「自動車ローンにおける過払い金の有無や審査への影響について知りたい」という疑問を抱える人は多いです。少しでも負担を減らし、自動車ローンの審査に影響が出ないようにしたいと考えるでしょう。
結論から言えば、通常、自動車ローンにおいて過払い金の返還は行われません。また、過去に過払い金請求をしたことがあっても、それが自動車ローンの審査に悪影響を及ぼすことはありません。自動車ローンと過払い金請求は直接の関連性はありません。
以下で、詳細を解説します。
・自動車ローンにおいて過払い金が発生しない理由
・過払い金請求後の自動車ローン審査への影響
・過払い金請求後に自動車ローンの審査で落ちる可能性
これらの内容について、詳しい説明を行います。自動車ローンと過払い金請求の関係を理解したい方にとって参考になるでしょう。
過払い金に関してはこちらの記事をご覧ください。
目次
1、自動車ローンで過払い金が発生しないのは金利が安いから
自動車ローンの金利は、通常、利息制限法(法律で定められた上限金利)の範囲内であるため過払い金は発生しません。
貸金業者からの借り入れ額 | 利息制限法の上限金利 |
10万円未満 | 20.0% |
10〜100万円未満 | 18.0% |
100万円以上 | 15.0% |
(参考:利息制限法第1条)
実務上あまりないことですが、上限金利を超えているのなら過払い金は発生します。
あなたの自動車ローンの金利はいくらなのかを確認してみてください。
2、自動車ローンの負担を軽減させる方法
自動車ローンの返済が毎月辛いのなら、3つの方法のどれかを使うといいかもしれません。
- 金融機関に返済の期限を延ばしてもらう
- 他の金融機関に借換えをする
- 自動車ローン以外を任意整理をする
1つずつ解説していきます。
(1)返済期間を延ばしてもらう
自動車ローンのせいで生活が苦しくなっているなら、金融機関へ相談して返済期間を延ばしてもらいましょう。
金融機関によっては返済の延長が可能な場合もあります。
ただし三井住友銀行のように、事前にマイカーローンの商品詳細に変更できない旨が記載されている場合には返済の延長はできません。
※繰上返済を除いて、お借入後の期間・返済方法等の条件変更はできません。
(引用:商品詳細|三井住友銀行)
上述した以外に、金融機関に返済期間の延長ができないケースを以下にまとめました。
- 返済を延滞したことがある
- すでに最長でローンを組んでいる
- ローン完済時の年齢が契約できる年齢を超えてしまっている
いずれかに当てはまるようなら、自動車ローンの返済の延長はできないでしょう。
(2)他の銀行へ借換えをする
毎月の自動車ローンの返済が難しいなら、他の金融機関への借換えができるか検討してみましょう。
金利の低い金融機関への借換えできれば、毎月の返済が少しは楽になります。
例えば、200万円の自動車を6.0%の金利でAの金融機関に5年で返済する場合です。
返済方式は元利均等方式、年2回のボーナス払いと仮定すると、毎月の返済額は約3万9千円。
一方、借換えできるBの金融機関の金利が3.0%なら毎月の返済額は約3万6千円です。
AとBの金融機関の返済額の差は、1年で計算すると約3万3千円。
5年で計算した場合は約16万4千円違います。
借換えは審査基準を満たす必要があるため難しいですが、毎月の返済を少しでも楽にしたいなら審査を受けてみてもいいかもしれません。
(3)任意整理をする
自動車ローン以外に借金を背負っていて、毎月の返済が生活を圧迫しているなら、自動車ローン以外の借金を任意整理をしましょう(自動車ローンを任意整理してしまうと自動車を引き上げられてしまいます。)。
任意整理は債務整理の1つで、自動車を残したまま借金減額や利息のカットができます。
つまり、毎月の借金の返済額を減らしながら返済が可能です。
他の借金もあって毎月の返済が苦しいけれど、自動車を手放したくないという方は任意整理をすることをオススメします。
3、過払い金請求は信用情報に関係ないので自動車ローンへ影響がない
「過払い金請求をしたことで信用情報に傷がついているのではないか」という理由で自動車ローンの申込みを躊躇している人は、心配ご無用です。
過払い金請求をしても、あなたの信用情報(※)に『契約見直し』の情報が登録されないからです。
(※)信用情報・・・クレジットカードやローンなどの申込みや契約、借入れなどの履歴
以前は信用情報に『契約見直し』の情報が登録されていたため、自動車ローンの審査の時に過払い金請求をしたのが金融機関に分かってしまいました。
しかし2010年4月19日に『契約見直し』の情報の登録が廃止。
現在は、過払い金請求をしても自動車ローンの審査には何の影響もありません。
4、過払い金請求後に自動車ローンの審査に落ちるパターン2つ
前述のとおり、過払い金請求をしても自動車ローンの審査には影響はありません。
そのため、審査に落ちる理由は、過払い金請求をしたためではありません。
典型的なパターンは2つです。
(1)ローンを組む基準を満たしていない
自動車ローンの申込み基準を満たしていない場合には審査に通りません。
以下に自動車ローンの審査基準になる項目をまとめましたので参考にしてみてください。
- 年収
- 会社への勤続年数
- 雇用形態
- 年齢
- 貸金業者からの借入れ額
- 保証人の有無
自動車ローンの審査に落ちてしまった人は、上記の項目を満たしているか確認してみましょう。
※金融機関によって基準は異なります
(2)ブラックリストに載っている
過去に貸金業者へ延滞や滞納を一定期間していたのなら、ブラックリスト(※1)に載っているため審査に落ちてしまうでしょう。
(※1)ブラックリスト・・・信用情報に延滞や滞納などの金融事故情報が登録されていること
金融機関は、自動車ローンの審査の時にきちんと返済する人物なのか、あなたの信用情報を調べています。
ブラックリストかどうか知りたい方は、JICCなどの信用情報機関(※2)のホームページから信用情報の開示請求をしてください。
(※2)信用情報機関・・・信用情報を管理する機関。代表的な機関はJICC・CIC・JBA(KSC)の3つ。
まとめ
自動車ローンは法律で定められた金利での融資をしているため、過払い金請求してもお金は返還されません。
また過払い金請求しても、自動車ローンの審査に影響は出ないため足踏みしている人は手続きをしましょう。
2010年4月19日に信用情報の『契約見直し』の情報が廃止されたからです。
もし過払い金請求をした後に自動車ローンの審査に落ちてしまうなら、審査基準を満たしているか自分の信用情報を確認してみましょう。
借金があって自動車ローンなどの毎月の返済が苦しい人は、車を残したまま負債を減らせる任意整理を検討してみてください。