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土地の境界をめぐるトラブルで気をつけなければならない弁護士が教える7つのこと

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この記事を読んでいただいている皆さんは、これから土地の売買をするとか、境界上の塀などを設置したいとか、あるいは既に隣接地所有者とトラブルになっているなど、様々なご事情があって、境界について情報を得たいところかと思います。
実際、境界トラブルでは、境界をめぐるルールを知らなかったがために、建築途中の建物の建て直しを命じられるなど、気をつけなけれならないことがあります。

この記事では、様々な境界トラブルを解決してきたベリーベスト法律事務所の弁護士が、境界についての情報を提供するとともに、境界トラブルへの対応や、トラブルの予防策についてご紹介します。
境界トラブルでお悩みの方は、是非、ご参照ください。

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1、境界にまつわる用語

まず、ご自身の土地の隅の点を「境界点」といいます。土地は、「一筆、二筆・・・」と数えることから「筆界点」(ひっかいてん)と呼んだりもします。この「境界点」を示すために設置されたのが「境界標」(きょうかいひょう)です。境界標は、土地にコンクリート杭を埋め込んだり、塀に金属プレートを設置したりするのが一般的です。コンクリート杭や金属プレートには、矢印や十字が表示されていて、矢印の先端か十字の中心が境界点になります。

ある境界点と他の境界点を結んだ線を「境界線」といいます。

境界線には、隣地境界線の他に、敷地境界線や道路境界線などの言葉があります。これらはどのように違うのでしょうか。

※「道路」は「公道」としてください。

(1)隣地境界線とは

隣地境界線とは、ある土地と隣の土地との境を示す線のことをいいます。
これは、隣の土地との境にある境界標と他の境界標を結んだ線になりますが、境界標が必ずしもあるとは限りません。

また、通常は隣地境界線の上に塀や垣根や擁壁などが設置されていますが、必ずしも境界線を正しく示している(境界上に設置されている)わけではありませんので注意が必要です。

(2)敷地境界線とは

敷地境界線とは、建築物の敷地の外周のことをいいます。
これも、実際の土地に境界そのものが示されているのではありません。
敷地境界線は、道路境界線と隣地境界線に分けられます。

(3)道路境界線とは

道路境界線とは、敷地に接する道路との境界線のことをいいます。

なお、これも、実際の土地に境界線そのものが示されているのではありません。
ここでいう「道路」とは、一般的には、公道すなわち区や市などの行政が所有している道路のことをいいます。

2、建物の境界からの距離についてのルール

(1)建物を建築する場合には境界から50センチメートル以上の距離を保つ

民法では、建物を建てる場合、境界から50センチメートル以上の距離を保たなければならないというルールがあります。
これに反して建築しようとする者がいる場合、隣接地の所有者は、その建築を中止させたり、距離を離すようにさせるなどの変更を求めることができます。

ただし、建築開始から1年経過した場合や、建物の完成後は、損害賠償のみを請求することができます。

(2)異なる慣習があるときは50センチメートル未満でもよい

地域によっては、50センチメートルも離さない慣習があることがあります。

例えば、東京の都市部では、それぞれの敷地面積が狭く、建物が密集している地域があります。そのような場所では、50センチメートル未満でもよい「慣習」があることになります。
その場合は、その慣習に従って、50センチメートル離さなくてもよいことになっています。

しかし、そのような慣習があるかどうかは一概に決めることはできないため、解釈の違いによるトラブルが生じる可能性があります。

具体的には、自分の住む地域では慣習的に50センチメートルも離さないものと考えて、自分の建物を隣地境界線に接するかたちで建築したが、隣接地の所有者はそのような慣習はないと考えていたケースです。

隣接地の所有者が、まさに境界に接して建物を建築しているのであればまだしも、隣接地の所有者が50センチメートル以上の距離を保っていた場合には、隣接地の所有者の意見を事前に聞いておくべきでしょう。
隣接地の所有者と意見が異なってしまった場合には、無理に建築を進める前に、弁護士に相談することをお勧めします。

(3)耐火構造等の条件を満たす場合は50センチメートル未満でもよい

以上に対して、建築基準法では、防火地域または準防火地域内の建築物で、外壁が耐火構造のものである場合には、外壁を境界に接して設けることができるとされています。
防火地域または準防火地域に当たるのは、主に、繁華街などの商業地域です。
商業地域では敷地の高度利用が求められる半面、外壁を耐火構造にしていれば、万が一の火災の際にも延焼が防げるからです。

