7つの具体例でわかる法定相続情報証明制度のメリット

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この記事をお読みの方の中には、相続のことを調べているタイミングで、「法定相続情報証明制度という言葉が出てきた。どういう意味だろう?」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

相続の手続きを進めていく上で、法定相続証明制度についてきちんと知っておくと手続きがスムーズになって便利です。

今回の記事では、具体的な事例を素材として法定相続証明制度について説明していくので、きっとご理解頂けることでしょう。

お伝えしていく内容は以下の通りです。

  • 法定相続情報証明制度とは?
  • 法定相続情報証明制度を利用するメリット
  • 具体的な利用シーン
  • 具体的な手続きの流れ

この記事が、相続の手続きを進めるにあたりご参考になれば幸いです。

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1、法定相続情報証明制度とは

まずは、制度の意味をしっかり理解しましょう。

相続が起きたときは、不動産についての相続登記手続き、預金の解約、株の売却、保険金の請求など、さまざまな手続きが必要になります。

いままでは、相続手続きに必要な戸籍謄本等の書類の束を持って、登記所や金融機関を回っていました。

しかし、この法定相続情報証明制度だと、書類の束が「法定相続情報一覧図の写し」という1枚の紙になります。

法定相続情報一覧図の写しは、相続手続きに関わる戸除籍謄本等の必要情報を集め、相続関係を一覧に表した図を作成し、登記所に申請することで、登記官が無料で交付してくれます。

戸籍などの書類の束を簡略化する仕組みが法定相続情報証明制度です。

2、法定相続情報証明制度を利用するメリットは?

法定相続情報証明制度の内容はなんとなく理解してもらえたと思います。

メリットについて理解しておかないと、やろうかどうか迷うこともあるかもしれないですよね。

法定相続情報証明制度のメリットは大きく4つです。

  • 交付は無料
  • 戸籍の束が1枚に
  • 各機関で同時に手続き
  • 事務手続きの時間が短縮

具体的な内容を確認していきましょう。

(1)交付は無料

法定相続情報一覧図の写しを交付されるのは無料です。

戸籍謄本や除籍謄本、住民票などを市区町村から発行してもらうには、だいたい300円~500円程度の手数料がかかります。

しかし、法定相続情報一覧図の写しは、郵送代を除けば、何枚でも無料で交付してもらうことが可能です。

また、法定相続情報一覧図は5年間保有されていますので、別の機会で必要になったときも無料で交付されます。

(2)戸籍の束が1枚に

いままでは、亡くなった人のすべての戸籍や相続を受ける人の戸籍などを集めた書類の束を、登記所や金融機関に預けて手続きを行っていました。

しかし、登記所で交付される、認証⽂付きの「法定相続情報一覧図の写し」を利用することで、その書類の束を持ち歩くことがなくなります。

書類の束が1枚になることで、戸籍謄本の束を何度も出し直す必要がなくなることがメリットです。

(3)各機関で同時に手続き

書類の束をつかっていた場合では、戸籍謄本はコピーではなく原本でなければ受け取らない機関もありますし、原本の返却までに数日かかることもありました。

そのため、次の金融機関に手続きにいくとしても、当日に行けることが少なく、また仕事を休んで手続きに行かなければならないという面倒が起きていました。

それとは反対に、法定相続情報一覧図の写しを利用することで、戸籍の束の返却を待つことがなくなります。

つまり、各機関の手続きを同日に進められることも可能になったということです。

法定相続情報一覧図の写しは現状で、下記の4つにつかえます。

  • 相続登記
  • 預貯金の相続手続
  • 保険金の請求、保険の名義変更手続
  • 有価証券の名義変更手続

これらの手続きを同時にできるのは大きな利点です。

(4)事務手続きの時間が短縮

ここまで見てもらったように、書類の簡略化や時間の短縮で、相続を受ける人が手続きの手間を減らすことができますが、相続を受ける人だけではなく、登記所や金融機関の手続きの手間を少なくするということも狙いの制度です。

いままでは、金融機関も登記所と同じように、戸籍の情報をすべて確認していましたが、これからは相続情報の確認がほとんどいらなくなる、というのがこの制度の狙いです。

もちろん金融機関ごとに調べなければいけないこともあるとは思いますが、戸籍情報から相続人を把握する時間が短縮されれば、手続きが大幅に早くなります。

金融機関の手続きが早くなれば、いままでは数日待っていた高額な保険金の受取なども、申請してから1日で支払いされるという可能性があるかもしれませんよね。

金融機関の手続きが楽に、そして、早くなることで相続を受ける側にもプラスになることがあるんです。

3、法定相続情報証明制度の具体的な利用シーン

無料で一覧図を受け取ることができることや、手続きが便利になるというメリットについてはわかってもらえましたよね?

