破産管財人とは? 自己破産を考えたとき知っておきたい8つのこと

破産管財人

破産管財人についてご存知でしょうか?
借金返済が苦しい場合には、自己破産して免責されると借金を0にしてもらえ、人生をやり直すことができます。

自己破産をするときには、「破産管財人」という人が関わることがあります。

破産管財人とはどのような職務を行う人で、破産者にはどのような形で関わってくるのでしょうか?

今回は、破産管財人の職務内容や、債務者が破産管財人と面談する際の注意点など、気になるポイントについて、多数の管財事件で免責決定を獲得してきたベリーベスト法律事務所の弁護士が解説していきます。

管財事件」に関する詳細はこちらの記事をご覧ください。

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1、破産管財人とは?

破産管財人とは

(1)破産管財人ってどんな人?

「破産管財人」とは、どのような人なのでしょうか?

これは、破産手続をすすめるとき、破産者の財産を換価して債権者に配当したり、債権者の免責を認めるかどうかについて裁判所に意見を出したりする人です。

破産をするとき、破産者に一定以上の財産があると、それらをすべて現金に換えて、債権者に配当しなければなりません。

そこで、そういった現金化と配当の作業をする人が必要です。

また、破産者に浪費やギャンブルなどの免責不許可事由がある場合や、その他の問題行動がある場合などには、本当に破産者に免責(借金を0にする決定)を認めて良いのかどうか、慎重に判断しなければなりません。

そこで、破産管財人を選任して現金化や配当の作業を任せ、手続きが円滑に進むようにはかったり、破産管財人に破産者の調査をさせて、裁判所が免責を認めるかどうかの資料としたりしているのです。

破産管財人に就任するのは、その裁判所の管内の弁護士です。

(2)破産管財人が選任される場合

破産管財人は、どのような事件でも選任されるわけではありません。

自己破産には、同時廃止と管財事件という2種類の手続きがあります。同時廃止とは、財産がほとんどない人などが破産するときの簡単な破産手続です。

これに対し、管財事件とは、財産が一定以上ある人や、免責不許可事由がある人などが破産するときの複雑な破産手続です。

これらのうち、破産管財人が選任されるのは、管財事件のみです。同時廃止になった場合には、破産管財人は選任されません。

管財事件になるのは、預貯金などの個別の財産が20万円を超える場合や財産総額が99万円を超える場合などです(係属する裁判所によって運用が異なります)

また、酷い浪費やギャンブルなどがあり、破産管財人による調査が必要な場合にも、管財事件となります。

破産事件全体の件数の中では、同時廃止が選択されるケースの方が多いです。

2、破産管財人の職務内容

破産管財人の職務内容

それでは、破産管財人は、どのような職務を行うのでしょうか?

まず、破産者が破産を申し立てたとき、裁判所はその事件を同時廃止にするか、管財事件にするかを判断します。

そして、管財事件にする場合、破産手続開始決定を出すと同時に破産管財人を選任します。

破産管財人は、選任されると、破産者との面談を行います。そのとき、破産者から財産関係の資料等を預かります。

その後、破産管財人は、預かった財産を現金化していきます。たとえば不動産があったら売却し、預貯金があったら払い戻し、生命保険があったら解約して、破産管財人名義の口座に入れていきます。

換価が終了したら、債権者に対してその財産の配当を行います。

破産手続開始決定後、裁判所では定期的に債権者集会が行われますが、破産管財人は、債権者集会にも出席をして、債権者に対する報告を行います。

また、破産者に酷い浪費やギャンブルなどがある場合には、破産管財人は定期的に破産者を事務所に呼び出して面談を行い、話をするなどして、免責を認めて良いかどうかの調査をします。

そして、破産管財人は、破産手続が終了すると、裁判所に対し、免責についての意見を提出します。

破産管財人による意見は、裁判所が免責を判断する際に重要な資料となりますので、破産者が免責を認めてほしいなら、破産管財人の指示によく従い、その心証を悪くするような不適切な行動をとらないことが大切です。

3、破産管財人との面談では何を聞かれる?

破産管財人との面談では何を聞かれる?

破産手続き開始決定があり、破産管財人が選任されると、速やかに破産管財人の事務所で破産管財人との面談が行われます。

破産管財人は、裁判所管内の弁護士なので、面談場所は破産管財人が所属する法律事務所になることが多いです。

そして、破産者にとって、破産管財人との面談は、非常に緊張する機会と言えます。

「一体何を聞かれるのだろうか?」と不安になってしまうことも多いです。

破産管財人は、破産者との面談前に、破産者が申し立てたときに提出した書類の一式を見て、質問内容を準備しています。

そこで、面談時には、「どうして借金ができたのか」「収入はどのくらいあるのか」「財産はどのくらいあるのか」などの一般的な事項から始まって、個別のケースにおいて破産管財人が気になっていることや資料を見てもわからなかったことなどを聞かれます。

特に難しいことはないので、聞かれたことについて、順番に答えていけば良いです。

破産管財人との面談時には、破産申立てを依頼した弁護士も同行してくれるので、質問されていることがわからない場合などには、申立代理人の弁護士に確認することもできます。

4、破産管財人との面談時の心構え

破産管財人との面談時の心構え

破産管財人と面談を行う際、どのようなことに注意したら良いのでしょうか?

