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警察に逮捕されるのはどんなとき?逮捕を回避するための方法も解説

万が一、警察に逮捕される状況に陥った際、多くの方が不安に感じることでしょう。手錠をはめられ、警察署へ連行され、身柄が一定期間拘束されて取り調べを受け、最悪の場合は起訴となり、刑務所に収容される可能性も考えられます。

普段の生活では逮捕の心配は少ないかもしれませんが、些細な不注意や不可抗力によって、刑事事件に巻き込まれることもあるため、注意が必要です。

今回の記事では、

  • 警察に逮捕されのはどんな時?
  • 逮捕されたらどうなる?
  • 逮捕を回避するためにできる対策とは?

などについて、ベリーベスト法律事務所の刑事事件に詳しい弁護士が分かりやすく解説します。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

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1、警察に逮捕されるのはどんなとき?

警察に逮捕されるのは、一言で言うと「あなたが犯罪を犯したのではないかと警察から疑われているとき」ということになります。
しかし、そのすべての場合に、いきなり逮捕されるわけではありません。

まずは、どんなときに警察に逮捕されるのかを詳しくみていきましょう。

(1)逮捕される条件

逮捕されるのは法律に定められた条件を満たしたときのみです。そのことは、日本国憲法でも保障されています。

第三十一条 

何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

第三十三条 

何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

引用元:憲法

さらに、逮捕は被疑者に手錠をかけ、身柄を拘束する、いわば人権を制約する重大な出来事ですので、その条件は以下のように法律で厳しく定められています。

なお、逮捕にはこの後の文章でご説明するようにいくつかの種類がありますが、ここではまず、裁判所が発布する逮捕状に基づいて行われる「通常逮捕」の要件についてご説明します。

①「刑事訴訟法第199条1項」に該当した場合

通常逮捕の要件は、刑事訴訟法という法律で次のように規定されています。

第百九十九条一項 

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。

引用:刑事訴訟法

この「疑うに足りる相当な理由」が認められるのは「その人が罪を犯したと疑うことが合理的といえる」場合です。

ある程度の証拠がそろっている場合や、状況に照らして世間一般の人から見ても、その人が罪を犯した疑いが高いと客観的・合理的に判断される場合でなければ、この要件を満たしません。

単に警察が「怪しい」と考えているだけでは、逮捕されないのです。

②「刑事訴訟法第199条2項ただし書、刑事訴訟規則第143条の3」に該当した場合

通常逮捕のもうひとつの要件に「逮捕の必要性」があります。

逮捕の必要性とは被疑者が逃亡を図るおそれや罪を犯した証拠を隠滅するおそれなどのことを指します。

刑事訴訟規則の第143条の3によれば、被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれがないときは、警察は逮捕できないこととされています。

第百四十三条の三 

逮捕状の請求を受けた裁判官は、逮捕の理由があると認める場合においても、被疑者の年齢及び境遇並びに犯罪の軽重及び態様その他諸般の事情に照らし、被疑者が逃亡する虞がなく、かつ、罪証を隠滅する虞がない等明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、逮捕状の請求を却下しなければならない。

引用:刑事訴訟規則

被疑者に逃亡や証拠隠滅のおそれが認められない場合には逮捕されませんが、取り調べを受けなくて済むというわけではありません。

この場合には警察が適宜、被疑者を呼び出して取り調べなどの捜査を進めることになります。

この場合、その後も身柄拘束を受けることなく、書類のみが検察官に送検され(書類送検)され、在宅のまま捜査が行われ(在宅捜査)、起訴される場合も在宅のまま起訴(在宅起訴)されることが多くなっています。

(2)逮捕の種類

逮捕には、先ほど例に挙げた「通常逮捕」の他にも、「緊急逮捕」「現行犯逮捕」「私人逮捕」というものもあります。

この3種類の逮捕は、以下のように要件や手続きがそれぞれ異なります。

①通常逮捕

裁判所が発布した逮捕状に基づいて行われる逮捕です(刑事訴訟法第199条)。

日本の刑事手続きでは、原則として裁判所の令状がなければ被疑者に対して強制的な処分はできないという「令状主義」が採用されているため、通常逮捕が原則であり、他の2つの逮捕は例外的な措置ということになります。

警察が通常逮捕を行うときには、逮捕状に記載された犯罪事実の要旨を読み上げるとともに、弁護人を選任することができることを告げ、弁解の機会を与えなければならないことになっています(刑事訴訟法第203条1項)。

