専門的な企業法務サービスが、この価格。月額3980円(税込)から顧問弁護士。

お問い合わせ

【公式】リーガルモールビズ|ベリーベスト法律事務所がお届けする企業法務メディア企業法務資金調達ベンチャーキャピタルからの資金調達前に知っておくべき7つ
専門的な企業法務サービスが、この価格。月額3980円(税込)から顧問弁護士。
ベリーベスト法律事務所の弁護士・税理士等からのサポートが受けられます。
企業法務のご相談も受付中。お気軽にお問合わせください。
電話受付時間:平日 9:30~18:00 土日祝除く

ベンチャーキャピタルからの資金調達前に知っておくべき7つ

2021年11月18日
ベンチャーキャピタルからの資金調達前に知っておくべき7つ

目次

ベンチャーキャピタルについて詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。アイディアはあるけれど、ビジネスとして軌道に乗せるにはたくさんの資金が必要そうだ…。そんなとき気になるのが「ベンチャーキャピタル」でしょう。

今回は、

  • ベンチャーキャピタルとは?
  • ベンチャーキャピタルから出資を受けるコツ
  • ベンチャーキャピタルから資金調達を行うメリット・デメリット
  • ベンチャーキャピタルから出資を受ける際の注意点

など「ベンチャーキャピタル」に出資してもらう際のポイントについて、ご紹介します。
資金調達に苦労されている方のご参考になれば幸いです。

1、ベンチャーキャピタルについて知る前に|どのような資金調達方法があるか

どのような資金調達方法があるか

(1)起業や事業拡大に必要となるお金

起業や、成功した後の事業拡大には、資金が必要です。
自己資本は乏しいけれども、優れたアイディアが世に受け入れられるか試してみたい、という場合には、資金調達によって、起業を実現することになるでしょう。

(2)3種類の資金調達法

起業や事業拡大に際して、資金を集める方法は、大きく分けて3種類あります。

①資本家から投資をしてもらう「エクイティ(=資本)ファイナンス」

「投資」とは、設立した会社の株式等、何らかの見返りと引換えに、資金を出してもらうことです。後述する借入れとは異なり、たとえ事業が失敗してしまっても、「渡した金を返せ」と言われることはありません。

もっとも、いわば「お金をあげる」ことになる資本家の方々に、投資先として18納得してもらえるだけの説得力のあるアイディアや事業計画が必須といえます。

また、株式を発行することと引換えに投資してもらった場合、投資家は、「会社のオーナーのひとり」になりますから、仲間内だけの合意だけでは経営が進められなくなる点は注意が必要です。

②銀行等から資金を借入れる「デット(=負債)ファイナンス」

投資とは少し異なったハードルのある資金調達方法が、「借入れ」です。

投資との最大の違いは、いずれ返さなければならないこと、利息を支払わなければならないことです。
失敗前提で起業する人はいないでしょうが、事業に失敗して資金を使い果たしてしまった場合にも、「期限どおり返してください」と追及されてしまいます。

また、「絶対に返します」と言うだけでは銀行も信用してくれないため、よほど優れたアイディアや事業計画がなければ、何らかの担保を要求される可能性が高いでしょう。

もっとも、関係性は、お金の貸し借りのみで非常にシンプルですから、経営について銀行等に決定権を握られてしまうことはなく、お金さえ返せば関係性はなくなります。

③広く一般から資金を募る「クラウドファンディング」

クラウドファンディングとは、まだ企画段階で完全には実現されていない事業について公開し、アイディアを気に入った人から金銭的な支援を受けるという制度です。

クラウドファインディングには様々な型がありますが、その原形は、寄付、購入、融資、投資と、これまでの資金調達の方法と大きく変わるものではなく、WEBを利用してより手軽になり、より規模が大きくなったものといえます。

(3)起業や事業拡大で検討したいエクイティファイナンス

クラウドファインディングほどラフな形は難しいが、デットファイナンスは、バランスシート的にも厳しい。
そんなときは、エクイティファイナンスです。
起業をするなら、後の事業拡大も視野に入れ、担保がなくても、多額の資金を調達しうる「エクイティファイナンス」による資金調達を検討することは、非常に重要です。

2、ベンチャーキャピタルとは

ベンチャーキャピタルとは

ベンチャーキャピタルとは、「投資をする事業体」です。
未上場の会社へ投資をして、その会社の株式を引受ます(株主になります)。
その株式を上場させ、将来的に売る(その売却利益=キャピタルゲインを得る)ことが目的です。

