあわせてご確認ください!

Youtube   【不動産の相続税】相続税を決定する3つのポイントを徹底解説!

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1、土地を生前贈与するメリット・デメリット

まずは、土地を生前贈与するメリットとデメリットをご説明します。

(1)土地を生前贈与するメリット

①相続税を減らせる

まずは、生前贈与により、相続税を減額できることが大きなメリットです。
生前贈与をすると、贈与した分の遺産を減らすことができます。
すると、課税対象資産が減るので、当然相続税が低くなります。

ただ、贈与をすると贈与税が課税されるので、贈与税控除の制度を使って贈与税を減額する必要があります。

②受贈者を指定できる

生前贈与をするときには、希望する相手に財産を引き継がせることができます。
生前贈与していなければ、相続人らが遺産分割協議によって誰がどの資産を相続するかを決めますが、それでは、思ったとおりの人が土地を引き継いでくれるかどうか、わかりません。

たとえば、「長男に土地を引き継がせたい」と決めているのであれば、長男に生前贈与してしまうと、確実に長男に土地を譲ることができます。

③遺産分割トラブルを回避できる

遺産分割トラブルの多くは、遺産分割協議によって発生します。
遺産分割協議において、それぞれの相続人の意見が合致せず、対立が発生してトラブルになってしまうのです。
先に生前贈与によって財産を渡してしまえば、その財産については遺産分割協議が不要になるので、遺産分割協議にもとづくトラブルを予防することができます。

(2)土地を生前贈与するデメリット

①贈与税がかかる

贈与をすると、贈与税がかかります。
贈与税の控除制度を使わずにやみくもに生前贈与をすると、予想していなかった多額の税金がかかる可能性があるので、注意が必要です。

②手続きに労力と費用がかかる

土地を贈与したら、贈与者から受贈者への所有名義の変更登記をしなければなりません。
これにより、余分な労力と費用がかかります。

2、生前贈与する前に本当にメリットがあるかきちんとチェックする方法

土地を生前贈与するかどうか検討するときには、生前贈与によってメリットを得られるのかどうかをしっかり検討しておく必要があります。以下のステップで確認しましょう。

①このまま何の対策もしないでかかる相続税を算出

→具体的な算出方法は「3、相続税の計算方法は?」の記事をご参照下さい

②生前贈与した際にかかる贈与税を算出

→具体的な算出方法は「4、贈与税の計算方法は?」をご参照下さい。

③生前贈与した場合にかかる相続税を算出

④ ②と③で算出した税金の合計が①より少ないかチェック。①より少なければ生前贈与をするメリットあり

まずは、このまま何もしないで相続をすると、どのくらい相続税が課税されるのか、確認してみましょう。
相続税には基礎控除だけでは無く、大きく配偶者控除が認められているので、夫や妻が主に相続をするなら、相続税がほとんどかからない可能性もあります。正確にシミュレーションをしましょう。

次に、生前贈与をしたときに、どのくらいの贈与税がかかるのか、検討します。
贈与税には多種多様な控除制度があるので、自分達のケースでどのような贈与税の控除制度を利用できるのかをしっかり調べましょう。

そして、その控除制度をあてはめて、贈与税額を計算します。

このとき、登録免許税や不動産取得税、必要に応じて司法書士費用のシミュレーションをしておくことも忘れてはなりません。
そうして相続したケースと生前贈与をしたケースの結果を比較して、本当に経済的にメリットがあるならば、生前贈与を進めると良いでしょう。

3、相続税の計算方法は?

生前贈与によってメリットを得るためには相続税より贈与税が安くなることが必要です。
そこで、以下では簡単に相続税の計算方法をご紹介します。

※相続税の計算方法について詳しく知りたい場合、相続税の仕組みを理解して金額を計算するための6つの重要な知識   の記事を参考にしてみて下さい。

相続税を計算するときには、まずは遺産の総額を把握します。
そこから債務や葬儀費用を引き、さらに相続税の基礎控除額を引きます。
その金額を各法定相続人の法定相続分に割り振り、以下の相続税の税率によって相続税額を計算します。

法定相続分に応じた金額税率控除額
1,000万円以下10%なし
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

そうして計算した税金を合計した金額が、そのケースでかかる相続税の金額です。
その金額を、それぞれの相続人が取得する具体的な相続分に従って配分します。
最後に、配偶者控除などの各種の控除制度を適用して、各自が支払う相続税額を確定します。

4、贈与税の計算方法は?