②緊急逮捕

緊急逮捕とは、死刑、無期懲役、長期3年以上の懲役もしくは禁錮にあたる重罪を犯したと疑うに足りる充分な理由がある場合で、緊急に逮捕する必要性があるため裁判所へ逮捕状を求めることができない場合に認められる逮捕手続きです(刑事訴訟法第210条)。

この場合も令状主義から逸脱しないように、警察は直ちに逮捕状を求める手続をしなければならず、逮捕状が発せられないときに直ちに被疑者を釈放しなければならないとされています。

③現行犯逮捕

現行犯逮捕とは、現に罪を行った人や、罪を行い終ったばかりの人について、逮捕状なしで逮捕できる手続きです(刑事訴訟法第212条、第213条)。

このような場合はその場で犯人の身柄を拘束する必要性が高く、誤認逮捕のおそれも少ないので、令状主義の例外として認められています。

また、現行犯に該当しなくても、現場近くで血の付いたナイフを持っている人や、血がついた衣服を着ている人、「犯人」と呼ばれて追いかけられている人のように、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる人は「準現行犯」として、現行犯逮捕されることがあります。

④私人逮捕

現行犯逮捕は、警察だけでなく一般の人もすることができます(刑事訴訟法第213条)。
一般人が被疑者を逮捕した場合のことを「私人逮捕」または「常人逮捕」といいます

一般の人が現行犯を逮捕した場合は、ただちにその身柄を警察官または検察官に引き渡さなければならないとされています(刑事訴訟法第214条)。

以上の4種類の逮捕について、それぞれの概要を表にまとめましたので、参考になさってください。

逮捕の種類適用される法律概 要
通常逮捕刑事訴訟法第199条逮捕状を用いた逮捕の手続きのことであり、令状主義の日本では原則的な逮捕形態。
緊急逮捕刑事訴訟法第210条

逮捕状を請求しなくても逮捕できる。

死刑、無期懲役、長期3年以上もしくは禁錮にあたる重罪を犯したと疑うに足りる十分な理由と、逮捕に緊急性を要する場合に行う逮捕形態。

※逮捕後は速やかに逮捕状を請求する必要がある。

現行犯逮捕

刑事訴訟法第212条

・213条

現に犯罪を行った犯人、犯罪を行い終わったばかりの犯人を逮捕状なく逮捕できる形態(例:警察官の目の前で犯人が被害者をナイフで刺すなど)。

また現行犯とはいえなくとも、現場近くで血のついたナイフなどを持っている者に対しても現行犯に準じる者として逮捕できる(準現行犯逮捕)。

私人逮捕

刑事訴訟法第212条

・213条・214条

一般人が現行犯を逮捕することであり、常人逮捕とも呼ばれる。

現行犯の場合は犯人の身柄を拘束する必要性が高く、かつ誤認逮捕の恐れも少ないため、一般人でも逮捕することが可能。

(3)警察が逮捕するときの前兆はない

緊急逮捕や現行犯逮捕の場合はもちろん、通常逮捕の場合でも、ほとんどのケースで被疑者にとって逮捕される前兆はありません。

基本的に警察は何の前触れもなく、突然に早朝に自宅などを訪れるケースなどが多いといえます。
そして、逮捕状を示されて、その場で突然、逮捕されます。

なお、証拠を集めるのに苦労する事件の場合、数ヶ月、数年間逮捕されないこともありますので、すぐに逮捕されないからといって安心することはできません。
その逆に、犯行のわずか数日後に逮捕されることもあります。

また、逮捕前に警察から「今から逮捕しに伺います」などと電話がかかってくることもありません。
逮捕前に電話をすると、警察が到着するまでの間に、被疑者に逃亡する機会を与えたり、犯行で使用した凶器を隠すなど、証拠隠滅を誘発したりする可能性があるからです。

なお、通常、逮捕が行われる時間帯としては、平日の朝が多くなっています。

朝方の時間帯は出勤前、通学前であることが多く、被疑者が自宅にいる可能性が高いことが主な理由として考えられます。

仮に警察が被疑者宅を訪れても被疑者が不在だった場合は、後日逮捕にくることもあります。

その他、同居する家族などがいる場合は「逮捕状が出されているため、自分から警察署に出頭してほしい」といった旨を伝えて帰ることもあります。

いずれにせよ、「警察は突然やって来るもの」と考えておく必要があります。

2、警察が逮捕に向けて動き出すきっかけとは?

