弁護士というと、離婚問題や刑事弁護などのイメージがあるという方もいらっしゃるかもしれませんが、借金問題の解決も弁護士の専門分野です。
債務整理を弁護士に依頼することで、利息や元本の減額・免除、返済回数の見直しなどによって、あなたの借金負担を軽減できることもあります。
この記事では、借金問題を抱える方々に向けて、以下の内容を詳しく解説します。
- 弁護士にはどのような借金問題を相談できるのか
- 弁護士に相談したらどんなことを質問されるのか
- 債務整理手続きを依頼する際の費用相場
- 実際の相談者の体験談や成功事例
裁判所の「司法統計」データによれば、年間で8万人以上の方が債務整理手続きにより借金負担を軽減しています。このデータからも、あなたも弁護士に相談し、借金の減額を実現できる可能性があることが分かります。
(※令和2年の司法統計「破産既済事件数」と「再生既済事件数」の合計で計算)
借金返済に悩む方々にとって、この記事が問題解決の手助けとなれば幸いです。
ぜひ、弁護士への相談を検討してみてください。
借金が返せないことにお悩みの方は、以下の関連記事をご覧ください。
目次
1、弁護士に相談して解決した借金事例をご紹介!
弁護士に相談して債務整理の手続きを依頼した場合に、実際どのぐらい借金の負担を減らしてもらえるのかは知りたいところです。
以下、実際の事例を紹介いたします(ベリーベスト法律事務所実例)。
わかりやすいよう、簡単な記述にしておりますので、債務整理をしたら・・のイメージをぜひつかんでみてください!
(1)任意整理による借金解決の事例(毎月の返済額の減額)
毎月の返済額の負担が大きくて生活がとても苦しい…という状況の方は、利息のカットや分割払いの期間(回数)を見直すことで、毎月当たりの返済金額を減額してもらうことが考えられます。
以下は、2社から合計120万円の借金があり、毎月の返済額が3万円だったところ、弁護士を通した交渉によって毎月の返済額を1万5000円に減額してもらえた男性の事例です。
- 債権者A社:借金残高が約90万円で、毎月の返済額を月1万円に減額する形で和解に成功
- 債権者M社:借金残高が約30万円で、毎月の返済額を月5千円に減額する形で和解に成功
(2)自己破産による借金解決
現在の収入から考えて、借金の金額が大きくなりすぎている状態の方は、自己破産によって債務のすべてを免除してもらうことも検討する必要があります。
自己破産によって債務を免除してもらえたケースとして、以下のような事例があります。
- 債権者が10社あり、負債総額は750万円だった女性:破産申立・免責決定で債務全額の支払い免除に成功
- 債権者が7社あり、負債総額640万円だった男性: 破産申立・免責決定で債務全額の支払い免除に成功
2、弁護士への借金相談で気になる3つのポイント
弁護士に相談をすることを検討している方の中には、相談に行ったときの雰囲気や、どのような質問をされるのかといったことについて不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。
以下では、実際の法律相談がどのようなかたちで行われるのかについて解説いたします。
(1)どんな質問をされる?
まずはあなたが現在置かれている状況について知ってもらう必要がありますから、現在負っている借金の件数や、具体的な金額が質問されます。
また、借金の減額を認めてもらえれば返済可能なのか、あるいは不可能なのかについても判断する必要がありますから、あなたの収入金額や生活費の状況なども聞かれます。
(2)説教されるようなことはない?
