裁判所以外で示談できる?「交通事故ADR」の概要と3つのメリット

交通事故ADRとは?交通事故ADRのメリット・デメリット

交通事故ADRをご存知でしょうか。

交通事故の示談交渉がうまくまとまらないときの解決方法にはどんなものがあるでしょうか?

交通事故ADRは、交通事故の示談交渉がうまくまとまらないときの訴訟以外の解決手段です。
裁判所以外の機関でも損害賠償の支払に関する加害者側保険会社との話合いを行うことができます。

これらの裁判所以外の紛争解決手続き(ADR機関)は、無料で利用できる手続きも多く、損害賠償額の増額も期待できるなどメリットも少なくありません。

そこで今回は、

  • 交通事故ADRの概要
  • 交通事故ADRについての申請手続きの種類
  • 交通事故ADRにおけるメリット・デメリット

などについて解説していきます。

交通事故は誰もが被害者になる可能性のある最も身近なトラブルのひとつです。
万が一の場合に備えて、さまざまな知識を習得しておくとよいでしょう。
この記事がお役に立てば幸いです。

また、こちらの関連記事では交通事故の相談先についてご紹介しています。突然の交通事故で相談先にお困りの方はこちらの記事も参考にしていただければと思います。

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1、交通事故でもADR。「ADR」とはどんな手続き?

交通事故ADRとは?交通事故ADRのメリット・デメリット

ADRとは、裁判所以外で実施される紛争解決のための手続きの総称です。
英語のAlternative Dispute Resolution(裁判に代替する紛争解決のための仕組み)の頭文字からADRとよばれています。

海外では、国際商事仲裁のようなBtoBのトラブル(国をまたぐ企業間の契約紛争)などの処理によく用いられますが、近年では日本でもさまざまな紛争類型についてADRが積極的に活用されるようになっています。

ADRの一般的なところについては以下の関連記事でより詳しく解説しています。

2、交通事故紛争を解決してくれる2つのADR機関

交通事故ADRとは?交通事故ADRのメリット・デメリット

交通事故は、数の多い典型トラブルのひとつということもあり、日本でも比較的古くから積極的にADR利用がなされています。

特に、

  • 交通事故紛争処理センター
  • 日弁連交通事故相談センター

は交通事故ADRの代表的な存在としてよく知られていますし、これまでの利用実績も他のADR機関と比べてずば抜けています。

(1)交通事故紛争処理センター

交通事故紛争処理センターは、1974年に設立されたADR機関の中でも特に歴史のある組織です。
東京本部のほか、札幌・仙台・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・さいたま・金沢・静岡に支部・相談室があります。

交通事故紛争処理センターでは、

  1. 相談
  2. 和解あっせん
  3. 審査請求

の3つの手続きがあり、いずれも「無料」で利用することができます。

①相談

相談は、ADR利用の入口となる手続きです。

交通事故紛争処理センターと契約している担当弁護士に、それぞれのケースについての相談をすることができます。

そもそもどう対応すべきかわからない、相手方保険会社から提示された示談金の額が適切かどうかわからない、相手方保険会社の言い分が理解できないといった場合などさまざまな相談が可能です。

