
「規定額以上の金額をいくら返済しても借金がなかなか減らない…」
「どうすれば借金を完済できるのだろうか」
このような借金の悩みを抱えていませんか?
借金がなかなか減らないという場合、そのまま頑張り続けても状況を改善できる見込みは薄いでしょう。
抱えてしまった借金を早期に返済するためには、コツがあります。
そのコツを知ることで、借金を解決できる可能性は大きく高まります。
そこで今回は、
- 借金の上手な返済方法
- 借金の返済が苦しいときにやってはいけないこと
- 借金の返済ができないときの正しい対処法
について、借金問題に精通したベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
この記事が、借金の返済に苦しんでいる方の手助けとなれば幸いです。
借金が返せない場合は以下の関連記事もご覧ください。
関連記事
目次
1、300万円の借金の返済シミュレーション
まずは、借金300万円を抱えている人がそのまま返済を頑張り続けると仮定して、いつ完済できるのか、どのくらいの利息を支払わなければならないのかを確認しておきましょう。
毎月の返済額多ければ多いほど早く返済できるのは当然ですが、人それぞれの事情によって、毎月支払える金額は異なります。
そこで、毎月6万円ずつ返済した場合、8万円ずつ返済した場合、10万円ずつ返済した場合に分けてシミュレーションしてみると、次の表のようになります。
毎月の返済額 | 返済回数 | かかる利息の合計 | 返済総額 |
6万円 | 79回 | 173万7,295円 | 473万7,295円 |
8万円 | 51回 | 107万3,398円 | 407万3,398円 |
10万円 | 38回 | 78万3,534円 | 378万3,534円 |
※金利年15%で計算した場合
こうして見ると、毎月の返済額が少なければ長期間の返済が必要となり、返済総額も大幅に増えてしまうことがおわかりいただけるのではないでしょうか。
毎月6万円を7年近く返済し続けても、借りた額より173万円も余分に支払わなければなりません。
この数字を見て、驚かれる方も多いことでしょう。
以下の関連記事でも、さまざまなパターンの返済シミュレーションを掲載しています。ぜひ、併せてご覧ください。
関連記事2、借金の上手な返済方法はこれだ!
上記の返済シミュレーションを見ると、誰しも「返済総額をできるだけ少なくしたい」、「返済期間もできるだけ短くしたい」と思われることでしょう。
また、借金が膨らんでいる人は何社もの消費者金融等から借金をしているケースも多いので、返済の手間も馬鹿にならないと思います。
そこで、ここではこれらの悩みを解消し、上手に借金を返済する方法をご紹介します。
(1)1箇所からの多額の借金の返済方法
まずは、1箇所(1社)から多額の借金をしているケースで上手に返済する方法をご説明します。
①返済総額が低くなる方法
返済総額を低く抑えるためには、まず初めに返済方法に注意する必要があります。
特に、「リボ払い」を利用している人は要注意です。
リボ払いとは、簡単にいうと借入額にかかわらず返済額を毎月一定に設定できる返済方法のことです。
リボ払いには「残高スライド方式」と「定額方式」があります。
残高スライド方式では、借入額が一定の金額を超えると、毎月の返済額も引き上げられます。
例えば、借入額が10万円までは毎月の返済額が5,000円で、借入額が30万円を超えると毎月の返済額が1万円にアップするという仕組みです。
定額方式では、借入額が増えても毎月の返済額は一定のままです。
リボ払いは毎月の返済額を低く抑えられるので人気の返済方法ですが、返済金の相当部分が利息の支払いで消えてしまいます。
そのため、返済期間が長期化し、返済総額が跳ね上がってしまうというデメリットがあります。
毎月の返済額が多少は大きくなっても、リボ払いよりは通常の分割返済方式を選択した方が、返済総額は少なくなります。
関連記事また、金利が低い業者に借り換えることによっても、支払利息が減るので返済総額を低く抑えることができます。消費者金融から借りている方は、より金利の低い業者を探すか、銀行や政府系の金融機関での借り換えを検討するとよいでしょう。
なお、2007年以前から返済していた方の場合は、法定金利を超えて利息を支払っている可能性があります。
その場合は、払いすぎた利息を元金に充当することで今後の返済総額を減らすことができます。
元金を超えて利息を支払いすぎている場合は、「過払い金」として返還を求めることが可能です。利息の払いすぎや過払い金返還請求について詳しくは、以下の関連記事をご参照ください。
関連記事②返済期間が早まる方法
上記のいずれかの方法で返済総額を低く抑えることによって返済期間も早まりますが、さらに返済期間を早めるには、できる限り多くの金額を返済していくことです。
ボーナス払いを併用したり、手持ちのお金に余裕があるときにはできる限り繰り上げ返済するとよいでしょう。
多くの金額を早めに返済しておくと、その分だけ今後の利息も減るので、返済総額も減少することになります。
(2)複数業者からの多重債務の返済方法
複数の貸金業者から借金をして多重債務に陥っている方が上手に返済していくには、おまとめローンを利用して借金を一本化するのがおすすめです。
金利の低い業者のおまとめローンを利用すれば、利息が減るので返済総額も低く抑えることができます。
また、今までは返済日が毎月何度もやってきて、残高の確認も複雑だったことと思いますが、借金を一本化すれば返済日は月に1回となり、残高の把握も容易になります。
ただし、おまとめローンでは返済が長期化することが多く、適用金利が下がったとしても最終的に支払利息はかえって増えてしまうこともあります。
利用する際は返済計画をしっかりと立てて、ボーナス払いや繰り上げ返済も活用しながら、できる限り返済を早めていくことを心がけましょう。
関連記事3、毎月の返済が苦しい!借金の返済ができない場合の対処法
