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下請けいじめとは?中小企業の担当者が知っておくべき6つのこと

2023年3月14日
下請けいじめとは?中小企業の担当者が知っておくべき6つのこと

「これって下請けいじめ?」取引先から取引金額の減額を強要されたり何度も工事のやり直しをさせられたりすると、これは下請けいじめなのではないかと感じている人もいるでしょう。

下請けの立場にあると、取引を停止されることへの恐怖から、いじめのような理不尽な扱いを受けていてもなかなかそれを言い出せないケースも多いです。

そこで今回は、

  • 下請けいじめに該当する親事業者の違法行為とは?
  • 下請けいじめは多発している!実際にあった事例3つ
  • 下請けいじめにあったときの対処法

等について解説します。本記事が、下請けいじめを受けて困っている方の     お役に立てば幸いです。

1、下請けいじめとは?

下請けいじめとは、取引を発注する側が受注する側に対して、自身の有利な立場を利用し、発注条件の改悪や対応困難なことを押し付ける等して、受注側の利益を著しく害することをいいます。

本来なら、著しく利益を害する取引など受注しなければよいのですが、下請け企業の場合はそう簡単にはいきません。
発注してもらわなければ下請け企業は利益を出すことができないので、理不尽な要求でも飲まざるを得ないことが多々あります。
このような下請け企業の弱みにつけこみ発注側が下請けいじめをすることが問題となっています。

2、下請けいじめが問題となる「親事業者」「下請事業者」とは?

下請けいじめが問題となる「親事業者」「下請事業者」とは?

強い者が弱い者をいじめるのは道義的に問題があるという理解は一般的にありますが、下請けいじめはどのようなケースで問題となるのでしょうか?

実は、下請けいじめに該当するケースは道義的に問題となるだけでなく法律により禁止されています。

日本では、親事業者による下請事業者に対する優越的地位を背景とした濫用行為を取り締まるために下請法(下請代金支払遅延等防止法)という法律が制定されています。
この法律により、親事業者(強い立場)から下請事業者(弱い立場)へのいじめが禁止されています。

ここで問題となるのが、どんな事業者が「親事業者」「下請事業者」に該当するのかという点です(下請法2条7項・同条8項)。
どのような事業者が「親事業者」「下請事業者」に該当するのかは取引内容により異なります。 

  • 「製造委託等」(製造委託、修理委託、情報成果物作成委託及び役務提供委託)をする場合(同法2条5項)

資本金3億円超の「親事業者」と、資本金3億円以下(個人も含む)の「下請事業者」の取引(2条7項1号、2条8項1号)または

資本金1千万円超3億円以下の「親事業者」と、資本金1千万円以下(個人も含む)の「下請事業者」の取引(2条7項2号、2条8項2号)

  • 情報成果物作成委託又は役務提供委託(上記の場合を除く)(2条6項参照)

資本金5千万円超の「親事業者」と、資本金5千万円以下の「下請事業者」(個人も含む)の取引(2条7項3号、2条8項3号)または

資本金1千万円超5千万円以下の「親事業者」と、資本金1千万円以下(個人も含む)の「下請事業者」の取引(2条7項4号、2条8項4号)

3、下請けいじめに該当する親事業者の違法行為とは?

下請けいじめに該当する親事業者の違法行為とは?

それでは、上記「2」に基づき「親事業者」に該当する場合、どのような行為が違法行為として禁止されているのでしょうか?下請法により禁止されている親事業者の行為は以下の11種類に分類されています。

「親事業者」と「下請事業者」の関係に該当しているのであれば、親事業者が以下の行為が法律で禁止されていることを知らなかったとしても違法行為に該当します (下請法4条)。

  • 受領拒否(第1項第1号)

親事業者が下請事業者に物品等の発注をしたにもかかわらず、親事業者が注文した物品等の受領を拒否することが本号に該当します。
下請事業者としては、親事業者が物品を受け取ってくれないことには物品等の代金を受領できないため、受領拒否は違法行為となります。

  • 下請代金の支払遅延(第1項第2号)

下請事業者は親事業者から代金を期日通りに支払ってもらえなければ、経営自体に打撃が生じる可能性があります。
そのため、物品等の受領または役務の提供がなされた日から60日以内に定められた支払期日までに下請代金を支払わないことは、違法行為とされています

  • 下請代金の減額(第1項第3号)

親事業者と下請事業者との間の取引は、通常、あらかじめ契約に基づき下請代金が定められています。
下請事業者に責任がないにもかかわらず発注後になって下請代金の減額をすることは違法行為となります。

