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動産執行は有効?動産執行で債権回収するときの3つのポイント

動産執行は有効?動産執行で債権回収するときの3つのポイント

1、動産執行とは?

動産執行とは、債務者が所有する動産(不動産と債権以外の財産:現金や貴金属等)を差押え、それを換価(売却)することで、債権を満足させるための手続です。

借金を取り扱った映画・漫画等では、債務者の家具等に「差押え」と書かれた赤い札が貼られていくシーンが描かれることがありますが(実際に赤い札が貼られることはありませんが)、大雑把なイメージでは、あのように債務者の自宅や事務所等にある動産を執行官が直接差押えすることで実施されます。

(1)動産執行を申し立てるための条件

動産執行を行うためには、その前提として、「債務名義」と呼ばれる書類を獲得し、その債務名義に執行文を付与してもらう必要があります。

①債務名義の取得方法

債務名義とは、ある当事者間に発生した権利関係の内容を記した、公証された書類のことで、具体的には、民事執行法22条に定められているものだけが債務名義として取り扱われます。その主なものは以下のとおりです。

  • 確定判決
  • 仮執行の宣言を付した判決
  • 抗告によらなければ不服を申し立てることができない裁判(確定しなければその効力を生じない裁判の場合は確定したもの)
  • 仮執行の宣言を付した損害賠償命令
  • 仮執行の宣言を付した届出債権支払命令
  • 仮執行の宣言を付した支払督促
  • 金銭の一定の額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について公証人が作成した公正証書で、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの(執行証書)
  • 確定判決と同一の効力を有するもの(和解調書・調停調書等)

債務名義を獲得する最も一般的な方法は、金銭の支払いを求める民事訴訟や支払督促、民事調停を申し立てる等の裁判所の手続を利用する方法です。小口の債権回収のために動産執行を行うのであれば、支払督促や少額訴訟といった手続で債務名義を獲得することが有効でしょう。

また、相手方との契約書であっても、相手方が強制執行を受諾する旨の条項を含めた契約書を公正証書にすることで、債務名義とすることができます(上記の執行証書)。

②執行文付与の手続

執行文付与の手続とは、作成された債務名義に記された権利関係が、強制執行を行える状況にあるかどうか(その時点で債務名義が有効であるかどうか)を確認するための手続です。

執行文付与の手続は、それぞれの債務名義を作成した機関(裁判所・公証役場)に対して申し立てる必要があります。

(2)動産執行の申立てに必要な書類

動産執行の申立ては、差押えの対象となる財産(動産)の所在地を管轄する地方裁判所に対して行います。その際に必要となる書類は、下記のとおりです。

  • 申立書(裁判所のウェブサイト等でモデル書式を入手可能)
  • 当事者目録
  • 動産執行を行う場所の略図
  • 執行文の付与された債務名義の正本
  • 債務名義の送達証明書(それぞれの債務名義作成機関で発行)
  • 資格証明書(法人の登記事項証明書又は代表者事項証明書。当事者が個人の場合は不要)
  • 住民票等(債務名義と現在の当事者の住所が違う場合等に必要)
  • 弁護士に依頼する場合は委任状

また、申立てに際しては、手続手数料と予納金の納付(合計で数万円程度)も必要となります。

(3)動産執行の流れ~差押えと換価(売却)

動産執行は、強制執行の対象となる動産の所在地に執行官が出向いて、その動産を直接差し押さえることで行われます。

差し押さえた動産は換価され、債権者への配当に充てられますが、売却方法としては次の2つの方法のいずれかによるのが一般的です。

①他の業者等による動産の買取り

動産執行における換価の最もスタンダードな方法は、差押えの現場に買取り業者(たとえばリサイクル業者等)を呼び寄せて、差し押さえたその場で買い取ってもらう方法です。複数の業者を呼び寄せることができれば、その場で買取り額を競ってもらう(いわゆる軒下競売を行う)ことも可能です。

②債権者自身による買取り

動産執行における換価のもう一つの方法は、債権者自身が差押え動産を買い取った上で、任意で売却するという方法です。(1)の場合と比べたときには、債権者にとって有利な方法・金額で売却できる可能性もある反面、債権者自身が換価のための手間を負担する必要が生じるという点で違いがあります。

