
シングルマザー(ファザー)は、夫婦で子育てをすることに比べ、経済的には厳しいものです。
とはいえ、親の状況によって子どもの成長に支障が出てしまうことは、国として放っておける問題ではありません。
そのため国または自治体では、、シングルマザー(ファザー)を対象とした各種支援制度を用意しています。
そこで、この記事では、
- シングルマザー(ファザー)が利用することのできる支援制度
- シングルマザー(ファザー)支援制度の概要・条件・注意点
などについて解説していきます。
「子どもにできる限りのことをしてあげたい」という気持ちは、親の共通のものでしょう。
自分が知らなかった支援制度もあるかもしれませんので、1度チェックしてみてはいかがでしょうか。
目次
1、シングルマザー(ひとり親家庭)の暮らしを支援する仕組みは大きく3つ
ひとり親家庭へのサポートは、現代社会の大きな課題のひとつといえます。
その課題に応えるべく、国や地方自治体は、さまざまな支援の仕組みを用意しています。
これらの仕組みは、
- 一定のお金を給付してくれる制度
- 一定の場合にお金を(低利率・無利息で)借りられる制度
- 一定の負担(税金など)が減免される制度
に大別することができます。
2、生活に必要な費用などを給付してくれる支援制度
シングルマザー(ひとり親)世帯が受け取ることのできる主な給付金制度としては、次のようなものがあります。
- 生活保護
- 児童手当
- 児童扶養手当
- 遺族年金
- 医療助成
- 就業支援のための助成金
(1)生活保護
シングルマザー・ファザー(いわゆるひとり親家庭)では、子の面倒をみなければならないことを理由にフルタイムで働けないといった事情から生活が苦しい(所得水準が低い)場合も少なくありません。
働きたいけど働けない(十分な所得を得られない)という場合には、「生活保護」が最もよく知られた支援手段だろうと思います。
近年では、生活保護の不正受給が社会的な話題になることが多いため、「こんなケースでは受給できない」といった類いの話題も少なくありません。
しかし、生活保護の受給条件は、基本的には「働く意思はあるが、十分な収入を得られない」という基準が原則です。
生活保護を受けたいけど受けられないというときには、「法テラス」なども積極的に支援してくれるので相談してみるとよいでしょう。
(2)児童手当
児童手当は、子のいる家庭に対して国から給付される手当です。
①児童手当の支給対象者
国内に住所があり中学校卒業前の子どもを養育している人が児童手当の受給対象となります。
②児童手当の支給額
児童手当の支給月額は、子の年齢に応じて次のように設定されています。
- 0歳〜3歳未満:一律15000円
- 3歳〜12歳(小学校卒業まで)第一子・第二子:1万円 第三子以降:15000円
- 中学生:一律1万円
なお、養育者の所得が以下の金額を超えるときには、支給金額は子1人につき一律5000円となります。
- 扶養家族0人:622万円(833万3000円)
- 扶養家族1人:660万円(875万5000円)
- 扶養家族2人:698万円(917万8000円
- 扶養家族3人:736万円(960万円)
- 扶養家族4人:714万円(1002万1000円)
※( )の金額は、目安となる年収額
※扶養家族5人以上は、ひとり増えるごとに所得額に38万円を加算した額が基準
③児童手当の支給時期
児童手当の支給は、6月(2月〜5月分)、10月(6月〜9月分)、2月(10月〜1月分)の年3回です。
支給日は、市区町村によって異なります(12日前後のところが多いようです)。
④児童手当の支給を受ける上での注意点
児童手当を受けるためには、市区町村の児童手当担当窓口への申請が必要です(公務員は所属庁に申請します)。
支給は、申請した日の翌月からとなります(6月1日申請は7月分から支給)。
また、児童手当受給者は、毎年6月に「現況届」を居住している市区町村に提出する必要があります。
引っ越しなどによって住所が変更になった場合にも、転入先で所定の手続きを行う必要があります。
(3)児童扶養手当
児童福祉手当は、離婚や死別などの事情によって、親1人家庭となった子を養育している養育者に支給される手当です。
①児童扶養手当の支給対象者
児童扶養手当を受けることができるのは、次の条件を満たした子(18歳になった年度末まで)の養育者です。
