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遺留分を取り戻すために調停へ|申立方法や流れについて解説

遺留分侵害額請求に応じないなら調停へ!遺留分を取り戻す調停について

相続が開始した場合には、相続人全員が話し合って遺産の分け方を決めていくことになります。もっとも、被相続人が生前に遺言書を残していた場合には、遺言書の内容が優先されますので、遺言書の内容に従って遺産を分けることになります。ここで問題となるのが、すべての遺産を長男に相続させるといった内容の遺言書が残されている場合です。

このようなケースでは、遺言によって遺産を相続することができない相続人は、自己の遺留分を主張することによって、最低限度の財産を取得することが可能です。そして、相手が任意に遺留分の支払いに応じないときには、まずは家庭裁判所の調停によって解決していくことになります。

今回は、

  • 20遺留分侵害額請求調停とは
  • 遺留分侵害額請求調停の申立方法
  • 遺留分侵害額請求調停の流れ・期間
  • 遺留分侵害額請求調停をスムーズで有利に進めるコツ

などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

この記事が、遺留分侵害額請求調停を申し立てようとしている方のご参考になれば幸いです。

遺留分について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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1、遺留分侵害額請求調停とは

遺留分侵害額請求調停とは、家庭裁判所で行われる調停の1つであり、遺留分に争いがある場合に利用されるものです。遺留分侵害額請求調停を理解する前提として、以下では、遺留分についての基本的事項について解説します。

(1)遺留分とは

遺留分とは、民法が一定の相続人に保障している最低限度の相続分のことをいいます。被相続人が生前に遺言書で特定の相続人に対しすべての遺産を相続させる旨の遺言書を残していたとしても、他の相続人の遺留分を奪うことはできません。

遺留分が認められている相続人は、「兄弟姉妹以外の相続人」です(民法1042条)。そして、遺留分として保障されている相続分割合については、誰が相続人であるかによって、以下のように変わります。

①父母などの直系尊属のみが相続人である場合 法定相続分×3分の1

②それ以外の場合 法定相続分×2分の1

(2)遺留分侵害額請求とは

遺留分侵害額請求とは、被相続人が遺留分権利者以外に遺産を贈与または遺贈したことにより、遺留分相当の財産を受け取ることができなかった場合に、遺留分を侵害された相続人が、自分の遺留分相当額の金銭を得るための請求のことをいいます。

遺留分については、以前は「遺留分減殺請求」を行うことになっていましたが、改正相続法の施行により、2019年7月1日以降に開始された相続については、遺留分侵害額請求を行うことになりました。

なお、この変更により、名称だけでなく、請求できる権利の内容も変わっていますので注意が必要です。以前の遺留分減殺請求権は、贈与または遺贈された物件の返還を求める権利であったのに対し、現在の遺留分侵害額請求権は、遺留分侵害額に相当する金銭を求める権利です。

遺留分侵害額請求は、贈与または遺贈を受けた者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭を求める意思表示をすることによって行使します。一般的には、意思表示をした事実を証拠として残すために、内容証明郵便を利用して行います。

(3)遺留分侵害額その他争いがある場合は調停へ

相手が任意に遺留分侵害額に相当する金銭の支払いに応じない場合には、遺留分権利者は、家庭裁判所に対して遺留分侵害額請求調停を申し立てることになります。

遺留分に関する争いは、多くの場合は家族間の争いであるため、できる限り話し合いによる解決が望ましいとされています。そのため、いきなり訴訟を提起するのではなく、まずは家庭裁判所の調停を申し立てなければならないとされています(家事事件手続法257条1項、244条)。これを「調停前置主義」といいます。

調停を経ずにいきなり訴訟を提起したとしても、調停手続きに戻されてしまいますので注意しましょう(家事事件手続法257条2項)。

(4)前提問題、付随問題で争いがある場合は要注意

遺留分侵害額を請求するにあたっては、相続人や遺産の範囲を確定させ、それに基づいて侵害されている金額を計算していきます。

遺留分侵害額請求調停では、主に侵害されている遺留分についての話し合いが行われますので、遺留分の前提問題である遺産の範囲や遺言書の有効性などに争いがある場合には、遺留分侵害額請求調停を進めることができません。このような前提問題付随問題について争いがなく当事者間で合意できるのであれば、遺留分侵害額請求調停を進めることができますが、争いがあり合意が困難な場合には、先に訴訟などで解決しなければなりません。

そのため、前提問題や付随問題に争いがあり、それが解消されないのであれば、遺留分侵害額請求調停を申し立てたとしても、裁判所から取り下げを勧告されることもありますので注意が必要です。

(5)遺留分侵害額請求は時効に注意

遺留分侵害額請求権の時効は、相続開始のときから10年、または、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年です。時効期間が短いため、遺留分侵害の事実を知ったときには、早めに内容証明郵便によって権利を行使する意思表示をするようにしましょう。

