モンスターペアレントとは?特徴や具体的事例・5つの対処法を解説

モンスターペアレントとは?特徴や具体的事例・5つの対処法を解説

「モンスターペアレント」とは、教師の適切な業務を妨害し、自己満足感を得ようとするような保護者、学校にとっては「クレーマー」と言えるでしょう。

今回は、

  • モンスターペアレントと考えられる保護者の言動
  • モンスターペアレントの適切な対処法

についてご紹介いたします。

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1、モンスターペアレントとは?

「モンスターペアレント(モンスターペアレンツ)」とは、一般的に学校などの教育機関に対して、自己中心的で理不尽な要求をしてくる保護者のことを総称する和製英語であり、モンペやモンペアなどと略されます。

この名称は、実在の小学校教師が付けたものと言われています。
そして、マスコミの報道やドラマのテーマとして扱われたこともあり、すっかり定着してきました。

モンスターペアレントのために心を病み休職・退職に追い込まれたり、さらには自殺してしまう教師が後を絶たないことから、現在では深刻な社会問題のひとつとして認識されています。

2、モンスターペアレントは増加している?!

教育サービスの提供で有名な某企業の調査によれば、モンスターペアレントの数は年々増加しているとの結果が出ています。
この調査は子供の保護者に限定せず20歳代から60歳代の人に対して行われたものですが、「モンスターペアレントは増えていると思うか?」との問いに対して、驚くべきことに「増えたと思う」旨の回答が約9割を超える結果となったのです。
さらに、回答者のうち約3割強が特定の人をモンスターペアレントと認識していると回答しています。

そのくらい、教師ではない立場の人でもモンスターペアレントの言動は問題視されるようになっているのです。

3、モンスターペアレントの種類

一口にモンスターペアレントと言っても、その類型は概ね2種類に分かれます。
実際にモンスターペアレントと対峙することになった場合、適切な対処をとるために相手はどのような種類か見定めることはとても重要です。

(1)自己中心タイプ

すべての物事は自分が中心と信じて疑わず、相手のことを考えることができない自己中心的な性格の保護者は、わが子を自分の分身・自分の所有物と錯覚しているケースが多いものです。

そのような保護者は、学校などのように他の子供がいる場では

「自分同様に、すべてがわが子中心でなければならない」

と思い込みます。
だからこそ、自分の子供に対する逆境や思うようにいかないと認識したときは、そのような状況を教師や学校が作り出していると解し、クレームをつけてくるのです。

(2)病的タイプ

上記(1)のようなタイプを含めモンスターペアレントと呼ばれる保護者は、その言動が罹患する精神的な疾患に起因している場合があります。

保護者の言動に明らかな異常性が見られる場合は、早急に上席だけでなく関係する機関などと事案を共有し、対策を講じておく必要があります。

4、モンスターペアレントが生まれたわけ

モンスターペアレントと言われるような保護者の言動が顕在化するようになったのは、2000年前後です。
モンスターペアレントが生まれた要因は、時代背景や家庭環境、さらには教育現場の変化であると言えます。

その中でも主だったものを見てみましょう。

(1)家庭環境における過保護化

自己中心的な保護者は、自分の子供が例えば学校での成績が悪かったりクラスメートと仲良くできない理由を、自分の子供の努力不足や言動に求めるのではなく教師や学校に求めます。
つまり、自己中心的な保護者であるゆえに自責の念が無いことから、すべてを「他責」であると解決しようとするのです。

このタイプの保護者は、自分自身の親にもそのように育てられていた傾向があります。
自己中心的な親に対して、子供に自責の念を育てることを求めることは難しいでしょう。

(2)親の孤立化

一昔前の日本は自分または義理の両親と同居、あるいは近隣に住んでいることが多く、そして近所付き合いは密接でした。
現在よりも、子育ての悩みを気軽に言葉に出せる環境にありました。