(1)経営に参画することも

ベンチャーキャピタルは、経営者として、投資した会社を上場させるべく意思決定に参画していくこともあります。
ベンチャーキャピタルは、投資をすることで株主となりますので、その議決権を活かして株主総会で信頼のできる役員を会社に送りこむのです。
経営者である取締役の選任を左右することで、経営面をコントロールすることができるようになるわけです。

(2)全くの他人からのエクイティファイナンス

エクイティファイナンスの代表は「第三者割当増資」ですが、これは、起業後すぐの場合は、本人や家族、知人が出資することが多いでしょう。
また、ストックオプション等も、従業員等、知っている間柄におけるケースが大半です。

しかし、完全なる他人から投資を受ける方法もあります。
その大きな役割を担っているのが、「ベンチャーキャピタル」です。

ベンチャーキャピタルは、会社のアイデアや成長率を専門的に分析し、合理的と判断したときに会社に投資します。
ベンチャーキャピタル自身、投資資金を第三者から調達することがよく行われています。
この場合、資金の出所である「第三者」こそが、本当の投資家といえるかもしれません。
ベンチャーキャピタルは、投資事業組合(ファンド)を組成し、そのファンドへ出資してくれる第三者を募ります。

3、日本のベンチャーキャピタルは、証券・銀行・保険会社の関連企業が中心

日本のベンチャーキャピタルは、証券・銀行・保険会社の関連企業が中心

日本のベンチャーキャピタルの特徴としてあげられるのは、多くのベンチャーキャピタルが、証券・銀行・保険会社の関連企業であることです。

「ジャフコ」は、野村ホールディングスが筆頭株主でしたが、現在は、野村ホールディングスが全ての「ジャフコ」株式を手放しています。
「三菱UFJキャピタル」は、三菱UFJ銀行が主要株主です。
「東京海上キャピタル」は、東京海上日動火災の子会社でしたが、東京海上キャピタルの経営陣によるMBOが行われ、現在は「ティーキャピタルパートナーズ」という社名に変更されています。

一方、関連企業をもたない「独立系」と呼ばれるベンチャーキャピタルも存在していて、特定の業種に特化するなどして、成功を収めています。

4、こんな企業がベンチャーキャピタルから資金を集めている

こんな企業がベンチャーキャピタルから資金を集めている

(1)バイオ・製薬系等、初期投資が必要な企業での利用が活発

ベンチャーキャピタルを利用する業種は、半導体・電気一般、バイオ・製薬系、ロボット関連が目立ちます。
これらに共通するのは、研究費用等、利益を出し始める前の初期投資が不可欠ということでしょう。

このほか、金融・不動産・法人向けサービス業も比較的利用が活発です。

(2)アジアへ海外展開している企業でも、ベンチャーキャピタルの利用が活発

また、海外展開の点に着目すると、中国を含むアジア地域に海外展開している企業も、ベンチャーキャピタルの利用が活発です。

(3)80%以上はIPOを考えている企業

さらに、IPO(株式公開)の意向調査においても、ベンチャーキャピタルを利用する企業の70%以上は、IPOを考えています。
やはり、IPOとベンチャーキャピタルは、強い影響関係にあることがわかります。

参照:一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター ベンチャー白書2018

5、出資を受けるコツ ー事業計画を売り込むことが大切

出資を受けるコツ ー事業計画を売り込むことが大切

ベンチャーキャピタルは、少なくないお金を企業に投資することになるわけですから、簡単には決断してもらえません。

一番大事なことは、信頼に足りる事業計画を立てることです。
株式上場等、最終的な成功を見据えた上で、投資してもらったお金を有効に活用すると信じてもらえなければ、どんなにアイディアが良くても、投資してもらうことは難しいといえます。

事業計画を立てることは、実際に事業を進めるうえでも非常に重要ですし、後述するように、どこから、どの程度、資金調達を行うのかを考える意味でも必要な作業ですから、事業計画を綿密に練るようにしてください。

6、ベンチャーキャピタルから資金調達を行うメリット・デメリット

ベンチャーキャピタルから資金調達を行うメリット・デメリット

(1)メリット

①投資額がどれだけ大きくても、返さなくていい!