返済方法を工夫するだけでは間に合わないほど多額の借金を抱えている場合は、本格的な対処法が必要となります。
ただし、対処法を間違えると、借金問題をさらに悪化させるなどして解決が難しくなってしまいます。
そこで、毎月の返済が苦しくてもやってはいけない「間違った対処法」を先にご紹介し、その後で「正しい対処法」をご説明します。
(1)間違った対処法
借金の返済が苦しくなると、以下の対処法をとってしまう人も多くいます。
しかし、これらの方法は借金問題の解決にはつながる可能性が低く、デメリットも大きいので避けるべきです。
① 踏み倒す
債権者から借金の返済を催促されても、「無視し続ければ、いずれ債権者も諦めるだろう」「時効が完成するまで身を隠そう」などと考えて、借金を踏み倒そうとする人もいます。
しかし、債権者は借金を回収するために裁判や強制執行(差押え)といった法的手段を粛々と進めるものです。
身を隠そうとしても、債権者の調査によって高確率で居場所がバレてしまいます。
したがって、実際に借金を踏み倒すのは相当に難しいということを知っておくべきです。
また、失敗した場合には遅延損害金によって借金が大幅に膨れ上がってしまうなど、大きなデメリットもあるので、踏み倒しはおすすめできません。
関連記事② 他から借りてさらに借金を増やす
給料などの収入だけでは返済が間に合わなくなると、他社から借りたお金で他社に返済するという「自転車操業」に陥ってしまう人が非常に多いです。
しかし、このような返済方法では借金が減ることは一切なく、利息が利息を呼んで、あっという間に借金が膨れ上がってしまいます。
借金が膨れ上がった後では解決方法の選択肢も絞られてしまいますので、自転車操業に陥る前に正しい対処法をとることが大切です。
関連記事③ 親族や友人からお金を無心する
借金の返済資金を親族から友人から借りたり、援助を頼んだりすることも、基本的にはやめておいた方がよいでしょう。一時的に借金をしのいだとしても、根本的に解決できなければすぐにまた返済が苦しくなってしまいます。
親族や友人から借りたお金を返せなかったり、何度も援助を頼むようになると、人間関係も壊れてしまいます。
親族や友人に頼むのはすべての借金を一括で返済できる場合に限り、そうでない場合は避けた方が無難といえます。
(2)正しい対処法
借金の返済が苦しくなったときの正しい対処法には、大きく分けて次の3種類があります。
① 過払い金返還請求
まず1つめは、過払い金返還請求です。
前記「2」(1)①でご説明したように、2007年以前から返済している場合は過払い金返還請求ができる可能性があります。
その場合には、以下の債務整理を行うことなく借金がなくなり、その上にお金が戻ってきます。
過払い金が発生している場合には、取り戻さなければもったいない限りですので、まずは過払い金があるかどうかを確認してみましょう。
下記の関連記事で、過払い金の有無をすぐに確認できる方法を紹介していますので、ぜひご覧ください。
関連記事② 債権者と交渉〜任意整理
過払い金が発生していない場合や、過払い金を取り戻してもなお多額の借金が残る場合には、債務整理が必要となります。
債務整理にはいくつかの種類がありますが、多くの人にまず検討していただきたいのが「任意整理」です。
任意整理とは、裁判所を介することなく、債権者と直接交渉することによって今後の返済額や返済方法を取り決め直す手続きです。
将来利息(今後発生する利息)をカットすることができますので、借り換えや借金の一本化よりも返済総額を減らすことができます。
交渉によって返済期間を延長すれば毎月の返済額も減らせますが、毎月ある程度の金額を返済できる場合は、短期間で完済することも可能になります。
関連記事③ 法的手段〜個人再生・自己破産
任意整理は、あくまでも債権者と「任意」に交渉するものですので、必ずしも返済可能な合意ができるわけではありません。
任意整理によっても完済が難しい場合は、法的手段を使って借金の減額が免除を得る必要があります。
その法的手段としては、「個人再生」と「自己破産」があります。
個人再生は、裁判所の手続きを利用して借金を大幅に減額する手続きです。
減額できる割合は借金総額に応じて異なりますが、原則的に5分の1、最大で10分の1にまで減額することが可能です。その金額を3年~5年で完済すれば、残りの借金は免除され、借金問題から解放されます。
自己破産とは、裁判所の手続きを利用してすべての借金の返済義務を免除してもらう手続きです。
裁判所で免責が許可されると、その時点ですぐに借金から解放されます。
4、借金の返済が苦しいときは弁護士に相談を
借金の返済が苦しいときの正しい対処法をご紹介しましたが、その中でもどの方法を選択するかは重要な問題です。
状況に適した方法を選択しなければ、結局は借金問題を解決できなかったり、解決できたとしても時間や労力、費用が余分にかかってしまう可能性があります。
そのため、借金の返済が苦しいときは、まず弁護士に相談することをおすすめします。
借金問題に詳しい弁護士に相談することで、あなたの状況に合った最適な解決方法を提案してもらうことができます。また、債務整理を実行することになった場合は、弁護士に依頼すれば複雑な手続きはすべて弁護士に任せることができます。
弁護士に相談することで、踏み倒しや自転車操業といった回り道を回避し、借金解決への筋道が見えてくるはずです。
無理な解決方法を試す前に、弁護士に相談してみましょう。
まとめ
いくら返済しても借金がなかなか減らないという方は、せっかく支払ったお金の大部分が利息に充てられてしまっています。
この状態を長く続ければ続けるほど支払う利息が多くなるため、返済が苦しくなっていきます。
借金を返済するコツは、利息を抑えて返済総額を減らしつつ、毎月できる限り多くの元金を返済し、返済期間も短くすることです。1人で解決するのが難しいと思われたときは、お早めに弁護士に相談してみましょう。