ところが、現在は核家族化が進み近所付き合いも希薄化したため、昔と異なり子供のことを相談できる相手が身近にいなくなってしまいました。
さらに夫婦共働きが一般的になった一方で、夫の家事・育児の参加はまだ十分に実現されていないのが現状です。
このため、特に母親は子育てに加えて仕事上のストレスを抱え込むようになりました。
これにより、夫婦の間に軋轢が生じてしまうことも珍しくありません。

この結果、母親・父親ともに孤立してしまうことにより、その鬱屈を子供に関するクレームという歪んだ形で、教師や学校に向けるようになったのです。

(3)子供の生態を知らない親が増加

(2)で触れた核家族化などを原因として、未成年期や成人直後(20代の頃)などの子供を持つまでの間に、生活の中で子供に触れる機会が減っています。
自分の子供を出産して初めて赤ちゃんを抱っこした、という人が増えているのです。

そのため、子供とは一体どういうものなのか、実体験をもって知る人が少なくなっています。
子供は親にいい顔をしたり、親に嘘をついたりするものです。

しかし、そのような子供ならではの生態を知らない親が増えています。
そのような大人は、大人の価値観で子供を判断しがちで、殊に自分の子供の話を信用しすぎる親になる場合があるのです。
自分の子供を信用しすぎることにより、友達が悪い、先生が悪い、学校が悪い、という発想になります。

(4)教育現場への不信感の増加

いじめによる子供の自殺や学校によるいじめなどの事実の隠蔽、さらには教師による金品の横領や生徒への猥褻事件など、学校による不祥事や教師個人の犯罪は後を絶ちません。

もちろんこのようなことは絶対に許されるべきではありませんが、センセーショナルな報道もあり教師や学校に対して必要以上に不信感を持つ保護者は増えています。
そのなかででも偏向性の強い保護者は、何かきっかけがあるとモンスターペアレントとして執拗にクレームをつけてきます。

(5)学校等の威厳の低下

かつての教師や学校は、現在と比較して児童・生徒にはもちろんのこと、保護者に対しても威厳のある存在でした。
教師については、「聖職者」などという形容もあったほどです。

そして時代は移り変わり、特にビジネスにより生計を立てている保護者には、学校教育をサービスの一種と捉える考え方が広まるようになりました。
それにより、自分は消費者として対価を渡しているのだから、教師や学校は保護者や子供に対して対価に見合うサービスを提供する義務があると考える親が増えたのです。

これは公立学校だろうと私立学校だろうと変わりません。
このような保護者は、学校を一介のサービス業者・教師はその従業員程度としか考えていません。
だからこそ、クレームについても遠慮が何ひとつ無いのです。

また、難関大学出で一流企業などに勤務し、自分の子供にも同じような道を歩ませたいと考える保護者の中には、教師の学歴に着目することがあります。
そして仮に教師の学歴が自分よりも下だと認識した場合は、何かあると教師に対して「能力が無い」「○○大学程度しか出てないからダメなんだ」などと完全に見下すような態度でクレームを付けてくることがあります。

5、モンスターペアレント判断基準|正当な要求との区別

モンスターペアレント問題の難しさは、保護者のどのような言動や要求を以ってモンスターペアレントと定義するか、法的に明確な基準が存在しないことにあるとも言えるでしょう。

しかし、法律論にこだわらず学校や教師として子供に対する良識と義務を最優先に据えて考えれば、保護者からの正当な要求とそうでない要求の違い、すなわちモンスターペアレント判断基準がみえてきます。

(1)学校等に要求する親が全てモンスターペアレントなのではない

モンスターペアレントが社会的に問題視されているからといって、そのイメージを一人歩きさせ、教師や学校は保護者からの要求の全てについて被害者意識を持つべきではありません。
ましてや、教師や学校に要求を出す保護者はすべてモンスターペアレントであるなどというのような、決め付けや先入観を持つべきではありません。
そのような意識のもとに保護者からの要求を全て撥ね付けるようでは、教師や学校の義務を放棄していると言われても仕方ないでしょう。