弁護士は毎日多くの相談者からさまざまな内容の相談を受けます。
生活苦から借金をせざるを得ない方々の状況についても深く理解していますので、あなたが借金をしてしまったことについて説教をするようなことはありません。
(3)初回の相談で持っていくべきもの
相談は事前にインターネットや電話で日時の予約が必要ですので、その際に指定される持ち物を持っていきましょう。
手元にある貸金業者のキャッシュカードや契約書を持参するとともに、現在負っている借金の件数や金額、あなたの収入や生活費の状況について簡単にまとめたメモを作成しておくと便利です。
なお、初回の相談時には、正確な借金の金額についてわからなくても問題ありません(契約書なども残っている限りの資料を持参すれば十分です)。
債務整理の依頼を受けた弁護士は、「それぞれの債権者にどれくらい借金があるか」ということを、債権者に直接問合せ(取引履歴の開示請求)をするからです。
初回の相談料は無料であるケースが多いので、現在手元にお金が無くて困っているという方も相談することが可能です。
3、弁護士に借金問題を相談する3つのメリット
債務整理の手続きは、法律上は債務者本人が自力で行うことも認められています。
一方で、弁護士に借金問題を相談することには、自力で手続きをした場合と比較して以下のようなメリットがあります。
- (1)あなたの状況に合わせて最適な借金解決方法を提案してもらえる
- (2)複雑な法律手続きをすべて任せられる
- (3)正式に依頼した段階で借金の取立てがストップする
それぞれの内容について、順番に見ていきましょう。
(1)あなたの状況に合わせて最適な借金解決方法を提案してもらえる
弁護士に相談した場合、あなたが置かれている状況から考えて、もっとも適している債務整理の方法を提案してもらうことができます。
債務整理には任意整理・個人再生・自己破産の3つの方法があり、それぞれメリットとデメリットがあります。
例えば、減額される借金の金額だけを見れば自己破産がもっとも効果が高いといえますが、自己破産を選択した場合には所有財産を失う、官報に氏名等が掲載される(個人再生の場合も同様)、一定の仕事や資格に制限が生じるといったデメリットがあります。
それぞれのケースに見合った手続きを選択しなければ、債務整理に失敗したり、本来負担する必要のなかったデメリットを被ってしまうこともあります。
(2)複雑な法律手続きをすべて任せられる
自力で手続きを行う場合には、裁判所への申立て書類の作成や、債権者との交渉といった難しい法律手続きをすべて自分で行わなくてはなりません。
一方で、弁護士に依頼した場合には、指示される書類の提出や、数回の裁判所への出頭などさえ行うことができれば、あなた自身は弁護士からの結果報告を待つだけです。
(3)正式に依頼した段階で借金の取立てがストップする
自力で手続きをした場合には、その手続きの期間中も、債権者からの借金督促の連絡が止むことは通常ありません。
弁護士に依頼した場合は、正式に委任契約を締結した時点で、弁護士から債権者に対して「受任通知」が送られます。
受任通知を受けた貸金業者は、債務者本人(あなたのことです)への直接取立てが禁止されますから(貸金業法21条1項9号、サービサー法18条8項)、その時点で取立てが一時的にストップすることになります。
4、弁護士に借金相談を依頼した場合、解決までにかかる期間は?
借金減額の手続きを弁護士に依頼した場合に、手続き完了までにどれぐらい期間がかかるのかについて解説いたします。
債務整理の手続きには任意整理・個人再生・自己破産の3つがあり、どの手続き方法を選択するかによってかかる期間は異なります。
それぞれの手続き方法でかかる平均期間はおおむね以下の通りです。
- 任意整理の場合:3ヶ月〜6ヶ月程度
- 個人再生の場合:6ヶ月〜12ヶ月程度
- 自己破産の場合:6ヶ月〜12ヶ月程度
債務整理には、裁判所に申立てをして手続きを行う方法(個人再生や自己破産)と、債権者本人と直接交渉を行い、借金の負担軽減を認めてもらう方法(任意整理)があります。
裁判所に申立てを行う個人再生や自己破産では、申立て書類を整えなければならず、裁判所の都合にも左右されるので、任意整理よりも時間がかかることが一般的です。
5、気になる弁護士費用〜借金問題を依頼したらどれくらい弁護士費用がかかるのか
弁護士に債務整理の手続きを依頼した場合には、弁護士に対して支払う費用が発生します。
どのぐらいの費用が発生するかは、どの債務整理方法を選択するかによって異なりますから、それぞれの費用相場を理解しておきましょう。
(1)任意整理の場合の費用相場
任意整理の場合、弁護士費用は以下の4つの項目の合計額となるのが相場です(それぞれの項目の呼び方は弁護士事務所によって異なることがあります)
- 相談料:30分5000円が相場ですが、無料なこともあります
- 着手金:債権者1件につき2万円~4万円が相場
- 基本報酬金:債権者1件につき2万円程度が相場
- 減額報酬金:減額できた借金額×10%程度が相場
(2)個人再生の場合の費用相場
個人再生の費用は、住宅ローン条項(マイホームを手放したくない場合に、住宅ローンの支払い継続を条件として借金減額を認めてもらえる個人再生の手続き方法)の利用の有無によって変わるのが一般的です。