- 父母が婚姻を解消した子ども(事実上婚姻関係と同様の状態にあったものを含む)
- 父または母が死亡した子ども
- 父または母に一定の障害がある子ども
- 父または母の生死が明らかでない子ども
- 父または母に1年以上遺棄されている子ども
- 父または母が裁判所からのDV保護命令を受けた子ども
- 父または母が法令により1年以上拘禁されている子ども
- 母が婚姻によらないで出産した子ども
支給対象は「実際に養育している人」なので、自分の両親に子どもを預けていて、子の世話をしていないシングルマザー(ファザー)は、児童扶養手当を受け取ることはできません。
また、以下の場合にも児童扶養手当は支給されません。
- 申請する人や子どもの住所が日本国内にないとき
- 子どもが児童福祉施設など(母子生活支援施設などを除く)に入所しているとき
- 平成10年3月31日以前に手当の支給要件に該当したが、手当の申請をせず5年を経過したとき(父子家庭および公的年金と手当の差額支給対象者には適用されません)
②児童扶養手当は申請者の所得によって支給額が異なる
支給額は、扶養家族と養育者の所得、子の人数などの条件によって、「全額支給」、「一部支給」、「不支給(申請はできるが支給されない)」の3つに区分されます。
下記の表にさだめる基準額(一部支給額)を超える所得がある場合には、児童扶養手当は「不支給」となります。
扶養家族 の数 | 親が養育している場合 | 扶養義務者・配偶者 孤児などの養育者が 養育している場合 | |
全部支給になる所得上限 | 一部支給になる所得上限 | ||
0人 | 49万円 | 192万円 | 236万円 |
1人 | 87万円 | 230万円 | 274万円 |
2人 | 125万円 | 268万円 | 312万円 |
3人 | 163万円 | 306万円 | 350万円 |
4人 | 201万円 | 344万円 | 388万円 |
※平成30年7月から令和元年申請分(今後改定される可能性があります)
※5人以上は、子1人について38万円を加算します
所得額は、給与所得に受け取った養育費の80%を加えた金額から、可能な控除額を差し引いた金額となります。
控除できる項目としては、
- 一律控除(8万円)
- 医療費控除
- 雑損控除
などがあります。
③全部支給の場合の支給額
全額支給のケースでの支給月額は子の人数に応じて、次のとおりになります。
- 1人目の子:42,910円
- 2人目の子:10,140円
- 3人目以降の子:6,080円
※平成31年4月以降の支給額(上記の金額は物価変動を考慮して改定される場合があります)
④一部支給となる場合の支給額
一部支給となる場合の支給手当額は、次の計算式によって算出されます。
・1人目:42900円 - { (受給者の所得額 - 全部支給の所得制限額)× 0.0229231 }
・2人目:10130円 - { (受給者の所得額 - 全部支給の所得制限額)× 0.0035385 }
・3人目以降:6070円- { (受給者の所得額 - 全部支給の所得制限額)× 0.0021189 }
※それぞれの計算式の最後にある「係数」は固定の数値ではありません(適宜改定されます)
一例を挙げておけば、 母親の所得150万円、子以外の扶養者なし、子1人(扶養家族の合計1人)というケースであれば、児童扶養手当の支給額は、
42,900円-{(150万円-87万円)✕0.0229231}=28,459円
ということになります。
⑤児童扶養手当の支給時期
児童扶養手当の支給は、毎年8月(4月〜7月分)、12月(8月〜11月分)、4月(12月〜3月分)の年3回です。
⑥障がいをもった子がいるときには特別児童扶養手当を受給できる
養育している20歳未満の児童に、第1級もしくは第2級の精神または身体の障がいがあるときには、国から特別の扶養手当が支給されます。
支給額は下記のとおりですが、所得制限を超える場合には手当は支給されません。
- 1級:月額51,700円
- 2級:月額34,430円
(4)遺族年金
配偶者と死別してシングルマザー(ファザー)となった場合には、「遺族年金」を受給できる場合があります。
遺族年金には、
- 遺族基礎年金
- 遺族厚生年金
の2種類があります。
このうち遺族厚生年金は、厚生年金に加入していた期間がある配偶者がなくなった場合のみ受給できます。
遺族年金の手続きは、それぞれの地域の年金事務所で行います。