  • 返品(第1項第4号)

親事業者が下請事業者に発注した物を受領したにもかかわらず「不要になった」「当初の想定とは違う」などと、下請事業者の責任とは関係のない理由をつけて受領した物を返品することは違法行為となります。

  • 買いたたき(第1項第5号)

下請事業者は親事業者よりも弱い立場にあることがほとんどですので、親事業者から無理な代金で発注されそうになっても、泣く泣く親事業者の条件を飲まないと経営が立ちいかないケースもあります。
このような下請事業者の立場の弱さに親事業者がつけ込むことがないよう、市場価格と比較して著しく低い金額を定めて買いたたき行為をすることは禁止されています。

  • 購入・利用強制(第1項第6号)

親事業者が下請事業者に対し、親事業者の製品・サービスや親事業者が指定した製品・サービスの購入や利用を強制することは違法行為となります。

  • 報復措置(第1項第7号)

下請事業者は、下請いじめにあっていたとしても、それを公正取引委員会や中小企業庁に報告したことで親事業者から報復を受けることを恐れています。
そのため、下請けいじめにあっていても違法行為の報告をできないでいる下請事業者が少なくありません。

報告をしたことで取引を停止されたり取引の条件を不利に変更されたりしたら下請事業者の事業の存続に悪影響となります。
そのため、違法行為の報告を理由に報復措置をとることは違法行為となります。

  • 有償支給原材料等の対価の早期決済(第2項第1号)

下請事業者の中には、受注した物を完成させるために親事業者から原材料等を有償で受給している場合があります。
この場合、親事業者の下請代金の支払期日よりも早期に原材料等の決済をすることは違法行為となります。

  • 割引困難な手形の交付(第2項第2号)

親事業者の中には、下請代金の支払いを現金で行わずに手形で行う場合があるでしょう。
手形を交付する場合、一般の金融機関で支払い期日までに割引困難な手形を交付することは違法行為となります。

  • 不当な経済上の利益の提供要請(第2項第3号)

親事業者が下請事業者に対し、不当な経済上の利益の提供をさせることは違法行為となります。

  • 不当な給付内容の変更及び不当なやり直し(第2項第4号)

下請事業者に責任がないにもかかわらず、下請事業者の給付内容に関し不当な変更ややり直しを求めることは違法行為となります。

4、下請けいじめは多発している!実際にあった事例3つ

下請けいじめは多発している!実際にあった事例3つ

上記のケースが下請法で禁止されている違法行為の類型となります。
ここからは、違法行為のより具体的なイメージを持っていただくために、下請いじめで実際にあった事例をご紹介します。

(1)1年で約5100万円を手数料名目で支払わせた事例(マツダ)

1つ目のケースは、下請法違反でマツダが公正取引委員会から勧告を受けた事例です。
2018年11月から2019年10月までの1年間で手数料などとして約5100万円もの金額を下請事業者である資材メーカーに支払わせていたことが明るみになりました。
このケースは、不当な経済上の利益の提供要請として、下請法4条2項3号に該当する違法行為です。

(2)下請代金の減額をさせた事例(サンエス)

2つ目のケースは、株式会社サンエスが公正取引委員会から勧告を受けた事例です。

株式会社サンエスは、本来下請事業者が負担する必要のない金額を下請事業者に負担することを要請し、下請代金の中からその金額を差し引き、実質上の下請代金の減額をしていたことが明らかになりました。
その代金は総額で4億円を超えます。このような減額の要請は4条1項3号に該当し違法となります。

また、上記とは別に、下請事業者が菓子を製造する際、菓子の製造に必要な原材料をサンエスから購入させ、その原材料の代金につき、下請代金の支払いよりも前に原材料費を支払わせていました。
この行為は、4条2項1号の有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止に該当し違法となります。

(3)下請事業者の給付の受領を拒否した事例(フェリシモ)

3つ目のケースは、株式会社フェリシモが公正取引委員会から勧告を受けた事例です。

株式会社フェリシモは、発注書面に下請事業者からの給付を受領する期日を記載せず、納品期間を口頭で伝えるのみとし、納品期間が経過しても下請事業者からの給付の受領を拒否しました。
給付を受領していないことから下請代金の支払いをしておらず、未払いの下請代金の総額は8608万2291円となっています。
この行為は受領拒否として4条1項1号に該当し違法となります。