自己中心的な発想に囚われず、本当に子供のことだけを真剣に考え要求を出してくる保護者も少なからず存在します。
そのような保護者からの要求の中は、子供の視座に立って聞いてみると正当なものや子供の幸福に資するものもあるはずです。
だからこそ、たとえ耳を塞ぎたくても保護者からの要求等にはまず耳を傾けてみてください。

(2)理不尽な要求と正当な要求の区別の基準

既に別の項でも触れましたが、モンスターペアレントの要求の共通項は自己中心的で理不尽であることです。
では、このような理不尽な要求に対して、正当な要求とは何を基準とするものなのでしょうか。

もちろん、要求内容に実行可能性があり常識性があるということが前提ですが、基準は

「自分の子供だけでなく、他の子供のためにもなる要求」

かどうかなのです。

例えば、

  • 熱中症対策のためにスポーツドリンクの携帯を許可して欲しい
  • 不審者対策のために学校周辺の見回りを強化して欲しい
  • ○○君がタバコを吸っているので指導してあげて欲しい

などが挙げられるでしょう。

6、モンスターペアレントの事例  

以下では実際にあったモンスターペアレントからのクレームを、タイプ別に列挙していきます。
なかには目を疑うものもありますが、すべて実例です。

あなた自身だけでなく、周囲でもこのような事例がないか思い出しながら読んでみてください。

(1)自己中心型クレーム

①担任を変えて欲しい

多くの場合で、クレームを否定された際の最後の手段です。

②子供の席を指定

冬は寒いし夏は暑いから窓側と廊下側はやめろ、というケースがありました。
黒板が見える位置か、視力の問題もありますので、子供の視力は教師で把握しておきましょう。

③子供の事情(インフルエンザなど)で学校行事の日程を変更して欲しい

学校行事が日ごと、時間ごとに緻密に計画されていることを、保護者に説明しておくべきです。

④修学旅行の行き先を指定

グローバル化の時代はアメリカに行くべきだ、という趣旨でした。
学校側も、「例年だから」などの理由ではなく、自主的な理由を明確にして行き先を決定しましょう。

⑤クラス替え時の同級生を指定

合わない子供同士は必ずいます。
しかし柔軟な子供時代にそこを避けてしまっては、将来困るのは子供ではないでしょうか。

(2)学校等依存型クレーム

①挨拶ができる子に教育して欲しい

挨拶の教育は当然学校でもされています。
しかし、挨拶など、日常生活における社会マナーは、学校だけでは子供の人格形成に影響を与えにくいしつけです。
家庭での親の姿勢も大きな影響を与えることを話し合いましょう。

②時間通りに登校できないので迎えにきて欲しい

「子供の遅刻が多い」と教師から家庭に注意した場合の反論でしょう。
大人でも、遅刻が他人に与える迷惑について鈍感な人が多いです。
遅刻がもたらす子供本人へのデメリットはもちろんですが、時間を守るかっこよさも親子へ教えて差し上げてはいかがでしょうか。

③給食の食材品質(有機栽培など)を指定してくる

アレルギーは命に関わりますので対応しなければなりません。
腹痛や蕁麻疹などの症状が出るとの理由であれば、診断書のもと対応してください。

④学校で汚した服や上履きは、学校が洗え

共働きであったり被介護者がいる家庭では、毎日の洗濯、週一の上履きの洗浄も骨が折れる作業です。
家庭の声に気持ちだけでも寄り添いながら、身体の健全な発達を促す上で、学校では衣服が汚れる活動も必要なことを伝えましょう。

⑤昼食だけでなく、朝食と夕食も学校で支給しろ

未就学時代の保育所、幼稚園では、朝食や夕食のサービスもするところが増えています。
その流れで学校へも要求する事態となっているのでしょう。

しかし、食事の支度を学校側がしてしまったら、親が「親」になる機会を奪ってしまいます。
「親」になりたての6年間(幼児期)の間に、保育所や幼稚園の食事サービスを利用しながら、仕事などの育児以外のすべきことと育児との両立の仕方を親も学ばなければいけません。

