モラハラ行為を父親から受けている場合に知っておくべき5つのこと

「これはモラハラではないか?」と父親に対して感じることもあるでしょう。

実際に、父親が子どもに対してモラハラ行為を行うこともあります。
その場合、子どもが成長した後も、フラッシュバック現象などが起こり、さまざまな問題が発生する可能性があります。

そのような問題を未然に回避することや、解決するために、是非具体的な対処法を知っておいて下さい。

今回は、ベリーベスト法律事務所の弁護士が、

  • そもそもモラハラにあたる行為とは?
  • 父親がモラハラ行為をする原因
  • モラハラ行為をする父親の特徴
  • 父親にモラハラされた場合の対応方法

など、父親にモラハラを受けている方に知っていただきたい5つのことをお伝えします。
父親のモラハラ行為でお悩みの方のご参考になれば幸いです。

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1、モラハラ(モラルハラスメント)をする父親はこんな行為をする

モラハラとは、モラルハラスメントの略で、倫理に反した嫌がらせ行為のことです。
一般的にモラハラというと、職場や夫婦間の問題であると受け止められていることが多いですが、実際には親子間でもモラハラが発生することがあります。
父親から子どもに対するモラハラには、どのようなものがあるのでしょうか?
まずは、モラハラに該当する行為を確認しましょう。

(1)すぐに声を荒げて、威圧する

モラハラをする父親は、家族に対して支配的な行動をします。家族が自分に従っているときには機嫌が良くても、ふとしたきっかけで激高し、声を荒げて威圧します。

(2)子どもに対しても、きつい言葉で容赦なく追い詰める

モラハラをする父親は、普通であれば子どもには言わないようなきつい言葉でも、平気で投げつけてきます。このことで、子どもは深く傷ついてしまいます。

(3)自分ができていないことでも、他人に強要する

モラハラをする父親は、自分が模範になろうという気持ちを持っていません。自分にはできていないことでも、平気で子どもに強要をします。また、その強要したことを子どもができていなければ、容赦なく激高します。

子どもが「お父さんもできていない」などと言うと、火に油を注ぐことになるので、子どもは反論することなく小さくなっているしかありません。

(4)子どもに反省文を書かせる

子どもが思い通りにならなかったときや言いつけを守らなかったときに、反省文を書かせる父親もいます。

(5)人の話を聞かない

モラハラをする父親は、妻や子どもが何を言っても、聞く耳を持ちません。それだけではなく、家族以外の人の言葉も、実はあまり聞いていないことがあります。

(6)自分の非を認めない、謝らない、責任転嫁する

モラハラ人間は、自分の非を認めないことが特徴的です。何かしら都合の悪いことがあると、謝らずに、他人や周囲の状況に責任転嫁します。

(7)妻や子どもの言うことを否定する

モラハラをする父親は、妻や子どもが正論を述べていたとしても、決してそれを認めず否定します。むしろ「だから、お前は馬鹿なんだ」など言ってくることも多く、家族は次第に黙り込んでしまいます。

(8)母親の悪口を子どもに吹き込む

モラハラをする父親は、母親(妻)の悪口を子どもに吹き込むことが多いです。「お母さんは馬鹿だから、あんな風になってはいけない」「お母さんは男癖が悪い」などといったことを子どもに対して平気で言います。

子どもは、自分の母親を否定されて、酷く傷つきながら成長することになります。

(9)平気で嘘をつく、以前と言っていることが変わる

モラハラ人間は平気で嘘をつきますし、以前と言っていることがすぐに変わるので、周囲の家族はそれに振り回されてしまいます。

上記のように、父親の子どもに対するしつけの限度を超えて理不尽な言動があったら、それはモラハラになる可能性があります。子ども自身に対して直接攻撃的な言葉をかけるモラハラもありますが、母親(妻)を貶める言葉を子どもに言い続けるので、子どもが辛くなってしまうことも多いです。

2、モラハラ行為をする父親の特徴

モラハラ行為をする父親には、どのような特徴があるのでしょうか?以下、ご紹介します。

(1)ときどきは、優しい

モラハラ行為をする人は、常に機嫌が悪いわけではありません。ときには優しくなることもあります。しかし、何かしらの事情をきっかけとして、突然豹変してキレたりするので、周囲の家族は戸惑いますし、 常に父親に対してビクビクしながら接することになります。

(2)身体的な暴力を振るわないことが多い

モラハラの多くのケースでは、身体的な暴力は伴いません。延々と言葉や態度で追い詰めてくることが特徴的です。

ただし、人によっては暴力を振るうこともありますし、興奮したときに暴力を振るうパターンもあります。また、体に対しては暴力を振るわなくても、物を壊したり暴れたりして周囲を威圧することは多いです。

(3)他人に共感しない

モラハラ行為をする人は、他人に対して共感しないことが多いです。

妻や子どもだけではなく、家族以外の人に対しても、実は共感していない、ということがよくあります。たとえば、飲食店の店員に異常に高圧的であるケースもありますし、家の中で「あいつはどうしようもない馬鹿だ」などと言って、他人を貶めていることもあります。

(4)マイルールを持っている

モラハラ人間は、勝手にマイルールを定めていることが多いです。たとえば、「卵は、絶対に特売日に買う」「ゴミ袋は、必ずはち切れるくらいいっぱいになってから捨てる」「おかずの内容や品数、食べる順番」など、小さいことに異常にこだわっていたりします。

そして、家族がそのとおりに行動しないと切れるので、家族は常に気を配っている必要があります。特に、そのような家庭で育った子どもは、物心ついた頃から父親のマイルールを押しつけられることになるので、人格形成に大きな影響を受けます。