5、下請けいじめにあったときの対処法

下請けいじめにあったときの対処法

それでは、下請いじめにあったときはどのように対応すれば良いのでしょうか?確かに、下請法違反があれば公正取引委員会に通報することは可能ですが、下請事業者の事業継続を考えると、通報が必ずしも得策とは限りません。
以下、下請けいじめにあったときの対処法を確認していきましょう。

(1)まずは企業間で交渉する

公正取引委員会に通報する前に、下請事業者がやるべきことがあります。
通報をして事態を公にする前に、まずは企業間で交渉をしましょう。

親事業者としても、下請法違反が明るみにでれば企業イメージの悪化は避けられないため、事態が公になるよりは下請け事業者との交渉に応じることに一定のメリットがあります。
まずは親事業者との間で交渉をしてみてください。

(2)下請かけこみ寺(中小企業庁)に相談する

中小企業庁では、下請かけこみ寺として、中小企業の取引のトラブルに関する相談を受け付けています。
商品の代金を支払ってもらえない、下請事業者に責任がないにもかかわらず商品を返品された等、取引のトラブルに関して相談に乗ってもらうことができます。
また、トラブル解決に必要な場合は、弁護士に無料で相談をすることもできます。

(3)調停(ADR)を利用する

取引に係る紛争を迅速・簡便に解決するため、調停手続(ADR)を利用することも選択肢の一つです。
調停人(弁護士)が全都道府県に配置されており、相談者の身近なところでADRを利用できます。

ADRを利用すると、紛争当事者間で和解をすることができる可能性があります。
ADRは訴訟とは異なり公開手続きではないので、当事者以外に紛争の存在や内容を知られずに秘密が守られる点もADRを利用する大きなメリットです。

中小企業の取引に関するトラブルでADRを利用するには、下請かけこみ寺に連絡すれば案内してもらえます。

(4)公正取引委員会に通報する

上記の方法によっても事態が解決しなかった場合、公正取引委員会に通報することも検討しましょう。
公正取引委員会では、電話による相談以外にインターネットでの通報も可能です。
匿名での相談も可能ですが、なるべく匿名の相談は避けることが推奨されています。

(5)損害賠償請求訴訟を起こす

公正取引委員会に通報したとしても、当事者間のトラブルが解決するかどうかはわかりません。
公正取引委員会は当事者間のトラブルの解決を図るものではないので、未払い代金の回収等、トラブルの現実的な解決を望む場合は損害賠償請求をしていくことが必要です。

6、親事業者の対応に納得できないときは弁護士に相談を

親事業者の対応に納得できないときは弁護士に相談を

下請けいじめは過去の事例を見ても明らかなとおり、実際に数多く発生しています。
親事業者の言いなりになっていれば、今後もさらに下請けいじめがエスカレートする可能性もあるでしょう。
下請いじめを受け、親事業者の対応に納得できないときは弁護士にご相談ください。

下請いじめが違法だからといって、すぐに公正取引委員会に通報したり損害賠償請求訴訟をしたりすることが得策とは限りません。
下請事業者の事業存続や今後も親事業者との取引を継続していくためにどのような方法がベストなのか、弁護士に相談をすることでアドバイスをもらうことができます。

また、実際に親事業者と交渉したりADRや訴訟手続きを利用したりする際、弁護士に依頼をしておけば、弁護士が下請事業者の代理人として交渉や手続きを代行してくれます。

下請けいじめに関するQ&A

Q1.下請けいじめとは?

取引を発注する側が受注する側に対して、自身の有利な立場を利用し、発注条件の改悪や対応困難なことを押し付ける等して、受注側の利益を著しく害することをいいます。

本来なら、著しく利益を害する取引など受注しなければよいのですが、下請け企業の場合はそう簡単にはいきません。
発注してもらわなければ下請け企業は利益を出すことができないので、理不尽な要求でも飲まざるを得ないことが多々あります。
このような下請け企業の弱みにつけこみ発注側が下請けいじめをすることが問題となっています。

Q2.下請けいじめはどのようなケースで問題となるのでしょうか?

