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益金について知っておくべき4つのことをわかりやすく解説

2022年1月7日
益金について知っておくべき4つのことをわかりやすく解説

益金について詳しくご存知でしょうか?

  • 上司から「決算業務に向けて、法人税の計算方法を理解しておくように」といわれた。簿記で経理はある程度勉強したけれど、税金の計算方法についてはさっぱり…
  • 日本の法人税は高いとよく聞くけれど、実際はどういう風に計算をするの?

会社の経営者の方はもちろん、経理スタッフとして働く人にとって法人税の知識はとても重要です。
この記事では、法人税の計算を行うときに重要な「益金」の概念について解説します。
具体的には、次のような項目についてみていきましょう。

  • 益金とは何か?会計でいう収益と何が違うのか?
  • 法人税の基本的な計算方法
  • 実務ではどのように法人税の計算が行われているのか
  • 益金参入や益金不算入の各項目

法人税の計算は、専門家でもかなり理解が難しいといわれていますから、基本的な項目について具体例を見ながら理解するようにしましょう。
この記事が法人税の計算方法について勉強している人の役に立てば幸いです。

1、益金とは?

益金とは?

益金とは、簡単にいうと「法人税を計算するときの収益」のことです。
同様に、「法人税を計算するときの費用」のことを損金といいます。
会計上の利益を「収益-費用」で計算するように、法人税の計算も「益金-損金」で計算することになります。

なお、益金-損金で計算される金額のことを、所得と呼びます(法人税は会社の所得を課税標準として課せられる税金です)。

まとめると、以下のようになります。

  • 会社の利益を計算するとき:「利益=収益-費用」
  • 会社の所得を計算するとき:「所得=益金-損金」

(1)収益と益金の違い

会計上の利益を計算するための「利益」と、法人税法上の「益金」とはよく似てはいますが、微妙に意味が異なります。

利益を計算するときには「その会社はもうかっているのか?」という視点で計算を行いますが、税金の計算をする際には「他の人と比べて不公平がないか?」を基本的な視点で計算を行うためです。

(2)受取配当金の例

具体例として、あなたの会社が、よその会社から配当金を受け取った場合の処理を考えてみましょう。

会社の利益を考えるときには、「1年間でその会社が受け取ったすべてのお金と、支払ったすべてのお金」を差し引きするのが適切ですから、受取配当金は「収益」の金額に含めるのが適切です。
一方で、受取配当金は「すでに別の会社が法人税を取られた後の税引き後利益から支払っているもの」といえます。

例えば、A社がB社に対して配当金を出したとすると、A社にはすでに法人税が課せられていますから、B社が受け取る配当金に対しても法人税を課してしまうと、二重に税金が課せられてしまう状態になるのです。

(3)利益の計算と法人税の計算では目的が異なる=計算方法も異なる

二重に税金がとられるような状態は公平ではありませんから、B社の法人税を計算するときには、受取配当金は益金に含めない(つまりその受取配当金に対して法人税は課税しない)という扱いになるというわけです。
このように、会社の利益の計算と、法人税の計算とでは目的が異なりますから、計算方法にも微妙な違いがあります。

もっとも、上の受取配当金のような例外的なケースを除いて、収益と益金の計算方法は多くの点で共通していることも理解しておきましょう。

2、法人税の基本的な計算方法

法人税の基本的な計算方法

法人税の計算は、上でも見たように「益金-損金」で計算した「所得」に対して、法人税率をかけて計算します。

以下では、実務上どのようなかたちで法人税の計算が行われるのかについて、もう少しくわしく見ておきましょう。
※多くのケースでは会計ソフトを使って自動的に計算を行いますが、基本的な計算の仕組みを理解しておくことは大切です。

おおまかに法人税計算の流れを一覧にすると、以下のようになります。

  • まずは会計上の利益を計算する
  • 会計上の利益に益金・損金を加味することで所得を求める
  • 法人税の金額を決算書に反映させる
  • 法人税の申告書を完成させる

