モラハラには、さまざまな原因が存在します。
この記事では、モラハラに悩む方々が知っておきたい「モラハラが起こる原因」と「モラハラに対処する方法」をご紹介します。
1、モラハラする8つの原因
何はともあれ、まずは夫・妻からのモラハラが発生してしまう原因について、掘り下げて見ていきましょう。
(1)自分に自信がない
第一に、モラハラ夫・モラハラ妻の多くは、実は、自分に自信がないという性格の人も少なくありません。
パートナーに対して日頃から繰り返している攻撃的な言動は、そんな自信のなさを相手に悟られまいとする虚勢なのです。
ただし、そんな自信のなさを本人が自覚しているかどうかはケース・バイ・ケースで、中には無自覚な場合もあります。
無自覚なケースではむしろ自分のことを「私は何でもできる」「俺は他のヤツらとは違う、特別な人間だ」と思い込んでいることもあり、その思い込みがパートナーを見下す根拠となっていることもあります。
(2)親のモラハラを目にして育った
たとえば自分の父親が母親に対して行っていたモラハラを、幼少期からずっと目にして育ってきた男性は、「夫婦とは(父親とは)こういうものなんだ」という間違った認識を抱いたまま成長してしまいます。
口ではそんな威圧的な父親に対して反発心を持ってる等と言っていたとしても、過ごした家庭環境の影響は意外と大きいものです。
自分が家庭を持ってからも、無意識のうちに自分が見てきた夫婦の形を再現してしまう可能性が高いでしょう。
(3)自分も親からモラハラを受けていた
モラハラは夫婦間だけの問題ではありません。
たとえば現在のモラハラ妻やモラハラ夫の親が、子供を自分の思い通りにコントロールしないと気が済まないようなタイプだった場合、モラハラ妻・モラハラ夫自身が元は親からのモラハラに苦しんでいた被害者だった可能性も十分にあります。
子供にとって、親との関係は他人とのコミュニケーションの基本となる大事なポイントです。
みなさんに対する高圧的な態度や暴言も、もとを正せば本人が自分の親から受け継いだ人間関係の築き方による影響が大きいのかもしれません。
(4)親から干渉されることが多かった
過干渉な親に育てられた子供は、親の意見と違う行動を取って失敗するたびに「ほら!やっぱりね」「お母さんの言うことを聞かないから失敗したのよ」と言い聞かされ、そのうち自分で判断して行動すること自体を恐れるようになります。
親の言う通りに動いていれば、たとえ失敗したとしても親から叱られる心配はないので、子供にとってはそれが最も平和で安全な選択肢となるのです。
しかし、そんな子供が大人になると、本来幼少期に培われるべき自己肯定感が極端に低くなり、それでもあらゆることを自分で決めていかなければならないストレスに耐え切れなくなることがあります。
そのストレスや不安の捌け口が、パートナーへのモラハラとなっているパターンも少なくないでしょう。
(5)親が過保護だった
過干渉のケースと同じく、親が過保護だった場合にも、常に「親の意見=自分の意見」として考えるクセがついてしまうため、いざ大人になって一人立ちしたときに「気付けば自分では何も決められない…」という悩みにぶち当たるパターンが多いです。
その一方で、親から散々甘やかされて育ったゆえに、必要以上の万能感を抱いてしまうケースもあります。
これまでの人生がうまくいっていたのは、すべて親があれこれと世話を焼いてくれていたからなのに、それらをすべて自分1人の力で乗り越えてきたと思い込み、本来の自分以上に自分を優秀な人間だと認識してしまうのです。
本人にとって、優秀な自分は周りから褒められて当然、尊敬されて当然の人間。
それなのにパートナーが思ったより自分を持ち上げてくれなかったり、関心を示してくれなかったりすると、たちまち機嫌が悪くなります。
まるで親の注目を得ることができなくて拗ねている子供のようですが、まさにその言葉通り、モラハラ夫やモラハラ妻は外見が立派な大人でも中身はまだまだ子供なのです。
(6)大切な人に裏切られたことがある
過去に大切な人から捨てられたり、裏切られてしまった経験がある場合も、「自分は所詮誰からも必要とされない人間なんだ」という劣等感を抱きやすいです。
劣等感はすでにご紹介したモラハラの原因のひとつである自信のなさにつながるばかりか、その劣等感をなんとか埋めようともがく中で「外面だけが異様に良く、家の中ではパートナーに対して暴言を吐きまくる」という、典型的なモラハラ行動を引き起こす原因にもなります。
外で良い顔をするのは「これ以上誰からも見捨てられたくない」「価値ある人間だと思われたい」という気持ちの表れで、家の中でだけ人が変わったようになってしまうのは、そういった態度を取ってもみなさんが自分から離れることはないとタカをくくっているからなのでしょう。
「家族だから言いたいことを言える」と、家族であることを特別(良い方の特別)かのように語る人もおり、そう言われてしまうと「この人の本当の真意は悪いものではないんだ」等と相手を思いやってしまう優しい人も多いかと思います。
でも、もし本当に嫌な思いをしているのであれば、そんな自分の気持ちをどうぞないがしろにしないでください。