①遺族年金を受け取れる人
遺族年金を受け取れるのは、死亡した者によって生計を維持されていた、 子のある配偶者 もしくは 子(18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子) となります。
②遺族年金の受給額 ・遺族基礎年金の受給額
780100円+子の加算額
となります。
子の加算額は、
- 第一子・第二子 : それぞれ224,500円
- 第三子以降 : それぞれ74,800円
となっています。
- 遺族厚生年金の受給額
遺族厚生年金の受給額は、少し複雑な計算が必要です。
引用:遺族厚生年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)(日本年金機構ウェブサイト)
③遺族年金の注意点
配偶者が死亡した日の属する月の前々月までの1年間の間に、年金保険の未納(滞納)があると遺族年金を受け取ることはできません。
(5)住んでいる自治体による特別なひとり親家庭支援がある場合も
住んでいる自治体によっては、上記で解説した支援の仕組みに加えて独自の支援制度を用意している場合があります。
たとえば、
- 自治体が児童手当とは別個に、児童のいるひとり親家庭に手当を支給している場合
- ひとり親家庭へ家賃補助(賃貸物件のみ)を行っている場合
などがあります。
必ずしもすべても自治体で行われているわけではありませんが、お住まいの地域の役所に問い合わせてみる(ウェブサイトを確認してみる)と良いかもしれません。
(6)ひとり親家庭への医療費助成~マル親とマル子
シングルマザー(ファザー)のひとり親家庭では、地元自治体から医療費の助成をうけることができます。
それが、いわゆる「マル親」と呼ばれている制度です。
①マル親による助成を受けられる人
マル親による助成を受けられるのは、下記の条件に該当する児童およびその児童を養育している人(親もしくは養育者)です。
- 父母が離婚した児童
- 父または母が死亡した児童
- 父または母が一定以上の障害の状態にある児童
- 父または母が1年以上遺棄している児童
- 父または母が裁判所からの保護命令を受けた児童
- 父または母が1年以上拘禁されている児童
- 母が未婚で懐胎した児童
- その他の理由で父または母がいない児童
ただし、児童扶養手当に準じた所得制限があり、所得額が一定水準以上の人の場合には助成を受けることができません((3)②参照)。
②マル親で助成される範囲
保険適用となる医療費・薬剤費が助成の適用対象となります。
たとえば、交通事故に巻き込まれた場合でも、被害者自身の医療保険が適用された医療費についてはマル親を利用することができます。
他方で、次の医療費・薬剤費などはマル親の適用対象外です。
- 医療保険の対象とならないもの →健康診断、予防接種、薬の容器代、差額ベッド代、紹介状を持たずに受診した200床以上の病院の初診料等など
- 学校の授業などでケガをした場合に、独立行政法人日本スポーツ振興センター法に基づく災害共済給付制度が適用された医療費など
- 健康保険組合等から支給される高額療養費・附加給付に該当する医療費
- 他の公費医療で助成される医療費
③マル親による助成額
助成額は、自己負担となった医療費・薬剤費の一部となるのが一般的ですが、自治体によっては、全額助成というところもあるようです。
また、非課税世帯の場合には、自己負担分を全額助成してくれる自治体が多いようです。
助成額の詳細については、それぞれの自治体(市区町村)に確認してください。
④マル親による助成を受ける際の注意点
マル親による助成を受けるためには、事前に市区村長で申請をし、「マル親医療証」の交付をうける必要があります。
また、類似の助成制度(マル乳・マル子)などを重複して助成を受けることはできません。
複数の制度の要件に該当するときには、それぞれの自治体に相談するとよいでしょう。
⑤乳幼児や義務教育就学児の医療費助成(マル乳とマル子)
義務教育就学前の子、義務教育中学児については、特別の医療助成制度があります(ひとり親家庭でなくても受けられる助成です)。
義務教育就学前の子に対する医療費助成を「マル乳」 義務教育就学時に対する医療費情勢を「マル子」 と呼ぶことがあります。
マル乳・マル子では、1回あたりの医療費の自己負担分が200円となり、それ以外の自己負担分を助成してもらえます。