贈与税を計算するときには、まずは贈与対象の資産の評価額を調べます。
そして、その評価額から非課税額を差し引き(控除)ます(非課税制度については「5、贈与税の非課税制度は?」の項目をご参照下さい)。

例えば、評価額が300万円の場合、基礎控除110万円を差し引いた190万円に対して贈与税がかかります。
その金額に、以下の税率をかけ算することにより、贈与税額を計算することができます。

(1)親や祖父母から子どもや孫への贈与

課税価格税率控除額
200万円以下10%なし
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円

(2)一般の贈与

課税価格税率控除額
200万円以下10%なし
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

贈与税の非課税制度を適用する場合には、それらの金額も控除した上で贈与税率をかけ算します。

たとえば、配偶者間で3,000万円の不動産を贈与するときには、贈与税の控除枠が、

2,000万円+110万円=2,110万円

となります。

そこで、贈与税の課税対象は、890万円です。
上記の贈与税の税率を見ると40%(控除額125万円)となりますので、贈与税の金額は、

890万円×40%-125万円=231万円

となります。

5、贈与税の非課税制度は?

生前贈与を賢く行うためには、贈与税の非課税制度を活用すべきです。
代表的な非課税制度として、以下のようなものがあります。

(1)相続時精算課税制度

相続時精算課税制度を利用すると、最大2,500万円までの贈与に対する贈与税が非課税になります。

ただし、非課税となった贈与分については、相続が起こったときに遺産に足されて、まとめて相続税が課税されます。
また、2,500万円を超える贈与分には、一律で20%の贈与税が課税されます。

(2)暦年贈与

暦年贈与とは、毎年110万円までの贈与に対する贈与税が非課税になる贈与税の基礎控除を利用した贈与です。
複数の人に110万円ずつ贈与する場合でも贈与税がかかりません。
そこで、子どもや孫など複数の相手に対し、それぞれ110万円ずつの贈与を毎年繰り返していけば、多額の贈与を無税で行うことも可能となります。

(3)教育資金の贈与

親や祖父母から子どもや孫へと教育資金を贈与するときには、最大1,500万円までの贈与分が非課税となります。
贈与は、信託銀行の口座を利用して行う必要があります。

2021年3月31日までの期限付き措置ですのでご注意ください。

(4)配偶者間の居住用不動産や資金の贈与

婚姻年数が20年以上の配偶者間で居住用不動産やその資金を贈与するときには、最大2,000万円までの贈与分が無税となります。
ただし、同じ配偶者間の場合には、1回しかこの制度の適用を受けることができません。

6、他にどのような費用がかかるか?

土地を生前贈与すると、贈与税以外にも発生するお金があります。
それは、登録免許税と不動産取得税です。

登録免許税とは、不動産の名義を変更するときに必要になる費用であり、土地の固定資産税評価額の2%となっています。
たとえば、3,000万円の土地を生前贈与すると、60万円の登録免許税が必要です。

不動産取得税は、土地の固定資産税評価額の1.5%です。
たとえば、3,000万円の土地を生前贈与すると、45万円の不動産取得税が発生します。
なお、不動産取得税が1.5%とされているのは、令和3年3月31日までであり(軽減税率)、本来の税率は土地、家屋(住宅)が3%、家屋(非住宅)が4%です。

さらに、不動産の名義変更の登記を司法書士に依頼すると、数万円の司法書士費用(事務所によって異なります)が発生します。

7、土地の贈与の手続きの流れ

土地の生前贈与を行うときには、以下のような手順で進めていきましょう。

(1)まずは、贈与の対象物と対象者を決める

まずは、どの土地を贈与の対象にするのか及び、誰に土地を贈与するのかを決定しましょう。
土地の評価額によって発生する贈与税の金額や登録免許税・不動産取得税の金額も変わってきますし、贈与の相手によって、利用できる贈与税控除の制度も変わってきます。
節税対策では、このステップが最も重要と言っても過言ではないので、慎重に選択しましょう。

(2)贈与の対象者と話をして、贈与についての合意をする

土地の贈与をするときには、贈与者の一方的な意思ではできません。
贈与契約は、贈与者と受贈者の「契約」なので、両者の合意が必要となります。
そこで、贈与をする前提として、贈与者と受贈者がしっかり話をして、贈与対象の土地を特定した上で、贈与の合意をする必要があります。

(3)贈与契約書を作成する

法律上、贈与が成立する前に贈与契約書の作成は必須ではありませんが、後のトラブルを予防するために、必ず贈与契約書を作成しておきましょう。
贈与契約書がないと、後日に税務調査が入ったときに、生前贈与を否認される可能性も出てきます。

(4)登記を行う

生前贈与を行ったら、必ず所有権移転登記を行いましょう。
登記をしなくても特にペナルティもありませんし、登記に期限もありませんが、登記せずに放置しておくと、後に受贈者が自分の権利を証明できず、大きなトラブルに発展するおそれがあります。

(5)贈与税を納税する

贈与税の控除の制度を利用しても、贈与税が発生するケースはあります。
その場合には、翌年2月1日~3月15日までの間に、きちんと贈与税の申告と納税を行いましょう。

まとめ

以上のようなことに注意をして生前贈与を進めると、土地を贈与することによって、確実に節税につなげることができます。
相続税のシミュレーションや、適切な贈与税控除の制度がわからない場合などには、専門の税理士などに相談してみると良いでしょう。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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