最大のメリットは、なんといっても、「返さなくていい」ことです(投資してもらう企業が株式を発行し、資本家が投資を行う見返りに、株式等を取得する「エクイティファイナンス」であるため)。
投資の見返りとして、経営権を、株式の形で分割して渡すことになります。
そのかわり、たとえ想定していたほど利益が上がらなくても、借金ではありませんので、投資してもらったお金を返す必要はありません(契約内容によっては、株式の買取を求められることはあり得ます)。

また、ベンチャー企業においては、スタート段階で成功を収めても、その後に、広告費や設備投資費用等がかさむことも多いため、バランスシートを悪化させないまま費用をまかなうことができる意味でも、有効な資金調達手段といえます。

さらに、上記のとおり、返済することが前提となっていませんから、経済的な信用が高くなくても、担保を用意する必要がなく、利息の支払に追われることもありません。
これは、自己資本に乏しい起業家にとって、非常にありがたいことです。

②経営に不慣れでも、相談することができる

さらに、ベンチャーキャピタルとしても、投資した事業がうまく行かないと、損をしてしまいますから、現場からアドバイスを求められれば、これまでの別の企業を育ててきた経験を活かして、良い方向に導いてくれる可能性があります。

(2)デメリットー株主であるベンチャーキャピタルの意向に拘束される可能性

もっとも、ベンチャーキャピタルも慈善事業ではありません。

会社の株式―場合によっては多くの割合―を保有することになり、重要な局面で、独自の意向を伝えてくる可能性があります。
そして、最終的に、他者に株式譲渡することで利益を出すことがベンチャーキャピタルの行動原理ですから、利益を出せる状態になっていなければ、何らかのテコ入れを要求されてしまいます。

特に、悪い状況を打破しようと現場が動いている際に、ベンチャーキャピタルから横やりが入ってしまうことはあります(特に、リスクの大きい手段である場合)。
株式の保有比率に応じて、行使できる権利も異なりますが、いずれにしても、会社としての意思決定に影響が出る可能性は、頭に入れておく必要があります。

7、他の資金調達方法

他の資金調達方法

(1)お金を借りる/社債を発行する「デットファイナンス」

①「デットファイナンス」のメリット

銀行から資金を借りたり、社債を発行したりする…お金を借りる形の「デットファイナンス」と呼ばれる資金調達も広く行われています。

ベンチャーキャピタルからの投資とは異なり、株式発行等の「見返り」は不要ですので、経営に直接介入されることはありません。
そして、お金を返してしまえば関係が切れるため、より良い条件の借入先への「借換え」を行うなど、機動性を保てることはメリットといえるでしょう。

②「デットファイナンス」のデメリット

しかしながら、「借金」であるため、事業が成功しても、失敗しても、返さなければなりません(会社名義で借りたとしても、代表者が連帯保証していることも多いでしょう)。
さらに、(多くの場合、額が大きい)「借金」であるため、利息の支払いだけで、大きな負担となり、経営状態を悪化させるリスクがあります。

(2)不特定多数の人からお金を集める「クラウドファンディング」

①「クラウドファンディング」のメリット

クラウドファンディングが優れているのは、アイディア商品のような形あるものだけでなく、コンテンツ等、商業的な見込みが立ちにくく、企業が出資に二の足を踏む事業でも、内容が人々の目に止まれば、広く金銭的な支援を得られる可能性があることです。

また、投資や融資とは異なり、必ずしも経済的な成果を期待した支援ばかりではないため、採算のとれない企画であっても、支援金が集まる可能性があります(たとえば、公共の利益に適う企画について、支援者には、見返りとして、定期的に詳細な成果報告を行う、といった形)。

② こんな成功例があります

クラウドファンディングは、企画した人が、その企画専用にサイトを作る場合もありますが、「Kickstarter」等、企画した人と支援者をつなげるサイトも存在しています。
同サイトでのクラウドファンディングの実例としては、「Pebble Time」の成功が有名です。Pebble Timeは、iPhoneやAndroid対応のスマートウォッチで、上記のKickstarter上で、50万ドルを目標に支援を募ったところ、目標額はわずか20分で達成され、最終的に2000万ドルもの支援が集まりました。

既存の商品とは異なるアイディアで、必ずしも話題になるかどうかが分からない、専門知識のない素人にも良さが伝わりやすい、といった特徴のある事業であれば、もしかしたら、クラウドファンディングによる資金調達が向いているかもしれません。

8、ベンチャーキャピタルから投資を受ける際の注意点

ベンチャーキャピタルから投資を受ける際の注意点

これらの他の資金調達方法があることも踏まえて、ベンチャーキャピタルから投資を受けようとする場合には、以下の3つのポイントに注意してください。

(1)必要な段階で、必要な額だけ資金調達する

まず、資金調達の前提として、綿密な資金計画・事業計画を立てておき、必要な分だけ、資金調達を行う(無計画に不要な資金調達をしない)ことが非常に重要です。

後述するように、ベンチャーキャピタルからの資金調達には、経営支配への影響等、見逃せないデメリットもありますので、資金調達をしなくても済むよう計画を立てられないか、慎重に検討するべきです(もちろん、このような慎重な姿勢は、利息を含めた返済の必要がある「借入れ」による資金調達でも重要です)。