なお、下記の場合には、マル乳・マル子による助成を受けることができません。
- 国民健康保険や健康保険など各種医療保険に加入していない児童
- 生活保護を受けている児童
- 施設等に措置により入所している児童
- 養育者に一定額以上の所得がある場合(児童扶養手当の基準と同じ)
シングルマザー(シングルファザー)の場合には、自治体によっては、マル親の方が有利な場合もあるかと思います(マル親で全額助成となる場合)。
マル乳・マル子も事前申請(医療証交付)が必要となるので、自治体の窓口で相談してみるのがよいでしょう。
(7)より良い条件の仕事に就きたいときに受けられる助成
生活を楽にするために、いまよりも良い条件の仕事に就きたいという場合には、仕事に就くために必要な資格・技能を身につけるための研修・講座などの費用の一部について助成を受けることができます。
これを「自立支援教育訓練給付金」といいます。
①自立支援教育訓練給付金による助成を受けられる人
助成を受けられるのは、次の条件をすべて満たした、母子家庭(父子家庭)の母(父)親です。
- 20歳に満たない児童を現在扶養している
- 児童扶養手当の支給を受けている(もしくは同等の所得水準にある)こと
- 就業経験、技能、資格の取得状況や労働市場の状況などから判断して、当該教育訓練が適職に就くために必要であると認められること
※自治体の母子・父子自立支援員による事前相談が必須です
②助成対象となる講座(研修)
能力・スキルを身につけられる講座・研修のすべてが助成の対象となるわけではありません。
助成の対象となるのは、
- 雇用保険制度における教育訓練給付の対象となる「一般教育訓練講座」・「専門実践教育訓練講座」
- その他、市区町村長が特に必要と認める講座
に限られます。
雇用保険の対象となる講座については、下記のページで検索することができます。
【参考】 教育訓練給付制度(厚労大臣指定教育訓練講座)検索システム
③助成される金額
助成金額は、対象となる講座の受講料の60%(上限20万円)が基本です。
雇用保険から給付金の支給を受けられる場合には、雇用保険から支給額を差し引いた金額が助成対象となります。
なお、給付金は、功罪修了証明書が確認された後に支給されるので、「途中でやめてしまった」という場合には支給対象外となります。
④高等職業訓練促進給付金等事業
看護師・准看護師・歯科衛生士・保育士などの「資格」を身につけて就業したいというときには、高等職業訓練促進給付金事業による助成を受けることも可能です。
これらの資格を得るには、資格取得のための勉強と仕事を両立することは簡単ではありません。
そこで、毎月一定額の給付金を支給することで、資格取得のサポートをしてくれるという制度です。
この制度での助成額は、
- 市町村民税非課税世帯では月額10万円
- 市町村税課税世帯では、月額70,500円
が支給されます。
また、資格を取得した際には、非課税世帯5万円、課税世帯25,000円の給付金も支給されます。
3、生活が苦しいときにお金を借りることのできる制度
母子家庭には、「必要な支出がまかなえない」というときに、一定の資金を貸し付けてくれる制度があります(母子および父子並びに寡婦福祉資金貸付制度)。
(1)貸付を受けられる項目
この制度で貸付を受けられるのは、次の場合です。
- 子の就学
- 進学の費用
- 子が起業または就職するために知識などを習得させる費用(子の運転免許取得費用など)
- 子の就職支援(就職活動に必要なスーツなどの購入費)
- 親が就労するための技能取得費用
- 医療・介護にかかる費用
- 技能習得・入院介護期間中の生活費
- 住宅の購入費など
- 事業をはじめるための初期費用
- 事業を継続させるために必要な費用
- 子の結婚に必要な費用
- 別れた配偶者に養育費を請求するための裁判費用
なお、それぞれの用途に応じて、借入限度額が設定されています。
(2)利息など
連帯保証人を立てられる場合には無利息、連帯保証人がいない場合には年1%の利息がつきます。
なお、子の就職支度資金として借り入れる場合は、連帯保証人の有無を問わず無利息となります。
返済期間や返済開始の時期も、借入目的に応じてそれぞれ設定されていますので、詳細は担当窓口で確認してください。
(3)相談・申込み先
それぞれの地域の福祉事務所、もしくは、市区町村のひとり親家庭支援窓口が担当となります。