我慢をしているようであれば、これ以上そのような家族観に引きずられる必要は全くありません。
(7)元々コミュニケーションが苦手
人には誰にでも向き不向きがあり、人と接するのが好きな人もいれば、1人で静かに過ごしているほうが好きな人もいます。
モラハラ妻やモラハラ夫になってしまう人の中には、実は対人関係があまり得意ではない人も多く、「他人とどうコミュニケーションを取れば良いのか分からない」「でもきちんと社会で認められたい」という思いの板挟みに苦しんでいることも珍しくはありません。
その結果、努力に努力を重ねて外では理想的な夫や妻を演じていますが、家の中では緊張の糸がプッツリ途切れてしまうのでしょう。
さらに言えば自分のパートナーとすらどのように付き合っていけば良いのか戸惑っているケースもあり、その「うまくいかない」イライラ感がモラハラという形になって表れてくることもあるのです。
(8)仕事などで大きなストレスを抱えている
単純に外部からのストレスが原因となっているケースもあります。
モラハラな言動が一時的なものだったり、直後にすぐ謝ってくれたりするような場合には、ただストレスで理性のコントロールがゆるんでしまっただけと考えることもできるでしょう。
ただし、このケースでもここまでご紹介してきた他の原因が裏に潜んでいる可能性はあり、ストレス自体は引き金のひとつでしかないこともあります。
原因は必ずしも1つではなく、複数の要因が絡まり合ってモラハラという行為に発展することも、頭の片隅に入れておきましょう。
2、パートナーがモラハラする心理について知ろう
続いて、夫や妻がモラハラに及んでしまうときの心理や目的をさらに詳しくチェックしていきましょう。
(1)実は相手を恐れている
小型犬ほどよく吠えるのと同じで、夫や妻のモラハラ行為はみなさんに対する威嚇である可能性が高いです。
特に本人に自信がなく劣等感を抱いている場合は、心のどこかで「相手のほうが自分より有能だ」と感じているので、その相手を罵ったり貶めたりすることで必死に優越感を得ようとするのでしょう。
(2)本音では甘えたいと思っている
幼少期から親との関係がこじれている人は、他人に甘えたくても素直に甘えることができません。
弱音を吐いて受け入れられなかったときに傷付くのが怖い、甘えたら相手にナメられてしまうのではないか…などなど、屈折した思いが胸に渦巻きがちです。
そんな「本当は甘えたいのに!」という心理が、実はモラハラの引き金となっていることもあります。
(3)自分への愛情を試している
モラハラ夫やモラハラ妻がみなさんに対してひどい態度を取るのは、愛情確認の一種と考えることもできます。
「この人は俺・私のことが好きだから、どんな言葉を投げつけても大丈夫」と思っているからこそ、外でどんなに良い顔をしていても、あなたにだけは暴言を吐くのです。
モラハラに耐えれば耐えるほど夫や妻の言動がエスカレートしやすいのも、「俺・私のためにどこまで耐えてくれるのか」を、相手からの愛情の目安として考えてしまう心理が関係しているからでしょう。
3、モラハラされた場合の7つの対処法を知ろう
ここからはいよいよ、夫・妻のモラハラに悩むみなさんが押さえておくべき対処法について、詳しくご紹介していきます。
なお、パートナーからのモラハラが原因で、自分が浮気をしてしまう……というケースも少なからず存在します。
万が一、浮気が原因でパートナーから離婚を切り出されてしまうと、こちらも不利になってしまう可能性が高くなるでしょう。
モラハラを防止することは難しいため、こちらからパートナーのモラハラへの対処法をしっかり押さえておきましょう。
(1)モラハラであることを指摘する
モラハラへの対処は、まずモラハラをしている本人にその自覚を持ってもらうことから始まります。
モラハラの加害者の中には、自分の言動がモラハラであることに気付いていない人も多く、場合によっては自分が相手を傷付けていることにすら無自覚なケースも。
「もうこんな状況には耐えられない!」「モラハラをやめてほしい」と思うなら、その気持ちをそのまま相手に伝えましょう。
伝える上で大切なポイントは次の3つで、面と向かって話すのが難しい場合にはメールや手紙などでも構いません。
- あなたの言動はモラハラである、とハッキリ伝える
- モラハラによって自分がどんな気持ちになったか、どんなふうに傷付いたかを具体的に伝える
- 今後そういったモラハラはやめてほしいと伝える
(2)自分に非がない場合は謝らない
モラハラから逃れたいあまり、相手が自分を責めるような言動を始めたらすぐに謝って済ませている人も多いかもしれませんが、実はこれは逆効果。
みなさんが謝っても、モラハラ夫・モラハラ妻は「やっぱり自分が正しかったんだ!」という思いを再確認するだけで、「何があっても正しいのは自分なのだから」とさらに態度が頑なになります。
相手の言い分が理不尽なときには絶対に謝らず、モラハラに屈しない姿勢を見せましょう。
(3)まともに相手にし過ぎない
夫や妻がモラハラに走ってしまうのは、「自分にきちんと注目してほしい」「自分を価値ある人間だと認めてほしい」という気持ちの表れでもあります。
