空き家問題を解決する方法|放置してきた空き家は収入に変えよう!

空き家問題

空き家問題で悩む人は年々増加しています。

将来親が亡くなったら、継ぐ人のいない実家は空き家になってしまう―。中には近隣住民へ迷惑がかかってしまうケースもあることから、空き家問題は全国的な社会問題に発展しています。

そこで今回は、

  • 空き家が増え続けている3つの原因
  • 知っておきたい「空き家対策特別措置法」の基本
  • 空き家を放置する2つのデメリット
  • 所有者必見!空き家問題の解決策

について、ひとつひとつ詳しく解説していきます。

自分が現在所有している、あるいは近いうちに相続することになるかもしれない空き家をどうすれば良いのかお悩みのみなさんにとって、この記事が適切な対策を行うためのご参考になれば幸いです。

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1、空き家問題について知る前に|そもそも「空き家」とは?

そもそも空き家には、大きく分けて全部で4つの種類があることをご存知ですか?
みなさんがお持ちの空き家がどれにあたるのかも含めて、それぞれの特徴をチェックしていきましょう。

(1)空き家の種類

①賃貸用

賃貸用とは、その名の通り賃貸用住宅に人が入っていない状態の空き家のことです。
新築・中古問わず、人に貸すための部屋に誰も住んでいない状態であればこれに該当します。

②売却用

賃貸ではなく、分譲として売りに出している住宅で売れてない状態のものは、こちらに当てはまります。
建売住宅で新築の状態であっても、入居者がいなければ空き家です。

③別荘系

別荘系は二次的住宅とも呼ばれ、いわゆるリゾートだけでなく、たとえば残業で遅くなったときにのみ寝泊まりをするセカンドハウスなどもここに含まれます。

生活の主体は別の家にあり、所有者が本宅で過ごしている間は空き家状態になる住宅全般のことです。

④その他

空き家の中でも、最も問題となりやすいのが上記以外の理由で無人になっている住宅です。
相続で話し合いが長期化している場合や、本来行われるべき相続の手続きが行われていない=相続人不明の場合、また過疎化によって住み手がいない場合などの理由による空き家です。

(2)空き家の種類でみる現在(2019年)の空き家率

2019年7月現在、最も新しい空き家率に関するデータとしては、総務省が4月に発表した2018年10月時点のものを挙げることができます。
このデータによると、全国の空き家率は13.6%という過去最高の数字を記録し、全846万戸の空き家のうち、先ほどご紹介した4種類の内訳は次のような割合になっていることが分かりました。

  • 賃貸用:431万戸(50%)
  • 売却用:29万戸(4%)
  • 別荘系:38万戸(5%)
  • その他:348万戸(41%)

(参考)日本経済新聞

このうち賃貸用・売却用・別荘系の空き家はその目的がはっきりとしており、所有者による管理も比較的行き届いている傾向がありますが、その他の空き家は所有者が不明な状態となっているケースも多く、適切な管理が行われないまま長年放置されがちです。

そのためトラブルの原因になりやすい上、戸数も全体の4割と大きな割合を占めています。

この記事では、そんな「その他」の空き家問題について主に解説していきますので、これから相続を控えたみなさんもぜひ参考にしてください。

2、空き家が増え続ける3つの原因とは?

国内の空き家が年々増加し続けているのは、一体なぜなのでしょうか。
ここからは、その原因を掘り下げて見ていきましょう。

(1)節税対策のために空き家を放置してしまう

①固定資産税・都市計画税対策

引越しによって空き家になった場合、固定資産税の観点から空き家にしたままである可能性が考えられます。

土地と家屋に固定資産税がかかりますが、土地に関しては家屋が建っていると1/6〜1/3税金が安くなるのです(住宅用地の特例)。
家屋分の税金を支払ったとしても、総額として安くおさまるケースがあるわけです。

地域によっては「都市計画税」が課されることもあるのですが、これも家屋があることで1/3〜2/3税金が安くなります。

不動産が住宅の場合は、「住宅用地の特例」としてこの2つの税金が以下のように優遇される仕組みになっているのです。

区分固定資産税 優遇率都市計画税 優遇率
小規模住宅用地1/61/3
一般住宅用地1/32/3

※小規模住宅用地:200平方メートルまでの住宅用の土地
※一般住宅用地:200平方メートルを超えた住宅用の土地

②相続税

家の名義人たる住人が亡くなり、家が相続の対象となった場合、(基礎控除等でゼロにならない限り)相続人たちは総相続財産にかかる相続税を支払わなければなりません。

相続財産の「小規模宅地」はその評価額を大幅に減額できるとする特例があり、この特例を使うことにより相続税をゼロにする、もしくは減額させるため、相続当初、家屋を取り壊さず「小規模宅地」として残した経緯がある可能性があります。

相続人が住まなくなった時に取り壊すべきですが、取り壊し等の時間や費用の問題から放置につながっていることもあるでしょう。

(2)相続問題でモメている

住宅は、現金のように相続人の頭数で割って分けるということができない財産のため、相続で揉め事の種になりやすい傾向があります。

たとえば一人暮らしをしていた親が亡くなって実家が相続の対象となった場合、どのような形で相続するのかが決まらない限りはその家も無人のまま放置される…というケースがほとんどです。