そうして「親」になっていくべきです。

(3)義務放棄型クレーム

①給食代がかかることはおかしい

公立学校での給食代を全額税金で賄うべきかは、難しい問題です。
義務教育のあり方、給食代の財源など、難しい論点をはらんでいます。
学校の一担任と一保護者でバトルする内容ではありません。
保護者の意見として真摯に受け止めた上で、現段階では、平等の観点から、支払わない場合は給食を供給することが難しくなり、子供に悪影響が出てしまうことを説明しましょう。

また、払えない保護者に対しては、市町村の「就学援助」を案内するなど、前向きな話し合いをしていきましょう。

②呼び出されたが、行く義務はない

保護者は、学校で起こった我が子の問題がわかりません。
また、忙しい保護者は呼び出されても時間の都合をつけられません。
そのため、忙しい中どうしてこちらから行かなければならないの?となってしまいます。

子供の重大な点について共有が必要であること、そして当議題について学校という場が最適であることを伝えましょう。
呼び出しているのではなく、学校が場として最適であるだけです。
もし保護者側の必要性、子供が在宅していても問題ない許容性があれば、家庭訪問でも問題ない姿勢を見せましょう。

(4)その他

①授業がよくない

子供に中学受験をさせる保護者に、ありがちです。

②携帯代がもったいない、取り上げないで欲しい

学校への携帯持込禁止の趣旨を、親子ともに明確に説明しましょう。

③受験の模擬試験が近いから、修学旅行を欠席させる

有名校へ行けば子供の将来は明るいと、親は考えがちです。
やれば手が届くのではないか、そう思うと、1時間でも合格に無関係な時間を過ごさせたくないと考えてしまいます。
将来覚えているかもわからない4日程度の修学旅行の思い出と、有名校への合格を天秤にかけてしまう親の必死な気持ちに寄り添いましょう。
子育てを合理的に考えすぎると親が疲弊してしまうことを諭しましょう。

④自分の子(中学生)が下校中にタバコを吸って、何が悪い

この保護者は、未成年者喫煙防止法違反で書類送検されました。

7、モンスターペアレントを経験した教師たちの声

続いて、実際にモンスターペアレントに悩まされた経験のある教師たちへの調査結果に基づき、モンスターペアレントの言動を教師が受けた影響ごとにランキングしています。

日ごろの心構えとして、お役立てください。

(1)経験した教師の数が多いモンスターペアレント言動ベスト3

これらは教師であれば一度とならず何度も経験があるのではないでしょうか。
親の意識の低さが主な原因ですが、同じことでも親によっての心情は様々です。
各事案ごとに丁寧に保護者の意見を聞いていく必要があります。

1位 子供の非を認めない、小さな怪我などで大騒ぎする

2位 給食費の未払い、欠席の連絡をしない

3位 運動会での飲酒・喫煙、授業参観中のお喋り

(2)教師たちが傷ついたモンスターペアレント言動ベスト3

教師や学校にクレームを付けてくるモンスターペアレントの根本的な思考は、どのような事象においても「すべて教師・学校に全て非がある」なのです。
それに一切の理屈や論理性は無く、事実の是非にかかわらず一方的に教師や学校を責め立てたり理不尽な振る舞いを行います。
これにより、心に傷を負う教師は少なからず存在するのです。
その要因となるモンスターペアレントの言動は、以下の通りです。

1位 子供の非を認めない、小さな怪我などで大騒ぎする

2位 実際にはないのに子供がいじめを受けていると認識する

3位 給食費の未払い、欠席の連絡をしない  

(3)教師たちの仕事への支障ベスト4

モンスターペアレントの言動は多忙な教師の時間を奪うとともに、時として児童・生徒の指導や保護者への対応について必要以上に委縮してしまうことがあります。

1位 保護者の対応に時間がかかる

2位 精神的に参ってしまう

3位 保護者への説明責任を過度に気にしてしまう

4位 児童・生徒への指導を遠慮してしまう

8、モンスターペアレント対処法

現在は、教職に就いている以上、モンスターペアレントに遭遇するリスクは避けて通れない世の中になったと言っても過言ではないでしょう。

以下では、実際にモンスターペアレントと対峙することになった場合にとるべき対応についてご説明します。
これは、市民からクレームを受ける役場の人やトラブル対応時の警察のマニュアルなどをベースに作成していますので、とても実践的です。