4、生活にかかる負担を減免してくれる支援制度
母子(父子)家庭では、給付金や貸与制度だけでなく、さまざまな負担を軽減してくれる支援を受けられる場合があります。
そのうち代表的なものについて簡単に紹介していきます。
(1)所得税、住民税の減免制度(寡婦控除)
「寡婦(夫)」に該当するシングルマザー(ファザー)は、所得税・住民税の控除を受けることができます。
寡婦(夫)とは、離婚後も再婚せずに暮らしている単身者のことをいいます。
①寡婦(夫)控除を受けるための条件
寡婦控除をうけるためには、以下の条件が必要です。
- 子を扶養している場合には子の総所得が38万円以下
- 合計所得(給与・事業・不動産・利子などすべての所得)が500万円以下
②寡婦控除の控除額
寡婦控除が適用されると、所得税27万円、住民税26万円の控除となります。
③特定寡婦(夫)控除
上記の寡婦控除の条件に加え、子を扶養家族としている場合には、特定寡婦控除が適用となり、控除額が、所得税35万円、住民税30万円に拡大されます。
(2)国民年金・国民健康保険の免除
低所得で生活が苦しいという場合には、国民健康保険・国民年金保険の保険料の負担が、免除(猶予)となる場合があります(※ひとり親家庭でなくても減免されます)。
一般的には、所得水準などに応じて ・全額免除 ・半額免除 ・支払い猶予 といった措置を受けることができますが、詳細はそれぞれの市区町村で異なります。
(3)保育料の免除と減額
多くの自治体では、ひとり親家庭に対して、保育料の減免を行う制度を用意しています。
ただし、所得制限などの条件がある場合も少なくありません(基準額は自治体によってまちまちです)から、まずは自治体に相談してみるとよいでしょう。
自治体によっては、ひとり親家庭の子を優先的に入所させられるケースも多いようです。
(4)児童扶養手当をもらっている家庭で受けられる減免措置
児童扶養手当(生活保護)の支給を受けられるひとり親家庭であれば、さらに次のような減免措置を受けられます。
- 公共交通機関運賃の割引(通勤定期券の割引など)
- 粗大ゴミ手数料の減免
- 上下水道料金の減免
東京都のように、自治体で運営している交通機関の無料券を配布してくれる自治体もあるようです。
5、別れた配偶者から養育費はもらっていますか?
生活が苦しいと感じているシングルマザー(ファザー)の家庭では、別れた配偶者から「十分な養育費」をもらっていないというケースも少なくありません。
「養育費の負担で揉めるよりも早く別れたい」、「別れた相手の世話にはなりたくない」という気持ちが先だって離婚してしまうケースも少なくないようです。
しかし、別れた夫婦に子がいる場合には、その子の世話をするのは離婚後であっても両親の義務であり、養育費は、「自分では直接世話をしない代わり」に支払う義務的な負担というべきものです。
離婚のときには養育費について決めていなかったという場合でも、事後に養育費を請求することも可能です。
生活が苦しいというときには、子のためにも、養育費について別れた配偶者と話し合いの機会をもってみることはとても大切でしょう。
養育費の問題については、 弁護士に相談してみるのが最も一般的な対応といえますが、 近年では、養育費をめぐるトラブルを解決するためのサポートを公的機関も行っています。
平成19年度には、厚生労働省の委託事業として、「養育費相談支援センター」が創設され、養育費のトラブルを抱えるひとり親の支援活動を行っています。
また、養育費請求にかかる裁判費用は、上で紹介した母子(父子)寡婦福祉資金から借り入れることができます。
「もう別れてしまったから」とあきらめてしまわずに、相談してみることが大切でしょう。
【参考】養育費相談支援センター
関連記事まとめ
「子の福祉」という観点から、シングルマザー(ファザー)家庭に対しては、さまざまな公的な支援が用意されています。
しかし、公的な支援は、制度が複雑なものも多く、「わからない」からと利用をあきらめてしまうことも少なくないようです。
また、制度があることを知らなければ、利用の検討すらできません。
シングルマザー(ファザー)の暮らしで困ったことについては、
- 福祉事務所
- 社会福祉協議会
- 市区町村の担当窓口
- 全国母子寡婦福祉団体協議会
などで、相談に応じてもらえます。
困ったことが起きたときには、遠慮せずに相談してみることが、一番よいと思います。