
「いくら返済しても借金がなかなか減らない…」
「借金の返済で限界が来そうだ」
「どうすれば早く借金を返済できるのか」
このような借金の悩みを抱えていませんか?
借金がなかなか減らないという場合、そのまま頑張り続けても状況を改善できる見込みは薄いでしょう。
抱えてしまった借金を早期に返済するためには、次の5つのことを知っておく必要があります。
- 利息の負担の重さ
- 現状を把握することの重要性
- 返済計画の上手な立て方
- 家計の収支を改善する方法
- 借金の返済を減免できる方法
これらの知識を得たうえで、早期に借金を完済するんだという意識改革をし、節約や収入アップにも取り組むことが大切です。
今回は、以上の5点について詳しく解説していきます。なかなか減らない借金の返済にお悩みの方のご参考になれば幸いです。
目次
1、いくら返済しても借金がなかなか減らない理由
借金がなかなか減らないとお悩みの方も、別に滞納を続けているわけではありません。
ほとんどの方は、ギリギリ生活できる程度のお金を残して返済に充てていることでしょう。
そんな返済を何年か続けても借金があまり減っていないとなると、納得できない気持ちになるのも無理はありません。
しかし、いくら返済しても借金がなかなか減らないことには、以下の理由があります。
(1)借金には利息がかかる
消費者金融などの貸金業者からの借金には、利息が付きものです。
利息とは、お金を借りた期間に応じて元金に上乗せして支払うお金のことです。
貸金業者は借り手が支払う利息によって利益を上げています。
そのため、お金を借りた以上は必ず利息を支払う必要があります。
借金に利息がかかるということは知っていても、実際にどれくらいの負担がかかるのかを借入れの際に正確に意識する人は少ないものです。
そこで、借金によって具体的にどれくらいの利息が発生するのかを見てみましょう。
(2)利息はどれくらい発生しているか
貸金業者に支払う利息は、「利息制限法」という法律によって以下のように上限が定められています。
- 元金金利(年利)の上限10万円未満20%
- 10万円以上100万円未満18%
- 100万円以上15%
消費者金融ではほとんどの場合、この上限に近い金利で貸し出されています。
たとえばA社で100万円の借金をしている場合、金利の上限は1年に15%です。
100万円を年利15%で借りた場合、利息は次のように計算されます。
100万円×15%=150,000円
分割返済の場合、初月に支払う利息は、
100万円×15%÷365日×30日≒12,328円
毎月3万円の支払いをしていく場合、その3万円のうち12,328円もが利息に回されることになります。
とすると、100万円の元金は、3万円-12,328円=17,672円 しか減っていない、ということなのです。
次月の利息は、(100万円-17,672円)×15%÷365日×30日≒12,110円
再び3万円のうち、12,110円もが利息に回されることになります。
もしも「利息」というものがなく、100万円の元金を3万円ずつ返していったら、約33回の支払いで終わります。
しかし、利息があることにより、約43回となり、10回以上もの返済数が増えるのです。
さらに、1年後に残高を一括返済した場合は支払う利息総額が15万円で済みますが、完済日が先になればなるほど膨れ上がり、43回の分割で支払った際の利息総額はおよそ倍の約30万円に上ります。
つまり、この利息こそが「返しても返しても借金が減らない」状況を引き起こしている正体だったのです。
(3)利息を払いすぎているケースもある
2010年に改正貸金業法が成功された後、ヤミ金業者は別として正規の貸金業者が利息制限法の上限金利を超える金利でお金を貸すことはなくなりました。
しかし、それ以前は多くの貸金業者が違法な高金利で貸付を行っていました。
利息制限法の上限金利を超える部分は違法であり、契約どおりの金利で返済をしていた方は利息を払いすぎていることになります。
払いすぎた利息のことを「過払い金」といい、過払い金は取り戻すことができます。
2010年よりも前から返済を続けている方は、過払い金の返還を請求できる可能性があります。
気になる方は「過払い金を請求できるのはどんな場合?過払い金請求の基本(2020年版)」も併せてご覧ください。
2、返済すべき借金の現状を把握することの重要性