家庭裁判所の調停を申し立てただけでは相手方に対する意思表示とはなりませんので、遺留分侵害額請求調停をする場合も、調停の申立てとは別に内容証明郵便等により意思表示を行う必要があるということに注意しましょう。

なお、相続法改正により、遺留分侵害額請求権を行使したことにより生じる権利は、物権的権利ではなく金銭債権となりました。それによって、遺留分侵害額請求権を行使により生じる金銭債権は、5年の消滅時効にかかることになりますので、上記の遺留分侵害額請求権の時効とは別に、金銭債権となった後の時効についても注意が必要です。

2、遺留分侵害額請求調停の申立方法

遺留分侵害額請求調停は、以下のような方法で申し立てます。

(1)申立人

遺留分侵害額請求調停の申立人になれるのは、以下の人です。

  • 遺留分を侵害された人(兄弟姉妹以外の相続人)
  • 遺留分を侵害された人の承継人(相続人、相続分譲受人)

(2)申立先

遺留分侵害額請求調停は、原則として相手方の住所地の家庭裁判所に申立てをします。ただし、当事者が別の家庭裁判所に申し立てることを合意した場合には、その家庭裁判所に申立てを行うことができます。

(3)申立費用

申立てにかかる費用としては、以下のものになります。なお、連絡用の郵便切手については、金額と組み合わせが裁判所によって異なりますので、申立てをする裁判所に事前に確認をするようにしましょう。

  • 収入印紙 1200円分
  • 連絡用の郵便切手

(4)申立書類

申立てに必要な書類は、以下のとおりです。申立書については、最寄りの家庭裁判所の窓口で取得するか裁判所のウェブサイトからダウンロードができますのでそれらを利用するとよいでしょう。また、必要書類については、HPに記載がありますので、事前に確認し、ご不明な点がある場合は申し立てる裁判所に問い合わせましょう。

  • 申立書およびその写し(相手方の数の通数)
  • 被相続人の出生から死亡時までの戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺言書写しまたは遺言書の検認調書謄本の写し
  • 遺産に関する資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写し又は残高証明書、有価証券の写し,借金に関する資料など)

(5)申立書の記載ポイント

申立書を記載するときに、「申立ての趣旨」や「申立ての理由」については、どのように記載したらよいか迷われるかもしれません。それぞれの記載のポイントは以下のとおりです。

①申立ての趣旨

申立ての趣旨は、遺留分侵害額請求調停で何を求めるかという結論を記載する項目です。侵害額請求では、侵害された遺留分に相当する金銭の支払いを求めることになりますので、請求する金額を記載するのが原則です。しかし、調停段階では具体的な金額を算定することが困難な場合もありますので、「相手方は、申立人に対し、遺留分侵害額に相当する金銭を支払うとの調停を求める」との記載でも十分です。

②申立ての理由

申立ての理由は、遺留分侵害額請求調停を申し立てるに至った経緯や侵害されている遺留分の具体的な内容を記載する項目です。調停は、基本的には話し合いの手続きですので詳細な事情については、調停期日に口頭で説明することもできます。しかし、ある程度の事情を記載しておくことで、調停前に調停委員や裁判官に事案の内容を理解してもらうことができますので、要点を押さえた記載をすることがポイントです。

具体的には、以下の事項を記載するとよいでしょう。

  • 被相続人に関する事項(名前、本籍地、死亡日など)
  • 相続人に関する事項(相続人は誰かなど)
  • 遺産の内容
  • 遺留分が侵害されていることおよびその内容(遺言書の有無、検認の有無、遺言書の内容など)
  • 交渉の経緯(任意の交渉では解決できなかった事情など)

3、遺留分侵害額請求調停の流れ・期間

遺留分侵害額請求調停は、以下のような流れで進行します。

(1)調停の流れ

①申立てから日程の決定

遺留分侵害額請求調停の申立書が受理されると、裁判所の書記官から第1回調停期日の日程の連絡が来ます。第1回目の調停期日は、通常は、申立てから1か月半から2か月先の日程で設定されます。

期日が決まった後、裁判所から相手方に対して申立書の写しや呼出状などが送付されます。

②第1回調停期日

当事者は、決められた日時に家庭裁判所に出頭します。調停は、裁判官1名と調停委員2名により組織される調停委員会によって進められます。

まずは、裁判官から当事者に対して調停手続きに関する一般的な説明がなされた後に、個別に調停委員から話を聞かれます。調停では、基本的には当事者が顔を合わせることなく、調停委員を介して話し合いが進められていきます。そのため、相手方が話をしている間は、待合室で待っていなければなりませんので、待ち時間が長いというのも調停の特徴です。

第1回目の調停期日で紛争が解決することは少ないので、第1回目の調停終了時には次回以降の調停期日の日程調整を行って、終了となります。

③2回目以降の調停期日から終了まで

2回目以降の調停も、当事者から個別に事情を聞く方法で進められ、争いになっている事項を明らかにしていきながら解決に向けて調整が行われます。当事者の合意が得られた場合には、調停が成立し終了となりますが、合意が得られない場合には不成立になります。