もっとも、交通事故紛争処理センターの業務は示談をめぐる紛争解決を前提としているため、示談交渉の段階に至っていない場合は相談をすることができません。

事故直後や治療中に困ったときは、後述の日弁連交通事故相談センターや弁護士等に相談しましょう。

②和解あっせん

和解あっせんは、交通事故紛争処理センター(の担当弁護士)に事故の相手方保険会社との示談交渉の仲立ちをしてもらう手続きです。

自分1人では相手方保険会社と上手く話合いができない場合、相手方保険会社から提示された示談金の額に納得できないときなどに利用するとよいでしょう。

③審査会による審査

審査は、交通事故紛争処理センターの審査会が、それぞれの交通事故トラブルの解決方法(賠償金額)などを裁定する手続きです。

審査が利用できるのは、和解あっせんを利用しても相手方保険会社との話合いがまとまらなかった場合です。

なお交通事故紛争処理センターの審査では、相手方保険会社はセンターの裁定に不服を述べることができません。

したがって申立人(交通事故被害者)がセンターの裁定内容に不服がないときには、その内容どおりに、相手方保険会社との示談が成立します。

被害者側が裁定内容に不満があるときには拘束力は生じません。その場合には、通常は民事訴訟の手続に移行することになるでしょう。

④交通事故紛争処理センターを利用できないケース

次のようなケースでは、交通事故紛争処理センターを利用できない場合がありますので注意しましょう。

  • 加害者が自動車・原付自転車ではない事故(自転車と歩行者、自転車と自転車の事故など)
  • 搭乗者傷害保険や人身傷害保険など、自分が契約している保険会社又は共済組合との保険金、共済金の支払いに関する紛争
  • 自賠責保険(共済)後遺障害の等級認定・有無責等に関する紛争
  • 相手方の保険会社等が不明の場合
  • 加害者が任意自動車保険(共済)契約をしていない場合
  • 加害者が契約している任意自動車保険(共済)の約款に被害者の直接請求権の規定がない場合
  • 加害者が交通事故紛争処理センターとは契約関係にない共済組合(JA共済連、こくみん共済 COOP(全労済)、交協連、全自共及び日火連以外の共済組合)である場合

(2)日弁連交通事故相談センター

日弁連交通事故紛争処理センターは、すべての弁護士が登録しなければならない組織である日弁連(日本弁護士連合会)によって1967年に設立された伝統あるADR機関です。

日本全国すべての都道府県に、合計150カ所以上の相談所が設けられていて、利便性もかなり高いといえます。

①日弁連交通事故相談センターでの手続き

日弁連交通事故相談センターでの手続きは、

  1. 相談
  2. 示談あっせん
  3. 審査

の3段階の手続きがありますが、基本的には上で紹介した交通事故紛争処理センターと同様で呼び名が違うだけです。

いずれの手続きも無料で利用できる点も交通事故紛争処理センターと同様です。

②交通事故紛争処理センターとの違い

日弁連交通事故相談センターと、交通事故紛争処理センターとの主な違いは次の点にあります。

  • 日弁連交通事故相談センターの方が拠点数が多い
  • 日弁連交通事故相談センターは電話相談が可能であり、面接相談でも必ずしも予約をする必要がない
  • 日弁連交通事故相談センターは示談交渉段階に至っていなくても相談が可能
  • 日弁連交通事故相談センターの方が相手方が共済組合の場合に利用しやすい(協定をしている共済組合が多い)

なお次のようなケースでは日弁連交通事故相談センターを利用することができませんので注意しましょう。

  • 調停または訴訟手続きが既に開始されているとき
  • 他の機関(交通事故紛争処理センターなど)にあっせんを申し込んでいる事案であるとき
  • 不当な目的により申込みをしたものと認められるとき
  • 当事者が権利又は権限を有しないと認められるとき
  • 弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)違反の疑いがある者(いわゆる事件屋など)からの申込みであるとき
  • その他、示談あっせんを行うに適当でないと認められるとき

(3)その他のADR

交通事故紛争を取り扱うことのできるADRとしては、上で紹介した2つの機関以外にも次のようなものがあります。

ADR機関名

内容

費用

弁護士会紛争解決センター(仲裁センター)

全国の弁護士会のそれぞれで設置しているADRセンター

有料

自賠責保険・共済紛争処理機構

自賠責保険・自賠責共済から支払われる保険金・共済金・賠償額に関して発生した紛争のみが対象が対象です。後遺障害認定に関する問題が中心。

無料

そんぽADRセンター

自動車保険に関する相談や保険会社に対する苦情を受付、処理するほか、損保会社との紛争解決の支援(和解案の提示)など

無料

3、交通事故の示談をADRで行う3つのメリット

交通事故ADRとは?交通事故ADRのメリット・デメリット

交通事故の示談をADRで行うことのメリットとしては、次のような点が挙げられます。

(1)手続きを無料で利用できる

交通事故に関するADR手続きのほとんどは「無料」で利用できます。

交通事故に遭ってさまざまな負担を強いられている被害者にとっては、無料で相談・あっせん(審査)を行ってくれることはとても心強いでしょう。

(2)片面的に強制力がある

交通事故紛争処理センター・日弁連交通事故相談センターの和解(示談)あっせんは、「片面的強制」という仕組みを採っているのが特徴です。

片面的というのはそれぞれのセンターと損害保険会社・共済組合が、センターが下した裁定(審査)内容を尊重する(事実上は「従う」)という契約を結んでいるため、仮に保険会社に不利な結論となっても不服を述べることができないということなのです。