次に重要なことは、ご自身の借金の現状を把握することです。
借金が多額でなかなか返済ができない人は、元金が毎月どれくらい減っているのかがわかっていないだけでなく、そもそも自分が毎月いくら返済しているのかも把握していないことが多いです。
おそらく借金がトータルでいくらあるのかさえわからなくなっているのではないでしょうか。
しかし、これでは返済計画も立てることができず、いつまで返済しても借金が減らないということになりがちです。
早期の返済を目指すなら、以下のことを正確に把握しましょう。
- 借金が総額でいくらあるか
- 毎月合計でいくら返済しているか
- 毎月の返済額のうち元金・利息はそれぞれいくらか
- 毎月の収入から最大でいくらまで返済に充当できるか
借金のことを考えると憂鬱になるかもしれませんが、まずは現状を把握しなければ状況を改善することはできません。
3、借金を返済して行くには返済計画を立てること
借金を完済するためには、発生する利息も含めた「返済計画」を立てることが何よりも大切です。
(1)返済計画とは
返済計画とは、すべての借金をどのくらいの期間で返済するのか、そのために毎月いくら返済していくのかという計画のことです。
借金の残高を確実に減らしていくためには、毎月の利息額以上のお金を返済し続けることが必須条件です。
そのうえで、元金をどれくらいの期間で返済するのかを考えなければなりません。
まずは目安として、3年以内の完済を目指した計画を立ててみるのが良いでしょう。
(2)返済計画の立て方
具体的な返済計画は、次の3つのステップを踏むと立てやすくなります。
①借金の現状を把握する
上記「2」でご説明しましたが、まずは借金の現状を把握することが必要です。
今どこにいくらの借金があるのか、それぞれの返済期限がいつなのかをきちんと把握しましょう。
後ほど計算で必要になりますので、各返済先の金利が何%なのかもしっかりメモしておいてください。
②3年間で完済するには毎月いくらの返済が必要か計算
現在の借金の元金額と金利が判明したら、3年間で完済するには毎月いくらの返済が必要かを計算します。
ネット上には数字を入力するだけで返済シミュレーションができる計算サイトも出ています。
これらを利用し、毎月返済すべき額を把握しましょう。
たとえば100万円(年利15%)を3年間(36ヶ月)で返済する場合の月額返済額は、34,665円です。
③1ヶ月の収支から②で出した返済額の返済が可能かをみる
毎月の収入をすべて返済に回すというわけにもいきませんので、最終的に1ヶ月あたりの返済可能額を導き出すためには、家計簿を作成してみるのが1番の近道です。
収入に対して、家賃や食費・水道光熱費など生活するためのお金がいくらかかるのかを計算し、その支出の合計を収入から引いてみましょう。
たとえば1ヶ月の収入が20万円、支出が16万円なら、20-16=4万円が月々の返済可能額になります。
このように、自分の生活における返済可能額を算出し、②で出された月額返済額を上回っているかを確認してください。
(3)返済額は収入の3分の1にとどめよう
返済計画を立てるときに、家計を切り詰めて毎月の返済額を大きくしようとする方がいます。
もちろん、節約して返済に充てるのは大切ですが、無理をするのは禁物です。
借金を完済するまでにはある程度の期間がかかりますし、その間も生活しなければなりません。
あまりにも生活費を切り詰めすぎると途中で破たんしてしまうおそれもあります。
目安としては、返済額を収入の3分の1程度にとどめておくことをおすすめします。
消費者金融やクレジットカードなどの貸金業者からの借入れには「総量規制」というものがあり、年収の3分の1を超える借入れは原則として禁止されています。
このような総量規制が設けられているのは、年収の3分の1を超える借入れをしてしまうと、返済が難しくなると考えられているからです。
この考え方を返済に当てはめてると、返済額を収入の3分の1にとどめておいた方がよいということになります。
つまり、月収が30万円の方であれば、毎月10万円を超える金額を返済していくのは厳しいでしょう。
ただし、これはあくまでも目安としてお考えください。
実際には家族構成や生活状況に応じて具体的な考慮が必要になるはずです。
例えば、子どもの人数が多くて生活費がかかる方や、住宅ローンの返済額が大きい方などは、借金の返済額はもっと少なくすべきでしょう。