しかし、「本当に楽になるのかどうか」「デメリットはないのか」という部分でまだまだよくわかないことも多いのではないでしょうか。

そこで、わかりやすい具体的な利用シーンをもとに、「どういうときに法定相続情報証明制度を使えるのか」ということを理解していきましょう。

(1)シーン1、手続きをする機関が2つ以上になる場合は便利

【内容】

父がなくなったときに下記の手続きを行った場合です。

  • 凍結した銀行へ凍結解除
  • 不動産の相続登記のため

法定相続情報証明制度を利用することで、同日に手続きができました。

【解説】

いままで通りの申請方法では、「戸籍の束」を銀行と登記所に持っていかなければいけませんでした。

そのため、登記官や金融機関の担当者に戸籍謄本に漏れがないかチェックをしてもらい、別日に戸籍の束を返却してもらっていました。

もちろん、その場でコピーしてもらって返却するということもありますが、それでも時間がかかるので、次の申請に行く時間に間にあわないかもしれないですよね。

しかし、法定相続情報証明制度を利用することで、法定相続情報一覧図の写しを使って返却を待つこと無く、申請ができるようになりましたので、スムーズに同日で手続きができています。

この事例からわかるように、いままでよりも時間的な手間がかからなくなったという点は、やはりメリットになんですね。

(2)シーン2、住所を書くかは相続人の任意だけど不便になることも

【内容】

法定相続情報一覧図に住所を記載しなかったため、金融機関で、住民票の提出を求められた。

【解説】

法定相続情報一覧図に住所を載せるかどうかは、相続を受ける個人が任意で決められ、住所を記載する場合には、相続を受ける人の住民票の写しが必要になります。

もちろん任意なので、今回のように法定相続情報一覧図に住所を記載しないことも可能です。

もし住所の記載をしている法定相続情報一覧図をつかっていれば、住所の確認ができているので、基本的には住民票の写しを登記所や金融機関に提出する必要がなくなります。

せっかく書類の束を減らしたのに、住民票だけは返却を待たないといけないというのは、かなりの手間になってしまいますよね。

どうしても書きたくないという相続人がいる場合は、同日に手続きができるよう、住民票の写しを各機関に提出するために複数枚用意してもらいましょう。

(3)シーン3、相続登記に実印はいるのかどうか

【内容】

法定相続情報一覧図をつかえば、他の書類はいらず、相続登記もできるのかな?実印などは必要なくなるのかな?と思っていましたが、各種手続きで他の情報も求められました。

【解説】

法定相続情報一覧図を作成したことで、遺産分割協議書や印鑑証明書、相続登記の申請書が不要になるわけではありません。

ただし、相続関係説明図の代用として法定相続情報一覧図を利用することが一定の場合に限り可能です。

(4)シーン4、中小機構共済で使えない?

【内容】

数年前に叔母が亡くなり、その家庭は子供もおらず配偶者が先に他界しているため、共済を父が相続しました。

共済で申請に法定相続情報一覧図を提出したところ、印鑑証明や戸籍謄本などを用意するように言われた、ということがありました。

【解説】

法定相続情報証明制度は、まだできてから日にちが経っていないこともあり、大手金融機関から徐々に広がっている状態です。

そのため、共済などでは会社の規約変更や社員教育が間に合っていない場合があるようです。

しかし、この場合では、法定相続情報一覧図では補えないものの提出を求められているということが、実際の問題点です。

印鑑証明は法定相続情報一覧図で必要書類ではないので、各手続きにしたがって別途提出が必要です。

戸籍謄本については、相続が発生してから数年経っているからという理由や、制度の開始前の相続事案だったため必要だと言われている可能性があります。

いずれも直接的に確認できない事例ですが、ごく少数の一部の金融機関ではまだ使用できないかもしれないということを頭に入れておきましょう。

(5)シーン5、登記申請よりも必要な書類が多い?