2、動産執行の対象となる動産の範囲 ~差押え禁止動産

動産とは、不動産(土地・建物)以外の有形の財産のすべてを指します(債権は有形ではないので除かれます)ので、かなり広範囲の財産が対象となります。

しかし、実際には、債務者の生活を保障する必要性等から、法律によって差押えが禁止されている動産も多いことに注意する必要があります。差押えが禁止されている動産は下記のように3つに分類することができます。

(1)債務者の生活に必要な家具・家電等

債務者の衣服や寝具・台所用品、建具、家具、家電といった、通常の生活に必要となる動産は原則として差押えが禁止されています。また、仏壇や位牌等の祭祀にまつわる財産も差押えが禁止されていますので、一般的には、債務者の自宅にある家具・家電等の動産の大半は差押えできないと理解しておいた方がよいでしょう。

しかし、たとえば100インチの液晶テレビのような華美な家電は、生活必需品とはいえませんので、動産執行の対象となる可能性がないわけではありません。また、パソコンについても、現代の生活においては必需品のひとつといえますから、1台しかないという場合には、差押えの対象になることはありません(2台目以降については、ケースバイケースの判断になりますが、よほど高額なものでない限り、差押えの対象になる可能性は低いといえます)。

(2)債務者の仕事に必要な器具や備品等

債務者の生業を維持することも、債務者の生活を保障する上では欠かせない配慮です。そのため、債務者が生業を行う上で必要となる器具や備品等も差押えが禁止されています。

具体的には、職人道具、農具、漁具等は差押えが禁止されていますし、家畜、種、稚魚も商品でないものについては、差し押さえることができません。

(3)現金

債務者が保有している現金も、動産執行の対象となります。しかし、現金も上記で掲げた財産と同様に、債務者の生活には欠かせない財産のひとつといえます。

そこで、個人の債務者を対象とする差押えの場合には、2か月分の生活生計費に相当する額(33万円×2か月の66万円)までの現金については、差押えが禁止されています。したがって、個人の債務者に対する動産執行では、現金の差押えは難しい場合がほとんどといえます。

他方、法人が債務者の場合には、現金の差押えについての制限はありません。たとえば、小売店等に対する動産執行では、店舗レジや金庫等に保管されている現金を差し押さえるのが一般的といえます。しかし、この場合でも、既に店舗から現金が持ち出され、銀行口座や貸金庫等に預け入れられてしまった場合には、店舗における動産執行では差押えできません。

3、動産執行を行う場合に検討すべきポイント2つ

動産執行を検討する場面では、次の点に注意した上で、その有効性をしっかり吟味することが大切といえるでしょう。

(1)強制執行が失敗になる可能性

動産執行は、債務者の自宅や店舗に直接立ち入って差押えを行う必要があります。すべての債務者が自宅・店舗に立ち入ることに協力してくれるとは限りません。実際にも、動産執行を察した債務者が、自宅・店舗を施錠した上で、執行官の呼びかけに応じない(その場にいない)ということは珍しいことではありません。このような場合には、解錠業者を執行現場につれていき、自宅・事務所の解除作業をしてもらった上で、強制執行を行うことも可能ですが、それには別途費用(2~3万円程度)が発生するため、費用倒れなどのリスクがあります。

また、自宅・事務所に立ち入ることができた場合でも、差し押さえることのできる動産が存在しないというケースや、債権を満足させられるだけの財産がないというケースも考えておかなければなりません。

(2)相手方に与えるインパクト

以上のように、動産執行は、強制執行を行っても、債権を十分に満足させられないというケースも珍しくありません。実際にも、1回の動産執行だけでは債権を満足させられないということの方が圧倒的に多いといえます。

しかし、動産執行は、相手の自宅や事務所に直接立ち入って差押えを行うことから、債務者に与える心理的な効果が大きいというメリットがあることも忘れるべきではありません。仮に、そのときの動産執行では十分な債権回収をはかれなかったとしても、動産執行を行ったことがきっかけとなり、その後の債権回収がスムーズになることもあり得るといえます。

まとめ

動産執行は、債務者の自宅・事務所に直接立ち入って財産を差し押さえる方法で行われることから、実際に申立てを行う際には、そのタイミングの選定等についても慎重に検討する必要があります。たとえば、債務者が店舗の現金を引き上げた後の時間帯に動産執行を行うことになれば、差押えに失敗してしまうこともあるからです。

その意味では、動産執行を行う際には、成功の確率をあげるためにも、事前に債権回収に詳しい弁護士に相談・依頼した上で、十分な戦略を練っておいた方がよい場合が多いといえます。

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