したがって申立人(被害者)が裁定結果に満足できればその内容で示談することができます。

逆に、申立人が裁定結果に不服があれば、それに従わないという選択権を持つことになります。

(3)損害賠償額の増額が期待できる

弁護士に交渉を依頼せずに被害者のみで示談交渉を行った場合には、相手方保険会社は自賠責保険の賠償金をベースに損害賠償額を算出することがほとんどです。
自賠責保険が定める上限額以内で示談をまとめることができれば、それぞれの任意保険会社からの持ち出し分が生じないからです。

そのため弁護士を介さない示談交渉は、弁護士を介して示談交渉をする場合に比べ、損害賠償額が低額になることが少なくありません。

ADRを利用した場合には、裁判所が損害賠償額を算出する場合の基準に準拠して損害賠償額が算定されるため、損害賠償額の増額を期待することができます。

4、交通事故ADRを利用する際の注意点~手続き的なデメリット

交通事故ADRとは?交通事故ADRのメリット・デメリット

交通事故ADRは無料で利用でき損害賠償額を増額させられる可能性が生じる点でとても便利な仕組みといえます。
しかし次のようなデメリットもあり、リスクの全くない手続きというわけでもありません。

(1)消滅時効を中断できない

交通事故被害に遭ったときの損害賠償請求権には消滅時効があります。
損害賠償請求を裁判で行った場合には、訴え提起の時点で消滅時効の進行を中断させることができるのですが、交通事故紛争処理センター・日弁連交通事故相談センターのあっせんを利用した場合には消滅時効を中断させることはできません(弁護士会が個別に設置しているADRセンターやそんぽADRセンターでは、一定の条件を満たすと消滅時効の中断が認められることがあります)。

通常の交通事故示談では時効を心配する必要があるケースはあまりありませんが、長期の治療後に後遺障害等級認定に対して異議申立を行うなど、事故発生後の処理に時間がかかってしまった場合には慎重な対応が必要となることもあります。

(2)センターの弁護士は、被害者の味方ではない

交通事故ADRは、無料(もしくは安い費用)で弁護士などの専門的知見を示談に反映させられるという点が大きなメリットといえます。

しかし、センターの嘱託弁護士は、あくまでも話合いを仲介する立場として中立・公平の存在として和解(示談)あっせんに関与します。

被害者の味方として、被害者が有利になるような発言・助言などをしてくれるわけではありませんので、注意する必要があります。

(3)終局的な解決に至らないこともあり得る

交通事故ADRは民間の手続きなので、裁判と異なり必ずしも紛争を終局的に解決させることができるわけではありません。

そもそも裁定結果が被害者にとって満足のいく結論ではない可能性もあります。
また、大前提として、事故の相手方(加害者)が交通事故ADRを利用することのできる保険会社に加入していない場合、仲裁手続を利用することはできません(任意保険のほとんどで利用することができますが)。

5、交通事故ADR以外にも!弁護士の無料相談・弁護士費用特約を上手に活用しましょう

交通事故ADRとは?交通事故ADRのメリット・デメリット

弁護士の助言は、ADR以外の方法でも得ることができます。
たとえば、交通事故に関する法律相談は、多くの事務所が無料で行っています。
個別事務所の相談であれば、中立的な立場からではなく、まさに被害者のために事案を検討し、必要なアドバイスをしてもらうことができます。

また自分の自動車保険に弁護士費用特約(弁護士保険)が付帯されている場合には、交通事故の示談を弁護士に依頼しても、その費用は保険金から支払われます。

あまり知られていないことのようですが、弁護士費用特約を利用しても翌年の保険料に影響しませんので、積極的に活用するとよいでしょう。

まとめ

交通事故の示談は、専門知識のない被害者にとっては、「よくわからない」ということも少なくありません。
実際に、わからないままに「そういうものなのかなぁ」と示談に応じ、十分な補償を得らず後悔するというケースは珍しくありません。

交通事故ADRは、交通事故に詳しい弁護士が示談・和解を仲介してくれるため、より公平な結論で決着することの期待できるメリットの大きい手続きです。
しかし、複雑な案件や重い後遺障害が残ってしまったケースでは、交通事故ADRにより解決してしまうのではなく、裁判を起こすことが適切な損害賠償額の確保に繋がることもあるでしょう。
ご自身の事案でどのような手続きを採ることが適切なのかを含め、まずは弁護士に一度相談してみることをおすすめします。

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