結婚後すぐの離婚、いわゆる「スピード離婚」は、予期せぬ状況で多くの人が直面する可能性があります。
今回は、スピード離婚の実態、原因となる9つの要点を解説していきます。
目次
1、スピード離婚の原因
(1)性格の不一致
独身期間中はそれほど長時間にわたって一緒にいるわけではありませんし、デートは楽しいものでストレスがかかるものでありません。そのような状況では、相手のことを気遣ったり、お互い自分の良いところだけ見せることができます。
これが結婚して一緒に住み生活を共にすると、当然嫌なところも目にすることになります。何かひとつが許せないというわけではなく、様々なマイナス面を知ることで、総合的に嫌になるというケースが多々あります。いわゆる成田離婚もこれに含まれますが、極めて早期に嫌な部分が露呈したケースになります。
(2)不倫
結婚早々に不倫が発覚して、スピード離婚というケースです。独身時代の異性関係を清算せずに結婚してしまったというケースや、結婚したというけじめがなく、独身時代と同じ心持ちで気軽に恋愛に走ってしまうケースもあります。
特に妊娠中はフラッと遊びに行ってしまう危険が高くなるため要注意です。
(3)親と同居
新婚生活と相手親との同居生活が同時に始まり、それだけでも大変なのですが、相手の親との折り合いが悪いと、輪をかけて大変です。パートナーからのフォローがあれば乗り切れるかもしれないことでも、それがないと、心身ともに疲弊して、やむなく早期にギブアップというパターンです。
(4)隠し事が露呈
恋人時代や見合いの際に、相手に自分をよく見せようと年収等について嘘をつき、結婚後それが発覚し、二度と信頼を取り戻せなくなってスピード離婚に至るケースがあります。また、嘘をついたわけでなくても、持病、整形手術を受けていたこと、異性遍歴、異常な性的嗜好等の隠し事が露呈しスピード離婚するケースもあります。
(5)暴力
結婚すると配偶者に暴力をふるうようになる方も一定数います。このようなケースもスピード離婚につながります。
2、スピード離婚する人はどのくらいいる?
(1)スピード離婚の定義
スピード離婚とは明確な定義があるわけではありません。ですので、世間の感覚次第なのですが、婚姻期間が1年間以内であれば間違いなくスピード離婚に入ると思います。婚姻期間が3年間くらいまではスピード離婚といっても特に違和感はないでしょう。
(2)スピード離婚の割合
- 同居期間が1年未満で離婚した夫婦 9,853組
- 同居期間が1年~2年で離婚した夫婦 12,701組
- 同居期間が2年~3年で離婚した夫婦 12,043組
で、3年以内に離婚した夫婦は、離婚した夫婦全体(同居期間不詳を除く)の約20%を占めました。
スピード離婚を同居期間3年未満の離婚と定義すると、離婚する夫婦の約5組に1組はスピード離婚ということになり、スピード離婚はそれほど特殊というわけではありません。
3、スピード離婚に対する世間の印象
「世間体的にはあまり良くなさそうだし、派手に結婚式をしたからこそ恥ずかしい」と思ってスピード離婚に踏み切れない方も多いでしょう。
実際は否定的な印象と肯定的な印象、両方が存在します。あくまでスピード婚と聞いたときの直観的な印象ですので、ご参考までにご覧ください。
(1)否定的な意見
①思慮が浅い、おままごと感覚
「その離婚原因、お付き合いのときにどうしてわからなかったの?」
親や友人からのその言葉がもっとも聞きたくない言葉ではないでしょうか。
そのような言葉を吐かれたとしても、まともに答える必要などありません。答えがあるのだとすれば、「相手が隠していたから」です。あなたに非はありません。
②焦って結婚したのでは?焦って結婚したのでは?
焦っていたわけでもないのにこのようなことを言われるのは心外です。逆に、焦っていたのかなと自覚があれば、とても痛い言葉になります。
しかし、結婚を焦ることのなにがいけないのでしょうか。
- 早く子どもを授かりたい
- 一定の年齢に達する前に結婚したい
- 周囲が結婚したから自分もしたい
等々、焦る理由は様々ですが、どの理由も悪いことをしているわけではありません。
③浮気・不倫が原因では?
