連帯保証人解除の7つのポイント:手続き方法から注意点まで

「連帯保証人解除」は、「連帯保証人」の責任を軽減し、新たな経済的自由を得るための一歩です。連帯保証人を解除するためには、特定の手続きと条件を遵守する必要があります。

連帯保証は契約に基づいて成立しており、簡単に解除することはできませんが、状況に応じて解除の可能性があることも事実です。

この記事では、ベリーベストの弁護士が、借金の連帯保証人からの解除手続きの方法や注意点を詳しく解説します。

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1、連帯保証人とは?

まずは、連帯保証人というものが、法律上どのような責任を負うのかについて解説します。

(1)主債務者と同じ債務を負う

連帯保証人とは、主債務者と同じ立場で返済義務を負う保証人のことです。

そもそも保証人とは、主債務者が返済しないときに返済する責任を負う人のことです(民法第446条1項)。元金だけでなく、利息や遅延損害金、その他の違約金や損害賠償金など、主債務に関して発生する支払い義務のすべてについて責任を負います(同法第447条1項)。

単なる「保証人」の返済義務は、「主債務者が返済しないとき」にのみ発生します。対して、「連帯保証人」の返済義務は、連帯保証契約を結んだ時点で発生しているのです。

主債務者が返済を怠らなくても、主債務者と同じ債務を負っているのが連帯保証人です。

(2)「保証人」との違い

単なる「保証人」と「連帯保証人」との違いを具体的にいいますと、債権者から返済の請求を受けたときに、

  • 先に主債務者に請求するように
  • 先に主債務者の財産を差し押さえるように

と主張して返済を拒めるかどうかの点で異なります。

単なる保証人は、債権者が主債務者に請求せず、いきなり保証人に請求してきた場合には「先に主債務者に請求してください」と主張できます。

この権利のことを、「催告の抗弁」といいます(民法第452条)。

債権者から主債務者に対する請求が空振りに終わっても、以下のいずれも当てはまる場合は、単なる保証人は「先に主債務者の財産を差し押さえてください」と主張できます。

  • 主債務者に返済能力がある
  • 債権者が主債務者の財産を差し押さえることに特段の支障がない

この権利のことを、「検索の抗弁」といいます(同法第453条)。

連帯保証人には、上記2つの抗弁権が認められていません(同法第454条)。債権者が、主債務者ではなく連帯保証人に対していきなり請求してきた場合にも、返済を拒むことができません。その意味で、連帯保証人は主債務者と全く同じ債務を負っているといえるのです。

2、連帯保証人から解除してもらえる3つのケース

連帯保証債務は債権者との契約によって発生していますので、連帯保証人から解除してもらうためには、連帯保証契約を消滅させる必要があります。

いったん成立した契約を自由に消滅させることはできませんが、以下の3つのケースでは連帯保証人から解除してもらうことが可能です。

(1)連帯保証契約の無効・取消しを主張する

連帯保証契約に何らかの問題があった場合には、契約の無効または取消しを主張できる可能性があります。

無効または取消が認められると、契約は初めからなかったことになりますので、初めから連帯保証人ではなかったことになります。

(2)債権者との合意で解除してもらう

連帯保証契約を一方的に解除することは原則として許されませんが、債権者との交渉により合意ができれば解除してもらうことも可能です。

この場合には、契約が解除された時点で連帯保証人の責任から解除されることになります。

(3)主債務を消滅させる

主債務を弁済するなどして消滅させれば、主債務の契約は目的を達成して終了し、それに伴い連帯保証契約も終了します。

借金を一括で返済することは、容易でない場合も多いです。しかし、一括返済が可能な場合には、債権者の意向にかかわらず連帯保証人の責任から免れることができます。

3、連帯保証契約の無効・取消しで解除してもらう方法

本章では、連帯保証契約を消滅させることが可能な3つのケースについて、それぞれ具体的な方法を紹介していきます。

まずは、連帯保証契約の無効・取消しで解除してもらう方法からみていきましょう。

(1)勝手に連帯保証人にされたことを主張する

主債務者が勝手に連帯保証人の印鑑や本人確認書類などを使用して契約した場合は、本人(連帯保証人にされた人)には契約する意思がないので、契約の無効を主張できます。

ただし、主債務者に名義を貸すことを承諾していた場合や、表見代理(民法第109条、第110条)が成立する場合は無効を主張できません。例えば、親子で事業を営んでいて、親が子どもに対して普段から親の実印を使用して取引をさせていたような場合は注意が必要です。

このような事情がある場合には、たとえ子どもが親に無断で実印を使用して連帯保証契約を結んだとしても、表見代理による契約が有効に成立する可能性があります。

(2)騙されて連帯保証人にされたことを主張する

例えば、子どもからアパートの連帯保証人になってほしいと頼まれて契約書に署名したところ、実は借金の契約書であったというように、騙されて連帯保証人にされた場合には「詐欺」を理由として連帯保証契約を取り消せる可能性があります(民法第96条1項)。

