携帯電話の契約にも、ブラックリストのようなものがあることをご存知でしょうか?
携帯電話の料金を滞納することで、ブラックリストに載ることもあります。一方で、携帯料金以外の滞納によってブラックリストに載ると、携帯電話の契約やMNP契約、端末の購入契約などに影響を及ぼすこともあるのです。
携帯電話やスマートフォンが使えなくなると、生活に困ってしまう方も多いのではないでしょうか。以上のことから、携帯電話とブラックリストの関係は気になるところでしょう。
そこで今回は、
- 携帯料金の滞納でブラックリストに載る?
- 携帯料金の滞納によるブラックリストへの登録期間は?
- ブラックリストへの登録中は携帯・スマホの契約ができない?
などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が分かりやすく解説していきます。
この記事が、携帯電話の料金の支払いや借金の返済が苦しく、ブラックリストが気になる方の手助けとなれば幸いです。
携帯料金 滞納については以下の関連記事をご覧ください。
目次
1、携帯料金を滞納するとブラックリストに載る?
結論からいいますと、携帯電話やスマートフォンの料金を滞納すると、ブラックリストに載ることがあります。
ただし、携帯電話やスマートフォンの契約に関する「ブラックリスト」には以下の3種類です。
- 金融ブラック
- 携帯ブラック
- 社内ブラック
それぞれ、「どのような事由で登録されるか」ということや、「登録された場合に受けるデメリットの内容」は異なります。次章で詳しく解説します。
2、携帯料金の滞納で載ってしまうブラックリストの種類
本章では、携帯料金の滞納で載ってしまう可能性があるブラックリストの種類ごとに、
- どのような場合にブラックリストに載せられるのか
- ブラックリストに載ってしまうとどうなるのか
について、解説します。
(1)信用情報機関(金融ブラック)
信用情報機関というところには、借金やローンやクレジットカードの利用等、個人の金融取引に関するデータが保有されています。借金の滞納などにより信用が悪化すると、そこに事故情報が登録されます。
以上が、一般的に言われている「ブラックリスト」というものです。
本記事では、このブラックリストのことを「金融ブラック」と呼ぶことにします。
毎月の携帯料金の中に端末の分割代金が含まれている場合は、滞納すると金融ブラックに載せられることがあります。端末の分割購入は、「金融取引」(信用取引)に該当するからです。
金融ブラックになってしまうと、その原因が解消されてから5年の間は借金やローン、クレジットカード等の利用ができなくなります。
(2)携帯電話会社が加盟している協会(携帯ブラック)
毎月の携帯料金の中に端末の購入代金が含まれておらず、通話料や通信料のみを滞納した場合は、信用取引上の事故は発生していないので、金融ブラックには載りません。
しかし、滞納した事実は、各携帯電話会社が加盟している以下の協会に「不払者情報」として登録されます。
- 一般社団法人 電気通信事業者協会(TCA)
- 一般社団法人 テレコムサービス協会(TELESA)
これらの協会に登録された不払者情報は、各携帯電話会社の間で共有されます。
不払者情報が残っていると、キャリアを変更して新規契約やMNP契約を申し込んでも拒絶されてしまうのです。
この状態のことを、俗に「携帯ブラック」といいます。
(3)携帯電話会社の社内データ(社内ブラック)
携帯ブラックが解消されても、利用した携帯電話会社の社内データには滞納した情報が残り続けます。滞納料金を完済すれば、他社の新規契約やMNP契約に支障はなくなります。
もっとも、過去に滞納した携帯電話会社にはこれらの契約を拒否されることがあります。このことを「社内ブラック」といいます。
3、携帯電話のブラックリストから信用回復するまでの期間
携帯料金の滞納でブラックリストに載せられたときは、信用が回復されるまで携帯電話やスマートフォンの契約ができない可能性があります。
本章では、携帯電話・スマートフォンのブラックリストから信用回復するまでにかかる期間について、状況別に解説していきます。
(1)携帯ブラックは滞納を解消すると削除される
携帯電話・スマートフォンの通話料や通信料の滞納で不払者情報が登録される「携帯ブラック」は、以下のタイミングで解消されます。
- 滞納料金を完済したとき
- 自己破産をして免責許可決定を受けたとき
- 料金の不払いで携帯電話の契約が解除されてから5年が経過したとき
(2)信用情報機関の事故情報は滞納解消から5年
端末の分割代金を滞納したことにより信用情報機関に事故情報(金融ブラック)が登録されたときは、滞納を解消してから5年が経過すると事故情報が削除され、信用回復します。
金融ブラックは携帯ブラックとは異なり、滞納を解消しない限り、いつまで経っても信用回復しないことに注意が必要です。
(3)債務整理をした場合はさらに長期間となる
債務整理をした場合は、金融ブラックが解消されるまでの期間がさらに長引きます。
具体的な期間は債務整理の種類によって異なり、それぞれ、以下の期間が目安となります。
- 任意整理をした場合…完済から5年
- 個人再生をした場合…再生手続開始決定の日から10年
- 自己破産をした場合…破産手続開始決定の日から10年
もっとも、借金返済が厳しければ、無理に返済しようとして滞納を続けるより、早期に債務整理をした方が、結果として信用回復の期間が短くなる可能性が高いといえます。
4、ブラックリストに載ると携帯・スマホの契約ができない?