【内容】

被相続人の戸籍謄本をすべてそろえる手間がかかる。

【解説】

わかりやすいように言うと、実務上のことを考えたら、すべての人を生まれてから死ぬまでさかのぼると手間がかかるので、子どもを産める歳からさかのぼって戸籍を出せば充分ですよね、という暗黙のルールのようなものです。

確かに、すべての戸籍をさかのぼって見られるほど、登記官の方たちも暇ではないとは思いますが、法定相続情報証明制度は原則として、出生から死亡までが必要です。

ただし、相続登記などの申請と一緒に法定相続情報一覧図の交付を申し出た場合は、その登記官が確認することを前提に、審査に必要な範囲の戸籍謄本の提出にて取り扱うことができるとされています。

(6)シーン6、相続登記時に相続放棄の場合は他の書類が必要

【内容】

相続放棄は明記されないので相続関係説明図が必要になった。

【解説】

こちらについては、相続関係説明図の違いとして、法定相続情報一覧図には相続放棄、遺産分割、法定相続分ということ記載されないからです

相続関係説明図も形式は似たようなものですが、相続を受ける人が誰なのかわかるように、相続・遺産分割・相続放棄などという記載をしています。

遺産分割協議書に明記されていれば、相続関係説明図は必要ないということもあるようですので、登記官によって変わる可能性があります。

(7)シーン7、委任状の書き方がわからない

【内容】

法定相続情報証明制度を、親族に依頼したいのだが、委任状の書き方がわからなかった。

【解説】

まずは法務局が用意している委任状の参考テンプレートをご確認ください。

委任状

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001229365.docx

記載例

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001229367.docx

親族以外にも法定相続情報一覧図は、ほかに弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士に依頼することができます。

4、法定相続情報一覧図の交付を受けるための具体的手続きの流れ

法定相続情報証明制度について、だいたいのイメージをしてもらえたと思います。

次は具体的な使い方を理解していきましょう。

(1)法定相続情報一覧図の写しの交付までの流れ

相続を受ける人が、登記所に必要書類を提出して、申出書を記載することで、法定相続情報一覧図の写しを受け取ることができます。

手順ごとに細かくみていきましょう。

①必要書類の収集

まずは必要書類を集めることから始めていきます。

ここが一番大変なところですので、根気よく書類を集めてください。

必要書類は、4つあります。

必要書類

亡くなった人の戸籍謄本と除籍謄本

本籍地の役所

亡くなった人の住⺠票の除票
または戸籍の附票

最後の住所地の役所
本籍地の役所

相続人の戸籍謄本か戸籍抄本

本籍地の役所

申し出人の本人確認書類

各個人

下記は、任意で必要となるものです。

任意で必要となるもの

(住所を記載する場合)
相続を受けるすべての人の住民票の写し

最後の住所地の役所

(誰かに任せる場合)
委任状

作成

(誰かに任せる場合で親族が代理人のとき)
申し出人と代理人の親族関係がわかる戸籍謄本

本籍地の役所

(誰かに任せる場合で司法書士や行政書士などのとき)
資格者代理人の身分証明書

②書類の作成

法定相続情報一覧図を作成します。

こちらでテンプレートを用意しているので、ダウンロードしてみてください。なお、ここでダウンロードできるテンプレートは、夫が死亡し、妻と子供(シートそれぞれで1〜4人まで対応)が相続人であるケースのものとなります。

【相続関係説明図】配偶者・子(1人〜4人まで対応)である場合のテンプレートのダウンロードはこちらをクリックして下さい

③申出書の記入

申出書は各登記所にあるので、そのまま必要書類を持っていけば書き方も教えてもらえるので、安心してください。

郵送で書類の手続きをすることもできますがその場合は切手を貼った返信用封筒を同封してください。

申出書はこちら

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001224881.docx

記入例はこちら

http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001229280.pdf

まとめ

法定相続情報証明制度についてのメリットは無料でできて手間が省けるということです。

ぜひ活用していただき、少しでも相続手続きを楽に終えられることを祈っています。

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