以下、順番に説明します。

(1)まずは会計上の利益を計算する

まずは、会社の会計上の利益を計算します。
具体的には、会社の税引き前の利益を計算できるところまで決算作業を進めていくことになります。
(当然ながら、法人税の金額はまだわかりませんから、当期利益の金額は空欄にしておきます)

(2)会計上の利益に益金・損金を加味することで所得を求める

税引き前の利益が計算できたら、次の法人税の計算上、益金や損金として処理する項目を税引き前の金額に加味していきます。

具体的には、次の4つの項目を税引き前利益の金額に加減算します。

  • 益金算入
  • 益金不算入
  • 損金算入
  • 損金不算入

どのような項目を計算に加味するか?は法律上のルールに従うのは当然ですが、会社の自由裁量で決めることができる部分もあります。

法律の範囲内で、会社が支払う法人税を少しでも小さくするにはどうしたらいいか?を考えるのが経理担当者の役割といえるでしょう。

(3)法人税の金額を決算書に反映させる

税引き前利益の金額に、益金と損金の金額を加味すると会社の所得が計算できます。

会社の所得に対して法人税の税率をかけ算すると、法人税の金額が算出できますので、この金額を会社の決算書に反映させましょう。

(4)法人税の申告書を完成させる

法人税の金額が確定したら、会社の決算書と法人税の申告書が完成できます。

決算書(損益計算書や貸借対照表)と法人税申告書の完成をもって、会社の決算業務が完了することになります。

3、益金参入・益金不算入に関するルール

益金参入・益金不算入に関するルール

上で見たように、法人税の課税標準となる所得の金額は、会計上の税引き前利益に対して、必要な計算(益金と損金の加味)を加えることによって計算されます。

この「会計上の税引き前利益に益金と損金を加味する計算」のことを、益金参入とか、損金算入とかいったように呼んでいます。

まとめると、以下のとおりです。

  • 益金算入 :利益の計算上は計算に含めなかった項目を、益金としてプラスする
  • 益金不算入:利益の計算上は計算に含めた項目を、益金としては含めない計算をする
  • 損金算入 :利益の計算上は計算に含めなかった項目を、損金としてプラスする
  • 損金不算入:利益の計算上は計算に含めた項目を、損金としては含めない計算をする

これらは、実務上は法人税別表の作成にともなって行う処理なので、「別表による加算」とか、「別表による減算」と呼ぶこともあります。

加算や減算というのは「決算書上の利益に加算(プラス)する、減算する(マイナスする)」という意味です。

(1)事業者側は加算項目を減らし、減算項目を増やしたい

このようにみると、加算の項目となるのは益金算入と損金不算入、減算の項目となるのは益金不算入と損金算入であることがお分かりいただけるかと思います。

決算書上の利益の金額からスタートして、「益金を算入すること」は数字がプラス(加算)されることを意味し、「益金を不算入とすること」は数字がマイナス(減算)されることを意味するというわけです。

  • 加算の項目:益金算入と損金不算入
  • 減算の項目:益金不算入と損金算入

法人税は所得が多ければ多いほど税額が大きくなりますから、事業者の立場としては当然ながら加算は少なく、減算は多くするようにしたいところです。

一方で、税務署の立場としては法人税を適切に徴収しなければなりませんから、「この会社は不当に加算項目を少なくしすぎていないか、減算項目を多くしすぎていないか」という視点でチェックをしてくることになります。

会社の経理担当者としては、「法律の範囲内で、自分の会社の所得を少しでも小さくできないか?」を考えることが基本的なスタンスとなります。

(2)益金参入としないといけない項目の一覧

法人税の計算上、益金参入としなくてはならない項目としては、以下のようなものがあります。

  • 売上の計上漏れ
  • 貸倒引当金の取り崩し
  • 退職給付引当金の取り崩し

これらは所得を増やすことになりますので、会社としては少しでもこれらに該当する金額を小さくしたいところです。

(3)益金不算入にできる項目の一覧

一方で、法人税の計算上、益金不算入とできる項目として、次のようなものがあります。

  • 受取配当金
  • 税金の還付
  • 資産の評価益

益金不算入は会社の立場としては所得を減らすことができる項目になりますので、見落としが無いように注意しておきましょう。

4、益金が問題となる具体的な事例

益金が問題となる具体的な事例

以下では、実務上で益金の参入や不算入が問題となる事の多い事例についてみておきましょう。

あなたが実際に仕事をしていくうえで直面する可能性のある項目をピックアップして紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