不成立となった場合には、後述するように訴訟を提起して解決を図ることになります。

(2)調停の期間

遺留分侵害額請求調停の期間については、事案によって異なってきますので、一概にいうことはできませんが、6か月から1年程度の期間はかかると考えていた方がよいでしょう。

4、遺留分侵害額請求調停をスムーズで有利に進めるコツ

遺留分侵害額請求調停をスムーズかつ有利に進めるためには、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。

(1)主張や証拠はあらかじめ準備しておく

調停は、基本的には話し合いの手続きになりますので裁判のように主張書面や証拠を提出する義務はありません。しかし、調停に慣れていない方では、調停の場で言いたいことをすべて調停委員に伝えられるとは限りません。複雑な事案では、長々と説明しなければならないこともありますが、口頭だけの説明だと調停委員が十分に事案を把握することができないことがあります。

そのため、詳細については調停の場で説明するとしても、主張したい内容の概要については、あらかじめ書面にまとめて裁判所に提出しておくことで、事案の理解がスムーズに進みます。また、主張を裏付ける証拠がある場合には、それも提出することで、調停委員や相手を早期に納得させることができます。

(2)ある程度譲歩することも必要

遺留分侵害額請求は、侵害された遺留分に相当する金銭を請求するものであり、被相続人の遺産や特別受益などから具体的な請求額を計算することになります。

遺産の評価方法や特別受益の額などで争いがある場合には、それが確定するまで遺留分の話し合いに入ることができません。預貯金であれば評価で揉めることはありませんが、不動産がある場合には、どのような評価方法をとるかで遺産の額が変わってくるため、争いになることが少なくありません。そのような場合には、自己の主張に固執するだけでなく、相手の主張する評価との間をとるなどして、ある程度譲歩の姿勢を示すことが重要なこともあります。

譲歩の姿勢を示すことで、調停委員の心証もよくなりますので、より調停をスムーズに進められる可能性があります。

5、遺留分侵害額請求調停が不成立なら訴訟へ

遺留分侵害額請求調停が不成立となった場合には、別途訴訟を提起しなければなりません。

(1)遺留分侵害額請求訴訟の提起

遺留分減殺請求訴訟は、請求する金額が140万円を超える場合には地方裁判所に、140万円以下であれば簡易裁判所に提起します。調停の場合には、相手方の住所地の裁判所が管轄ですが、遺留分侵害額請求訴訟の場合には、被告の住所地だけでなく原告の住所地の裁判所にも管轄が生じます。

訴訟の提起は、原告が請求内容などを記載した訴状と証拠を裁判所に提出して行います。訴状を受理した裁判所は、第1回口頭弁論期日を決めたうえで、訴状・証拠の副本と呼出状を被告に送達します。

(2)遺留分侵害額請求訴訟の流れ

当事者は、定められた期日に裁判所に出頭し、第1回口頭弁論期日が開かれます。調停と異なり裁判は、基本的には書面をもとに進められますので、期日では、当事者があらかじめ提出した主張書面や証拠を確認することがメインになります。そして、当事者に反論がある場合には、次回期日を定めて、通常、期日の1週間前までに書面を提出して反論をするように求められます。

裁判期日は、基本的に1か月に1回程度開かれ、争点が整理できるまで当事者が主張と反論を繰り返していきます。ある程度争点が整理できた段階で、裁判官から和解の打診がされることがあり、当事者が和解に合意した場合には、訴訟は終了となります。

これに対して、和解が成立しない場合には、最終的に裁判官が判決を言い渡します。判決を受け入れる場合は、そこで訴訟は終了となります。判決に不服がある場合には、控訴を検討します。

6、遺留分の請求は弁護士へ相談を

遺留分の請求をするためには、侵害されている金額を正確に計算することが重要です。

しかし、遺留分の計算をするにあたっては、遺産の調査、遺産の評価、特別受益の評価などさまざまな法的問題が存在し、正確な計算をするためには、法律の知識・経験が不可欠となります。

また、遺留分侵害額請求は権利行使の意思表示をすれば終わりではなく、その後、贈与や遺贈を受けた相手と交渉をしなければなりません。内容証明郵便を送っただけで素直に遺留分相当額を支払ってくれるケースは少なく、交渉や調停、場合によっては裁判にまで発展するケースも珍しくありません。

弁護士に依頼することで、正確な遺留分侵害額の計算をしてもらえるだけでなく、相手との交渉や調停・裁判についても一任することが可能です。

遺留分侵害額請求については、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

まとめ

遺留分侵害額請求をして、調停を申し立てることになった場合には、専門家である弁護士に依頼して進めることで、スムーズかつ有利に調停を行うことができる可能性があります。

遺留分侵害額請求の事案は、訴訟に発展することも少なくありませんので、初めから弁護士に依頼して進めることが安心です。

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