警察がいつやって来るのか分からないものだとすれば、罪を犯した心当たりがある人は、警察がどのようなきっかけで逮捕に向けて動き出すのかを知っておくことが重要です。

一般的に、逮捕状が発付されるまでの流れは以下のようになります。

1. 捜査機関が刑事事件を認知する

      ↓

2. 捜査機関が捜査をする

      ↓

3. 捜査の結果、捜査機関が、被疑者が罪を犯したことを疑う

つまり、警察が刑事事件を認知するのが第一歩となります。そのきっかけとして、主に以下のようなことが挙げられます。

(1)被害届

被害届とは犯罪の被害に遭った事実を、被害者が警察などの捜査機関へ申告することをいいます。

被害届には、次のような事項が判明している範囲で記載されています。

  • 被害者の氏名、年齢、住所、職業
  • 被害に遭った日時
  • 被害に遭った場所
  • 被害品
  • 犯人の特徴(人相、服装、氏名、住居など)
  • 遺留品やその他参考になるべき情報

この被害届によって警察は誰がどのような罪を行ったのかを認知し、捜査を始めることになります。

(2)職務質問

職務質問とは、犯罪を起こした・起こす可能性があると疑われる者に対して、警察官が呼び止めて質問を行うことです。

職務質問は犯罪の予防を目的として行うものであり、身元照会や所持品検査も行うことがあるため、これによって警察が犯罪を認知し、捜査を始めるきっかけとなることも多くあります。

ちなみに職務質問に応じるかは任意ですので、断ることはできますが、実際には断ることは難しいのが実情でしょう。

(3)告訴・告発

告訴とは、犯罪の被害者が被害を受けた事実などを捜査機関に申告するとともに、犯人の処罰を求める意思表示を行うことをいいます。(被害者が死亡した場合は、その配偶者、親や子、兄弟姉妹も告訴することができます。)

一方の告発とは、被害者以外の第三者が、犯罪事実などを捜査機関に申告するとともに、犯人の処罰を求める意思表示を行うことです。

告訴、告発は同じ意味だと思われがちですが、基本的に被害者本人が犯人について刑事処罰を求めるのが告訴であり、被害者以外の者が犯人への刑事処罰を求めるのが告発です。

ちなみに告訴と被害届の違いは、告訴には「処罰を求める意思表示が含まれている」という点です。

警察が犯罪を認知するきっかけとしては、被害届も告訴・告発も同様です。
しかし、警察に被害届を提出しても、捜査が開始されるか否かは警察の判断に委ねられます。
これに対して告訴・告発を警察が受理すれば捜査を開始しなければならないことになっているので、告訴・告発の方が逮捕につながる可能性が高いといえます。

(4)マスコミ・メディアでの報道

マスコミは社会的影響力がある事件などに対しては、実際の現場となった周辺を中心に徹底的に聞き込み取材を行うことがあります。

そしてこの取材で入手した情報はテレビや新聞などで報道されますが、ときどき捜査機関すら知らなかった情報も含まれているため、これをきっかけにして犯人逮捕へ向けて大きく動き出す可能性があります。

(5)自首

自首とは犯罪が起きたこと、又は、犯罪が起きたことは分かっていても犯人が捜査機関に判明していない状況で、犯人が自ら警察に犯罪事実を申告することをいいます。

犯人が自首した場合は逃亡や罪証隠滅のおそれがなく、反省していると判断されることから逮捕されずに済むケースもありますが、事件の内容などによっては逮捕される可能性はあります。

自首して起訴され、刑事裁判で有罪とされる場合でも、自首していることを理由にその刑が減軽されることがあります。

3、警察に逮捕されたらどうなる?刑事事件の手続きの流れ

逮捕されてしまうと「家族との面会は?」「いつ釈放されるのは?」といったさまざまな疑問や不安が頭をよぎることでしょう。

ここでは、逮捕された後の流れをみていきましょう。

(1)検察官送致

逮捕後、警察による取り調べを受けても嫌疑がなくならない場合、48時間以内に身柄が事件とともに検察庁へと送られます。これが検察官送致(送検)と呼ばれる刑事手続きです。

ちなみに被疑者の携帯電話などは、逮捕されている間は警察に預かられ、使用できなくなります。そのため、連絡が取れないことを心配した家族が警察に相談するなどして、このタイミングで逮捕の事実を知るケースが多いです。