(1)言いたいことを全て聞く

モンスターペアレントに限らず、クレームをつけるということは何かに対して不満を抱えて怒っている、つまり感情が高ぶっている状態と言えます。
対処法として重要な点は、まずは相手に不満や怒りを思いのままに吐き出させ、最後まで話を聞いてあげることです。

相手によっては要求や話の内容が理不尽そのものだったり支離滅裂だったり、同じことの繰り返しだったりと、聞いていることが辛く感じることもあるかと思います。
しかし、ここで全てを吐き出させておくことで相手は不満やストレスが幾分か解消され、その後は多少冷静になることが期待できます。

このときに注意すべき点は、絶対に話の腰を折ったり反論したりしないことです。
これにより火に油を注ぐこととなり話が余計に複雑化することがあります。
話を聞くときは、相槌を打つ程度の反応に留めておきましょう。

(2)複数で対応

クレームは、複数で対応することが鉄則です。
その際は、話を聞く人・記録だけ取り何も話さない人と、事前に役割分担を決めておくと良いでしょう。

1人で対応する場合と異なり心理的に楽になることに加えて、無言で内容を記録する人がいることは相手に対して心理的な圧力をかけることにもつながります。

(3)話し合いは記録すべし

もし後で本格的な争議にならざるを得なくなった場合、それまでの記録はあなたの正統性を証明し、相手方の対応に非がある場合の立証に大きな助けとなります。
記録するツールはメモ帳などに加えて、ICレコーダーもおすすめです。
音声による記録は、肉筆のメモよりも証拠能力が高いとされる場合があります。

また、もし相手がエスカレートして暴力的な言動が目立つ場合は、会話を録音する旨を伝えることで、相手を静めさせる効果も期待できます。
さらに、仮に相手がその場でメモなどの記録を取ることを認めなかった場合は当然に自分の記憶が頼りとなります。

複数以上で相手の話を聞くことによって、事後に記録を作成する際に聞き違いや記憶違いなどによる錯誤のリスクを減らすことができます。

(4)言い分の中で、対応すべきことと対応すべきでないことを明確にする

教師や学校はすべての児童・生徒に対して公平に接することが基本ですが、モンスターペアレントは自分の子供に対する特別扱いを要求してくることが多いものです。
例えば、「通知表の数値を直せ」や「子供のクラスや席を指定させろ」などです。

たとえ早くその場を収めたくても、このような要求に対しては決して屈してはいけません。
それを認めると、教師や学校としてのルールや原則が崩れることになるからです。

これに限らず、モンスターペアレントからの要求に対しては対応できること・できないことを必ず理由とともに明確にしておいたうえで、対応できない要求については毅然とその旨を伝えましょう。

(5)謝罪すべきことがある場合は、その範囲を限定して謝罪する

モンスターペアレントからのクレームには、時として明らかに教師や学校の非に起因するものがあるかもしれません。
この場合は相手がモンスターペアレントだったとしても、素直に謝罪しましょう。

ただし、その際は「~の件につきましては、申し訳ございませんでした。」と謝罪する範囲を明確に限定しておくことが大切です。
なぜなら、何について謝罪するかをはっきりさせておかないと複数の要求を突きつけていた場合のモンスターペアレントは、自分の要求すべてが認められたと勘違いしてしまう可能性があるためです。