下請けいじめに該当するケースは道義的に問題となるだけでなく法律により禁止されています。

日本では、親事業者による下請事業者に対する優越的地位を背景とした濫用行為を取り締まるために下請法(下請代金支払遅延等防止法)という法律が制定されています。
この法律により、親事業者(強い立場)から下請事業者(弱い立場)へのいじめが禁止されています。

ここで問題となるのが、どんな事業者が「親事業者」「下請事業者」に該当するのかという点です(下請法2条7項・同条8項)。
どのような事業者が「親事業者」「下請事業者」に該当するのかは取引内容により異なります。 

  • 「製造委託等」(製造委託、修理委託、情報成果物作成委託及び役務提供委託)をする場合(同法2条5項)

資本金3億円超の「親事業者」と、資本金3億円以下(個人も含む)の「下請事業者」の取引(2条7項1号、2条8項1号)または

資本金1千万円超3億円以下の「親事業者」と、資本金1千万円以下(個人も含む)の「下請事業者」の取引(2条7項2号、2条8項2号)

  • 情報成果物作成委託又は役務提供委託(上記の場合を除く)(2条6項参照)

資本金5千万円超の「親事業者」と、資本金5千万円以下の「下請事業者」(個人も含む)の取引(2条7項3号、2条8項3号)または

資本金1千万円超5千万円以下の「親事業者」と、資本金1千万円以下(個人も含む)の「下請事業者」の取引(2条7項4号、2条8項4号)

Q3.下請いじめにあったときはどのように対応すれば良いのでしょうか?

下請法違反があれば公正取引委員会に通報することは可能ですが、下請事業者の事業継続を考えると、通報が必ずしも得策とは限りません。
以下、下請けいじめにあったときの対処法を確認していきましょう。

①まずは企業間で交渉する

公正取引委員会に通報する前に、下請事業者がやるべきことがあります。
通報をして事態を公にする前に、まずは企業間で交渉をしましょう。

親事業者としても、下請法違反が明るみにでれば企業イメージの悪化は避けられないため、事態が公になるよりは下請け事業者との交渉に応じることに一定のメリットがあります。
まずは親事業者との間で交渉をしてみてください。

②下請かけこみ寺(中小企業庁)に相談する

中小企業庁では、下請かけこみ寺として、中小企業の取引のトラブルに関する相談を受け付けています。
商品の代金を支払ってもらえない、下請事業者に責任がないにもかかわらず商品を返品された等、取引のトラブルに関して相談に乗ってもらうことができます。
また、トラブル解決に必要な場合は、弁護士に無料で相談をすることもできます。

③調停(ADR)を利用する

取引に係る紛争を迅速・簡便に解決するため、調停手続(ADR)を利用することも選択肢の一つです。
調停人(弁護士)が全都道府県に配置されており、相談者の身近なところでADRを利用できます。

ADRを利用すると、紛争当事者間で和解をすることができる可能性があります。
ADRは訴訟とは異なり公開手続きではないので、当事者以外に紛争の存在や内容を知られずに秘密が守られる点もADRを利用する大きなメリットです。

中小企業の取引に関するトラブルでADRを利用するには、下請かけこみ寺に連絡すれば案内してもらえます。

④公正取引委員会に通報する

上記の方法によっても事態が解決しなかった場合、公正取引委員会に通報することも検討しましょう。
公正取引委員会では、電話による相談以外にインターネットでの通報も可能です。
匿名での相談も可能ですが、なるべく匿名の相談は避けることが推奨されています。

⑤損害賠償請求訴訟を起こす

公正取引委員会に通報したとしても、当事者間のトラブルが解決するかどうかはわかりません。
公正取引委員会は当事者間のトラブルの解決を図るものではないので、未払い代金の回収等、トラブルの現実的な解決を望む場合は損害賠償請求をしていくことが必要です。

まとめ

下請けいじめは本来あってはならない違法行為ですが、現実に発生しています。
下請事業者は弱い立場にあるので、なかなか親事業者に意見を言えない場合が多いかもしれませんが、泣き寝入りをしているとどんどん下請けいじめがエスカレートする可能性もあります。
下請けいじめについてどのように対処すればいいかわからない場合、まずは一度弁護士にご相談ください。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

ベリーベスト 法律事務所弁護士編集部
ベリーべスト法律事務所に所属し、企業法務分野に注力している弁護士です。ベリーベスト法律事務所は、弁護士、税理士、弁理士、司法書士、社会保険労務士、中国弁護士(律師)、それぞれの専門分野を活かし、クオリティーの高いリーガルサービスの提供を全国に提供している専門家の集団。中国、ミャンマーをはじめとする海外拠点、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも特徴のひとつ。依頼者様の抱える問題に応じて編成した専門家チームが、「お客様の最高のパートナーでありたい。」という理念を胸に、所員一丸となってひたむきにお客様の問題解決に取り組んでいる。
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