(4)窓や縁側は境界から1メートル以上離すか目隠しを付ける

窓や縁側は、プライバシー保護のため、境界から1メートル以上離すか、目隠しを付ける義務があります。

なお、目隠しを付ける義務がある場合は、隣接地を「見通せる」場合に限ります。例えば、境界から1メートル以内の窓でも、窓からは隣接地の建物の裏面しか見通せない場合には、目隠しの設置義務がありません。また、自分の建物に設置する窓が天窓(トップライト)や開閉できない曇りガラスの窓の場合、そもそも隣接地を見ることができないので、目隠しを付ける必要がありません。

3、塀やフェンスを設置する場合のルール

(1)塀が設置されていない場合

①境界上に塀を設置する場合

民法では、隣接地との間に空き地がある場合、所有者はそれぞれ、他の所有者と費用を分担して、境界に塀、フェンス、ブロック塀などを設けることができるとされています。

ただ、これは、一方の所有者の独断で設置できるということではなく、隣接地の所有者と話し合って設置するのが基本となります。したがって、まずその協力を要求していくことになります。

それでも、他の所有者との話が全くまとまらない場合、民法のルールでは、板塀、竹垣その他これらと似た材料のもので、高さ2メートル以内のものであれば、設けることができるとされています。

この場合、隣接地の所有者が塀の設置に反対している場合でも、設置することは可能です。しかも、費用は共同で負担します。

民法は明治時代に作られた古いものであるため、板塀、竹垣が例に挙げられていますが、現在ではほとんど見かけないものです。
そこで、現在のおいて一般的であるブロックやコンクリートを材料とする塀を設置する場合、民法上、費用の差額分をブロックなどの塀を設置したい者が負担することとされています。

塀の所有権は、費用を負担した者が持ちます。共同で負担した場合は、共有になります。
どちらが負担したか分からなくなってしまった場合も共有になります。塀の修理費や取壊しの費用は、塀の所有者が負担することになります。

②自分の敷地内に塀を設置する場合

自分の敷地内に塀を設置することは自由です。高さについても2メートルという制限はありません。

もっとも、あまり高い塀や日照をさえぎる塀を設置すると、隣接地との間に問題を来たしかねません。また、塀が倒れて隣接地の建物や所有者に損害を与えてしまった場合には、損害を賠償しなければなりません。自分の敷地内に塀を設置する場合にも、隣接地には一声かけておいたほうが無難でしょう。

この場合、塀の所有者は、自分自身ということになりますから、塀の修理費用や取壊し費用は、自分自身で負担することになります。

(2)既に設置されている塀がある場合

既に塀が設置されている塀がある場合、まず検討しなければならないのは、その塀の所有者は誰かということです。例えば、境界上に塀が設置されていて、隣接地所有者との共有であるとの合意がされいているという場合は問題ありません。問題は、隣接地所有者と意見が食い違っている場合です。この場合は、塀の所有者は誰かという問題を解決するところからスタートしなければなりません。

もっとも、多くの場合、塀は境界上に設置されていて、隣接地の所有者と共有であることが多いでしょう。ここでは、塀が共有であることを前提に説明をします。

まず、既に設置されている塀があるものの新しく塀を設置したい場合の対応としては、次の2通りの方法があります。

  • 既にある塀を壊して新しい塀を設置する
  • 既にある塀はそのままにして新たに塀を設置する

以下、それぞれの方法について説明します。

①壊して新しい塀を設置する場合

既にある塀を壊して新しい塀を設置する場合に特に問題となるのは、一方が建て替えに反対している場合はどうなるのか、誰の負担で取り壊すのか、誰の負担で新しい塀を立てるのかという3点です。

まず、一方が建て替えに反対している場合について説明します。

境界上にあっても、自分が所有している塀であれば、自分の費用負担で自由に取り壊すことができますが、共有であれば、隣接地所有者は塀に対する所有権を持っているので、同意なしに取壊しはできません。