ただ、逮捕後72時間は原則的に被疑者の家族であっても面会は禁止されています。

(2)勾留

送検の手続きが終わると、検察官は捜査のためにさらに身柄拘束を続ける必要があると考える場合、裁判所に勾留請求をします。

勾留とは、逮捕に引き続いて被疑者の身柄を拘束する処分のことを指します。

勾留期間は10日+延長10日の最大20日間(逮捕による留置期間最大3日を入れると23日間)と定められています。

勾留が行なわれる場所は警察署内の留置場や拘置所です。

勾留請求をした後、被疑者は裁判所に連れて行かれ、裁判官から勾留質問を受け、勾留が決定もしくは却下されます(却下されると釈放となります。)。

ちなみに送検後から勾留請求までの時間は24時間と決められています。

勾留決定後は、原則として家族や友人との面会(接見)ができるようになります。

もっとも、接見禁止処分が付けられ、弁護士以外とは一切面会ができなくなる場合もあります。

(3)起訴・不起訴の決定

検察官は勾留によって被疑者の身柄を拘束している間に様々な調査や取調べを行います。

その結果、犯罪の事実を証明できる可能性が高く、被疑者を刑事罰で処罰するべきという考えに至った場合は起訴の決断を下します

反対に、犯罪の証拠が不十分であったり、犯罪が認められても処罰までする必要はないという考えに至った場合は不起訴とします。

ちなみに日本では起訴後の有罪率は99.9%ほどと言われており、非常に高くなっています。そのため、一旦起訴されると、非常に高い確率で有罪判決となるので、前科がつくことになります。

4、警察に逮捕されたときにやるべきこと

警察に逮捕されると、上記のように一定期間は身柄を拘束されてしまい、その後に起訴され有罪となり前科が付いてしまう可能性があります。

しかし、事案にもよりますが、逮捕後の対応次第で早期に釈放されたり、不起訴となって前科を回避できることもあります。

そのためには、以下のポイントに注意して適切に対応することが重要です。もし、今後逮捕される可能性があるとお考えの方は、必ず覚えておきましょう。

(1)正直に事実を話す

まず、取り調べでは正直に事実を話すようにしましょう。
被疑者に黙秘権もありますが、罪を犯したのが事実であれば、黙っているよりは正直に事実を話して捜査に協力した方が深く反省していると判断され、処分が軽くなる傾向にあります。

無実の罪で逮捕された場合には、自分が知っている事実を話すか、黙秘するかは要検討です。弁護士を呼んでよく相談しましょう。

(2)ただし取調官の言いなりにはなってはいけない

正直に事実を話すと言うことは、取調官の言いなりになって供述調書にサインするということではありません。取調官の言いなりになると、実際よりも悪質な内容の供述調書を取られてしまう可能性が高くなります。そうなると、必要以上に重い処分を受けることになりかねません。

取調官から「これもあなたがやったんだろう」と事実に反することを追求されても、違うことは「違います」と述べなければなりません。
事実を話しても受け入れてもらえない場合は、黙秘権を行使し、供述調書を作成されてもサインしないようにしましょう。

取り調べで黙っているのは辛いものですが、弁護士を呼び、「弁護士が来るまでは話しません」と対応するのもおすすめです。

(3)被害者と示談をする

早期釈放や不起訴処分を目指すために最も重要で効果的なことは、被害者と示談をすることです。被害者と和解して示談金を支払えば、犯罪による被害が回復され、被害者も許してくれたことを意味しますので、検察官も処罰の必要性は高くないと考えるようになるからです

示談をするためには、まずは被害者に対して真摯に謝罪し、被害者が受けた損害や被害感情に応じた示談金を提供する必要があります。
ただ、逮捕・勾留されてしまうと自分で示談交渉を行うことは難しいですし、家族の方も法的なポイントを抑えた交渉ができるとは限りません。
被害者も加害者と直接やり取りすることを嫌います。そのため、弁護士に示談交渉を依頼するのが一般的です。

5、逮捕されたらどう人生は変わる?逮捕後の人生

「万が一、逮捕されてしまったら、その後の人生はどうなってしまうのだろう?」

犯罪を行った心当たりがある人なら、これは非常に気になる問題でしょう。

まず、逮捕されただけではまだ有罪判決を受けたわけではなく、前科はまだつきません。
有罪判決が確定するまでは無罪と推定されていますので、法律上は何かが変わるというわけではありません。