破産管財人は中立的な立場ではありますが、基本的に破産者に免責不許可事由などの問題がなければ、免責を認めようとしてくれます。

「免責をさせないためのあら探し」をされることはありません。

また、破産管財人から、何もしていないのに、きつい口調で追及されたり借金したことを叱責されたりすることはありません。

ただ、破産管財人から聞かれたことには、正直に誠実に答えるべきです。

何かを誤魔化そうとしたり、嘘をついたり隠したりしてはいけません。そのようなことをすると、かえって不利になってしまいます。

5、破産管財人が選任されている免責調査型の場合

免責調査型の場合

管財事件には、免責不許可事由があるために破産管財人が選任されているケースがあります。この場合の管財事件のことを、免責調査型と言います。

免責調査型の場合には、破産者に浪費やギャンブルなどの問題行為があるので、破産管財人から多少厳しく叱責されることもあります。

また、面談も一回では済まず、何度も繰り返されることもあります。

破産事件が係属している間、毎月家計収支表を破産管財人に提出し、問題行為を繰り返していないかどうかのチェックを受けることになります。

最終的に裁判所から裁量免責をしてもらうためには、破産管財人に良い心証を持ってもらわないといけません。

そこで、管財人との面談時には、しっかりと反省していること、もう問題行為をしていないこと、毎月堅実に生活を続けていることなどを伝えてわかってもらいましょう。

6、破産管財人による郵便物の転送について

郵便物の転送について

破産管財人が選任されると、その後は破産者に届いた郵便物が、すべて破産管財人の事務所宛に届くことになります。

破産管財人は、届いた郵便物を開けて、内容をチェックします。

管財人事務所に届いた郵便物の中に、報告していなかった破産者の財産や債権者に関連するものなどがあると、管財人から問合せが来て、説明をしなければなりません。

管財事件になったときに財産を隠そうとしたり、債権者を隠そうとしたりしても、バレてしまうおそれが高いので、そういった行為はしてはいけません。

また、破産手続き中、自宅宛に重要な郵便物が届く予定がある場合には、破産管財人に問合せをして、受取に行かないといけません。

たとえば、光熱費や電話代などの支払いを現金払い(コンビニ払い)にしている場合や税金の納付書が届く場合などには、支払をしないと遅延状態になってしまうので、早めに取りに行って、支払を行うべきです。

就職活動中の採用通知や年賀状などの郵便物も管財人事務所に届くので、必要に応じて受取に行きましょう。郵便物の受取りは、家族に行ってもらうこともできます。

また、管財人に実費を支払うことにより、管財人事務所に届いた郵便を自宅に転送してもらえるケースもあります(個々の管財人によって、取扱いが異なります)

7、破産管財人の費用

破産管財人の費用

管財事件になると、破産管財人の費用がかかります。破産管財人は財産の換価や配当などの手続きを行うので、手間をかけることになるからです。

その費用は、破産管財人に直接支払うのではなく、裁判所に対し「予納金」という形で支払います。

予納金は、最低20万円です。そこで、自己破産をするときに管財事件となったら、最低でも20万円の予納金を裁判所に納めないといけません。

予納金の支払時期は、破産手続開始決定前です。基本的に一括払いが必要で、分割払いをすることはできません(東京地裁では4回分割が可能です)。

基本的に、予納金の支払をしないと、破産手続開始決定を出してもらうことはできません

そこで、自己破産を申し立てるとき、管財事件になりそうであれば、事前に管財人の予納金を用意しておく必要があります。

8、自己破産するならなるべく同時廃止にした方が得

なるべくなら同時廃止にした方が得

自己破産をするとき、同時廃止か管財事件になるかによって、かかる費用や手続きの流れが大きく異なります。

管財事件になると、最低20万円の管財予納金が必要になるので、同時廃止よりも費用が高額になります。

また、管財事件は同時廃止よりも手続きが複雑なので、申立代理人に支払う費用も高額になることが多いです。

さらに、管財事件では、3ヶ月に1回くらい債権者集会が開かれるので、そのたび裁判所に行かなければいけませんし、長い期間がかかることがあります。

同時廃止なら3ヶ月程度で終わりますが、管財事件なら半年以上かかってしまうこともあります。

そこで、自己破産をするなら、なるべく同時廃止で進める方がメリットが大きいです。

財産の金額が微妙で、工夫すれば同時廃止にできる場合などには、できるだけ同時廃止で手続を進められるよう、申立てを依頼する弁護士とよく相談をしてみると良いでしょう。

まとめ

管財事件となると、必要書類も多くなりますし、手続きが複雑になるので、弁護士に手続きを依頼する必要性が同時廃止の場合より高くなります。

そこで、自己破産したいとき、管財事件になりそうであれば、まずは弁護士に相談して、適切に進めてもらう必要があります。

借金問題に困っている場合には、まずは一度、債務整理に力を入れている弁護士に相談してみると良いでしょう。

自己破産 手続き」に関する詳細はこちらの記事をご参照ください。

自己破産」に関する詳細はこちらの記事をご参照ください。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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