ただし、倒壊の危険のある場合は、所有権に基づく妨害排除請求として、塀の取り壊しを求めることができます。

なお、共有する塀に倒壊の危険がある場合に、倒壊しないように補修する工事を行うことは相手方の同意がなくても行うことができ、費用の半分を相手方に請求することができます。

共有する塀の取り壊しについてお互いに同意している場合は、基本的には費用を折半することになりますが、費用の負担割合は話し合いで自由に変更できますので、相手方が費用負担を嫌って取り壊しに同意しない場合は、相手の費用負担割合を少なくする(場合によっては費用負担を求めない)といった対応が必要になる場合もあるでしょう。

新たに設置する塀の費用については「(1)塀が設置されていない場合」と同じです。

②既にある塀はそのままにして、新たに塀を設置する場合

既にある境界塀はそのままにしておいて、新たに自分の敷地内に塀を設置する場合は、(1)の「②自分の敷地内に塀を設置する場合」と同様です。

③既にある隣接地所有者の塀が自分の敷地にはみ出している場合

このケースは、塀は共有ではなく、隣接地所有者の所有物である場合です。

そして、隣接地所有者の既にある塀が自分の敷地のはみ出している場合に、これを放置すると、その部分の土地を隣接地所有者に時効取得されてしまうおそれがあります。

時効取得までの期間は、塀の設置時に相手方がはみ出していることを知っていたかどうかによって変わります。
知っていた場合又は知らないことに落ち度があった場合(注意をすればすぐにはみ出していることに気付いた場合)は20年で、それ以外の場合は10年です。

対処法としては、最善策は、塀を取り壊して建てなおすことです。
取壊し費用は、隣接地所有者の負担であることは前述の通りです。もっとも、ほん数センチのために塀を取り壊しはできないと突っぱねられることもあるでしょう。
その場合は、自分で費用を負担して塀を取り壊すか、少なくとも「塀がはみ出していること」と「正しい隣地境界線の位置の確認」の文書を取り交わしましょう。時効取得されることを防ぐことができます。

4、隣地境界線の確認方法

(1)境界標の確認

現地に境界標があるか、よく確認しましょう。
全ての敷地の角に境界標が揃っていることが大切で、揃っていない場合、境界標を新たに設置する必要が出てきます。

そして、最終的には、現地の境界標、地積測量図、道路図の3つが一致しているかどうかを確認することになります。

地積測量図は、法務局に提出されていることが多い書類で、境界を確認する際の手がかりになります。もっとも、古い年代に作成された地積測量図は境界標の位置が示されていないこともあります。

道路図は、市区町村役場(道路が都道府県道の場合には都道府県庁、国道の場合には国道事務所)に備え付けられている図面で、道路と民有地の境界をしめしたものです。各土地の所有者が立ち会って作成してありますので、精度は高いものです。

(2)ブロック塀は手がかりになるか

隣接地とはブロック塀で仕切られているので、これが境界なのではないかと思われる方がよくいます。
ところが、先ほどご紹介した塀についてのルールもそうですが、塀と隣地境界線は別のもので、塀があるからそこが隣地境界線になるというルールや定義はありません。
したがって、ブロック塀があっても、これが境界を示しているとは限らず、別の方法で、きちんと隣地境界線を確認することが必要となります。

5、筆界特定制度の利用

(1)筆界特定制度とは

国の筆界特定制度を利用することで筆界が明らかになります。
筆界とは、土地が登記された際に、その土地の範囲を区画するものとして定められた線のことです。境界とほぼ同じ意味です。
境界が位置に関する争いは、筆界特定制度に解決することができます。

(2)筆界特定制度を利用するメリット

筆界特定制度を利用するメリットは、裁判で争うよりも手間が少ないことです。
裁判では、当事者が積極的に主張立証をしていなければなりませんが、筆界特定制度では、法務局が主体になって手続を進めます。

①筆界特定制度の費用

申請手数料は、特定したい筆界を共有する2筆の土地の固定資産税評価額の合計が基準となります。

例えば、土地が4,000万円の場合に手数料は8,000円となります。

しかしながら、筆界特定のための専門の測量士に依頼をしなければなりません。この測量士の測量費用は、個別に依頼をするよりも高額になることがあります。

②筆界特定制度の期間

筆界特定までの期間は、およそ半年〜1年です。しかしながら、東京都市部では、筆界特定の利用者が増えているので、期間は長期化傾向にあります。
裁判の場合は、事案にもよりますがおよそ2年です。