- 住宅ローン条項あり:50万円が相場
- 住宅ローン条項なし:40万円が相場
なお、個人再生では裁判所への申立て費用として約3万円が必要となります。
(3)自己破産の場合の費用相場
自己破産の手続きは、所有財産の有無などによって「同時廃止」と「管財事件」の2種類に分けられます。
なお、管財事件となった場合、弁護士に手続きを行ってもらう場合は「少額管財」として扱ってもらうことができますから、裁判所に対して納める費用が減額されるというメリットがあります。
自己破産を依頼した場合の弁護士費用は以下の金額が相場です。
- 同時廃止の場合:30万円程度
- 管財事件(少額管財)の場合:40万円程度
なお、上記とは別に、裁判所に納める費用として以下の金額が必要となります。
- 同時廃止の場合:裁判所申立費用3万円
- 少額管財の場合:裁判所申立費用3万円と、予納金として20万円が必要
(4)費用がどうしても支払えない場合の対処法
上で見たような弁護士費用を負担することがどうしても難しいという方のために、弁護士事務所では費用の後払いや、分割払いに応じてもらえることがあります。
また、法テラス(日本司法支援センター)を利用するのも1つの選択肢です。
法テラスとは、法務省所管の公的な法人で、総合法律支援法に基づいて平成18年4月10日に設立されました。
法テラスでは国民のみなさまが法的トラブルに困らないように、包括的なサービスを提供しています。
法テラスの業務は、トラブルに関連した法律の説明などの情報提供業務のほか「民事法律扶助業務」というものがあり、この扶助業務において弁護士費用の立て替えサービス(※)も行っているのです。
※法テラスに立て替えてもらった費用は、立替払い実施の2ヶ月後から毎月1万円ずつ(もしくは5000円ずつ)の分割で償還していきます。生活が苦しい状況が続いている場合には、償還の猶予・免除を受けられることもあります。
法テラスの利用条件はこちらの記事をご覧ください。
6、弁護士と司法書士の違い|借金相談の前にしておこう
債務整理の手続きは、弁護士の他に司法書士にも相談することができます。
以下では、弁護士に依頼した場合と司法書士に依頼した場合の違いについて理解しておきましょう。
弁護士と司法書士では、法律上扱うことができる相談内容に違いがあります。
司法書士の業務範囲については、司法書士法3条という法律があり、「簡易裁判所における手続について代理すること」だけが認められています。
「簡易裁判所における手続き」というのは、具体的には借金が債権者1社につき140万円を超えないことが条件となります。
借金そのものの金額だけでなく、過払い金の金額が140万円を超えることが予想されるというような状況でも、司法書士の業務範囲を超えてしまう可能性がありますので注意が必要です。
また、個人再生・自己破産は地方裁判所で行われる手続きなので、司法書士に代理をお願いすることはできません(申立て書類などを代書してもらうことのみ依頼できます)。
7、借金について相談する弁護士を選ぶときの判断基準
実際に依頼する弁護士を選ぶ場合には、以下のようなことを判断基準にしてみると良いでしょう。
- (1)借金相談に関する解決実績
- (2)費用相場との料金比較
- (3)実際に話をしたときの感触
それぞれの内容について、順番に解説します。
(1)借金相談に関する解決実績
弁護士には借金問題の解決の他に、さまざまな取り扱い分野があります。
弁護士事務所によっては借金問題に関する相談を受け付けていないこともありますから、借金についての相談を行う際には、借金問題の解決実績をアピールしている弁護士事務所を選ぶのが適切です。
弁護士事務所がどのような分野を専門で扱っているかについては、その事務所が運営しているホームページなどで知ることができます。
(2)費用相場との料金比較
上述した平均的な弁護士事務所の費用相場を参考に、料金が高すぎないかどうかをよく確認しておきましょう。
無料相談の場で、あなたの状況で弁護士に相談した時に、トータルで必要となる費用の見積もりを出してもらうのもおすすめです。
料金に関する説明が不明瞭であったり、相場より高すぎたりする弁護士事務所は敬遠することも選択肢に入れましょう(相談の結果、依頼するのをやめることに問題はありません)。
(3)実際に話をしたときの感触
債務整理の手続きが完了するまでは、数か月以上の期間が必要となるのが普通です。
その間、弁護士とは二人三脚で手続きを進めていくことになりますから、性格的な相性も重要といえます。
無料相談の場を活用して、あなたの相談を実際に扱ってくれる弁護士とのフィーリングが合うかどうかをよく確認しておきましょう。
あなたの不明点について納得がいくまで説明をしてくれるか、難しい専門用語を使うことなく説明をしてくれるかといったことをもとに判断してみてください。
まとめ
今回は、借金問題にお悩みの方向けに、弁護士に相談することのメリットやデメリットについて解説いたしました。
債務整理を利用すれば、あなたが現在負っている借金の負担を大幅に減額してもらえる可能性があります。
- 消費者金融で借りたお金が返せなくて困っている
- 毎月、生活費を払って借金を返済したらほとんどお金が残らない
- もう何年も借金の返済を続けている
こうしたお悩みをお持ちの方は、弁護士への相談をぜひ検討してみて下さい。