離婚原因全体でその上位を占める「浮気・不倫」。スピード離婚の原因とみられることも致し方ないかもしれません。
しかし、真実でないならば聞き流し、実際にあなたが不倫をされた立場であってもあなたが悪いわけではありません。悪いのは相手です。
そして、実際に不倫をしたのであれば、心から反省してください。離婚をしたくないのであれば、配偶者に二度としないことを誓いましょう。
④ご祝儀泥棒
ご祝儀への考えは人それぞれなので、結局離婚をする夫婦に渡したということに、不快に思う方々もいるかもしれません。
しかし、イマドキのご祝儀は夫婦が大きく得をするものでもなく、結婚式・披露宴でお料理や引き出物で十分にお返しはできています。
式を行わずご祝儀をもらっている場合は、内祝いとしてお返しをしているはずです。
泥棒などと言われる筋合いはありません。
スピード離婚であってもご祝儀を返さなければならないという決まりはありません。気を遣って返そうとしても、受け取らない人も多いでしょう。「ご祝儀返して!」と言ってくる人がいたとしても、それは大半は冗談ですから聞き流すことです。気に留めないようにしましょう。
(2)肯定的な意見
冒頭でもお話したように、否定的な意見ばかりではありません。
既婚者でも離婚したいと思っている夫婦は数えきれないのです。特にこのような方々からは、応援のメッセージも込められていると思います。
- 決断力がある
- 早めに決断できたため人生のやり直しがきく
- 人生経験を積めてよかった
- 子どもができる前でよかった(子どもがいない場合)
4、スピード離婚での法律上の注意点
スピード離婚でも、普通の離婚と手続上何ら変わるところはありません。
しかし、婚姻期間が短いということで結論に影響を与えるものがあります。
(1)財産分与
財産分与とは、離婚時に、婚姻期間に築き上げた夫婦の財産を半分ずつに清算することをいいます。
ここで、「婚姻期間に築き上げた」とありますので、婚姻期間が短いスピード離婚の場合、ほぼ財産分与はないケースが多いでしょう。ただ、マイホームを買ってしまったというケースについては、こちらの記事をごらんください。
「夫婦の財産」の考え方ですが、どちらかが稼いだお金も結婚後は基本的に「夫婦の財産」です。財産分与の詳細は以下の関連記事をご覧ください。
(2)親権
親権は、もともと「母性優先の原則」という考え方があります。分かりやすく言えば、子どもは(父親より)母親と暮らすことが幸せであるという考え方を言います。
母性優先の原則が覆るとすると、それは、「継続性の原則」が主張できるケースです。つまり、母親よりも父親が育児をしているケースであれば、母性優先の原則は覆るのです。
しかし、スピード婚の場合、夫婦間でもうけた子どもがいるとしても乳幼児です。育児期間が短いため「継続」と言えるほどの期間が乏しいと言えるでしょう。また、もし母乳育児をしている場合は母性優先の原則が認められやすいと考えられます。
そのため、スピード婚では、母親が希望する限り母親に親権がいく可能性がより一層高いといえます。
(3)慰謝料
離婚では、離婚の原因を作った相手に対し、慰謝料請求が可能です。
ただこちらも、婚姻期間の長さは金額に影響を与えるものといえます。
なぜなら、長年寄り添ったパートナーに裏切られた方がダメージが大きいと考えられるためです。
ただし、どのような事情にもこのように言えるわけではなくケースバイケースです。慰謝料をもらえるはず、もらいたい!と思う場合は、弁護士に無料相談してみましょう。
(4)養育費
養育費については、婚姻期間が長かろうが短かろうが同じ帰結です(結婚をしなくても請求することは可能です)。
親権者でない側は親権者に対し、金額は年収に応じますが支払わなければなりません。
5、スピード離婚で後悔しない方法
スピード離婚を後悔しない方法はただ1つ。
離婚前に別居をすることです。
スピード離婚をする夫婦の状態は、いわば「熱している」状態です。なにかの事情によって、関係性が非常に(マイナスに)熱くなっています。別れたいと思った、別れたいと言われた、どちらの立場であっても、冷静に見えて、お互い実に熱い状態なのです。