しかし、逮捕・勾留されて長期間にわたって身柄を拘束されることによって、勤務先の会社から解雇されたり、学校から停学、退学処分を受けることはあり得ます

また、アパートなどの賃貸住宅にお住まいの方は、家賃の不払いが続くことで契約を解除される可能性も否定できません。

さらに、社会的に注目度が高い事件では、逮捕されただけで実名報道されてしまいます

それに、逮捕されるということは、その後に起訴される可能性が高いということです。
先ほどもご説明したとおり、日本の刑事裁判では有罪率が99%以上と言われていますので、起訴されてしまうと前科がつく確率が非常に高くなります。

つまり「逮捕=前科」ではないものの、そうなる可能性が高いといえます
そのため、万が一逮捕されたら、前項でご説明したポイントに沿って適切に対応するとともに、次項でご説明するように弁護士のサポートを受けることが重要になってきます。

6、警察に逮捕されたらすぐに弁護士に依頼すべき理由

警察に逮捕されてしまったら、今後の人生への悪影響を最小限に抑えるため、すぐに弁護士に依頼することをおすすめします。

逮捕された被疑者には、いつでも弁護士を呼ぶ権利が保障されています。
早期に弁護士に依頼することで、以下のメリットが受けられます。

(1)いつでも接見に来てもらえる

前述のように逮捕後72時間は被疑者の家族であっても原則面会が禁止されています。

そのため、家族は「なぜ逮捕されたのか?」「学校や会社にはどのように説明すればよいのか?」といった大きな不安を抱えます。

このようなときに力強い味方になってくれるのが弁護士です。

逮捕後の72時間以内でも、さらには接見禁止がついた期間中であっても、弁護士なら自由に接見を行うことができます。

状況に応じて、家族への連絡を伝えてもらえたり、今後の刑事手続きの流れを教えてもらったり、取調べでどのように対応していくべきかなどについてアドバイスしてもらえます。

逮捕でパニックになっている被疑者にとっては心の支えとなるでしょう。

(2)早期釈放・不起訴(前科の回避)が目指せる

勾留された状態で起訴(公判請求)されると通常は刑事裁判が終わるまで身体拘束が続くため、数ヶ月~数年単位で社会から隔離されてしまいます。

また起訴されて前科がつくと国家資格を必要とする職業や身元調査が厳密に行われる職業(金融機関など)に一定期間就けない可能性も高くなります。

このような不利な状況を1人で回避するのはきわめて困難ですが、刑事事件の知識に長けた弁護士の力を借りることで、早期釈放・不起訴獲得のチャンスはグッと上昇します。

早期釈放が叶わなくても、弁護士がサポートすることで、長く辛い身柄拘束の間も「ひとりではない」と感じて堪えていくことができるでしょう。
特に、冤罪で無罪主張を続けるときには、弁護士と二人三脚で闘っていくことで否認を貫くための精神的なサポートが期待できます。

また、万が一、捜査官から不当な取調べや有形力の行使(暴言や暴行など)があった場合は、弁護士から抗議をしてもらうことも可能です。

(3)被害者との示談交渉がしやすくなる

前記「4」(3)でもご説明したように、不起訴処分を獲得し、早期の事件解決を目指すには被害者との示談成立が重要なカギを握っています。

逮捕・勾留されて身動きが取れないときは、弁護士に依頼すれば被害者との示談交渉を代わりに行ってもらうことができます。

被害者の中には「犯人と接触したくない」という理由で示談交渉に応じない人も多いものですが、弁護士が間に入ればこのような事態も打開できる可能性が高くなります。

怒り心頭となっている被害者に対しても、弁護士が本人に成り代わって謝罪し、被害者にとっての示談のメリットや示談金の相場などを専門的な観点から冷静に説明することで、円満な示談成立も期待できます

その結果、被疑者としては不起訴処分や早期釈放が期待できるのです。

(4)仕事や学校への復帰がしやすくなる

早期の身柄解放、被害者の方との示談成立、不起訴獲得を実現することで、職場や学校への復帰もしやすくなります。

逮捕、勾留によって身体拘束が長期に及ぶと職場や学校にも連絡ができず、その事実を知られる可能性も高まります。こうなると懲戒解雇、退学処分といった処分が下されてしまうこともあるでしょう。
ひとたび解雇や退学の処分を受けると、仮に不起訴や無罪を勝ち取っても、その後の社会的地位の回復には大きな労力を要します。