(2)「返さなくていい」ことと引換えのリスク

ベンチャーキャピタルから投資してもらう形での資金調達の最大の特徴は、投資された資金を返す必要がないことです。
これは、事業が思うようにいかなかった場合のリスクヘッジとして非常に重要ですし、また、借金ではないことから、利息もつかないため、利息が経営を圧迫することも避けられます。

一方で、ベンチャーキャピタルにもメリットがあるからこそ、投資を行うわけですから、通常は、株式等の見返りが必要です。
そして、見返りとして発行する株式の量によっては、後に(特に、経営がうまくいっている場合に)、ベンチャーキャピタルが保有する株式が、会社経営の足枷になってしまう事態も起こりえます。
「6」(2)でもお伝えしましたが、経営上、重要な決定を行おうとした際に、多数の株式を保有するベンチャーキャピタルと意見が対立して身動きが取れなくなってしまうことがしばしばあります。

銀行等からの借入れは、たとえ事業がうまくいかなくても、返さなければならない・すぐに返せないと、利息がついてしまう、といった難点があります。
しかしながら、事業さえうまくいけば、利息を含めた借金をすべて返して、会計上の数字も改善し、返済に苦しめられることもありません。
いつでも、会社に都合のいいタイミングで返してしまえば、何の憂いもなくなります。

しかし、株主相手に、「出資したお金を返すから、出て行ってくれ」は通用しませんし、株主は、経営にも参画します(株主がオーナーなので、当然といえば当然ですが)。

資金調達には、様々な選択肢があるため、出資してもらうにしろ、借入れをするにしろ、それぞれの選択のリスクを踏まえて、慎重に決定してください。

(3)自分に合うベンチャーキャピタルを探す

たとえ良いアイディア・良い計画でも、万人に理解されるということは、まずありえません。

また、投資家が意思決定に関わることも踏まえれば、会社をどうしたいのか、会社 の将来についても、話が合うことは最も重要といえます。

優先順位をつけつつ、たくさんの投資家・ベンチャーキャピタルに投資を打診する地道な努力も必要でしょう。

(4)トラブル回避のため、自らファイナンスや法律について学んでおく

これらの検討にあたっては、起業家自身が、ファイナンスや法律について、知識を身につけておかなければなりません。
起業家向けのファイナンスの解説書は、数多く出版されていますし、また、法律については、株主の権利について、事前に把握しておくことが非常に重要です。

たとえば、会社法においては、下記のように、原則的な決議要件が定められています。

下記の内容は基本的な知識ですが、このような条項を意識した上で、投資家に配分する株式数を考えないと、後で痛い目をみることになるかもしれません。

定足数

決議要件

決議事項

普通決議

議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席

出席した株主の議決権の過半数

・自己株式の取得

・資本金の額の増加

・計算書類の承認

・剰余金の配当    

など

特別決議

株主総会で議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席

出席した株主の議決権の3分の2以上

・譲渡制限株式の買取り

・特定株主からの自己株式取得

・全部取得条項付種類株式の全部取得

・募集株式・募集新株予約権発行における募集事項の決定

・資本金の額の減少

・定款の変更      

など

まとめ

今回は、起業や事業拡大の際に、強い味方になってくれるかもしれない「ベンチャーキャピタル」からの資金調達について、ご案内しました。
どのベンチャーキャピタルに出資をお願いするのか、そもそも、どのような形で資金調達を行うのか、会社の将来を左右する重要な選択ですので、悔いのないようしっかりと検討してください。

もしも、初めての起業で感覚が分からない、相談できる身近な専門家もいない、というときには、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
起業における法的問題も同時に解決してもらうことが期待できます。

※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

ベリーベスト 法律事務所弁護士編集部
ベリーべスト法律事務所に所属し、企業法務分野に注力している弁護士です。ベリーベスト法律事務所は、弁護士、税理士、弁理士、司法書士、社会保険労務士、中国弁護士(律師)、それぞれの専門分野を活かし、クオリティーの高いリーガルサービスの提供を全国に提供している専門家の集団。中国、ミャンマーをはじめとする海外拠点、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも特徴のひとつ。依頼者様の抱える問題に応じて編成した専門家チームが、「お客様の最高のパートナーでありたい。」という理念を胸に、所員一丸となってひたむきにお客様の問題解決に取り組んでいる。
↑ページの先頭へ
0120-538-016
0120-538-016