それでは、ブラックリストに載ると携帯・スマホの契約はできなくなるのでしょうか。
この点について、本章で詳しく説明します。
(1)携帯ブラックが解消されれば回線契約は可能
まず、携帯スマホの「回線契約」については、「携帯ブラック」が解消されれば契約可能です。携帯・スマホによる通話・通信の利用は、信用取引に当たらないからです。たとえ金融ブラックに載せられていても、携帯ブラックさえ解消されれば回線契約は可能となります。
前記「3」(1)でご説明したとおり、携帯ブラックの解消までの期間は、最長5年です。
ただし、契約を解除された携帯電話会社の社内にはその後も不払いの情報が残ります(社内ブラック)。滞納解消した場合でも、新規契約を申し込んでも断られる可能性があることに注意が必要です。
(2)信用情報機関に事故情報が残っていると端末の分割購入ができない
信用情報機関に事故情報(金融ブラック)が残っている場合は、回線契約は可能ですが、端末を分割で購入することができません。端末の分割購入は、「信用取引」に該当するからです。
携帯電話会社も、CIC(株式会社シー・アイ・シー)という信用情報機関に加盟しています。
端末の分割購入(割賦販売契約)の申し込みを受けたときは、申込者の支払い能力を審査するためCICに信用情報を照会します。事故情報が登録されていると「支払い能力なし」と判断され、分割購入の契約を断られてしまうのです。
この状態は、金融ブラックが解消されるまでの間(上記「3」(2)および(3)でご説明した期間)、ずっと続きます。ただし、その間でも端末を一括で購入することはできます。一括払いの購入は、「信用取引」に該当しないからです。自分で一括払いすることが難しい場合は、家族の名義で端末を分割購入することも検討するとよいでしょう。
5、携帯ブラックでも携帯・スマホを使用する方法
携帯ブラックが解消される前でも、携帯・スマホを一切利用できないというわけではありません。困ったときは、以下の方法を検討してみましょう。
(1)プリペイド携帯を申し込む
プリペイド携帯とは、料金を前払いした分だけ使用できる携帯電話のことです。通常の携帯電話・スマホとほぼ同様の機能が使用できます。回線契約が不要で審査もないため、携帯ブラックの人でも使用可能です。
プリペイド携帯なら、料金を前払いするため使いすぎを防止できるというメリットもあります。基本料金もかからないので、着信専用であれば実質0円で使用できます。
(2)格安スマホ・格安SIMを申し込む
格安スマホとは、文字どおり、格安で購入できるスマホのことです。格安SIMとは、格安の料金で利用できる携帯電話サービスのことです。
格安スマホ・格安SIMは、MVNOと呼ばれる業者が提供しています。
MVNOとは、大手携帯電話会社から通信回線を借りて携帯電話サービスを提供する通信事業者のことです。
MVNOの中には、TCAやTELESAに加盟していない業者や、加盟していても「不払者情報の交換」に参加していない業者もいます。そういった業者に契約を申し込めば、不払者情報が登録されていても審査に影響しないため、携帯ブラックでも携帯電話・スマートフォンを使用することが可能となります。
6、借金を抱えているなら債務整理が有効!弁護士に相談を
借金を抱えて返済に追われていると、携帯料金の支払いが苦しくなることもあるでしょう。しかし、携帯料金を滞納して携帯ブラックに載せられてしまうと、回線契約を結ぶこともできなくなってしまいます。
借金の返済が苦しいときには、債務整理で解決することをおすすめします。
債務整理をすると金融ブラックには載せられてしまいますが、携帯料金を優先的に支払うことで携帯ブラックへの掲載を回避することが可能です。
端末の分割購入はできなくなりますが、一括購入するか家族名義で分割購入することによって、支障なく携帯電話・スマートフォンを使用することが可能です。
債務整理には、主に任意整理・個人再生・自己破産という3種類の手続きがありますが、どの手続きが適しているかは状況によって異なります。
また、どの手続きでも的確に進行させるためには、専門的な知識や経験が要求されます。
債務整理を成功させ、ブラックリストの影響を最小限に抑えるためには、弁護士に相談しましょう。弁護士が状況に応じて最適な解決方法を提案してくれますし、依頼すれば複雑な債務整理の手続きもすべて任せることができます。弁護士のサポートを受けることで、ブラックリストから最も早く解放されることにもつながるでしょう。
まとめ
携帯料金を滞納した場合、「金融ブラック」「携帯ブラック」「社内ブラック」という3種類のブラックリストに注意する必要があります。どのブラックリストに載せられたのかによって、携帯・スマホの回線契約自体ができなくなるのか、回線契約はできても端末の分割購入ができなくなるのかが異なってきます。借金の返済に追われている場合は、早めに債務整理で借金を制してしまった方がよいでしょう。
携帯料金や借金の返済が苦しいときや、どうすればよいのかが分からずにお悩みのときは、弁護士に相談してみましょう。最善の方法で、解決に導いてもらえる期待ができます。