(1)売上計上漏れ

本来、会社が計上するべき売上額が決算書に計上されていない場合には、法人税の計算において益金参入として加算処理するケースがあります。
これについては、会社が得た収益はすべて決算書に記載して、利益の金額を計算するのが原則ですから、「売上計上漏れを益金参入として処理するのではなく、単純に決算書を修正したらよいのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、証券取引所に上場していない非上場企業では、決算書を外部に対して公開する義務がありませんから、何らかの理由によって決算書上の利益を少なく見せたいような場合に、「決算書上は売上を非計上とし、法人税の計算上は売上を計上する」という処理を行うケースがあるのです。

もちろん、金融機関などと取引がある場合には、上のような形で決算書が事実を反映していないことはマイナス評価となります。

一方で、税務署からどう見られるかを考える場合は、適切に法人税を納税していれば文句を言われることはありませんから、上のような処理をすることがあります。

経理は事実に基づいて処理するのが大原則ですが、実務では会社の内外からいろんな要求を受けることが考えられることを理解しておきましょう(もちろん、法律に反する処理方法はご法度ですが)。

(2)受取配当金

受取配当金は、決算書上は収益として処理しますが、法人税の計算上は益金不算入とすることができます。
理由については上でも見たとおり、配当金を出す側の会社に法人税が課税され、配当金を受け取る会社にも法人税が課税されたとしたら、法人税の二重課税となってしまうからです。

例えば、子会社から配当金を受け取ったようなケースで、親会社と子会社の両方で法人税を二重に支払うことになってしまいます。

受取配当金の加算はもっとも典型的な益金不算入の例ですから、意味や処理方法を理解しておくようにしましょう。

(3)税金の還付金

過去に納めた税金が何らかの理由によって還付された場合には、会計上は会社の収益として処理する必要があります(雑収入など)

一方で、法人税の計算上は税金の還付分は益金として処理する必要はありませんから、決算書上で収入として処理した還付金を、法人税別表において減算処理(益金不算入)することが認められます。

税金が還付される具体的なケースとしては、次のようなものが考えられます。

  • 前の事業年度に納税した法人税の繰り戻し還付
  • 輸出事業者などが消費税の還付を受けるケース
  • 中間納付した法人税の還付

なお、上で見た「還付金」と「還付加算金」とは別物であることに注意が必要です。

還付金は過去に支払った税金が戻ってきているだけ(つまり本税の還付)ですから、益金として処理する必要はありません。
一方で、還付加算金はいわば国から受け取る受取利息のようなものですから、益金として処理しないといけないのです。

通常、還付加算金は雑収入として経理処理していると思いますので、法人税別表でこれらの項目も誤って減算処理(益金不算入)としないように注意しておきましょう。

まとめ

今回は、法人税の計算を行う上で重要な「益金」の意味について説明いたしました。

本文でも見ましたが、益金の加算項目が増えることは所得の増加(つまり法人税負担額の増加)につながりますから、企業の立場としては「法律の範囲内で、いかに益金を減らすか」という視点をもつことが大切です。

税理士であれば、法人税の計算方法についてくわしく教えてくれると思いますので、ぜひ相談してみてください。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

ベリーベスト 法律事務所弁護士編集部
ベリーべスト法律事務所に所属し、企業法務分野に注力している弁護士です。ベリーベスト法律事務所は、弁護士、税理士、弁理士、司法書士、社会保険労務士、中国弁護士(律師)、それぞれの専門分野を活かし、クオリティーの高いリーガルサービスの提供を全国に提供している専門家の集団。中国、ミャンマーをはじめとする海外拠点、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも特徴のひとつ。依頼者様の抱える問題に応じて編成した専門家チームが、「お客様の最高のパートナーでありたい。」という理念を胸に、所員一丸となってひたむきにお客様の問題解決に取り組んでいる。
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