ただし、詐欺の事実を債権者が知る由もなかったという場合には、取消しは認められません(同条2項)。取消しが認められるかどうかはケースバイケースとなります。

(3)契約内容の重要な部分を勘違いしていたことを主張する

例えば、10万円の借金の連帯保証人となるつもりで契約書に署名したところ、実は100万円の借金だったというケースが考えられます。

上記のように、契約内容の重要な部分に勘違いがあった場合には「錯誤」を理由に連帯保証契約を取り消せる可能性があるのです(民法第95条1項、2項)。

取消しが認められるかどうかは、契約時のやりとり等、さまざまな事情によります。

勘違いがあった場合のすべてのケースで、取消しが認められるわけではないことに注意が必要です。

4、債権者との合意で連帯保証人から解除してもらう方法

債権者との合意があれば、連帯保証契約を解除してもらうことができますが、無条件に解除してもらえることはまずありません。

通常は、以下のように代替条件を提案することが必要となります。

(1)代わりの連帯保証人を立てる

一般的には、代わりの連帯保証人を立てることによって、自分を連帯保証人から外してもらうように交渉することになります。

この交渉に応じるかどうかは債権者次第ですが、新たな候補者に十分な返済能力があることが認められれば、ほとんどの金融機関は応じてくれるでしょう。

経済的な信用が高い連帯保証人候補者を見つけ、代わりを頼むことができるかどうかがポイントとなります。

(2)物的担保を提供する

連帯保証人候補者を確保できない場合は、土地・建物などの物的担保を提供することも考えられます。

この場合も、主債務を担保するに十分な資産価値のある担保物権を用意できるかどうかがポイントとなります。

主債務者がそのような担保物権を所有していない場合は、連帯保証人自身または第三者の所有物件を提供しなければなりません。

5、主債務を消滅させて連帯保証人から解除してもらう方法

最も確実に連帯保証人から解除してもらう方法は、主債務を消滅させてしまうことです。

主債務を消滅させるためには、何も連帯保証人が自己負担で一括返済をしなければならないとは限りません。

以下の方法でも、主債務を消滅させることが可能です。

(1)別のローンに借り換える

1つめの方法は、別のローンに借り換えることです。

借り換えに伴い元の借入先には全額返済することになりますので、主債務は消滅し、連帯保証人は解除されます。

とはいえ、良い条件の借り換え先が見つかるとは限りませんし、主債務者が多重債務状態であれば借り換えを利用できないこともあります。

以上のような場合には、別の方法を検討しなければなりません。

(2)住宅ローンの場合は家を売却する

住宅ローンの連帯保証人となっている場合は、主債務者に家を売却してもらうことも検討しましょう。

ローン残高よりも売却価格の方が高いアンダーローンの状態であれば、売却によって主債務が消滅します。

特に、住宅ローンが残っている状態で離婚する場合には、家を売却して余剰金を分け合う方が財産分与の問題も公平に処理しやすくなります。

6、連帯保証人から解除されても返済義務を負うことがある?

連帯保証人から解除されたとしても、一切の返済義務から免れるとは限りません。

解除後も、返済義務を負う場合があることに注意が必要です。

(1)解除の効力は将来に向かってのみ

債権者との合意で連帯保証契約を解除した場合、解除の効力は、将来に向かってのみ生じます。

解除するまで、連帯保証人であった事実には変わりありません。

次で説明するように、すでに発生している債務については返済義務を負う必要があります。

連帯保証契約の無効・取消しが認められた場合は、初めから契約がなかったことになりますので、返済義務を負うことはありません。

(2)すでに発生している債務からは免れられない

解除前に主債務者が借金の返済を滞納していた場合は、その滞納額について連帯保証人にも返済義務が生じています。

通常は、滞納を解消してからでないと連帯保証人からの解除に応じてもらえませんが、仮に先に解除されても、滞納分も含めて支払義務を免除してもらえるということでなければ、すでに発生している返済義務から免れることはできません。

また、離婚時に住宅ローンが残った家を売却したものの、オーバーローンで借金だけが残った場合も、残ローンに対する連帯保証債務が続きます。

7、個人で交渉するのは難しいことも!弁護士に相談を

債権者にとって連帯保証人は、借金の返済を担保するための重要な存在です。連帯保証人の返済能力を見込んだからこそ融資に応じたわけですので、契約解除の交渉は通常、容易ではありません。代わりの連帯保証人や物的担保を立てるとしても、厳重な審査が行われます。

以上のような交渉を有利に進めるためには、深い法律知識と債権者を納得させるだけの交渉力も要求されます。

個人での交渉が難しいと感じたときは、弁護士に相談することがおすすめです。弁護士は状況に応じて最適な主張方法を検討してくれますし、依頼を受ければ、債権者との交渉を代行してくれます。素人が交渉するよりも、有利な結果が期待できることでしょう。
万が一、連帯保証契約の解除が認められなかったり、認められたとしても多額の返済義務を負ってしまったりしても、債務整理も視野に入れた解決方法を提案してくれるでしょう。

まとめ

いったん連帯保証人となると、自由に解除することはできませんが、債権者との合意など、いくつかの方法によって解除できる場合があります。

ただし、連帯保証人から解除されたとしても、返済義務を負うこともあります。早期の対処が重要であるとともに、場合によっては債務整理などによる解決を検討する必要もあるのです。適切に解決するためには専門的な法律知識が必要となりますので、連帯保証の問題で困ったときには弁護士の力を借りることをおすすめします。

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