(5)けち、強欲

モラハラをする人は、けちであったり強欲であったりすることが多いです。とにかくもらえるものは何でも欲しがりますし、妻や子どもが少しでもお金を使っていたら「そんな金、どこから出したんだ」「それはいくらしたのか」などと言って、文句を言います。

「俺の金を勝手に使うな」と言うこともありますし、子どもの習い事や学習費用であっても「そんなに金がかかるなら、辞めさせろ」などと言います。

このように、モラハラをする父親は、さまざまな方法で家族を支配し、思いどおりに操ろうとします。家庭内で、妻や子どもは弱い立場にあるので、父親にこのような行動をされると、状況を改善することが難しくなります。

特に、子どもは、母親(妻)と違って「離婚」ができないので、父親との関係を簡単に切ることもできませんし、親に養育してもらわないと生きていけない状況にあります。

小さい頃から逃げるに逃げることができず、苦痛を抱えたまま生きていくことになってしまいがちです。

3、モラハラをする父親が生まれる原因として考えられる4つのこと

父親が母親(妻)だけではなく、自分の子どもにまでモラハラ行為をしてしまうことには、どのような原因があるのでしょうか?

(1)子どもの頃の虐待などによるトラウマ

まず、モラハラ行為に及ぶ人は、自分が子どもの頃に、何らかの心的ストレスを抱えていたことが多いと言われています。たとえば、自分自身が親から虐待を受けたり、ネグレクトされたりすると、モラハラ人間になってしまうことがあります。

自分自身の父親が母親に対してモラハラ行為を続けていると、その様子を見続けて育った子どもが大きくなって、モラハラ人間になってしまうことも多いです。モラハラは連鎖するのです。

(2)親による過度の甘やかし

親が過度に甘やかして育てた場合にも、モラハラ人間になることがあります。

たとえば、子どもの頃から何をしても親が許してくれていて、何をやっても褒められてきた人や、間違っていると言われたことがない人、問題を起こしても常に親が片付けてくれていたので大事にならなかった人は、結婚して自分の家庭を持ってもその感覚が変わらず、モラハラ行為に及んでしまいます。

(3)脳の栄養不良

モラハラは、実は脳の栄養不足によっても起こることがあります。
必要な栄養を取れていないと、人間は余裕がなくなってモラハラ行為に及んでしまうことがあります。

(4)寝不足、ストレス

寝不足やストレスも、人間を追い詰めます。仕事が忙しすぎたり、仕事上のストレスが強すぎたりすると、どうしても家庭内の妻や子どもという自分より弱い立場のものに、モラハラという形ではけ口にしてしまうのです。

4、モラハラを父親から受けた場合の対応方法

父親にモラハラされた場合の対応方法

(1)自分は悪くないことを自覚する

父親にモラハラ行為をされたら、まずは、「父親に問題がある」ことを自覚すべきです。

モラハラ父に育てられた場合、どうしても「父親ではなく、自分に問題がある」と思い込んでしまいます。しかし、それでは何も解決しません。まずは、自分や母親が悪いのではなく、父親の問題であることを認識しなければなりません。

(2)母親に打ち明ける

子どもが父親によるモラハラで苦しんでいる場合、実は、母親も同じ思いを抱いていることもあります。母親に「父親のモラハラで悩んでいる」ことを打ち明けると、2人で相談して、良い方向に進めることもあります。

(3)受け流す

モラハラ父には、何を言っても改善しないことが多いです。むしろ、反論すると火に油を注ぐことになります。そこで、なるべく父親の言うことを受け流すようにしましょう。

(4)心理カウンセラーに相談する

家庭内では解決できない状況であれば、心理カウンセラーなどの専門家に相談しましょう。モラハラ問題に積極的に取り組んでいる心理カウンセラーなら、これまでの解決経験を元に、有効なアドバイスをしてくれる可能性があります。

(5)早めに独立する

子どもがある程度の年齢に達しているなら、家から独立する方法を考えることも1つです。

大学生になったことをきっかけに家を出たり、社会人になったときに家から独立したりすると良いでしょう。そのためには、しっかりとした仕事を見つけて収入を確保することが必要です。

5、モラハラをする父親がこれ以上増えないために

モラハラの連鎖を断ち切るには?

父親がモラハラ人間であった場合、子どもにも連鎖してしまうことが多いです。
息子は、自分もモラハラ父になりますし、娘はモラハラ人間を伴侶に選んでしまうのです。
このような「モラハラの連鎖」を断ち切るためには、自分にそのような傾向があることを認識して、同じ過ちを踏まないように、慎重に家庭を築くことです。

たとえば、娘の場合、結婚相手を選ぶとき、上記のモラハラ人間の特徴やモラハラ父のような行動をしない人を慎重に探しましょう。単純に優しいだけではなく、人の話を聞ける人、自分の非を認められる人、お金に異様に細かくない人、弱い者に対して優しい視線を持っている人を選びます。

息子の場合には、家庭を作るとき、妻や子どもに対する配慮を忘れないようにして、必要以上に妻や子どもの意見や言葉に耳を傾けるようにすると良いです。家族にお金を使うことも惜しまないようにしましょう。自分が間違っていたり悪いことをしたりしたら、進んで謝りましょう。

まとめ

モラハラをする父親の元で育つと、子どもも辛い思いをしているものです。
しかし、モラハラの連鎖は断ち切ることができるものです。

まずは、自分もモラハラ被害者であることを自覚して、できるだけ追い詰められないように、モラハラをする父親とは適度な距離感を持って上手につきあいましょう。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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