9、モンスターペアレントを生まない学校等とは

モンスターペアレントを生まないために、教師と学校はどのような自助努力が必要なのでしょうか。
ぜひとも自責の念を以ってお読みください。

(1)不信感のない学校であること

体罰、いじめの隠蔽など、保身とも思われる学校等のニュースが後を絶ちません。
隠蔽とも取れる行為は、子供に対する教育的保護、人権保護のもと行われることが多いと思いますが、学校等は治外法権ではありません。
難しい判断ですが、適切に情報を開示し、問題に関わる家庭だけでなく、学校等を支える他の保護者との風通しをよくしておかなければなりません。

また、教師同士、または私立においては現場教師と理事などの経営者の「意見(方針)の齟齬」は、保護者に不快感と不信感を与えます。
伝統のある学校などでは特に、大変難しい問題とは思いますが、注意すべき点でしょう。

(2)家庭教育を尊重すること

学校等と家庭の関係は、「子供の教育」を中心として対峙する関係です。
男と女、大人と子供、のように、立場が対立する関係において良好な関係を保つ秘訣は、「互いに尊敬し合うこと」。

学校が、学校の教育があるからこそ人間が育つ、などと学校至上主義の考えであったり、生徒の素行が悪いのは家庭環境が悪いから、などと家庭教育の不行き届きを心の中で指摘している場合は、良好な関係に至る素質を欠くと言えるでしょう。
人間の成長には、家庭における教育も大切です。
どのような家庭であっても、学校等は、家庭教育を尊重することが大切です。

(3)保護者とのコミュニケーションを積極的に取り入れている

全体的な保護者会、個人面談は基本ですが、実際、保護者が子供のトラブルを相談したい場合は、特別に学校にアプローチをしなければなりません。
「いつでもどうぞ」と口で言っているだけでは、「忙しそうで話しかけづらい」となりがちで、実際にアクションを起こしても「忙しいからまたあとでと言われた」「電話をかけてもいつも不在」などという状況になることはよくあります。

保護者とのコミュニケーションに対し、積極的に制度として導入することがが望まれます。

10 、モンスターペアレントでトラブルになった時は弁護士へ!

学校や教育委員会ではモンスターペアレントとのトラブルを解決することが難しいと判断した際は、ただちに弁護士に相談することを強くお勧めします。
弁護士はあなたや学校の代理人として、モンスターペアレントに不当な要求をやめるよう交渉します。
経験に裏付けられた交渉力と教師や学校が持ち合わせることの難しい法的な知識を駆使しながらモンスターペアレントと交渉しますので、弁護士を介在させることにより今までと違う結果が期待できます。
また、最終段階として損害賠償請求訴訟や刑事告訴を踏み切る場合も、あなたや学校に正当な結果をもたらすために弁護士は裁判や捜査機関とのやり取りを適正に行います。

モンスターペアレントといえど、子供の保護者です。
弁護士を介在させることで、保護者との関係が完全に破たんしてしまうと懸念するかもしれません。
しかし、一線を超えているモンスターペアレントとの関係よりも、それによりあなたが直面している問題を解決することを優先していただきたいと思います。

まとめ

教師という立場上、相手がモンスターペアレントと言えど子供やその保護者に起因するクレーム等は、同僚や上司を含め相談することを憚ってしまうこともあるかと思います。

しかし、殊にモンスターペアレントという教師にとって対応が難しい問題については、
「一人で悩まない・一人で対応しない・誰かに相談する・組織で対応する」
が原則です。
場合によっては警察や行政、さらには弁護士などの専門家に相談することを躊躇してはいけません。

そして、教師であるあなたには子供やその保護者に対するさまざまな義務があると同時に、モンスターペアレントからの理不尽な要求や暴力的な言動から身を守る権利があることを忘れないでください。

これまでも、モンスターペアレントの無茶な要求を呑むことで問題を拡大させてしまったり、モンスターペアレントにより教師が心の病や自殺に追い込まれた不幸な事例が多々あります。
本コンテンツをお読みのあなたにはこの悲劇を決して繰り返して欲しくありません。
本コンテンツにまとめた適正な対応により、あなたがモンスターペアレントに屈しないこ とを切に願います。

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