(3)筆界特定制度の申請方法

筆界特定制度の申請は、対象となる土地を管轄する法務局か地方法務局に、筆界特定申請書を提出して行います。

分からないことは、上記の法務局・地方法務局一覧のリンクから最寄りの局に直接または電話で確認するとよいでしょう。
また、自分で申請する方法のほか、弁護士や土地家屋調査士に依頼することも可能です。

6、境界をめぐるトラブル

(1)トラブルの例

よくあるトラブルの例をご紹介します。

例えば、土地を売ろうと思ったら、一部分だけ、隣接地所有者のものだったということがあります。
他人のものを勝手に売るわけにはいきませんので、こうなると、土地売買の取引自体ができないことになりかねません。

また、塀をめぐるトラブルもあります。
塀を作ろうとしたら、隣接地所有者から、そこはうちの土地だとクレームをつけられるとか、反対に、隣接地所有者の作った塀が自分の土地に侵出しているといったことです。

お隣さんである以上は、一度トラブルになってしまうと、それまで良好だった関係も壊れてしまいますし、生活していく上でもストレスになるおそれがあります。

(2)トラブルの原因

これらのトラブルに共通する原因としては、境界そのものがあいまいになっていることが挙げられます。
境界が明確でないと、結果として、当事者それぞれが、自分に有利な境界を主張して争いになってしまうということです。

ではなぜ、境界があいまいになってしまうのでしょうか。
実は、よくあるのは、災害ではなく、人為的なミスによるものです。
例えば、塀を作るときに、施工業者が境界標を一時的にずらしてしまい、そのまま元の位置に戻さないといったこともあります。

7、境界トラブルの解決方法

(1)境界問題解決センターへの相談

境界があいまいな場合、まずは、当事者間で話し合って、隣接地を買い取るとか、塀を作り直すといった解決策を合意できれば、それで解決することができます。

ところが、当事者同士で話し合ってもまとまらないとか、そもそも話し合いができそうにない場合には、専門的な機関の助けを借りることが良いでしょう。

具体的には、全国の土地家屋調査士会の運営する境界問題相談センター(地域によって名称は異なります)という相談所が各地あり、ここへ行けば、境界や隣接地をめぐるトラブルについて、土地家屋調査士と弁護士に相談することができます。

ここでは、土地家屋調査士と弁護士が協力して相談に対応してくれるので、それぞれの専門性を活かしたアドバイスなどを受けられることが期待できます。

全国の境界問題相談センター一覧(http://www.chosashi.or.jp/adr/img/center.pdf

(2)専門家への依頼

相談先として、境界問題解決センターを例に出しましたが、そのほかに、ご自身で検索するなどして、境界問題に精通した土地家屋調査士や弁護士などを探して相談するという方法もあります。

このように相談して、良い解決策が見つかり、ご自身で進めることができるのであれば、それで解決に至ることを期待できます。

もっとも、問題がこじれている場合などには、弁護士に依頼して、相手方とのやり取りを進めてもらう方が良いといえます。

(3)法務局や市役所などへの無料相談

境界トラブルについて相談する必要があるけれども費用をかけられないとか、トラブルの芽はないけれども気になることを質問してみたいといった場合には、無料相談を利用する方法もあります。

法務局や役所であれば無料相談を設けていることが多いですし、土地家屋調査士の団体である土地家屋調査士会にある場合もありますので境界線問題相談センターで確認してみると良いでしょう。

(4)筆界特定制度の利用

境界問題を解決する方法として、前述の筆界特定制度を利用する方法があります。しかし、筆界特定制度の結果に不満がある当事者は、別途に境界確定訴訟を提起することができますので終局的な解決にならない場合もあります。

(5)裁判(境界確定訴訟)

境界問題を最終的に解決したい場合は、裁判所に境界確定訴訟を提起することになります。
この場合、自分と隣接地の所有者がそれぞれ自分が主張する境界を示した測量をそのほか従前の経緯などを示す証拠を提出し、最終的には裁判所が判断することになります。 

まとめ

いかがでしたか。

この記事を通じて、境界についての理解や、境界トラブルの解決や予防について知識を深めていただき、ご自身の悩みを解決する一助になれば幸いです。

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