逆に、実家暮らしで生活費があまりかからない方であれば、もっと多く返済できることもあると考えられます。
(4)概ね3年で返済がむずしい場合は債務整理を
毎月返済に充てられる金額が少ない場合は、返済期間を長く設定せざるを得ません。
しかし、できる限り3年程度で完済できる計画にすることをおすすめします。
なぜなら、完済するまでの期間が長くなればなるほど利息がかさみ、トータル的な返済額が高額になってしまうからです。
言い換えれば、「いくら返済しても借金がなかなか減らない」という状態が今後も長期間続くことになってしまいます。
そのため、原則として3年、長くても5年で返済が難しい場合は債務整理を検討した方がよいと考えられます。
4、借金を早く返済するためにすべきこと2つ
毎月の返済額をいくらにするかを計算しても、返済に回せるお金が少ない場合もあるでしょう。
借金をできるだけ早く完済するには、収入を増やすか支出を減らすかがポイントとなります。
(1)収入を増やす
収入を増やすための方法として、以下のようなことが考えられます。
- 副業をする
- 本業の給料を増やす
- 不要品を売却する
いまはインターネットを使った副業もやりやすくなっていますので、自分にできそうな副業を探してみるのもよいでしょう。
ただし、職場によっては副業が禁止されていることもありますので確認が必要です。
残業を増やしたり、転職するなどによって増収を図ることもできます。
ただ、副業をするにしても、本業の給料を増やすにしても、働きすぎて体調を崩すことがないように、体調管理はしっかりしましょう。
また、それほど大きな金額にならないかもしれませんが、家に中に眠っている不用品を売却することで、借金の返済にあてることができます。
(2)支出を減らす
収入を増やすことは簡単ではありませんが、支出を減らすことはすぐに実践できます。
支出を抑える方法には以下のようなものがあります。
- 家計に優先順位をつけて低いもの(遊興費や被服費など)から削っていく
- コンビニへ行かない
- 一番安い携帯料金プランにする
- 外食をしないようにする
- 実家で暮らす
他にもさまざまな節約方法がありますが、節約も無理をすると長く続きません。
まずは以上に挙げた方法を中心に、できることから実行してみましょう。
5、借金の返済を減免できる債務整理とは
トータルの借金額が多く、借金を返済していくのが困難な場合は債務整理をするのがおすすめです。
借金によって生活費が圧迫されると、自分だけの問題ではすまなくなることもあります。
借金で生活が回らなくなったら、早めに債務整理を検討するようにしましょう。
債務整理には以下の4つの方法があります。
(1)任意整理
債権者である金融会社と交渉して、借金の減額や利息の引きなおしにより返済を楽にする方法です。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
関連記事また、交渉中に過去に利息を支払い過ぎていることがわかった場合には、過払い金として返還請求することができます。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
関連記事(2)特定調停
裁判所が仲介して債権者と返済条件を軽減する合意を行なう手続きで、裁判所を仲介役とする任意整理ともいえます。
関連記事(3)個人再生(民事再生)
借金の返済が困難であることを裁判所に認定してもらい、借金を減額して分割返済していく手続きです。
分割返済の期間は3年~5年ほどで、借金額が5000万円以下であれば、最大10分の1にまで減額することができます。住宅などの財産を処分する必要がないのがメリットです。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
関連記事(4)自己破産
裁判所で借金を返済できなくなった人の支払い義務を免除してもらう手続きです。
財産がある場合には処分する必要があります。
借金をゼロにすることができるので、借金返済から開放されるのが最大のメリットです。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
関連記事6、借金の返済について弁護士に相談・依頼するときの注意点
債務整理の手続きは自分で行うことも可能ですが、専門知識がない場合は限界があるため、弁護士に依頼したほうがよりスムーズで安心でしょう。