真面目な人間は、相手からの八つ当たりともとれるモラハラ発言に対しても「自分にも悪いところがある」「もっと相手の期待に応えられるようにならなければ」と、真剣に捉えてしまいます。
しかしこれではモラハラは加速するばかりです。
もしモラハラが一切相手にされず、適当に流されて終わってしまうのであれば、本人の中でも「モラハラでは相手に気持ちをアピールすることができない」ということになり、もっと別の手段を考えるようになるでしょう。
つまり、流せるのであれば暴言もすべて受け流し、これといった反応を見せることなく無視するのも効果的な対処法のひとつなのです。
(4)毅然と言い返す
無視することによってモラハラ行為がエスカレートしてしまう場合は、毅然と対応することで「そんなこと(モラハラ)をしても私は・俺はあなたの思い通りにはならない」ということを伝えるのもひとつの方法です。
特にモラハラで優越感を得たい=本当は劣等感に怯えているタイプのモラハラ夫・モラハラ妻の場合、相手から強気の態度で言い返されるとすぐに大人しくなるケースがあります。
客観的に見ておかしな言い分や、筋の通らないところを具体的に指摘し、相手のモラハラがおさまったところで「本当は何が不満なの?」「何か悩んでいることがあるんじゃないの?」と、相手の気持ちに歩み寄る言葉をかけてあげましょう。
(5)周りに助けを求める
自分1人で対処するのが難しいと感じるときには、積極的に周りを頼りましょう。
モラハラ妻やモラハラ夫は、外では理想的な妻・夫を演じているので、なかなか相談しにくいこともあるかもしれませんが、だからこそ「本当は違う…」と悩みを打ち明け、1人でも多くの味方を確保しておくことが大切です。
(6)別居する
モラハラ行為が毎日のように繰り返されるときには、精神的にも良くありません。憂鬱な状態が続いたり体調が悪いといった症状が続いたりするでしょう。
モラハラするパートナーと離れるために、思い切って別居に踏み切ってみるのも良いでしょう。
離れて暮らせば物理的にモラハラから距離を置くことができ、みなさん自身も冷静な自分を取り戻すことができますし、相手に対しても「今のあなたとは一緒にいることができない」という何よりのメッセージになります。
(7)モラハラの証拠を集めておく
モラハラが原因の離婚も視野に入れているなら、実際に夫・妻がモラハラを行っている証拠を集めておくことが必要不可欠です。
その際は暴言の録音やメールの文面が何よりの動かぬ証拠となりますので、残しておきましょう。
ちなみに、相手に無断で録音をすることはいけないことなのでは?という疑問があるかもしれません。
具体的には「プライバシーの侵害では?」ということです。
この点、まず、似て非なる「盗聴」を考えてみます。 盗聴とは、会話当事者以外の第三者が、その会話を無断で録音することです。
親密な間柄における秘密の会話を第三者が盗聴するケース等、「誰にも知られたくなかった会話=プライバシー」を侵害したとして、プライバシーの侵害であることがわかると思います。
一方、録音者が会話の当事者である無断録音ではちょっと違ってきます。
発言者は相手に対し自ら「発言」(発信)しており(自らプライバシーを相手に公開している)、相手がその内容を単純に録音することについては、無断であろうとプライバシーを侵害しているとは言えません。
問題となるのは、その録音内容を、第三者に公開する等として悪用する行為です。
今回のようなハラスメントの証拠としての録音であれば、第三者に公開すると言っても、弁護士に公開するか、裁判での証拠提出として提出することであり、これらは録音の悪用ではありません。そのため、ハラスメントの証拠としての無断録音は、それが即いけないこと、とはなりません。
モラハラの原因に関するQ&A
Q1.モラハラの原因とは?
- 自分に自信がない
- 親のモラハラを目にして育った
- 自分も親からモラハラを受けていた など
Q2.モラハラをする心理は?
モラハラをしてしまう心理は下記のものが考えられています
- 実は相手を恐れている
- 本音では甘えたいと思っている
- 自分への愛情を試している
Q3.モラハラの対処方法は?
- モラハラであることを指摘する
- 自分に非がない場合は謝らない
- まともに相手にし過ぎない など”
まとめ
モラハラの原因は、もとを正せば幼少期の家庭環境にあることも多く、モラハラ妻・モラハラ夫の母親や父親との関係性が知らず知らずのうちに影響を及ぼしていることもあります。
ひとつだけ確かに言えるのは、どんな理由があってもパートナーに対するモラハラは許されない行為で、モラハラ被害者には何の非もないということです。
みなさんの中には「自分に何か悪いところがあるから暴言を吐かれてしまうのだろうか…」と悩んでいる人もいるかもしれませんが、もし仮に悪いところがあったとしても正面から話し合うのが人間関係の基本で、それが一方的なモラハラを行っても良い理由には決してなりません。
今回ご紹介した対処法を参考に、ぜひみなさんもモラハラには毅然とした態度で対応し、場合によっては別居や離婚も検討して、自分の身を守ることを優先させてください。