最終的に相続が成立すれば、本来は「登記」という不動産の名義変更手続きを行う必要がありますが、この手続きには特に期限が設けられていないため、新しい所有者が不明のまま年月を経てしまうというパターンもあります。

また、話し合いの結果複数名が共同名義で住宅を所有することになった場合、売却の際には名義人全員の同意が必要になり、なかなか簡単には手続きを進めることができないため、やはり空き家のまま放置されやすい側面があるでしょう。

(3)高齢化社会

現在日本は高齢化社会を迎えており、高齢者の一人暮らし世帯も年々増加しています。

そういった高齢者の方が、たとえば体調を崩して入院したり、老人ホームに入居することになったりすると、それまで住んでいた家はどうしても一時的に空き家となります。

なかなか体調が戻らず、もはや回復の見込みがないという状況になったとしても、本人が「最期は自宅で迎えたい」という希望している場合をはじめ、やはり売却などの手続きのタイミングを測ることが難しいケースは多いのです。

3、空き家対策の救世主⁈ 空き家対策特別措置法とは?

年々深刻さを増す空き家問題への対策として、平成26年に成立した法律に「空き家対策特別措置法」というものがあります。

残念ながら今はまだ理想通りの運用が叶っていない部分も大きいと言われていますが、その理由も含めて法律のポイントを押さえていきましょう。

(1)どんな法律なのか?

空き家対策特別措置法は、老朽化などにより倒壊の危険がある空き家や、周辺環境の悪化につながる空き家を「特定空家」に指定し、所有者に対して以下の流れで適切な管理を促す手続きを定めた法律です。

  1. 助言:「植木が道路まではみ出しているため、除草してください」というように、所有者へ具体的な問題点を伝えます。
  2. 指導:所有者が助言に従わない場合、助言よりも重い行政指導を行います。
  3. 勧告:指導後も状況が改善されない場合は勧告が行われ、先ほどご紹介した「住宅用地の特例」から外されるため税金の優遇を受けることができなくなります。
  4. 命令:最終的には行政処分にあたる改善命令が行われ、命令に従わない所有者には50万円以下の罰金が科せられます。

(2)空き家対策特別措置法が理想通りに運用されないワケとは

一見、所有者に対して効果的に改善を促すことができる仕組みのようにも思える空き家対策特別措置法ですが、現状なかなか理想通りに運用されていない背景には次の理由を挙げることができます。

①行政の人手不足

法律を適切に運用するためには、まずどの空き家を「特定空家」と定めるのか、事前調査が必要不可欠です。

しかし、そのために十分な人手はなかなか確保することができておらず、今後の課題のひとつとなっています。

②空き家の所有者にたどり着けない

空き家の中には、登記の手続きが行われていないことにより現在の所有者が誰なのか分からないケースも散見されます。

最後の所有者が死亡しているケースでは戸籍から相続人を追うこともできますが、ここでも行政の人手不足からそこまで追跡をする余裕がないのが現実でしょう。

空き家の所有者にたどり着けない場合、そもそも助言を行うことができません。

4、空き家を放置することにより起きる社会問題とは?

ここからは、空き家が引き起こす社会問題についても具体的に見ていきましょう。

(1)倒壊による事故

長年手入れされず老朽化した住宅は、台風や地震などの際に倒壊する危険があります。
それによって隣の住宅を損傷させてしまったり、通行人を巻き込んだ事故になってしまったりする可能性もあり、注意が必要です。

(2)犯罪発生率が増加

空き家はホームレスや不良グループの溜まり場になってしまうことが多く、犯罪の温床になりがちです。
中には放火などの重大犯罪につながることもあります。

(3)景観が悪くなる

伸び放題になった雑草や捨てられたゴミなどが、住宅地の景観を損ねてしまうことも無視できない問題です。
その外観から空き家であることを把握した廃棄物の処理業者が不法投棄を行うようなケースもあり、周辺の治安にも少なからず影響を与えるでしょう。

(4)近隣住民とのトラブル

手入れされていない植木が隣の家の敷地内まで伸びてしまったり、捨てられたゴミが悪臭を放ってしまったりと、近隣住民から苦情が寄せられるパターンも非常に多いです。
衛生環境が悪化することで害虫や害獣が棲みつきやすくなるところも、トラブルの種になります。

(5)自治体の財政破綻

明海大学不動産学部の斎藤広子教授によれば、空き家率と自治体の財政破綻には密接な関係があり、空き家率が30%を超えた自治体は財政破綻を起こす可能性が高いと言われています。
実際、過去に財政破綻した夕張市の空き家率は33%、アメリカのミシガン州にあるデトロイト市も29.3%で財政破綻に陥っており、国内でも空き家率が急上昇している自治体にとっては他人事ではありません。

5、空き家を放置する所有者の2つのデメリットとは?