ここでは、弁護士に借金の返済について相談・依頼する際のメリットや注意点についてご説明します。
(1)弁護士に相談・依頼するメリット
弁護士に依頼した場合のメリットとしては、次のようなものがあります。
- 代理人として交渉することで貸金業者からの取り立てが止まる
- 面倒な利息計算や書類の手続きをすべて任せることができる
- 平日に行われる裁判でも代わりに行って交渉してもらえる
債務整理にかかる時間や手間、精神的な負担が弁護士に依頼することで大幅に軽減されます。
かつ、正確な手続きで借金の減免が期待できるので、弁護士に依頼することには大きなメリットがあるといえるでしょう。
(2)弁護士費用の相場
債務整理を弁護士に依頼するデメリットがあるとすれば、費用がかかることです。
借金の相談を弁護士に行い、債務整理や過払い金返還請求の手続きを依頼することになった場合、必要な費用の内訳は次のようになります。
- 着手金:請求や債務整理の成否に関わらず必要なお金です。
- 報酬金:問題の解決度合いに応じて支払う成功報酬です。
- 手数料:事務的な手続きにかかる必要経費です。
このうち着手金・報酬金の金額は弁護士事務所によって様々ですが、着手金は、過払い金返還請求や任意整理では4~5万円、その他の債務整理では20~30万円程度です。
また、報酬金は任意整理では減額できた金額の10%程度になり、その他の債務整理では20~30万円程度です。
以上が平均的な内容になりますので、ひとつの目安にしてください。
なお、法律事務所の中には、分割払いに対応してくれているところも多いものです。
弁護士に依頼したい場合は、分割払いいが可能かどうかも含めて相談してみましょう。
また、今は初回相談を無料で受け付けている法律事務所もたくさんあります。
まずは無料相談を活用して、1度弁護士に悩みを打ち明けてみてください。
(3)借金返済に強い弁護士の探し方
借金問題を弁護士に相談・依頼するには、借金問題に強い弁護士を選ぶことが重要です。
弁護士にも得意分野・不得意分野があるため、借金問題をあまり取り扱っていない弁護士に相談・依頼すると要領を得なかったり、納得できる結果が得られないこともあります。
借金問題に強い弁護士を見分けるには、以下のポイントに注目しましょう。
- 債務整理の解決実績が豊富
- 借金問題に関する知見が豊富
- わかりやすく親身なアドバイスをしてくれる
- 一方的に話を進めない
- 費用がリーズナブル
- 話しやすく相性が良い
できれば複数の法律事務所で無料相談を利用して以上の点を比較し、「話しやすい」「フィーリングが合う」と感じる弁護士に依頼することをおすすめします。
7、借金を踏み倒すことの危険性
借金を返済することができない状況になっても、借金を踏み倒してはいけません。その理由は以下の3つです。
(1)社会的な制裁を受ける
借金の踏み倒しは犯罪ではなく、逮捕されるということもありません。
その代わり、いろいろな社会的な制裁を受けます。
借金の踏み倒しをする場合は夜逃げという手段を使う人もいますが、夜逃げした場合、住民票を移すと逃げた先の居所が分かってしまうため、住民票を移す訳にもいかず、住民票上の住所を失うことになるのです。
この状態で長期間にわたって社会生活を送っていくのは、とても難しいものがあります。
一時的に借金の踏み倒しに成功しても、元の普通の生活に戻ることは困難です。
(2)お金の面での信用を失う
借金の踏み倒しをすると、二度とお金を借りることができなくなることがあります。
15年以上経過すればお金を借れるようになることもありますが、可能性は低いでしょう。
(3)これまで築き上げた人間関係を壊す
借金の踏み倒しをすると、勤務先や実家などへ督促の連絡があり、これまで築き上げた人間関係は崩壊してしまいます。
お金の面での信用だけでなく、人としての信用まで失われてしまうので、その代償がいかに大きいかがわかるでしょう。
まとめ
いくら返済しても借金がなかなか減らないという方は、せっかく支払ったお金の大部分が利息に充てられてしまっています。
この状態を長く続ければ続けるほど支払う利息が多くなるため、返済が苦しくなっていきます。
借金を完済するのは楽なことではありませんが、毎月、少しでも元金を多く返済し、早期に支払い終えることがポイントとなります。
1人で解決するのが難しいと思われたときは、お早めに弁護士に相談してみましょう。