これですぐに離婚をしては、後悔することになるかもしれません。
楽しみで、うれしくて、幸せだった新婚のときを思い出すと、離婚をすることで自分自身をも裏切っているような気持ちにもなってしまいます。どうか、そのような悲しい離婚はしないでほしいのです。
そのため、別居をして冷却期間を置いてください。
冷却期間を置くことにより、なぜ相手と結婚をしようと思ったのか、思い出してみてください。
もっとも、この方法は「いったん休戦をする」にすぎません。
この冷却期間の間に、自分の気持ちがどう動くのかをゆっくり確認していきましょう。この「考える期間」をもつことで、もしも離婚を決断する場合でも、後悔は減るはずです。
なお、別居期間においては収入が低い方から高い配偶者へ、生活費(婚姻費用)を請求することが可能です。詳しくは以下の関連記事をご覧ください。
6、スピード離婚でもめたなら
- どうしても離婚したいのに相手が離婚をしぶっている
- もう少し二人でがんばりたいのに相手が離婚をせまってくる
このような場合は、ぜひ弁護士に無料相談してみてください。
生きていれば、相手がある問題についてはどうにもならないこともあるものです。こういう問題では、当事者同士で話し合っていても時間が経つばかり。
ですので、このようなときは第三者をはさむのが鉄則です。
とはいえ、テレビドラマのように、信頼できる共通の知人など、ちょうどよく準備されているものではありません。
離婚で頼りになる第三者を入れるなら、弁護士です。
弁護士は、あなただけの味方であり、全体のバランスも図ってくれることでしょう。無料相談をすれば、よりより未来に進めるよう、よいアドバイスがもらえるはずです。
7、スピード離婚した芸能人
スピード離婚した芸能人を紹介します。好きな芸能人もスピード離婚していたら、スピード離婚を検討する人にとっては、いくらか心強いかもしれませんね。
(1)吉川ひなのさん×IZAMさん
話題を呼んだ有名人同士の結婚でしたが、7か月でスピード離婚しました。
当時、吉川さんが19歳と若く、IZAMさんは26歳と年齢はそれなりの年齢でしたが、出で立ちが中性的で所帯感がまったくなかったこともあり、「おままごと婚」と揶揄されており、ワイドショーでもスピード離婚が予想されていた中での結果でした。
ロサンゼルスへの新婚旅行を境に吉川さんの気持ちに変化が生じたとも報道されており、いわゆる成田離婚のケースともいえます。なお、お二人とも現在は再婚してお幸せなようです。
(2)遠野なぎこさん×一般人
遠野さんは2度もスピード離婚を経験しています。1度目は2ヶ月、2度目は1ヶ月半で離婚しています。ちなみに、2度目の男性とは別居したまま結婚する別居婚で、離婚後もそのまま交際を続けています。特殊なケースといえますね。
(3)葉月里緒奈さん×ハワイの寿司職人
葉月さんは2か月でハワイ在住の寿司職人と離婚しました。同時期にヌード写真集を出しており、何かと心境の変化が大きい時期だったのかもしれません。年齢的には22、3歳の頃なので、若気の至りも多少あったのかもしれません。なお、この約6年後に結婚した男性とは2017年1月現在、幸せに結婚生活を継続しているようです。
(4)山本太郎さん×プロサーファー
山本さんはプロサーファーと3か月で離婚しています。離婚原因は、山本さんが多忙でほとんど家に帰れず、一緒にいる時間がほとんどとれなかったことにあるようです。
(5)ブリトニー・スピアーズさん×幼馴染
アメリカの事例ですが、55時間という超スピード離婚です。酔っ払った勢いで幼馴染と結婚してしまいました。正確には離婚ではなく、婚姻無効の手続きがとられました。振り回されたこの男性には、日本円にして約5600万円の慰謝料が支払われたと報じられています。ちなみに、彼女は2度目の結婚も約2年で離婚しています。
スピード離婚を検討するにあたって知っておくべきことまとめ
以上、スピード離婚を検討するにあって知っておくべきことを説明しました。
将来をしっかり考えた上で後悔しないような選択をしましょう。
スピード離婚を検討する方の参考になれば幸いです。