社会問題という大きな枠組みだけでなく、所有者にとってもっと直接的なデメリットも空き家には存在しています。

(1)特定空家で固定資産税が4.2倍に

空き家対策特別措置法により特定空家に指定された上、助言・指導に続く勧告を受けてしまった場合、固定資産税の優遇(小規模住宅用地で1/6)が適用されなくなってしまいます。

優遇がなくなると単純に言えば固定資産税が6倍になるのですが、厳密には土地にかかる固定資産税は評価額の70%が上限となっているため、6倍×0.7=最大4.2倍が実際の負担となるでしょう。

(2)売却しにくくなる

空き家の状態で放置し続けた結果、建物が劣化したり犯罪が起こってしまったりすると、その分不動産としての価値は低くなります。

特に犯罪現場となった場合は売却時にも事故物件として取り扱われ、本来の価値よりだいぶ安い価格でしか売りに出せないケースもあるため、気を付けましょう。

6、所有者必見!すぐに利用できる空き家問題の解決策とは

国土交通省では、空き家対策としてさまざまな支援メニューを設けています。
本項では、空き家の所有者に関係のある支援メニューをご紹介していきますので、空き家問題の解決をするに当たってぜひ参考にされてください。

(1)助成金(補助金)をもらって解体

解体したくても費用がかかる・・・。

解体を後回しにする理由としては、その家への(壊したくないという)「思い」と並び、「費用」もネックになってくるところでしょう。

実は、解体費用には助成金(補助金)制度があります。
といっても、助成金(補助金)の支援主体は国でなく自治体です。
そのため、自治体の予算の関係上、この制度がまだない自治体もあります。
空き家がある地域の自治体に、解体金助成制度があるかどうか確認してみましょう。

(2)賃貸したい

①住宅確保要配慮者への賃貸   

「住宅確保要配慮者」とは、高齢者や低所得者、被災者などをさし、このような方達への賃貸に特化した賃貸を国では準備しています(セーフティネット法)。   

人のためになる。そんな賃貸をされたい場合、ぜひ空き家を登録してみてください。   
登録先は、都道府県等です。
こちらも空き家がある自治体に問い合わせてみましょう。   

②しっかりした造りの住居の賃貸   

耐震性を備え建物状況調査等が行われた住宅であれば、「安心R住宅」(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)としての登録が可能です。
この登録ができれば国が商標登録した「安心R住宅」のロゴマークを事業者が広告時に使用することができるので、簡単に言えば借り手がつきやすい住居、ということができるでしょう。

③ 空き家・空き地バンクへの登録   

空き家・空き地を集約するシステムを構築し、各不動産会社で導入されています。
登録をすれば、賃借、買取のニーズが来ればニーズに従った利用・処分をすることが可能です。

(3)用途変換

今のままでは使いものにならない建物も、高齢者向けのグループホームや観光交流施設など、地域に役立つ建物に用途変更ができれば有効に使えるというケースもあるでしょう。
これも自治体による助成金制度が進められています。
ご興味があれば、解体費用同様、自治体に確認をしてみましょう。

(4)売却(譲渡所得税の優遇)

売却をする場合、売却代金が手に入りますが、この売却代金には譲渡所得税という税金がかかってきます。
空き家売却を容易にするため、この税金を優遇する制度が設けられています。
具体的には、売却代金から3000万円までが控除され、この控除後の金額に譲渡所得税をかけるという制度です。
この制度を利用するには2023年12月31日までの譲渡であることが必要で、また譲渡価格が1億円以下であることなど、一定の条件が備えられています。

(5)お住まいの地域におけるモデル事業をチェック

国は、自治体・民間を問わず、空き家に関する事業を応援しています。
空き家のモデル事業を応援し、そのモデル事業が次々と展開されていくことを目的としています。
お持ちの空き家の地域に、空き家関連のモデル事業がないか、調べてみても良いかもしれません。

7、相続問題、不動産問題についてお困りの際は弁護士へ相談を

いわゆる社会問題としてトラブルになりやすい空き家は、相続によって不動産の名義人が変わるタイミングで発生するケースも多く、登記の手続きが行われないまま放置されることによって、所有者不明の状態に陥ることも決して珍しくはありません。

すでにご紹介してきたように、空き家は周辺の治安の悪化やご近所トラブルに発展しがちな側面もあり、それはみなさんが所有する空き家に関しても例外ではないでしょう。

実際にトラブルが発生してしまった場合はもちろん、「問題が起こる前に手を打っておきたい」というみなさんにも、まずは弁護士への相談をおすすめします。

「不動産や相続に関することは複雑でよく分からない」というときこそ、法律のプロからアドバイスを得てスムーズに手続きを進めていきましょう。

まとめ

節税対策のためには、空き家でも土地に建物が残っていたほうが都合が良いとお考えになっている方も多いかもしれませんが、近隣住民とのトラブル発生のリスクや犯罪の温床となってしまう可能性を考えると、早い段階で売却を検討するなど何かしらの対策を講じたほうが良い場合も多いものです。
管理が行き届かないまま長年放置することにより、建物が劣化し不動産の価値を損なってしまうというケースもあります。

こういったデメリットを回避するためにも、相続などで空き家が発生してしまった際には、どのような対策を取るのがベストなのか1度弁護士に相談してみましょう。

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