しかし、刑事事件の知識に長けた弁護士がつくことで、早期の身柄解放を目指すことができ、逮捕前と変わらぬ状態で社会復帰できる可能性も高まります。

7、安心して任せられる弁護士を選ぶコツ

早期の身柄解放、不起訴獲得の確率をより高めるなら刑事事件に強い弁護士に依頼するようにしましょう。

以下に刑事事件に強い法律事務所・弁護士の特徴をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

  • 不起訴率が高い、不起訴件数が多い
  • 元検察官の弁護士が所属している
  • 刑事事件の解決実績や相談実績が豊富
  • 土日祝日も対応してくれる(刑事事件では平日・休日を問わず迅速に対応してもらえることが重要です)

刑事事件にかかる一般的な費用相場は、国選弁護士が条件付き(資力が50万円未満など)で無料な一方、私選弁護士では合計で約60万円~100万円となっています。

もっとも、自分やご家族で相性の良さそうな弁護士に依頼する、という観点からは、たとえ費用負担があっても刑事事件に強い弁護士に私選で依頼することをおすすめします。

安心して任せられる弁護士のコツや費用相場の詳細は以下の記事でさらに詳しくご案内しておりますので、ぜひ併せてご覧ください。

8、逮捕についてよくある疑問

逮捕に関しては、他にもさまざまな疑問があると思いますので、ここでまとめてお答えいたします。

(1)逮捕されると前科がつくの?

前記「5」でもご説明したように、逮捕されただけではまだ前科はつきません。
前科がつくのは起訴されて刑事裁判で有罪判決が言い渡され、確定したときです。

不起訴処分となれば、前科がつかずに刑事事件の手続きが終了しますので、逮捕されたら早期に弁護士に依頼して適切に対処することが重要なのです。

なお、不起訴処分で前科がつかなかった場合でも、逮捕されると「前歴」はつきます。
前歴とは、犯罪の捜査対象になったことがあるという旨の、警察の内部記録のことです。

前歴があっても社会生活にはまったく支障がありません。
しかし、万が一、再び罪を犯した場合には「犯罪傾向がある」などの理由で処分が重くなる可能性がありますので、注意が必要です。

(2)書類送検と逮捕の違いは?

書類送検とは、前記「3」(1)でもご説明しましたが、被疑者の身柄が拘束されず、書類のみで事件が警察から検察官へ送られる手続きのことをいいます。

身柄を拘束されたまま検察官へ送られる場合は、単に「送検(検察官送致)」といいます。

書類送検は、初めから逮捕されずに警察の取り調べを受けた後に行われることが多いですが、いったん警察に逮捕され、48時間以内に釈放された上で書類送検が行われるケースもあります。

つまり、書類送検は刑事事件の手続きの中で、逮捕されるかどうかのステップの次の段階の問題であり、場面の異なる概念です。

(3)未成年者も逮捕されるの?

未成年者でも、罪を行えば逮捕されることがあります。

ただし、逮捕されるのは14歳以上の未成年者に限られます。
なぜなら、刑法上、犯罪として刑罰の対象となるのは14歳以上の者による行為に限られているからです(同法第41条)。14歳未満の未成年が刑罰法令に触れる行為をした場合は「触法行為」となり、逮捕ではなく「補導」の対象となります。

なお、未成年者が逮捕された場合も、その後の取り調べなどの捜査の流れは前記「3」(1)、(2)でご説明した流れと同じです。

ただし、未成年者の事件の場合、検察官は捜査を遂げたら起訴するのではなく、全件、家庭裁判所へ送致することとされています。

そして、罪を犯した未成年者は刑事裁判ではなく少年審判を受けるのが原則です。
しかし、重大事件など一定の場合には、家庭裁判所の判断で再度検察官へ送致され、刑事裁判を受けるケースもあります。

まとめ

逮捕されても、有罪判決が確定するまでは無罪の推定を受けており、前科がつくわけではありません。

しかし、実際には逮捕は一定期間の身柄拘束に加えて、有罪・前科と密接に結びついている刑事手続きであるといえます。

そして、逮捕される可能性があるのは、何も凶悪犯人だけではありません。ちょっとした感情の高ぶりや不注意が原因で刑事事件に発展するような出来事を起こしてしまう可能性は誰にでもあります。

不用意な行動をしてしまうと、しばらくの間は「逮捕」の二文字が頭から離れないかもしれません。
逮捕されてしまうのではないかとお悩みだったり、ご家族が逮捕されてしまったという場合には、ぜひお早めに弁護士までご相談ください。
早期の身柄解放や不起訴獲得を実現するには、初期段階で弁護士に依頼することが非常に重要です。

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